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2020年1月14日 (火)

「旧広島陸軍被服支廠」見学会

旧広島陸軍被服支廠の保存をめぐる広島県の方針が発表されて以降、市民の関心が高まり、見学希望が相次いでいるといわれています。そして様々な団体が見学会を実施していますが、私も新聞報道で知った「建物を巡るイベントを開く『アーキウォーク広島』」が主催する「建物見学会」に参加しました。

主催する「アーキウォーク広島」は、以前から建築というキーワードで広島を活性化させようと「建築公開イベントの開催」や「建築ガイドブックの発効」などの活動を行う団体です。

当日も「過去の調査及び最近の学術調査」をもとに作成したカラー印刷の資料が、参加者に無料で配布されました。

この見学会は、11日から13日までの3日間、午前と午後それぞれ1回ずつ開催されましたが、私は13日の午前11時からの部に参加しました。

集合時間の15分ぐらい前に、その集合場所の緑町第2公園に着いたのですが、すでに多くの人が集まっておられます。多数の参加が予測されるということで、20人余りが参加された時点で第1班が構成され、見学会が始まりました。私は第1班です。

Dsc_4994

現地はすぐ近くに住宅があるということで、移動する前に公園で配布された資料をもとにした説明がありました。

この見学会は、「旧広島陸軍被服支廠」を被爆という視点からではなく、「貴重な建築物」としての価値を知ってほしいとの思いで企画されたものですから、私にとっても非常に貴重な体験となりました。配布された資料をもとに、いくつか、その貴重さを紹介したいと思います。

「建築物の歴史と経緯」です。広島被服支廠は、日露戦争の最中の1905年に洗濯工場として建設され、1907年に支廠に昇格しました。東京の本廠、大阪の支廠の施設は、現存していませんから、被服廠の貴重な現存施設です。

次は「RCの歴史を知る」建物です。「RC」聞きなれない言葉かもしれませんが、鉄筋コンクリート造りのことです。この建物は日本最古級とのことです。世界でRCを使ったアパートが最初に建てられたのは、1903年フランスです。日本でも同じ時期に建ち始めますが、国内で現存するRC建築は、1911年に建てられた旧三井物産横浜支店と小野田セメントの工場建屋などがあるようです。この被服支廠は、これらとほぼ同じ時期である1913年に建設されていますので、そのことからも貴重さが分かります。

この調子で紹介していくと、ずいぶんと長い解説になってしまいますので、後は簡単な紹介にします。

「でも被服支廠はレンガ造りでしょ」と疑問に思われる方も多いと思います。この建物は、確かに外壁はレンガ造りとなっていますが、内部の柱や床は、全てコンクリートで作られており、RCとレンガが併用されています。

Img024

同じようにレンガ造りで建設された兵器廠(現在の広大病院)は内部が木造、糧秣廠(現在の広島市郷土資料館)の内部は、鉄筋で作られています。ここでも貴重な建物だということが分かります。

「建築デザイン」です。屋根のピナクルや梁の端部の線形などに装飾的要素があるそうです。ピナクルは、初めて気づきました。

  Photo_20200113161401

その他にも「窓の組構造」や戦前の建築物に多い古いタイプの瓦の存在などの紹介がありました。

最後の紹介したいことは、資料の最後に記載されている「場(サイト)が持つ力」ということです。ここが最も大切だと思いますので、その一部を紹介します。

「建築単体としての価値のほか、倉庫が群として存在感のある『場』をとどめている点も極めて貴重です。(中略)旧被服支廠の倉庫群を目の前にすると、理屈抜きにその巨大さに圧倒されます。・・・この場に身を置き、五感を使うことで、『実感』という、書物で得られない膨大な情報を得ることができます。」

「旧広島陸軍被服支廠」は、「歴史的貴重な一面を体感できる場」としての価値を有しているということですが、そのことはガイドの奥本さんも何度も強調されました。

「アーキウォーク広島」が主催したこの三日間の見学会には、初日が約80人、二日目が約100人、そして最終日の昨日は約150人の参加がありました。関心の高さがうかがわれます。

見学会終了時「全棟保存」を求めることをいくつも聞きました。私もそのことを改めて実感するとともに、参加して本当によかったと強く思っています。主催者の皆さんありがとうございました。

いのちとうとし

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