広島高裁、伊方原発の運転を差し止め
広島高裁が伊方原発の運転差し止めという決定をした前々日に、友人と「最近の裁判所は政府に忖度しすぎて、空しいと思うことが多いよねー」と話したところでした。そんな中での広島高裁の判断は、とても嬉しいことでした。
この度の決定について、僕なりの考えを書いておきたいと思います。
一つには、伊方原発から約600メートル北側に存在する中央構造線について、原子力規制委員会が活断層として認めず、四国電力の主張を丸のみし、そのために特別な調査も評価もしていないことへの指摘です。約8キロメートル先の中央構造線断層帯は評価していましたが、これについては規制委員会も対策が行われているとしていました。
二つには、伊方原発から約130キロメートルにある阿蘇山の危険性を指摘したことです。かつて阿蘇山が爆発した時、火砕流が約150キロメートル先までの流れたという記録が残されています。
三つには、活断層も火山も両方ともダブルでその危険性を指摘したことです。17年12月にも広島高裁は差し止めの決定をしていますが、その時は阿蘇山の危険性のみとしていました。
四つには、差し止めの期間を定めなかったことです。17年の時は、本裁判の方の見通しを考えてか?、1年という期限としていました。1年で本裁判が終わるとは考えられません。
そして五つ目は、原子力規制委員会の規制審査の在り方について、問題点を指摘したことです。
この裁判所の決定を、わが中国地方に応用することが重要です。
島根原発PR館から島根原発を望む
島根原発の南側2キロメートル弱のところに、宍道断層という活断層があります。島根原発のPR館からもすぐに近くに見えるところです。この宍道断層の長さや危険性については議論が行われていましたが、改めて考える必要を感じます。
また阿蘇山についてですが、伊方原発から約130キロメートルの危険性を指摘していますが、伊方原発から阿蘇山の距離のコンパスを左側に振れば、ほぼ上関原発の地点になるのです。上関原発で阿蘇山のことが問題になったのを聞いた記憶がありません。
火山については、中国地方にも鳥取県に大山があり、島根県には三瓶山があります。関西電力の美浜原発の審査には大山の問題が課題になっていますが、大山からもっとも近い原発は島根原発です。
山陰地方の風は、東側に吹くのが多いといわれてますが、風は東西南北どの方向にも吹くのです。そして放射能を含んだ風が、大山が壁になって吹き抜けず米子地域に振り落ち、あの地域が強い汚染地域のホットスポットになるという問題もあります。
広島高裁の差し止め決定を、大いに利用することが重要だと思いました。
1月27日広島県原水禁の総会で、「上関原発をめぐる状況と、伊方原発運転禁止の仮処分について」というタイトルで話しをさせていただきます。
木原省治
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