中国電力、会長経験者が相次いで逝去
今年に入って、中国電力の会長経験者が相次いで亡くなっています。3月13日には、5代目社長の多田公煕(ただ こうき)さん95歳。8月1日には、6代目社長の高須司登(たかす しとみ)さん87歳。そして8月11日は、副社長からいきなり会長になった福田督(ふくだ ただし)さん77歳です。
中電の場合、社長から会長になり、会長就任とともに中国経済連合会という中国地方経済団体の連合体の会長を兼任するというのが、(問題なく?)出世した役員の進む道で、その後は相談役や顧問という立場になります。社長を経ずして会長になるとか、社長から会長にならずに相談役に就くというのは、「良きにつけ?悪しきにつけ?」問題があって歩んだ道となります。
3人の死去のニュースを、地元の中国新聞は単に死去というだけでなく、関連記事を大きく載せていました。多田さんについては「優れたバランス感覚」、高須さんは「高い志 構想提言も次々」、福田さんは「緻密 アイデア豊富」と、その「功績」を称えました。
この3人が会長に就任していた時代は、1989年から2011年までで、忘れてはならない事件があります。それは岡山県新庄村(しんじょうそん)にある中電の土用ダムの「データねつ造&隠ぺい」事件です。
土用ダム:岡山県新庄村ホームページより
事件は06年10月31日の朝日新聞に1面で大々的に報じられ、同様の事件が他の電力会社でも起こっていることが明らかになりました。他電力会社とは、東京、関西、北陸、東北、電源開発という具合です。中電のケースが特に悪いのは、内部告発情報をある人物から得た地元新聞社が、その情報を中電に連絡し、中電は自らが犯した「データねつ造&隠ぺい」はそっちのけで、執拗に告発者探しを行い、その取り調べのやり方は警察顔負けだったとされているのです。「公益通報者保護法」など、そんなもの知るものかというやり方で、「犯人」とされた人は、子会社に出向させられたということでした。
やり方が、「国(建設省:現・国土交通省)」と中電が、手を組んでやったということで、「森友・加計事件」顔負けという感じです。事件のことを知っている筈の中国新聞が、揃って3人の行いを称えるというのは、なんともいえないほどキモイ感じがしました。「死者に鞭打つ」ことはしたくありませんが、この事件を報じた週刊誌の見出しを紹介しておきたいと思います。大手の全国週刊誌は、「中国電力・欠陥ダムのデータ捏造&隠蔽事件。善意の通報者を危険にさらす、『企業』と『国』の疑惑のタッグ… スクープ 国土交通省は『内部告発者』をこうして裏切った!」でした。
地元を中心に発刊されている物は、これは連載記事となっていますが、ある号では、「燻り続けるお家騒動!!真実に蓋をした企業再生は名ばかりの〝高須チルドレン〟驚くべ虚飾体質!『中国電力・経営陣』の罪と罰」という具合です。
先月8月28日、中電は島根原発2号機で原子炉の水位が低下した場合、水位の低下を検知する測定器の反応時間について、誤入力があったと発表しました。
思い出すだけでも、中電の不正事件は後を絶ちません。明らかになっただけでも、最近では2015年6月25日に発覚した、島根原発の低レベル放射性廃棄物の水量計の校正記録不正事件。事件を中電が記者発表したのは6月30日、この年の株主総会は事件が発覚した同じ25日に開催されているのです。株主総会ではひた隠しにしていたのだと思います。事件では、解雇者が出ています。またこの事件からさかのぼること5年前の2010年、島根原発で機器点検・交換漏れ事件が発覚しました。この時では、担当部長さんが宿泊先の松江市内のホテル10階の窓から飛び降り自死しています。まだまだたくさん在るのですが、多すぎてこのブログの中に収まりそうにありません。
今、あえて言いたいのは、現役で働いている中電や関連会社の人に、こういう過去が在ったことを、忘れないで欲しいということです。
木原省治
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コメント
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母が福田督さんの従姉です何故連絡がなかっのか疑問です?
投稿: 片山吉長 | 2020年3月13日 (金) 10時41分