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« 4月のブルーベリー農園その3(東広島市豊栄町) | トップページ | 原発で使用された物がフライパンの材料になる日!? »

2020年4月24日 (金)

新型コロナウイルス危機・その11 ――本当のリーダーは誰か――

新型コロナウイルス危機・その11

――本当のリーダーは誰か――

 

このシリーズの目的は、2月27日に安倍総理が唐突に「全国一斉休校」を要請した発言を「安倍宣言」と呼んで、その前後の出来事を論理的に整理して「記録」として残しておくことです。「唐突」である理由は、その前日26日には、安倍総理が大規模イベントの自粛を呼び掛けているからです。

《本当のリーダーは誰か》

安倍総理が、大きなイベントや集会等の自粛を26日に要請したことは「英断」でした。その結果、我が国の危機的状況に的確に対応している「真のリーダーだ」という評価を得られるだろうと期待していたとしても不思議ではありません。しかし、26日から27日に掛けて、「これぞ、リーダーとしてのお手本だ」と褒めそやされたのは、安倍総理ではなく、北海道の鈴木直道知事と千葉県市川市の村越裕民市長だったのです。安倍総理にすれば、称賛も受けられず、誇りも傷付けられたとしても不思議ではありません。

25日の夜に、道内の公立学校の休校要請を検討中のニュースが流れ、その後26日の昼に30分弱の時間を使って記者会見を開いた鈴木知事は、27日から7日間、道内の公立小中学校を休校とするよう、教育委員会に要請すると発表したのです。

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その背景としては、14日に道内在住の50代男性が新型コロナウイルスに感染していることが確認され、その後中学校の教師や児童、給食の配膳員、スクールバスの運転手など、学校関係者にまで感染が拡大したこと、また25日には、東京都を抜いて感染者数が全国最多になったことがあります。

鈴木知事は、なぜ今の時期に休校が必要なのかを丁寧に説明して協力を求め、また保護者や関係者への影響を考えると7日が限度だと思われると、期間についても理解を求めています。さらに3月5日は「感染症予防の日」を設けて、学校が休みのなった子どもたちに、感染症についてそして今北海道が直面している危機について説明をして、「何故休校なのか」を理解して貰うことにするという、子どもたちにとってとても大切な教育の機会を作ることも表明しました。また企業にも子どもが休校になって休みを取らなくてはならない保護者についての配慮を求めるなど、記者会見によってコロナ対策を道民運動と位置付けて全道民の協力を呼び掛けたのです。そして、最終的には、「前例はないが、自らの政治判断で決定した。これによって生じるすべての結果について、知事である私が責任を負う」と強調したと、報道されました。

 

《緊急事態宣言も》

加えて評価されるべきなのは、休校要請に続いて、北海道は2月28日午後5時半から新型コロナウイルスに関する対策会議を開き、その後記者会毛で鈴木知事が、新型コロナウイルスの道内での感染拡大は深刻さを増していることに対する措置として「緊急事態宣言」を出したのです。期間は2月28日から3月19日までの3週間で、特に週末は道民に外出を控えるよう呼びかけました。

「見解」の内容は、この時までには知事には知らされていたはずですから、それを真摯に受け止め、「緊急事態宣言」を発出するのは今だという判断のできたことは特筆に値します。

元に戻りますが、この全体像が私たちの目の前に明らかになる前、2月26日の時点での公立学校の一斉休校という英断に対して、マスコミもネットも素直に反応して、ある調査ではネット上の8割が賛成・支持し、「親として感動しました」「やるね!鈴木知事」「優先事項を優先したことを支持します」「こんな時にこそ知事の力が試される。東京も頑張れ」といった声に溢れました。

文字化された記者会見の様子を読むだけでも、鈴木知事が道民の立場に立ち、道民ととともにこの難局を乗り越えたいという気持が切々と伝わってきました。コロナウイルスによって脅かされている道民と自分自身を一体化して、自分自身の言葉で道民一人一人の立場を語っているのです。これを「当事者意識」といっても良いでしょう。御参考までに記者会見のサイトのURLを貼り付けておきます。

http://www.pref.hokkaido.lg.jp/ss/tkk/hodo/pressconference/r1/r20226gpc.htm

市川市では27日の昼、村越市長が、市内の小中学校55校と幼稚園6園を28日から3月12日まで臨時休校とすることを発表しました。千葉県内の感染者中、3人が利用していた市川市内のスポーツジムを、市立学校の教職員4人が利用していたことから、予防的措置としての休校だという説明がありました。村越市長については、「公用車にテスラ導入」で話題になったこともあり、賛否相半ばする感もありましたが、全体としての評価は高かったようです。

これにはもう一つ、大切な理由があります。既にこの点については言及しましたが、地域毎に学級閉鎖をしたり休校にしたりという対応は、これまでインフルエンザの流行時などに、地域毎に経験してきているという事実です。学級閉鎖も休校も大変不便ですし、多くの問題が生じます。しかし、これまでに何とか切り抜けてきた経験のあるのとないのとでは、保護者の立場だけを考えても雲泥の差があると言って良いのではないでしょうか。

 

《「安倍宣言」はどうだったのか》

こうした経験を踏まえての北海道と市川市の休校だったのですが、「安倍宣言」では、こうした経験値には無頓着であることを暴露してしまっています。「安倍宣言」の冒頭部分で、「北海道では、明日から道内全ての公立小・中学校が休校に、また、千葉県市川市でも、市内全ての公立学校が休校に入ります。このように、各地域において、子どもたちへの感染拡大を防止する努力がなされていますが、ここ1、2週間が極めて重要な時期であります」とわざわざ紹介しているのですが、他人事の様な描写です。切羽詰まった危機的状況だという緊迫感とは無縁ですし、現場で対応しなくてはならない学校、保護者、給食関係者、学童クラブ等への配慮は全くありません。

「安倍宣言」が暗黙裡に強調しているのは、これら二人の地方政治家の陰に自分が隠れてしまった悔しさとしか見えません。「自分こそ、21世紀を代表する大宰相だ」という自信から、自らの偉大さを際立たせる必要性に駆られたとも考えられます。そのためには単なる一地方での休校ではなく、日本全国を休校にすれば良い、という発想が出てきたとしても、その気持は分るような気がします。ただし、このような発想の持ち主に一国の運命を任せるべきかどうかはまた別問題です。

その後の展開で、北海道と市川市だけではなく、全国の知事や市長・町長たちの言動からは、中央政界で活躍して欲しい、出来れば総理大臣になって欲しいと思える政治家がこんなに多くいたことに、多くの市民が気付くことになりました。それは、驚きでもありかつ安堵の気持にもつながりました。これは、COVID-19を巡る多くの動きの中で発見できた、嬉しい驚きでした。

 

[明日と明後日、つまり25日と26日には、このブログのスター・ライター二人が登場します。私のシリーズは27日に続きます。]

 [2020/4/24 イライザ]

 

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コメント

新型コロナは、阪神淡路や東日本大震災を上回るほど、国民に大きな影響を与える多くの被害が出てます。リーマンなんて問題外。先の大戦の終戦まじかに近いのかもしれません。

でも、政府は新型コロナ対策省どころか庁さえも創設しません。厚労省を軸に国交省や文科省や外務省などで構成される省庁を作るべきではないでしょうか?厚生で感染症対策や病院やワクチン開発。労働で、企業労働者だけでなく個人事業者やフリーランスや学生アルバイトのケア、文科は長引く休校での学習内容な検討や入学試験対策や授業料など、国交は人の移動、外務は外国の対策やワクチンなどの協力など。その道の専門家が集まって対策すべきだと思います。
ここへ大きな力を与えて、素早い対策をやって貰えばと思います。


「やんじ」様

コメント有り難う御座いました。

このアイデアは大賛成です。今日のコラムで、「元安川」さんも提案しています。

http://hiroshima.moe-nifty.com/blog/2020/04/post-f68f45.html

 

私も、2018年の西日本豪雨の後に、20回くらいのシリーズで「防災省」を作ろうという提案をしてみました。長いのですが、お読み下さい。

https://kokoro2016.cocolog-nifty.com/blog/2018/07/5-f577.html

これに関連して、台湾では、もうかなり具体的に検討が始まっています。今回の新型コロナウイルスの流行で中止されることになりましたが、実は、4月に台北で「Man-made Disater」をテーマにして国際会議が開かれることになっていました。自然災害にも人災の側面がありますので、その視点から取り上げるだけでなく、戦争や、今回の様な疫病等も取り上げられることになっていました。そこでの基調講演を依頼されていたのですが、今年中に実現するかどうかもまだ分りません。

日本でも同じような試みをすべきだと思います。


イライザさま いつも「新 ヒロシマの心を世界に」を興味深く読んでいます。

鈴木北海道知事のお膝元在住で藤井屋のもみじまんじゅうが大好きな者です。

札幌では昨日過去最高の26名の感染者で、気持ちが暗くなるばかりです。

今回のコロナ禍では自分たちのリーダーについてを考えさせられました。

北海道は2月28日、全国に先駆けて緊急事態宣言を発出しました。私はそれを東京で聞いたのですが、戻ることが出来るのか不安でもありました。翌日千歳空港到着すると、確かに空気は少し違っていた気がしました。

鈴木知事はこの23日が就任1年となる若い知事です。前任者の女性知事が国政にスライドし、その後任として自民党の支援を得て知事となりました。
北海道庁内では経験不足を心配する声も多くあったと聴いています。確かにコロナの前までは、人物は爽やかで可も無く不可も無くという印象でした。

しかし、今回の事態に対してはスピーディーで明確なメッセージを道民に示し、リーダーとしての資質の片鱗を示してくれました。

24日から3回にわたり地元紙の北海道新聞が知事の1年を総括しています。

その中で印象的な記述がいくつかありました。

知事は緊急事態宣言発出まで、かなり情報を収集しそれを分かりやすい言葉で発信する必要があると考えていた。これはリーダーとして必要な資質ですね。

また、なかなか一丸にならない道庁職員を前に「決めるのは政治家である私」と発言したともありました。本当にその通りです!

記事には他にも最近は原稿を頼らず自分の言葉で発信しているとも書いてあります。

確かにテレビでも型どおりに原稿を読んでいる感はなく、ご自分の言葉で話しているのが伝わってきます。

今回の対応について、道民の85%以上が支持しているとの数字もあるようです。

その一方で、国の動きには多くの国民が不満を持っているのではと思います。
どうして物事の決定が遅くそして不透明なのか?

平時は既成の組織が機能して物事は進んでていくでしょう。しかし、緊急事態においてはリーダーが決断をして対応していかなければ物事は進みません。
しっかりした情報収集と分析、最後に決断、これを出来るだけ早くして貰いたいと思います。

私たちは自分でしっかりとリーダーを選んでいかなければならないと痛感しました

余談ですが、最近書店で平積みされていた海棠尊氏の「スカラムーシュ・ムーン」を読みました。メディカル・エンタメですが、日本の官僚制度について身につまされる内容でした。

「ポラリス」様

コメント有り難う御座いました。

北海道の生活が直に伝わってくる、しかも、このシリーズで取り上げている期間とテーマに沿った内容で、大変有り難く思っています。5月1日からは、そのリーダーに焦点を合せて、私なりの「断想」を綴って行く積りです。その際、とても参考になりますので、熟読させて頂きます。

前にも書きましたが、今回のCORVID-19への対応で目立ったのは、国のリーダーシップが酷い中で、自治体の首長さんたちの中には優れた人が多いということではないかと思います。

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新型コロナは、阪神淡路や東日本大震災を上回るほど、国民に大きな影響を与える多くの被害が出てます。リーマンなんて問題外。先の大戦の終戦まじかに近いのかもしれません。
でも、政府は新型コロナ対策省どころか庁さえも創設しません。厚労省を軸に国交省や文科省や外務省などで構成される省庁を作るべきではないでしょうか?厚生で感染症対策や病院やワクチン開発。労働で、企業労働者だけでなく個人事業者やフリーランスや学生アルバイトのケア、文科は長引く休校での学習内容な検討や入学試験対策や授業料など、国交は人の移動、外務は外国の対策やワクチンなどの協力など。その道の専門家が集まって対策すべきだと思います。
ここへ大きな力を与えて、素早い対策をやって貰えばと思います。

「やんじ」様

コメント有り難う御座いました。

このアイデアは大賛成です。今日のコラムで、「元安川」さんも提案しています。

http://hiroshima.moe-nifty.com/blog/2020/04/post-f68f45.html

私も、2018年の西日本豪雨の後に、20かいくらいのシリーズで「防災省」を作ろうという提案をしてみました。長いのですが、お読み下さい。

https://kokoro2016.cocolog-nifty.com/blog/2018/07/5-f577.html

これに関連して、台湾では、もうかなり具体的に検討が始まっています。今回の新型コロナウイルスの流行で中止されることになりましたが、実は、4月に台北で「Man-made Disater」をテーマにして国際会議が開かれることになっていました。自然災害にも人災の側面がありますので、その視点から取り上げるだけでなく、戦争や、今回の様な疫病等も取り上げられることになっていました。そこでの基調講演を依頼されていたのですが、今年中に実現するかどうかもまだ分りません。

日本でも同じような試みをすべきだと思います。

イライザさま いつも「新 ヒロシマの心を世界に」を興味深く読んでいます。

鈴木北海道知事のお膝元在住で藤井屋のもみじまんじゅうが大好きな者です。

札幌では昨日過去最高の26名の感染者で、気持ちが暗くなるばかりです。

今回のコロナ禍では自分たちのリーダーについてを考えさせられました。

北海道は2月28日、全国に先駆けて緊急事態宣言を発出しました。私はそれを東京で聞いたのですが、戻ることが出来るのか不安でもありました。翌日千歳空港到着すると、確かに空気は少し違っていた気がしました。

鈴木知事はこの23日が就任1年となる若い知事です。前任者の女性知事が国政にスライドし、その後任として自民党の支援を得て知事となりました。
北海道庁内では経験不足を心配する声も多くあったと聴いています。確かにコロナの前までは、人物は爽やかで可も無く不可も無くという印象でした。

しかし、今回の事態に対してはスピーディーで明確なメッセージを道民に示し、リーダーとしての資質の片鱗を示してくれました。

24日から3回にわたり地元紙の北海道新聞が知事の1年を総括しています。

その中で印象的な記述がいくつかありました。

知事は緊急事態宣言発出まで、かなり情報を収集しそれを分かりやすい言葉で発信する必要があると考えていた。これはリーダーとして必要な資質ですね。

また、なかなか一丸にならない道庁職員を前に「決めるのは政治家である私」と発言したともありました。本当にその通りです!

記事には他にも最近は原稿を頼らず自分の言葉で発信しているとも書いてあります。

確かにテレビでも型どおりに原稿を読んでいる感はなく、ご自分の言葉で話しているのが伝わってきます。

今回の対応について、道民の85%以上が支持しているとの数字もあるようです。

その一方で、国の動きには多くの国民が不満を持っているのではと思います。
どうして物事の決定が遅くそして不透明なのか?

平時は既成の組織が機能して物事は進んでていくでしょう。しかし、緊急事態においてはリーダーが決断をして対応していかなければ物事は進みません。
しっかりした情報収集と分析、最後に決断、これを出来るだけ早くして貰いたいと思います。

私たちは自分でしっかりとリーダーを選んでいかなければならないと痛感しました


余談ですが、最近書店で平積みされていた海棠尊氏の「スカラムーシュ・ムーン」を読みました。メディカル・エンタメですが、日本の官僚制度について身につまされる内容でした。

「ポラリス」様

コメント有り難う御座いました。

北海道の生活が直に伝わってくる、しかも、このシリーズで取り上げている期間とテーマに沿った内容で、大変有り難く思っています。5月1日からは、そのリーダーに焦点を合せて、私なりの「断想」を綴って行く積りです。その際、とても参考になりますので、熟読させて頂きます。

前にも書きましたが、今回のCORVID-19への対応で目立ったのは、国のリーダーシップが酷い中で、自治体の首長さんたちの中には優れた人が多いということではないかと思います。

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