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2020年4月 5日 (日)

ヒロシマとベトナム(その11)

技能実習生の半数以上を占めるベトナム

数年前までは、技能実習生と言えば中国が圧倒的でしたが、いまはベトナムがダントツ一位です。昨年6月末現在の在留外国人は282万9,416人、そのうちベトナム人は中国、韓国に次ぐ第三位で37万1,755人です。36万7,709人の技能実習生のうちベトナム人が18万9,021人で、中国(8万1,258人)の倍以上の差でダントツ一位、全体の51.4%を占めています。

なぜ、ベトナムが急激に増えているのか幾つか要因があると思います。

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なぜ、ベトナムが多い?

とびきりの親日国―

一つには、「ヒロシマとベトナム」その3(2019年8月8日)で「トンズー運動」で触れましたが、ベトナム人が極めて親日的なことが挙げられます。

とりわけ、長く苦難の植民地支配との戦いを多くの犠牲のうえに勝利し、数多の負の遺産を抱え復興と発展を目指すベトナムの人たちにとって、ヒロシマは平和を連鎖するシンボルであり、未来への希望と目標になっています。

2016年から小学生3年生以上を対象に日本語教育(第一外国語)も始まり、若い人たちの日本に対する関心を一層高めていることもあります。

アウンコンサルティング株式会社が2018年、アジア10カ国とアメリカ、英国、オーストラリアの13カ国からの来日観光客を対象に「親日度アンケート」を実施していました。アジア10カ国の中でベトナム人は、日本人が「大好き」「好き」が98%を占め、香港に次ぐとびきりの親日度でした。

―アジアで最も緊密な二国間関係―

二つには、「アジアで最も緊密」と言われる日本とベトナムとの二国間関係です。1994年8月、村山富市首相が国交樹立(1973年9月21日)後に初めてベトナムを日本の首相として訪れて以降、新たな段階に入りました。

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ボー・バン・キエット首相(左)と村山富市首相(国家主席公邸1994年8月25日)

2014年には「アジアの平和と繁栄のための広範な戦略的パートナーシップ樹立に関する日越共同声明」が結ばれ、政治、経済、文化・スポーツ、教育や人材育成、観光を含めた人的交流・・・などなどあらゆる分野で関係性が深まっています。そうした中で、語学力を身につけ帰国後、日系企業に就職することを目標に技能実習生として来日する若い人たちが増えています。

―「お金を稼ぎたい」&「安い労働力が欲しい」―

三つには、ベトナムは順調に経済成長を続け、一般工の賃金もホーチミン市で2008年の96米㌦から2018年には242米㌦へと152.6%増えました。下の表を見てください。中国経済も成長し、同時期の10年間に上海では165.4%増え662米㌦、深センでも140.1%増え490米㌦になっています。しかし、ベトナムは中国(深セン)と比べても賃金は2分の1以下です。

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もう皆さんはお分かりだと思いますが、中国国内の経済成長に伴い賃金水準が上がり、遠く日本まで「働き(技能実習)」に来なくても良くなってきたのです。一方、ベトナムも著しい経済成長を遂げているものの、「表」に見るように首都ハノイと経済都市ホーチミンでも他の国と比べるとまだまだ賃金は低く、地方都市や農村ではさらに低いのが現状です。そうした実情から、「日本語も学べる出稼ぎ先」として日本に来る若い人が多いのです。

その日本では「人手不足」に苦しむ企業・事業所、とりわけ中小零細事業所の労働力(人材)確保は深刻な問題です。双方の要求がマッチングしていることです。加えて、「勤勉」で「真面目」で日本人と同様に「手先が器用」、家族思いで同郷意識が強くコミュニティーを大切にすると言われていますが、私も総じてそう感じています。お互いに接しやすく親しみが持てることもベトナム人の技能実習生が増えている要因だと思います。

よそ事ではない ロンドン郊外の「コンテナ死事件」

ところで皆さんは、昨年10月、ロンドン近郊でトラックのコンテナから39名のベトナム人の遺体が発見された痛ましい事件を覚えていますか。日本でも大きく報道されたので、記憶に新しいと思います。

犠牲になった15歳から44歳までの男性31名、女性8名のほとんどが、ベトナムでも最貧地域と言われるベトナム中北部の省出身でした。

私が専務理事を務めている一般社団法人 広島ベトナム平和友好協会(HVPF)が交流を続けているクアンチ省も「ベトナムで最も貧しい省」と言われていますが、幸いにしてクアンチ省の人はいませんでした。しかし、日本国内でも技能実習生や東京福祉大学の留学生の大量失踪のように、事件や事故に巻き込まれる懸念や危険が増えています。イギリスの「コンテナ死事件」は決してよそ事ではありません。

次回は、日本の技能実習制度と昨年4月から始まった特定技能1、特定技能2という新たな在留資格による労働者の受け入れ制度の問題点を考えてみたいと思います。

(2020年4月5日、あかたつ)

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