「夫婦別姓訴訟」で広島地裁が判決
昨日、広島地裁は第2次訴訟となっている「夫婦別姓訴訟」の判決を言い渡しました。その内容は、残念ながら原告の主張を認めず、「違憲性はない」と訴えを却下するものでした。小西裁判長は、主文を読み上げた後、判決に至った裁判所の判断を述べました。その中で、興味ある部分を紹介したいと思います。
争点の1として、憲法14条1項違反について取り上げていますが、その点は簡単に「違反しない」としています。ただ、憲法19条(思想及び良心の自由)違反については、「内心の自由に対して直接的に干渉するものでない」から「違反しない」としていますが、この点について、弁護団は「間接的な干渉を認めている」ものであり、そこはこれまでの判決と違うと指摘しています。
争点の2では、平成27年の最高裁判決後の事情について、取り上げています。これらについては、総務省統計局の「就業構造基本調査の結果」、内閣府の「男女共同参画社会に関する世論調査の結果」、「家族法制に関するよる調査の結果」などに基づき、夫婦別姓に対する意識の変化があるとする原告側の主張を認める内容となっています。特に「氏と家族の一体感との関係」については、「家族の名字が違うと一体感が弱まると思う」とする回答者が4.6%減少し、「影響ない」と回答したものが4.5%上昇したという数字を示していますが、興味ある数字です。さらに最近の変化として「複数の地方議会等で選択的夫婦別姓を求める意見書が採択されている」ことや「国家資格における旧姓使用が広がっている」こと「一部の公文書での旧姓使用が認められ、住民票、個人番号カード及びパスポートへの旧姓併記が進められている」ことをあげ、「婚姻制度や氏のあり方に対する社会の受け止め方についても選択的夫婦別姓を許容する意見が高まっていることが認められる」と、社会情勢の変化を認めてはいます。
ただ広島地裁判決が、先行の立川地裁、東京地裁判決と少し違うことを指摘しています。それは広島地裁以外では、「公的な場で旧姓併記が認められたこと」を「緩和している」と評価しているのに対し、広島地裁は「氏を改める場合の不利益が拡大しているとは認められない」とし、「前進」という評価はしていません。 しかし、結論は「最高裁判決後の事情の変更を踏まえても、直ちに国会の立法裁量の範囲を超えるものと評価することは困難」だから「憲法24条に違反しない」というのが結論です。
この判決要旨を聞く限り、「いったいどこまで変化があれば、認められるのか」という疑問がわくのは当然のことだと言えます。
公判終了後の報告集会では、弁護団から以上のような点の解説があり、最後に「地裁の判決は通過点、これからも控訴し高裁、最高裁と争っていく。」と決意を表明がありました。
原告の恩地いづみさんは、「判決は本当に悔しい。謎がいくつか頭の中でグルグルしている気分です。別氏で結婚させてほしいというシンプルな訴え。『自分の本来の名前が使えないのはつらい』と感じ夫と相談しペーパー離婚。約30年間事実婚状態が続いている。別氏を認めないための理屈が並べられているような気がする」と今回の判決を厳しく批判しました。
私が、この裁判を傍聴し、支援することになったきっかけは、昨年の「11.3憲法のつどいひろしま2018アピール」の集会で、恩地いづみさんの「不安なく違っていられる社会にー別姓訴訟の原告となって」の報告を聞いたからです。せっかく、報告してもらったのだから何か支援することはないかと考え、裁判傍聴をすることにしました。ささやかな支援ですが、少しでも力になればと参加しています。今後は高裁での審理に移りますが、裁判傍聴を続けながら継続して支援していくつもりです。
いのちとうとし
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