新型コロナウイルス 電力にも影響-その1
4月7日、政府は新型コロナウイルス特別措置法に基づく「緊急事態宣言」を発令し、同16日には全国に拡大しました。今回の宣言は、東日本大震災の東京電力福島第一原発事故の時に発令された、原子力災害対策特別措置法に基づく緊急事態宣言に次ぐもので、同宣言は今なお発令中のままです。
すでに、学校が休みになり、予定されていた集会やイベントがなくなり、さらに外出自粛など閑散とした風景が街中に広がっています。新型コロナウイルスの感染拡大が続くなか、電力にも影響がでていることから、4月に起きた出来事をピックアップしてみました。
■新型コロナ 各電力会社の入社式にも影響が
新型コロナウイルスの感染拡大が、大手電力の2020年度新入社員の入社式や研修・配属時期に影響を及ぼしています。
北海道と東京、中部、北陸、九州は4月1日に予定していた集合形式の入社式を中止。東北は、4月中旬の入社式開催を予定していたが延期。関西は、感染予防対策し事業持ち株会社と送配電事業会社の合同入社式。四国、沖縄も規模を縮小して実施。
中国も、参加役員の縮小・マスク着用・式場ドアの解放などの対策した上で4月1日に事業開始した中国電力ネットワーク㈱との合同入社式を開催。
■経産省 電力・ガスなど130事業者に安定供給の継続要請
経済産業省は4月8日までに、電力・ガス事業者などに安定供給の継続に万全を期すよう要請。発電所など重要施設で感染者が発生した場合の人員計画を精査し、サプライチェーン(供給網)の途絶に備え、調達先を多様化することを求めています。人員のやりくりが困難といった明確な理由があれば、火力発電所の定期検査を延長できる関係法令の解釈も明確にしています。
具体的には、外出自粛要請などで検査に必要な人員確保が難しい場合や、新型ウイルスに対応に必要な物資を製造する事業者が、自家発電設備の稼働を続けなければならない場合を想定。
■島根2号機 再稼働審査 中断1カ月 規制委 会合取りやめ
島根原発2号機の再稼働に必要な原子力規制委員会による審査が、新型コロナウイルスの影響で約1カ月中断しています。規制委が感染拡大を防ぐため、電力会社側と対面する審査会合を取りやめたから。見えないウイルスによって原発審査にブレーキがかかった格好。会合は3月26日を最後に中断。
※原発規制委 コロナで審査遅れも 秘密保持でネット使えず
新型コロナウイルスの感染拡大が、原発の安全性を見定める原子力規制委員会の審査に影を落としています。感染防止のため3月末から約2週間にわたって中止された審査会合は、テレビ会議で再開にこぎつけた。ただ、テロ対策施設などの非公開審査は秘密保持のためテレビ会議では会合を開けず、書面に限った対応を余儀なくされています。審査が長引けば原発の稼働状況に影響しかねない、との見方も出ています。
■九州電力 玄海原発の工事中断 工事関係者の感染確認で
佐賀県の九州電力・玄海原発で進められているテロ対策施設「特定重大事故等対処施設」の建設工事に従事していた大林組社員(50代男性および40代男性)による新型コロナウイルスの感染がそれぞれの4月14日および17日に明らかになっていました。
九州電力は、4月14日から工事を中断し、工事関係者約600人に対して出勤停止の措置をとっていました。
※コロナ感染で中断していたテロ対策施設工事を再開
九州電力によると、4月8日以降、この2人の工事関係者と接触していないことが確認された340人については、2週間の期間をおいた22日、出勤停止を解除し、24日午前、工事を再開したということです。
九州電力玄海原発ホームページのトップページより
■玄海原発 反原発団体が原発停止要請「感染終息まで」
反原発団体「さよなら原発!佐賀連絡会」は九州電力と佐賀県に、新型コロナウイルスの感染終息まで玄海原発を止めるよう求める要請書を提出。「原発運転員らが集団感染すれば、事故発生時に適切な対応が取れない」と指摘しています。
要請書では、運転員や保守点検を担う社員らが感染した場合、人員不足でトラブルが起きやすくなると主張。原子力災害が発生した場合、避難所での感染症対策も難しいと訴えています。
「さよなら原発!佐賀連絡会」は感染防止のため、九電や県庁には訪れず、4月19、20日にそれぞれメールとファクスで要請書を送付、電話対応で「重大事故などに対応する人員計52人が確保できない状況になれば、運転を停止する」との説明を受けています。
■川内原発作業員のコロナ対策徹底を 鹿児島県議会会派が九電に要請
鹿児島県議会の立憲民主党、社民党系の議員らでつくる会派「県民連合」は4月24日、九州電力に対して、川内原発の定期検査などに携わる作業員の新型コロナウイルス対策を厳格に行うよう申し入れています。
川内原発は1号機が定期検査中で、県外の作業員約1000人を含む約3000人が従事しており、2号機も5月20日に停止し、定期検査に入る予定。
少し長くなりましたので、続きは明日報告します。
木原省治
<お断り>昨日、イライザさんの「新型コロナウイルス断想」の続きは、11日に掲載するとお知らせしていましたが、この記事が明日も続きますので、12日からの掲載となります。
[お願い]
この文章の下にある《広島ブログ》というバナーを一日一度クリックして下さい。
« 被爆建物保存の意義 | トップページ | 新型コロナウイルス 電力にも影響-その2 »
「日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事
- 広島市主催「被爆建物めぐり2023」―広島高等学校講堂(2023.11.29)
- 広島市主催「被爆建物めぐり2023」(2023.11.28)
- 届けキャンドルメッセージ(2023.11.27)
- 2023ピーススクールと第五福竜丸展示館見学(2023.11.26)
「経済・政治・国際」カテゴリの記事
- 届けキャンドルメッセージ(2023.11.27)
- 中国電力、上関町での中間貯蔵施設調査地の森林伐採出来ず!(2023.11.25)
- 沖縄を再び戦場(いくさば)にさせない!広島を出撃拠点にするな!(2023.11.24)
- 三原地区・府中地区の11月の街頭行動(2023.11.21)
- ベトナムの歴史(その30-1) ―ベトナム戦争と枯葉剤被害Ⅰ― (2023.11.20)
コメント