「被爆75年・あの日を忘れない」藤登弘朗水彩画展始まる
平和への祈りを込めて「被爆建物・樹木・地蔵」を描いた水彩画60点が展示された「被爆75年・あの日を忘れない」と題する藤登弘朗さんの水彩画展が、昨日4月8日から旧日銀広島支店の1階で始まりました。
私は、作者の藤登さんから3月初めに案内のハガキをいただいていましたので、初日の昨日、会場を訪れました。
私と藤登さんの最初の出会いは、確か2008年だったと記憶していますが、私が「広島で初めての『東京大空襲写真展』」を開催するため、旧日銀広島支店の使用申し込みに広島市役所を訪れた時です。藤登さんも同じ時期に「水彩画展」の会場申し込みに来ておられました。私が「東京大空襲展は、どうしても3月10日を中心に開催したいと思いますので、何とかご協力いただけませんか」とお願いしたところ、快諾をいただき、私が希望する日時で開催することができました。そして藤登さんの水彩画展は、一週間ずらしての開催となりました。
東京大空襲展を開催するなら3月10日を中心にと思っていましたので、この快諾は本当にうれしかったことを今でも覚えています。ですからその後何度か開催された藤登さんの展覧会には、必ず会場を訪れました。また藤登さんからは、作品集を送っていただきました。
今回の展覧会は、この2~3年の間に描かれた作品60点が展示されています。会場に入って最初の目に飛び込むのは、被爆地蔵が描かれた作品です。被爆地蔵は、20点が展示されています。
このブログで昨年紹介したお寺の名前がいくつかあります。その一つに、先月末、満開のシダレザクラを見に訪れた普門寺の地蔵もあります。桜を見に訪れた時には、気づかなかったお地蔵さんです。
帰宅途中、普門寺によってみました。大小二つの地蔵が建っています。展示されていた絵に描かれたのは小さい方(画集には、大きい方も描かれている)ですが、大きい方には、肩のあたりに大きな傷が見えます。
ちょうどお寺の奥様が、境内に落下した桜の花びらを掃き集めておられましたので、少しお話を聞きました。「そうです、このお地蔵さんが、被爆したものです。大きい方をよく見てください。首から上と胴体の部分の石の色が違うでしょ。被爆後、首から上はどこに飛んで行ったのか行方不明のままでしたので、後から首から上を作り直して乗せているのですよ」今日も不思議な縁を感じました。
話を藤登さんの展覧会に戻します。藤登さんは、お地蔵さんを描くきっかけを話してくださいました。「ある日、西平塚の興善寺の前を歩いている時、境内から小学生がたくさん出てきました。お寺の方にどうしたのですかと訊ねたら、『被爆した地蔵を見に来たのですよ』と教えられました。それを機会に、被爆地蔵を描くようになったのですよ」と。描かれた地蔵さんは、いずれも傷を負っています。
この絵は、画集から転載した興善寺の被爆地蔵
その後、清水顕さんの写真集「地蔵の記憶」を頼りに被爆地蔵巡りが始まったそうです。
展覧会場では、お地蔵さんの絵につづくのは、被爆建物を描いた絵20点です。その中には、昨年末から保存をめぐって話題となっている「旧陸軍被服支廠」を描いた絵4点があります。左側の3点は、今年に入って描かれたものですので、今回展示されている作品の中では、最も新しく描かれて作品です。
被爆樹木も展示されています。中でも天満小学校にある「プラタナス」が目を引きます。というのは、一昨日現地を訪れて、見てきたばかりだからです。特徴が良く描かれています。
その他にも昨年被爆樹木めぐりで訪れた木も描かれています。
私が会場を訪れた時、二人の女性が藤登さんの説明を聞きながら絵を見ていました。二人は被爆二世とのことで、機会があれば市内の被爆に関するものを巡っているそうです。「この展覧会で新しい出会いを多く体験しましたので、現地で本物を見ようと思っています」と話してくれました。
藤登さんの作品は、すでに4冊の画集(「被爆建物は今」「生き続ける被爆樹木」「慰霊碑」「被爆地蔵」)として発刊されていますが、残念ながら在庫はないそうです。
展覧会は、12日までの会期です。こうした時期(新型コロナウイルスで外出自粛が言われている)ですが、一人でも多く訪れていただき、藤登さんの作品と一緒「平和への思い」を考える機会になればと思います。
いのちとうとし
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