「広島ブログ」

2024年9月
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30          

最近のトラックバック

無料ブログはココログ

« 新型コロナウイルス危機・その6 ――10代の若者に焦点を合せる―― | トップページ | 新型コロナウイルス危機・その8 ――「専門家」による第二の「忖度」―― »

2020年4月18日 (土)

新型コロナウイルス危機・その7 ――10代の若者に焦点を合せる (2)――

新型コロナウイルス危機・その7

――10代の若者に焦点を合せる (2)――

 

昨17日の続きです。「見解」から読み取れる第一の「忖度」の第2部です。

 

《データに即して考えてみよう》

北海道での3月2日までの77人の感染者について、10代の若者の数を調べてみると、10代の若者は2人、10代未満は4人で、つまり20代未満は合計6人です。居住地は、千歳が1人、上川が3人、胆振が1人、十勝が1人です。

 

Photo_20200415180801

 

千歳以外の人は、上川、十勝、胆振という比較的「遠隔地」に住んでいます。つまり、「見解」が提示しているシナリオである、都会で感染した若者が、未だ軽症でそれに気付かない内に「遠隔地」に移動して、その結果、その地域に住む高齢者を感染させている――には、当てはまらないのです。

札幌の雪まつりで感染した若者が、「遠隔地」に移動してその地域の人が感染するというシナリオの典型例として良く引用されていたのが、北見市の展示会ですが、この6人の子どもたち、特に10代の2人のうちの誰かが、札幌の雪まつりに参加した後、北見市まで出掛けていて、都市と「遠隔地」を結び付けるリンクの役割を果したのでしょうか。

北見市ではなくても、どこか「遠隔地」まで足を延ばしたことは確認できたのだろうと思います。それを前提に考えましょう。仮に北海道の子どもたちがとても元気で、札幌から北見等への移動も実際に行っていたとしても、恐らく一人で行動したのではなく、大人の保護者に連れられてのことに違いありません。

となると、WHOと中国の合同調査の報告 (合同報告) の内容が関わってきます。あと数日先に紹介するWHOと中国の合同調査の結果を勘案するとすぐ分ります。武漢での経験では、子どもたちが感染しているのは多くの場合家庭で、しかも両親か祖父母といった大人からの感染です。しかも、子どもが大人にうつしたという事例は、調査団では見つけられなかったようなのです。

このことだけから、北海道のデータは使わなくても、10代の子供から大人にうつした可能性は低いのですから、「見解」の結論とは矛盾します。

でもそれは一般論ですので、実際に10代の子どものどちらかが「遠隔地」に行っていたと仮定しておきましょう。しかしその場合には、その保護者も感染していて子どもにうつしていた可能性も考えなくてはなりません。その方が蓋然性は高いとも言えそうです。そうだとすると、ここでは可能性の議論をしているのですからその延長線上の可能性として、感染源として保護者が果した役割にも注目しないと、決定的な結論にはならないことになります。

さらに、北海道に限らず、2月末に注目されていた「クラスター」を見てみましょう。クラスターを中心に集団感染が起きているから、クラスターを広げるな、という論調でした。そのクラスターの例として良く引き合いに出されていたのが、①北海道の雪まつり、②北見の展示会③東京の屋形船④市川や名古屋のジム⑤新潟の卓球クラブ⑥大阪のライブ・ハウス⑦東京、神奈川、和歌山の病院です。その時点では、これ以上クラスターが大きくなったり、広がったりしなければ感染はそれなりに収まるだろうという予測が出てきても不思議ではありませんでした。では、そのプロセスで、10代の子どもたちはどのような役割を果せたのでしょうか。

まず、これらのクラスターでは、直接10代の子どもが感染した例は報告されていませんでした。そもそも10代の子どもたちがこのような施設の中心的な利用者ではありませんし、ほとんど利用していないとまで言っても良いかもしれません。また、その他の利用者プロフィールを考えても、軽症の10代の若者が感染していたことが出発点になって、これらのクラスターでの小規模の集団感染が起きたと結論付けることはできません。

つまり、クラスターに注目する限り、「(10代の)若年層は重症化する割合が非常に低く、感染拡大の状況が見えないため、結果として多くの中高年層に感染が及んでいると考えられます」という結論を導くのには無理があるのではないでしょうか。

こう見てくると、「見解」が述べているような事実の把握やシナリオには無理があるのです。つまり、「一両日中に北海道のデータを元に分析した結果」として、10代の若者が感染し、そのことに気付かないまま「遠隔地」に住む高齢者を感染させた (可能性が高い)、という結論を得ることは、100%不可能ではないにしろ、大変難しいのです。

にもかかわらず、「10代の (若者の) 皆さん、 (略) 「皆さんが、人が集まる風通しが悪い場所を避けるだけで、多くの人々の重症化を食い止め、命を救えます。」というメッセージにしてしまうのは行き過ぎでしょう。

もっとも、このメッセージがあれば、そこから、「そのためには、学校に行かないで家にいるのが一番」という結論を引き出して、「休校」という措置を権威づけることは簡単にできます。結論としては成立しにくい主張を柱とするシナリオが出現してしまったという事実を、「忖度」という言葉で表現してもおかしくはないでしょう。

でも、2月終りの出来事を覚えていらっしゃる皆さんは、このことから一つの矛盾があるかのような印象を持たれたのではないでしょうか。それは、2月26日には鈴木知事が、北海道内の小中高等学校の休校要請を行っているからです。鈴木知事なら良くて、安倍総理ではいけないという恣意的な判断など受け入れられない、と考える方がいても不思議ではありません。

しかし、この「矛盾」はもう一つの「忖度」に気が付けば氷解してしまうのです。それは次回に回しましょう。

 

[2020/4/18 イライザ]

 

[お願い]
この文章の下にある《広島ブログ》というバナーを一日一度クリックして下さい。
広島ブログ

広島ブログ

コメント


政府は法改正まで行って緊急事態宣言を出しましたが、未だに医療現場ではマスクもガウンも不足しているというのが理解できません。先月、私が中国から買った激安の電子機器には期せずしてマスクが数枚おまけで付いてきました。楽天でもマスクは相当量出ており、街の薬局でも、いつでもあるというわけではありませんが、時々には入荷しています。

それなのに医療現場では「汚れたマスクやガウンを使い回すのが当たり前になった。」という総合病院まで出ているという有様です。政府は何のために緊急事態宣言を出したのでしょうか。「球を打ったバッターが三塁に向かって走り出しているのを皆で応援している」という喩えが当たっているように思います。
https://www.youtube.com/watch?v=XnN0YzOHTGk



本論から外れっぱなしで申し訳ないのですが、ついでに応援団のことです。

テレビによく登場する安倍応援団の田崎史郎氏がテレ朝の番組で「肺炎で亡くなった人のことを、あとでCT検査をして、これでコロナかどうかいちいち判断しているんですよ」と言いましたが、毎日数百人も亡くなっている肺炎で死亡する人に対し、そんなことができるはずのないことは、医師でなくても少し考えれば分かることです。もちろん、それ以前に診断はしているわけで、してもしなくても有意なデータがないことに変わりはないのですが、こういうあり得ないことを堂々と解説している応援団も多い気がします。

新型コロナウィルス危機の冒頭を読んだとき、「これは、頭の冴えている朝でないと読めないぞ」と、読むのを中断しました。

やっと今朝、1から7までコメント含め一気に読むことができました。

新型コロナに対して感情的なコメントばかりが溢れるなか、論理的、的確な批判、さすがです。(忖度ではありませんよ)
被爆者援護法からコロナ対策まで連綿と続く「受忍論」は、目から鱗の思いで読みました。
私は、「安倍宣言」は、北朝鮮ミサイル説だと思っています。
「桜を見る会」への批判が頂点に達し、いよいよ安倍政権も詰んだな、と思えたその時、安倍宣言が出されたのです。一気に世論は新型コロナにひっくり返りました。
お見事!と言うしかないです。
宣言が出されたとき、文部大臣がひどく怒っていました。その理由がこのブログを読んでよくわかりました。
これからは、ブログがアップされるのを心待ちにしそうです。


「工場長」様

コメント有り難う御座いました。

貼り付けて下さったYouTubeの[せやろがいおじさん]、説得力ありますね。楽しいですし。

「非常時だから批判はするな」は、戦争中の、(ではもう何時の事か伝わらなくなっているのかもしれませんが)、大本営発表以外は許されない言論統制と同じです。そして全ての言説が戦争協力と煽動一色になった歴史は覚えておかないといけないと思います。

医療現場での悲惨な状態は、「忖度」官僚制度の結末だと思います。詳しく検証したいと考えていますが、「殿」の単純な思い付きには対応できても、実社会の複雑な問題解決をする能力を、安倍政権は完全に失ってしまったのではないでしょうか。

応援団の「スシロー」氏は、恥ずかしげもなく安倍政権の本音のところや、個人的なエピソードを語ってくれるので役立つこともあり、何より彼の「ピエロ」振りは政権と市民の距離の遠さを生々しく伝えてくれますので、安倍政権の劣化度を示すバロメーターにはなっているような気がします。

「三原の暇人」様

コメント有り難う御座いました。

このシリーズをお読み下さり、有難う御座います。No.1からNo.7まで、一気に読むのは大変だったと思いますが、感謝・感謝です。

「安倍宣言」の際の荻生田文科大臣の怒りは、文科省の官僚の中に、例えばインフルエンザ対策についての経験を理解し、現場との連携を重んじていた人が何人かは残っていたことを示しているのだと思います。そんな人たちと手をつなげると良いのですが。

黒死病=ペストが世界的に流行した時、ヨーロッパではポーランド・リトアニアだけが感染者数が極端に少なく、その理由は、ウォッカ(=高濃度アルコール)でテーブルを拭く習慣があったとされています。(それもあってユダヤ人陰謀説もなく、多くのユダヤ人が移住しました)

世界最古の公衆衛生大学院を有し、US
Newsの格付けが開始されて以来ランキング1位を保っているジョンズ・ホプキンズ大学は各国で50人の感染者が出た時からのデータを線形または対数スケールで表していますが、ある規模以上の国家では日本だけが極端に低い感染者の増加になっています。決して日本が追いつこうとはしておらず、ロックダウンされた各国が、対策のなかった時期の日本を追い越している様子が分かります。

十把一絡げの統計データばかりでなく、こうしたことの原因の究明も、その分野の専門家には、もう少し積極的に取り組んで欲しいと思います。

先のコメントに補足しますが、日本の検査データは少ない上に、正しくサンプリングされたものでもありませんが、人口あたりの死者数が欧米とは未だに二桁違うということを付け加えておきたいと思います。これから先に、ウイルスもの変異や、違うルートからのウイルス(ウイルスの感染ルートが各国で違い、その差もあります)による感染増大も可能性としてあり、その対策は必要ですが、これまでの事実として、日本だけが何もしていない状況でも感染が拡がらなかった(インフルエンザなどと比べ)ということは早期に解明されても良いことだと思います。

「工場長」様

コメント有り難う御座いました。かなり専門的な御指摘を有難う御座います。感染者数や死亡者数について、おっしゃるようにデータのとり方やその質と量がずいぶん違いますので、国際比較は難しいのですが、それでもありとあらゆる角度からの国際比較は必要です。近い内にそれらのデータをいくつか使って考えてみたいと思います。

その中で、御指摘のように、死亡者数や致死率が鍵になります。

« 新型コロナウイルス危機・その6 ――10代の若者に焦点を合せる―― | トップページ | 新型コロナウイルス危機・その8 ――「専門家」による第二の「忖度」―― »

ニュース」カテゴリの記事

経済・政治・国際」カテゴリの記事

コロナウイルス」カテゴリの記事

コメント

政府は法改正まで行って緊急事態宣言を出しましたが、未だに医療現場ではマスクもガウンも不足しているというのが理解できません。先月、私が中国から買った激安の電子機器には期せずしてマスクが数枚おまけで付いてきました。楽天でもマスクは相当量出ており、街の薬局でも、いつでもあるというわけではありませんが、時々には入荷しています。

それなのに医療現場では「汚れたマスクやガウンを使い回すのが当たり前になった。」という総合病院まで出ているという有様です。政府は何のために緊急事態宣言を出したのでしょうか。「球を打ったバッターが三塁に向かって走り出しているのを皆で応援している」という喩えが当たっているように思います。
https://www.youtube.com/watch?v=XnN0YzOHTGk

本論から外れっぱなしで申し訳ないのですが、ついでに応援団のことです。
テレビによく登場する安倍応援団の田崎史郎氏がテレ朝の番組で「肺炎で亡くなった人のことを、あとでCT検査をして、これでコロナかどうかいちいち判断しているんですよ」と言いましたが、毎日数百人も亡くなっている肺炎で死亡する人に対し、そんなことができるはずのないことは、医師でなくても少し考えれば分かることです。もちろん、それ以前に診断はしているわけで、してもしなくても有意なデータがないことに変わりはないのですが、こういうあり得ないことを堂々と解説している応援団も多い気がします。

新型コロナウィルス危機の冒頭を読んだとき、「これは、頭の冴えている朝でないと読めないぞ」と、読むのを中断しました。
やっと今朝、1から7までコメント含め一気に読むことができました。
新型コロナに対して感情的なコメントばかりが溢れるなか、論理的、的確な批判、さすがです。(忖度ではありませんよ)
被爆者援護法からコロナ対策まで連綿と続く「受忍論」は、目から鱗の思いで読みました。
私は、「安倍宣言」は、北朝鮮ミサイル説だと思っています。
「桜を見る会」への批判が頂点に達し、いよいよ安倍政権も詰んだな、と思えたその時、安倍宣言が出されたのです。一気に世論は新型コロナにひっくり返りました。
お見事!と言うしかないです。
宣言が出されたとき、文部大臣がひどく怒っていました。その理由がこのブログを読んでよくわかりました。
これからは、ブログがアップされるのを心待ちにしそうです。

「工場長」様

コメント有り難う御座いました。

貼り付けて下さったYouTubeの[せやろがいおじさん]、説得力ありますね。楽しいですし。

「非常時だから批判はするな」は、戦争中の、(ではもう何時の事か伝わらなくなっているのかもしれませんが)、大本営発表以外は許されない言論統制と同じです。そして全ての言説が戦争協力と煽動一色になった歴史は覚えておかないといけないと思います。

医療現場での悲惨な状態は、「忖度」官僚制度の結末だと思います。詳しく検証したいと考えていますが、「殿」の単純な思い付きには対応できても、実社会の複雑な問題解決をする能力を、安倍政権は完全に失ってしまったのではないでしょうか。

応援団の「スシロー」氏は、恥ずかしげもなく安倍政権の本音のところや、個人的なエピソードを語ってくれるので役立つこともあり、何より彼の「ピエロ」振りは政権と市民の距離の遠さを生々しく伝えてくれますので、安倍政権の劣化度を示すバロメーターにはなっているような気がします。

「三原の暇人」様

コメント有り難う御座いました。

このシリーズをお読み下さり、有難う御座います。No.1からNo.7まで、一気に読むのは大変だったと思いますが、感謝・感謝です。

「安倍宣言」の際の荻生田文科大臣の怒りは、文科省の官僚の中に、例えばインフルエンザ対策についての経験を理解し、現場との連携を重んじていた人が何人かは残っていたことを示しているのだと思います。そんな人たちと手をつなげると良いのですが。

黒死病=ペストが世界的に流行した時、ヨーロッパではポーランド・リトアニアだけが感染者数が極端に少なく、その理由は、ウォッカ(=高濃度アルコール)でテーブルを拭く習慣があったとされています。(それもあってユダヤ人陰謀説もなく、多くのユダヤ人が移住しました)

世界最古の公衆衛生大学院を有し、US Newsの格付けが開始されて以来ランキング1位を保っているジョンズ・ホプキンズ大学は各国で50人の感染者が出た時からのデータを線形または対数スケールで表していますが、ある規模以上の国家では日本だけが極端に低い感染者の増加になっています。決して日本が追いつこうとはしておらず、ロックダウンされた各国が、対策のなかった時期の日本を追い越している様子が分かります。

十把一絡げの統計データばかりでなく、こうしたことの原因の究明も、その分野の専門家には、もう少し積極的に取り組んで欲しいと思います。

先のコメントに補足しますが、日本の検査データは少ない上に、正しくサンプリングされたものでもありませんが、人口あたりの死者数が欧米とは未だに二桁違うということを付け加えておきたいと思います。これから先に、ウイルスもの変異や、違うルートからのウイルス(ウイルスの感染ルートが各国で違い、その差もあります)による感染増大も可能性としてあり、その対策は必要ですが、これまでの事実として、日本だけが何もしていない状況でも感染が拡がらなかった(インフルエンザなどと比べ)ということは早期に解明されても良いことだと思います。

「工場長」様

コメント有り難う御座いました。かなり専門的な御指摘を有難う御座います。感染者数や死亡者数について、おっしゃるようにデータのとり方やその質と量がずいぶん違いますので、国際比較は難しいのですが、それでもありとあらゆる角度からの国際比較は必要です。近い内にそれらのデータをいくつか使って考えてみたいと思います。

その中で、御指摘のように、死亡者数や致死率が鍵になります。

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

« 新型コロナウイルス危機・その6 ――10代の若者に焦点を合せる―― | トップページ | 新型コロナウイルス危機・その8 ――「専門家」による第二の「忖度」―― »