福島原発事故から9年―中国電力への申し入れ
東日本大震災による東京電力福島第1原子力発電所の爆発・放射能放出事故が発生して9年目を迎えました。
広島では、翌年2012年から「フクシマを忘れない!さようなら原発ヒロシマ集会」を開催してきました。今年も、福島の被災者を招いての講演会や集会・デモを計画していましたが、いずれも新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受け、中止を余儀なくされました。
しかし、「フクシマを忘れない!さようなら原発ヒロシマ集会実行委員会」は、中国電力への「島根原発再稼働及び上関原発建設中止」を求める要請書の提出を事故発生日の3月11日に、代表4名が参加し今年も実施しました。
ただ、中国電力から事前に「新型コロナウイルスの影響もあり、要請書を受け取ることはできるが、時間をとっての話し合いは、現状では難しい」という連絡がありましたので、玄関フロア―での、代表者による「要請書提出」となりました。その際、中国電力に対し、「4月以降の早い時期に、きちんとした話し合いの場を持つこと」を強く申し入れました。以下、少し長い文章ですが要請書の全文を掲載します。
島根原発再稼働及び上関原発建設を中止し、原子力発電からの撤退を求めます
日頃から、電力供給のためご尽力されていますことに敬意を表します。
東京電力福島第一原発事故が発生してから9年が経過しますが、同原発では、廃炉作業は全くめどが立っておらず、廃炉行程表も再三改定せざるを得ない状況から、如何に廃炉作業が困難であるかが明白になっています。汚染水対策も十分な効果をあげることができず、「ALPS処理汚染水」の環境放出や除染土の再利用を打ちだすなどにより、多くの国民の不満や不安を招いています。
このように、今なお漏れ続ける放射能も食い止めることができておらず、福島原発事故は、収束していないのが実態です。生活を奪われ、故郷を追われてしまった被災者は、福島県だけでも4万8千人を超える人々が、いまだ苦しい避難生活を余儀なくさせられています。事故処理に携わる多くの人々の過酷な被曝労働対策も喫緊の課題です。福島で起きている現実は、原発がいったん重大事故を起こせば、働く人や多くの住民を被曝の危険にさらすだけでなく、住家を奪い故郷を追われるという深刻な事態を招くことを明らかにしています。そしてこの9年間で改めて明らかになったことは、原発事故は一企業が責任を持って処理できるものでないことです。
先日の広島高裁による伊方原発3号機の運転差し止めの判決は、様々な角度からの知見に基づいた内容となっています。
今貴社に求められていることは、この「フクシマ」の実態をふまえ原子力発電から撤退することです。それにもかかわらず、貴社は島根原発2号機の再稼働に向けて4,000億円を超える莫大な費用をつぎ込み、同原発の再稼働をしようとしています。このことは、原発をなくし安心して暮らせることを切望する住民の願いを踏みにじるものであり、断じて容認することはできません。
原子力規制委員会も認めているように「原発に絶対の安全」はありません。事故を防ぐためには、原子力発電所を稼働させないこと以外にはありません。すべての原発が停止した状態においても、電力供給は十分にまかなえています。さらに貴社自身が、本年1月に発表した「グループ経営ビジョン 『エネルギアチェンジ2030』」の「中国地方の需給見通し」では、「人口減少や節電・省エネの進展等により、需要自体が今後減少していく見通しです。」とし、2016年度に作成した見通しを大幅に下方修正し、その後も需要は、右肩下がりで減少していくことを明らかにしています。こうした見通しに立てば、新規原発建設などあり得ません。
しかも上関原発計画は、計画が明らかになって以来38年の長きにわたり地域に混乱をもたらしてきました。福島原発事故を見れば一目瞭然のように、豊かな瀬戸内の海を放射能で汚染させるような愚かな選択をすべきではありません。恵みの海を守り続けてきた山口の人々に、貴社がやるべきことは上関原発建設を中止し、一日も早く安心できる暮らしを保障することです。
福島原発事故から9年。私たちは3月11日、被爆地ヒロシマにおいて「フクシマを忘れない!さようなら原発ヒロシマ集会」の実施に向けて準備をお行ってきましたが、新型コロナウィルスの影響で集会は中止しました。しかし、原発のない社会の実現をめざして取り組む決意に変わりはありません。それは「核と人類は共存できない」という放射能の恐ろしさを知るヒロシマの責務でもあります。
東京電力福島第原発事故が発生して9年目を迎える今日、集会企画者の総意として、貴社に次のことを要求します。
1.島根原発2号機の再稼働を断念するとともに、3号機を運転しないこと。
2.上関原発の建設計画を白紙撤回すること。
以上
いのちとうとし
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