ドイツの新型コロナウイルス事情・・・現地からの便り
世界の新型コロナウイルスの感染者数や死亡者数を見ていると、ヨーロッパの中では、ドイツ国内の死亡者数が他の国と比べて少ない状況となっています。どんな理由があるのだろうかとドイツ在住の友人にメールで尋ねたところ、昨日、以下の情報が送られてきました。せっかくの現地からの報告ですので、時候のあいさつを除いて原文のまま紹介します。
〈前略〉
ドイツで死亡者が少ないのは、早い段階からPCR検査をしっかりやってきたからです。これは、ドイツの一番の専門家が断言しています。現在、週間50万件の検査ができます。それでも、症状のはじまった人が中心で、幅広く検査ができている状態ではありません。
それから、集中治療室のベッド数も人口10万人当たりにするとかなり多いですね。人工呼吸器も他国に比べると整備されています。さらにその容量を増やすために、病院内で仮設の集中治療室を増やしました。緊急でない手術も延期させています。
それで今、新型コロナ用に集中治療室で3万ベッド用意してあります。これも飛び抜けていると思います。まだ半分も使っていないようですが、今後さらに感染者が増えることを想定して早めに準備してきました。
それから、軽症者のために見本市会場などに仮設病院を設置しはじめています。定年退職したり、他の職業に映った医師や看護師を募集するほか、医大生なども、こうした仮設病院に配置できるように準備しています。
ただ感染が確認されても、すでに症状が出ていないかぎりは、自宅隔離が原則です。
人口10万人当たりの医師数、看護師数(介護も含む)を見ると、日本が今たいへんなことになっているイタリア、スペイン、フランスなど比べても低いようなので、その点も心配です。
日本は検査容量が少なすぎるし、検査をしなさすぎています。ドイツは、検査結果もだいたい翌日でます。それとドイツでは、検査はすべて健康保険が負担してくれるので、個人負担がありません。日本は、健康保険があっても個人負担ありますよね。
なので、日本は感染していても把握されていない感染者がたくさんいると想定しています。それに、通勤ラッシュがひどいですから、学校を休校させ、イベントを中止させただけでは、頭隠して尻隠さずという感じですね。それに日本では、多少病気でも無理して仕事に行く人も多いですね。そういう人たちも感染を拡大させてきたはずです。
米国のJohns Hopkins大学の統計を見ると、日本と香港だけが、感染者の上昇カーブが緩いのがとても気になります。その他の国はだいたい上昇カーブがよく似ているのですけどね。
それがなぜなのかですね。それと、五輪延期決定後に感染者が増えているのも臭いですよね。
日本のドイツ大使館は24日に、日本で暮らすドイツ人に対して日本の感染情報は当てにならないので注意するようにとのメールを出しています。
米国の状況を見ればわかるように、検査の手遅れが致命傷になる可能性が大きいので、今後の日本の状況がとても気になります。
ドイツは、来月20日まで外出自粛、休校、お店の閉鎖が続きます。外出は、食料品の買い物、治療、薬の調達、銀行、郵便局などに制限されています。仕事はホームオフィスをベースにして、それができない人は通勤してもいいことになっています。
それから、散歩とジョギングも可能です。でも家族以外と一緒のときは、自分も含めて二人までに制限されるほか、1.5メートルの間隔をとって歩かなければなりません。この1.5メートルの間隔は、感染防止にとても大切だとされています。
ですから、スーパーの店内、国会内、車内、駅構内、テレビのスタジオ内などすべてにおいて、この間隔を守ります。ですから、スーパーでは入場制限していますし、スーパーの前、レジの前で並ぶ時も1.5メートル離れて待ちます。
国会審議、閣議などでも、1.5メートル離れて座っています。飛行機もようやくそうなりました。国会はですから、決議する時は4分の一賛成で通過する特別規定を設けています。でも財政出動などはもう全会一致でしたね。とても早いスピードで両院通過しました。今、与野党でやりあっている状態ではないという感じです。
もちろん、外出制限で民主主義は守られているのか、出口戦略はあるのかなど、いろいろ議論もあります。
同時に、若い人たちが高齢者の買い物をしてあげるなどのボランティア活動も活発になって、連帯、共生ということも社会に広まっています。
とにかく、たいへんな状況になりましたが、これからさらに途上国に広がるので、それがとても心配です。
お互い乗り切るしかないですね。ご自愛ください。
示唆に富んだ「ドイツの新型コロナウイルス事情」です。日本でもぜひ参考にして、対策を進めてほしいものです。
いのちとうとし
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