「緊急事態宣言」条項は、不必要
新型コロナウイルスの感染者が、ついにといっていいでしょうか、広島市でも確認されました。
この新型コロナウイルスの感染拡大に備えるとして政府は、「新型インフルエンザ等対策特別措置法」の改正案を今日国会に提出し、衆議院での審議を開始し13日の成立をめざすとしています。
この改正案で最も危惧されているのが、「緊急事態宣言」条項です。「私権制限を伴う」ものだけに、市民の間でも危惧する声が広がっています。
今回の改正案提出に至るまでの安倍政権の新型コロナウイルス対策については、「初動の遅れ」を指摘されていますが、今日は、改正案のうち、特に「緊急事態宣言」について考えてみたいと思います。
すでに「新型コロナウイルス」対策として政府は、様々な自粛要請を出しています。この要請に基づいて、公的な集会所などが休館し、イベントが中止されるなど、自主的な対応が進んでいます。こうした「自粛」は、それぞれの「自主的」判断によって実施され、感染拡大防止に役割を果たしています。
8日の「モーニングサンデー」より
いくつかの問題点を考えられるのですが、その最初は「緊急事態宣言」が発令されたら何が可能になるかということです。「住民への外出自粛要請」ができ「スポーツイベントなどの開催制限」を「指示」することができます。さらに「医薬品、食料などの売り渡し」を「強制収用」すること、「学校、保育所などの使用停止」の「指示」、「臨時医療施設のための土地建物」の「強制使用」が可能になるといわれています。これらに違反した時はどうなるのかは、今のところ不明ですが、いずれにしても「私権が制限される」ことは、間違いありません。
次の問題は「緊急事態宣言要件」と発出に至る経過です。国会の関与については、具体的に明らかになっていないばかりか、「要件」もあいまいなままです。緊急性を要する「自然災害対策」とは違い、この問題は、国会での承認を得る時間は、充分にあります。安倍政権のこれまでの「新型コロナウイルス」対策で示した対処策を見れば、「緊急事態」条項を盛り込んだ「法改正」に危惧、反対の声を上げるのは当然です。
2月27日に決定した「学校の一斉休校」の要請が、その危惧を端的に示しています。「その根拠となるものが全く示されない、専門家の意見は聞いていない、文部科学省との事前の協議も行われていない」ことが、その後次々と明らかになりました。安倍首相は「私の責任で判断した」ことを強調しますが、その後の混乱ぶりを見れば「なぜそんなに拙速に行わなければならなかったのか」と疑問が湧くのは当然です。しかも、記者会見は一日遅れで、記者の質問にも十分回答しないで打ち切り。国民への説明責任すら果たしていません。さらに「全国一斉休校要請」の方針を事実上決めた安倍首相と関係閣僚らの連絡会議の議事概要についても、6日至っても政府はまだ作っていないというのです。公文書の扱いがいい加減な安倍政権ですので、なるほどとは思うのですが。
さらに5日に表明された「中韓からの入国制限」も同じです。「専門家会議の意見」も聞かず、厚労省も事前に知らされずに決定されています。その時点では、到着便受け入れ先に指定された空港(成田と関空)の検疫関係者は「まだ何も聞いていない」と言っているといわれています。
これは、新型コロナウイルス対策で明らかになっている問題のほんの一部です。さらに安倍首相のこれまでの政治手法を考えると、「緊急事態宣言」がどんなに危険なものか明らかだと思います。
法的拘束力のない首相の「要請」であっても「全国休校やライブ自粛」など、国民はその「要請」に答え、感染拡大防止に努力しています。
改めるべきは、首相の独断で決めていく安倍首相の政治姿勢です。緊急事態なのは安倍政権です。
だんだんと「批判を許さない」雰囲気が作られていますが、今日から始まる国会審議では、それを乗り越えた審議が行われることが強く求められています。
いのととうとし
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