遺稿集「橋本秀夫の仕事ぶり」
今日は、22日のブログ「赤レンガ倉庫は語り継ぐ―旧広島陸軍被服支廠被爆証言集―」で紹介した「建築家橋本秀夫遺構集『橋本秀夫の仕事ぶり』」の入手顛末記です。
どんな本なのか興味が湧き、ブログを書いた後すぐに広島市立図書館の蔵書検索で探しました。中区図書館が蔵書していることが分かりました。しかし現在広島市立図書館は、新型コロナウイルス対策で、全館閉館中で、貸し出しはインターネット予約のみですので、予約を行いました。私の受け取り館は、中区図書館ですので、すぐに「予約確保」の返信がありましたので、早速本を受け取りに行きました。
手にしてびっくりです。300ページを超える分厚い本です。さらに開いてみて、またびっくりです。「赤レンガ倉庫は語り継ぐ」に引用された「蘇る旧陸軍被服支廠 保存と文化」はもちろんですが、広島城、旧レンガ建物、「旧広島水上警察署」などの郷土史と文化財の第1部論文集につづいて、第2部「砲台めぐり」と、自らが現地を訪ねて測量などを行って調べた結果がまとめられています。しかも手書きの図面や写真がふんだんに盛り込まれています。一人でここまで、それにしてもよく訪ね歩かれたものだと感心します。
興味津々です。最初の登場する「広島城」は、昭和18年から広島城天守閣実測を始められたことが分かります。後で、次女の河野さんから聞いた話ですが、この橋本秀夫さんが残された資料が、広島城橋御門の復元にずいぶんと役に立ったそうです。凄い資料の連続ですが、私が興味を持ったのは、第2部の「砲台めぐり」です。日清戦争に勝利後、ロシアとの戦いに備えて、全国各地に要塞が築かれたのですが、芸予、広島湾にも要塞が構築されました。橋本先生は、その広島湾に作られた全部の要塞について調べておられるのです。私もそのいくつかを訪ねています。宮島にある「鷹の巣砲台」大柿町の「三高山砲台」呉市警固屋の「高烏砲台」竹原市の「大久野島堡塁砲台」などです。三高山砲台は、この本の写真よりもずいぶんと綺麗になっていますので、橋本さんの仕事が後押ししたと思われます。
2018年4月に訪れた三高砲台
もう少し前にこの本を知っていたらと思うとともに、この本を片手にもう一度訪ねてみたい思いに駆られます。
本の紹介が長くなりました。今日書くべきは、入手の顛末でした。「砲台めぐり」を見つけ、これはどうしても入手したいと思い、本の名前をキーにネットで検索しました。ヒットしたひとつに、広島県立広島工業高等学校同窓会がありました。問い合わせの電話をかけたのですが、「在庫はありません」とのことで、ここでは見つけることができませんでした。ただこの電話をかけたおかげで、同窓会事務所を訪れることができたのですから、決して無駄ではありませんでした。
次に連絡をしたのが、本の奥付に記載された「問い合わせ先」です。木原さんという方が応対してくださいました。「ここには在庫がありません。確か、遺族の方が何分か持っておられるはずですので、連絡を取ってみます」という返事を聞き、いったん電話を切りました。すぐに連絡の電話が入り、「次女の河野さんがお持ちでした」と連絡先を教えて下しました。すぐに河野さんに電話を入れました。「お分けできますよ」との返事。その日のうちに自宅を訪れ、ついに「遺稿集『橋本秀夫の仕事ぶり』」が私の手に入りました。突然の訪問でしたが、河野さんからは、先に紹介した広島城復元の話や橋本秀夫ご夫妻の在りし日のことなど、貴重な話を沢山聞かせていただきました。
河野さんの自宅を持してから訪ねたのが県工同窓会事務所です。ここでの話は、大部分をすでにブログに書きましたが、一つだけ書き忘れたことがあります。それは、同窓会事務所の隣の部屋にあった建物の模型群です。
広島城橋御門の模型 後に広島城の模型がある
この模型は、いずれも橋本さんが残された図面をもとにして、県工の在校生たちが作ったものだそうです。
またここでも繋がりの不思議を体験しました。
訊ね訊ねて入手できた本ですので、大切に活用したいと思います。
いのちとうとし
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