核廃絶運動は歴史的厳しさに直面している (8) ――憲法の復権と民主主義の再生が必要――
不十分ではありますが、今回は、このシリーズの最後です。長くお付き合い頂いたことに感謝します。
前回、「短期的」目標実現のためには多様な努力が必要であり、その一つとして、例えば11月のローマ法王の長崎・広島訪問に当って、「パブリック・ビューイング」を催して歓迎の意を伝えるというアイデアまで、提案しました。
実は、こうした「短期的」目標、しかも広範囲の問題について具体的に実現の助けになっている試みがあります。ネット上での署名運動を簡単に始められる「Change.org」というサービスです。自分の関心を持っていることについての署名運動がほんの数分で始められます。最近の例では、表現の不自由展についての署名は24時間以内に、2万件にも達しています。
集まった署名は、新聞広告を出すための資金調達のために生かしたり、署名を関係官庁に提出したり、記者会見を開いてより多くの賛同を募ったり等々という形で、多様な活用ができます。そこで一つ提案なのですが、例えば、こうして集まった署名を地方議会との連携に使うというアイデアです。たとえば地方議会の議員に署名の意味を理解して貰い、地方議会での質問に使って貰ったり、議会での決議のための資料にして貰ったりという、地方議会との連携です。
国会議員でも良いのですが、数百人、推薦人という単位で当選が決まる地方議員の方が、ある地域での署名には敏感に反応してくれます。また、何らかの動きがあった場合、それをすぐ知ることができますので、フィードバックという点からも優れた方法です。
もちろん、これはほんの一例ですので、他にも多くの効果的な行動の可能性は沢山あります。その具体例として、マイケル・ムーア監督の提唱している、「10ポイント・アクション・プラン」を再度紹介しておきましょう。
マイケル・ムーアの10ポイント・アクション・プラン
- 毎日電話しよう――日を決めて、市・県・国会議員の事務所に電話をする。
- 月に1回訪問しよう――月ごとに、その中の誰かの事務所に直接出掛ける。
- 個人で「すぐやる」チームを作ろう――何人かで集まって、一週間のうちに何らかの行動を起こす。
- とにかく参加して参加して参加しまくろう!--いろいろな集会に顔を出す。
- ウィメンズ・マーチは終わらない――デモにも参加する。
- 民主党 (日本の場合は、野党) を乗っ取ろう――野党の活動にも参加して、リーダーの一人になる。
- ブルーステート(民主党が優位の州、日本では野党の強い地域)のレジスタンス開催に協力しよう――その前と同じことだが、市民集会等も何人かが集まって提案して自主的に開いてしまう。
- 選挙に出馬しよう――票を入れたい候補がいない場合、あなたが候補になろう。
- 君自身がメディアになるべきだ――自分に関心のあることについて調べて、それをネット等、様々な場所に広げよう。
- 喜劇の部隊に加わる――権力者のやっていることは、無理の積み重ねなので、あちこちに綻びがある。その綻びを指摘することは必ず「笑い」の元になる。そして、権力者たちは、笑われることを何より嫌う。
結局のところ、主権者である私たち一人一人がその責任を自覚して行動することに尽きると言えるのですが、その責任を果さない場合に付けを払わされるのは、私たち自身であるという事実の重みも改めて考えて見たいものです。
そのために役立った二つの言葉を最後に掲げておきたいと思います。私が師と仰いできた元MITの教授で、AIの先駆者だったジョセフ・ワイゼンバウム博士が、著書『コンピュータ・パワー』の中で述べている言葉です。正確な引用ではありませんが、時間とともに私の内部で成長してきた言葉です。
① 私たちは、誰もが教育者である。その内容は、私たちが喋ることだけではなく、実行 することによって伝えられる。
② 人間誰しも、世界中で自分一人だけが世界の運命を担っている、という仮定で物事 を考えてみる必要がある。そのときに自分は何をしたら良いのかが分る。
[2019/10/11 イライザ]
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