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« 新型コロナウイルス危機・その2 ――「安倍宣言」は「朝令暮改」そのもの―― | トップページ | 新型コロナウイルス危機・その4 ――「安倍宣言」の論理的意味―― »

2020年4月13日 (月)

新型コロナウイルス危機・その3 ――総理大臣が、インフルエンザ休校の経験を無視する愚――

昨日は、「全国一斉休校」を要請した「安倍宣言」が、安倍総理自身の手でその2日前に決定した、日本国としての「基本方針」に反したものであること確認しました。今回は、「安倍宣言」が文科省の休校や学級精査の方針とも違うこと、WHOやアメリカのCDCの方針とも違うことを指摘します。問題点は多くおりますが、文科省の方針も最終的には総理大臣が責任を持たなくてはならないものであり、WHOやCDCは、専門家による最高度の知見のまとめであり、国際標準になっている点が重要です。

 

《文科省の方針を無視》

日本政府が公式に「日本国」として態度表明していた学校についての方針に注目しましょう。文科省は2月18日に、「児童生徒等に新型コロナウイルス感染症が発生した場合の出席停止及び臨時休業について、現時点での考え方」という文書を公表しています。

その内容は次の4点です。

 (A)児童・生徒が感染した場合には、地方自治体と学校は保護者と情報を共有する。

 (B)校長は、感染した子どもが治癒するまで学校を休ませる。

 (C)感染が広がる可能性がある場合、自治体は、校長に対して休校等の措置を取るように要請できる。

 (D)このような要請がない場合でも、感染の危険を避けるため、校長は休校等の措置を取ることができる。

それだけではなく、文科省は、全体的な「基本方針」が採用された2月25日に、2月18日の通知の第二報としてさらに詳細な対応の仕方を説明しています。3ページにわたる文書で長くなりますので、簡単に要約しておくと、この中には次のような項目が含まれています。

  ①児童生徒等本人が感染した場合について

  ②児童生徒等が感染者の濃厚接触者に特定された場合について

  ③感染者がいない学校も含む積極的な臨時休業について

  ④発熱等の症状がある者を休ませる指導の徹底について

  ⑤教職員における感染対策について

  ⑥臨時休業や出席停止の指示等を行う場合の配慮事項について

  ⑦医療的ケアを必要とする幼児児童生徒への対応等について

この内、①については、発熱や咳がある場合とない場合では、対応の仕方が異なりますし、⑥では、休校になった場合に、学校に来ない子供たちの面倒をどう見るのか、また給食がなくなる場合にどうするのかといったことにも配慮する必要があることなどについても、事前に対応策を考えることなどが盛り込まれています。

それ以上に注目すべきなのは、2月25日時点の文科省の考え方では、学校内での感染者や濃厚接触者が確認されていない段階では、学級閉鎖や休校という措置は一切考えていないという事実です。

しかもこのような考え方が、疫学的な立場から世界的に共有されていることは、WHOのホームページや、病気についての研究や具体的な対応では世界を常にリードしてきたアメリカのCDC (米国疾病管理センター) のホームページでも、同様の対応策を勧めていることから容易に理解できます。

アメリカでも、感染者が地域にいない場合には、休校は考えていませんし、強調されているのは、万一感染者が確認された場合に迅速かつ適切な対応ができるように事前の準備をしておくことです。それについての詳細な準備リストが用意されています。このような準備があれば、万一休校になっても、混乱はかなり抑えられるだろうと考えられる内容です。

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《インフルエンザ休校の経験を無視》

もう一点、とても大切なのは、全国の学校が休校しなくてはならないとしても、そのことについて子ども達や保護者がきちんと理解をし納得した上で、休校によって生じる問題に対処する体制ができているかという点です。今回は、「安倍宣言」が出されたのが木曜日で、平日は次の金曜日だけ、そして月曜日から休校なのですから時間的にも全く余裕がありませんでした。

さらに、何年にもわたって、通常のインフルエンザが流行した場合には、多くの地域では学級閉鎖が行われたり、あるいは休校という措置が取られてきた経験があります。だから全く問題がない訳ではありませんが、学校も保護者もそして地域も、子どもたちは勿論ですが、こうした事態に対応してきた歴史があります。その経験の上に立っての対応なら、しかも春休みまでの間という限定付きなら、混乱も少なかったのではないかと思います。

そして、万一コロナウイルスへの感染が広まって来たとしたら、その間に、さらに感染が広がり長期にわたって休校しなくてはならない場合の準備をすることができたのではないでしょうか。たとえば、オンライン授業によって子どもたちが充実した教育を受け続けられる環境を整えることは可能だったはずです。しかも、「緊急」という口実があるのですから、普通の場合にはなかなか実行に移すことのできない規模のハードウエアの導入やカリキュラムの変更なども可能になったはずですので、その機会を生かすことができなかった、あるいはそのような可能性にまで想像力が働かなかった「安倍宣言」には悔いが残ります。そして、これほど「百害あって一利なし」の典型でしかない「安倍宣言」を唐突に仕掛けた動機は何なのかを知りたくなるではありませんか。

[2020/4/13 イライザ]

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コメント

私が残念だったのは「安倍宣言」は論外ですが、文科省、教育委員会、学校の管理職、教職員も、こうしたことは百も承知の上で、多くの自治体や学校が法的根拠も科学的根拠もない「要請」に従ってしまったということです。どれほど忖度体制がはびこっているのか改めて驚きました。

無神経<能天気
いえ、その幼稚度。

SNS動画→賛否が、って賛も!?!
↑スキル云々の前に、今回にかぎらず、
まわりは煽る人ばかりで、諫める人は、
いるはずがないから、このザマか。
まともな誰ぞがtwitterで、65歳児と。
👏 (´▽`)👏

無条件に従うばかりか、意見も言わない、聞こうともしない。僕は地域の町内会長をしていますが、町内会の存在などまったく相手にもされませんでした。訊ねても答えてくれない。こういう時だからこそ、教職員組合も存在感を示して欲しいものです。



「工場長」様

コメント有り難う御座いました。

もう諦めていたせいでしょうか、そんな雰囲気の中、自分の判断で休校にはしなかった首長や校長が何人かいたことで、チョッピリ安心しました。


「硬い心」様

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私は「当事者意識の欠如」を強調したいです。御本人も周りの人たちも。

「省ちゃん」様

コメント有り難う御座いました。

市職員が退職後、地域で町内会長等の役職を引き受けているのは、天下りの人たちの声は聞いて貰えるということなのでしょうか。

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コメント

私が残念だったのは「安倍宣言」は論外ですが、文科省、教育委員会、学校の管理職、教職員も、こうしたことは百も承知の上で、多くの自治体や学校が法的根拠も科学的根拠もない「要請」に従ってしまったということです。どれほど忖度体制がはびこっているのか改めて驚きました。

無神経<能天気
いえ、その幼稚度。
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↑スキル云々の前に、今回にかぎらず、
まわりは煽る人ばかりで、諫める人は、
いるはずがないから、このザマか。
まともな誰ぞがtwitterで、65歳児と。
👏 (´▽`)👏

無条件に従うばかりか、意見も言わない、聞こうともしない。僕は地域の町内会長をしていますが、町内会の存在などまったく相手にもされませんでした。訊ねても答えてくれない。こういう時だからこそ、教職員組合も存在感を示して欲しいものです。

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もう諦めていたせいでしょうか、そんな雰囲気の中、自分の判断で休校にはしなかった首長や校長が何人かいたことで、チョッピリ安心しました。

「硬い心」様

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私は「当事者意識の欠如」を強調したいです。御本人も周りの人たちも。

「省ちゃん」様

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市職員が退職後、地域で町内会長等の役職を引き受けているのは、天下りの人たちの声は聞いて貰えるということなのでしょうか。

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