「無責任」の論理構造 (1) ――「令和の無責任男」を解剖する――
「無責任」の論理構造 (1)
――「令和の無責任男」を解剖する――
新型コロナウイルスの感染が抑えられ、自粛要請も解除になりつつありますが、それと軌を一にして、日本中で安倍内閣に愛想をつかしている人が爆発的に増えているようです。たとえば、「広島ブログ」中の人気ブログ「小さな松のカフェ」では、5月31日にライターのヤンシーさんが、「令和の無責任男」と題する、風刺を載せてくれています。一読、身体がすっきりした気分になりました。
キーワードは「責任」です。たとえば、5月27日には、文化放送「大竹まこと ゴールデンラジオ!」で、大竹さんやタレントの壇蜜さんまで、このことを問題にしています。毎日新聞の報道では、昨年11月時点で、第二次安倍内閣になってから、首相が「任命責任は私にある」という趣旨の発言を公の場で49回行っていたにもかかわらず、最後は「批判は真摯(し)に受け止めたい」という発言しかしていない点を、取り上げていたそうです。
その前日、26日には、TBSの「news23」でキャスターの小川彩佳さんが、安倍総理の「責任」の使い方は、自分には「責任がある」とは言っても、その「責任を取る」とは言わない点を問題にし、コメンテーターの星浩さんは、「任命責任があるというのなら、その責任の取り方としては、例えば○○大臣を更迭する」のが常識だ、という指摘をしています。
さらに遡りますが、2019年の11月1日の『女性自身』電子版では、国会で安倍総理が「任命責任」という言葉を使った回数を、議事録から数えています。
『女性自身』最新号
「第二次安倍内閣になってから首相による「任命責任」という文言は33の会議で記録されている。そのうち具体的な「責任の取り方」については24回記録されている」
その責任をどう果たすのかを問われて、安倍総理の回答は大体次のようなものになっているとのことです。
2014年の衆議院本会議では、「経済の再生を初め、内外の課題が山積する中、行政に、政治に遅滞をもたらすことのないよう、今後さらに緊張感を持って政権運営に当たってまいります。二年前の総選挙で国民の皆様からいただいた負託にしっかりと応えるため、政治を力強く前に進め、国民への責任を果たしていく決意であります」
また2016年2月の衆議院予算委員会では、「閣僚の任命責任は私にあるわけであります。その責任は、究極的には、しっかりと政策を前に進めていくことによって果たされるべきものだと考えています」
『女性自身』の記述では「具体的」なという形容詞が付いている「責任の取り方」なのですが、とても「具体的」とは言えない代物です。それどころか、責任を回避するための下手な言い訳でしかありません。これをお読みの皆さんにとっても、フラストを感じ、憤怒の対象でしかないような言い訳でしょう。それを敢えて、冷静に分析するのが、今シリーズの目的です。
「責任」にとって、一番大切なのは「因果関係」です。何が原因で何が起ったのかから始めなくてはなりません。それも、縺れた糸のように、何本もの因果関係があり、それぞれの糸毎に付随している責任を確認しなくてはならないのです。
[因] 河井法務大臣夫妻がウグイス嬢に法定限度を超えた報酬を支払った。
[果] 公職選挙法違反である。
[因] 法務大臣が法律違反をした、あるいはその疑いが濃い。
[果] 法律についての全責任を負う立場である大臣は務められない。
[因] 自分が任命した法務大臣が、法を犯したあるいはその疑いが濃厚である。
[果①] 総理大臣はまず、法務大臣を更迭する。つまり、法務大臣が自ら辞職する道は塞ぐ。同時に、「任命」という仕事についての自分の能力の有無について、再検証する。
[果②] あまりにも多くの任命が、不適切であったことが分った。
[果③] 自分には人を見る目がないことを自覚する。
[果④] 総理大臣を辞任する。
常識的に考えると、すぐ上の[因]と、[果①]から[果④]までという因果関係、そしてシナリオなら多くの人が納得するでしょうし、若者たちも政治に対して少しは信頼する気も起きて来るかもれしません。でも現実に起きていることはこのような流れとは余りにも掛け離れています。事実、このシナリオの①から④まで、一つも現実になってはいないではありませんか。
それほど、非常識な政治が行われているのですから、私たち市民の側でも、手を束ねざるを得ません。どのような発信をすれば、それが時の政権や総理大臣、そして官僚のトップに伝わるのかについて、全く何の手掛かりも持っていないと感じ、無力感に捉われてしまっているのではないでしょうか。
唐突かもしれませんが、それに対するカギは憲法です。何しろ一国の政治の根幹を示している訳ですし、全ての法律の出発点でもあります。総理大臣の権利や義務についての規定もあります。憲法を再点検することで、安倍政治にお別れを告げるためのヒントが得られるかもしれません。
それでは次回をお楽しみに!
[2020/6/1 イライザ]
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コメント
汚れっちまった悲しみに→ ってか、のアホノマスク。
5/22午前だかに→届いっちまって。
(ブランド区・杉並より遅れること12日)
そこはすぐさま→用意しておいた〈不要〉のシールを貼りつけポストに投函。
厚労省は→返却マスクはすぐさま与党議員に配り率先着用を義務づけよ。
〒配達の方、仕事増やして<(_ _)>
ごっこ会見。ウンザリよりも、小っ恥ずかしくて見てられない。
この私にその面のスキルがあったなら、
1)prompterを本番で使えなくする
2)prompterにウソ発見器をセットするか、科学的データ満載の中身に差し替える
3)画面を二つに分け→片側に最初に”ブッシュの靴”シーン、メルケル氏やクオモ氏の
真剣発言、ホワイトハウスかなんかでわれ先に手をあげる記者たち、最後は
小川淳也衆院議員(立憲)5/22コロナ対策国会質疑で閉める
「硬い心」様
コメント有り難う御座いました。
私の住む田舎には、マスクも給付金もまだ届いていませんが、スーパーでも普通にマスクは手に入るようになりました。
そのマスクと記者会見についてのコメント、全面的に賛成です。プロンプターに細工ができるのなら、これまでの罪状を認め「辞職する」という言葉をどこかに埋め込みます。それも複数回。
未だに二桁の支持率があることさえ信じられませんが、「安倍下し」の旋風を作り上げるために、安倍政治の酷さを憲法に照らして告発することも効果的ではないかと思います。
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5/22午前だかに→届いっちまって。
(ブランド区・杉並より遅れること12日)
そこはすぐさま→用意しておいた〈不要〉のシールを貼りつけポストに投函。
厚労省は→返却マスクはすぐさま与党議員に配り率先着用を義務づけよ。
〒配達の方、仕事増やして<(_ _)>
ごっこ会見。ウンザリよりも、小っ恥ずかしくて見てられない。
この私にその面のスキルがあったなら、
1)prompterを本番で使えなくする
2)prompterにウソ発見器をセットするか、科学的データ満載の中身に差し替える
3)画面を二つに分け→片側に最初に”ブッシュの靴”シーン、メルケル氏やクオモ氏の
真剣発言、ホワイトハウスかなんかでわれ先に手をあげる記者たち、最後は
小川淳也衆院議員(立憲)5/22コロナ対策国会質疑で閉める
投稿:硬い心2020年6月 1日 (月) 12時38分
コメント有り難う御座いました。
私の住む田舎には、マスクも給付金もまだ届いていませんが、スーパーでも普通にマスクは手に入るようになりました。
そのマスクと記者会見についてのコメント、全面的に賛成です。プロンプターに細工ができるのなら、これまでの罪状を認め「辞職する」という言葉をどこかに埋め込みます。それも複数回。
未だに二桁の支持率があることさえ信じられませんが、「安倍下し」の旋風を作り上げるために、安倍政治の酷さを憲法に照らして告発することも効果的ではないかと思います。
投稿:イライザ2020年6月 1日 (月) 16時15分