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2019年9月12日 (木)

旧廣島護国神社被爆鳥居―その2

今日は、9日のブログにつづき「旧廣島護国神社被爆鳥居台座」がテーマです。広島市青少年センター発行のパンフレットには、台座に取り付けられた銅板の説明文が全文書かれています。

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原爆(昭和20,8,6 あさ、8:15)によって折れた 旧護国神社鳥居(北面)の脚部 昭和46年の公園内を南北に走る下水工事中現位置より北約20mのところで発見した。上記鳥居であることが確認されたのは、佐々木雄一郎氏(市内元宇品写真家)の貴重なフィルムによる。即ち氏は、被爆一ヶ月後からの「ひろしま」を数多く撮影しているがその中にこの鳥居に関したもの3枚があった。館内玄関に展示している。尚これが発掘、設置については、清水建設の協力を得た。 昭和46年12月22日 広島市青年センター」(原文のまま)

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パンフレットにはこの説明文に加えて「この鳥居の台座は、青少年センターの北隣、爆心地から北方向に約370mに位置していた旧護国神社のものです。神社には、3つの鳥居がありました。原爆によって北側の鳥居は北方向に東側の鳥居は西方向に倒れました。この台座は、北側の鳥居の支柱2本のうち、西側のものとされています。」と記載されています。

この二つの説明文を頼りに、もう少し詳しく調べてみたいと思います。パンフレットには、鳥居の台座が設置された前日の中国新聞の記事(昭和46年12月21日付)も掲載されています。そこには注目すべきことが書かれています。「掘り出してから1ヶ月余り、これが台座であることが分からずに放置されていましたが、たまたま鈴木館長(当時の青少年センター館長)が、発掘地点が旧護国神社であったことから関心を持ち、古い写真などを手掛かりにして判明した。」当時の館長鈴木さんの賢明な判断が、この台座を被爆物として残すことになったのです。さらに新聞記事は興味あることを書いています。「写真を撮り続けている写真家、佐々木雄一郎氏の調べでは、この鳥居は、同神社に二つあった鳥居のうちの正面を入って北側に立っていたものらしく、左右どちらの台座か今のところは分からない。」この時点では、北側の鳥居ということは判明していてもどちらかわからないとしているのですが、パンフレットの説明文では、はっきりと「北側の鳥居の支柱2本のうち、西側のもの」としています。いつごろ、どんな経過で西側のものと判明したのか、気になります。その経緯をぜひ知りたいと思いますが、今のところその経緯までたどり着けていません。

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毎日新聞社1977年刊「ヒロシマは生きていた 佐々木雄一郎の記録」より

鳥居の台座の決め手になった佐々木雄一郎さんの写真とともに鳥居の台座を見ると、改めて爆風の威力をまざまざと見せつけられます。と書きながら、気になることがあります。青年センターの西側本川土手に育つ「被爆樹木シダレヤナギ」です。この鳥居の台座と同じ、被爆距離370mの爆心地に最も近い現在地で被爆しています。鳥居が根元からぽっきりと折れるほどの爆風を受けたにもかかわらず、「シダレヤナギ」はどうして生き残ったのかと。やはりこのヤナギも幹が折れたようですが、その後根元から生えた新芽が成長し、いまのような大きな樹木に育ったそうです。生命力のすごさを感じます。

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広島市1995年発行「ヒロシマの被爆建造物は語る」より

先に紹介したパンフレットの中国新聞の記事では「鈴木館長は、掘り出されたままになっている台座を青少年センターに据え付け、同センターを訪れる若者に原爆の悲惨さを知らせたいといっている。」と書いています。ところが鈴木館長の思いが伝わらなかったのか、この鳥居の台座は周りの植え込みの葉陰となり、長く埋もれた存在となっていました。しかし2013年の8月、9月に周りの樹木が伐採され、台座が再び現れ、多くの人が知ることになりました。鈴木館長の思いが、今後もきちんと継承されていくことを願わずにいられません。

いのちとうとし

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