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2019年9月11日 (水)

自然災害の「ツケ」を払うのは? ――一番弱い立場の「労働者」に押し付けるな!――

十日に一度の投稿なのですが、今回も自然災害について、私たちがどう対応すべきかの問題提起です。台風15号でも亡くなった方、怪我をした方も多く、また雨と風による物的被害も大きかったことに、改めてショックを受けています。停電や断水等も大きな問題です。今回は西日本への被害はあまりなかったのですが、ほぼ毎日のように日本のどこかで、自然災害が起き、犠牲になっている人たちがいます。

日本全体という視野で物事を考える責任のある日本政府としては、全力を挙げてこの事態に対処すべきです。仮に「国を守る」という標語を使うのであれば、それは、これまで70年以上実害のなかった、外国による侵略からではなく、自然災害から国を守る、より正確には国民を守る、という方向転換をしなくてはならないことを明確に示しています。

役にも立たないイージス・アショアとか、オレプレイはすぐに注文をキャンセルして、自然災害対策のための予算に転換すること、自衛隊を災害対策専門の組織に改組することがそれこそ自然の流れなのですが、なかなか、その方向に舵が切れないようです。やはり世論を大きくすることが急務です。今以上に大きな声を上げましょう。

この私なりの「危機感」と、自然災害の度に不思議に思っていることとが重なりました。まずはこの行列の写真を御覧下さい。ネットからお借りしました。

Photo_20190910210801

テレビでも何回も報じていましたので、どのくらい混雑していたのかは御存知だと思いますが、台風が千葉に上陸し、茨城、福島方面に抜けた、午前9時過ぎの津田沼駅です。

こんな思いをして、つまり何時間も立ったまま行列を作ってホームに入れるのを待った末に、満員電車に乗って会社に出勤、その上、「遅刻」は認められず、半日は休んだことにされ、上司や同僚からは嫌味を言われるなら、スッキリ休んだ方が良いのではないでしょうか。

でも、真面目に行列に並んでいる人たちの反応や、彼ら・彼女らを通して聞えてくる会社の声は、「出勤して当り前だ」、「会社には出て来い」、「電車の遅れることが分っているのならそれに対して事前に対応して会社に遅れないようにするのは個人の責任」「朝の混雑が予想されるのなら前の晩は会社の近くに泊れば良い。もちろん宿泊費は個人持ち」といったものでした。

そんな中、「今日は休んだ方が良い」という、社員にとっては有り難い通知を出した「模範企業」、という触れ込みでインタビューを受けていた会社がありました。でもその内容は、「今日は有給休暇を取って休んでも良いよ」という内容でした。

自然災害には人間のコントロールがほとんど及びません。交通機関が安全のために運休するのも当然です。そのために駅や電車が普段より混雑するのは、一定程度なら我慢できるでしょう。しかし、そのツケをすべて個人が払わされる今のシステムで良いのでしょうか。

何時間も行列を作らないと電車にも乗れない状態に耐えなくてはならないのは、単純に時間のロスだけを考えても避けるべきことだと思います。常識として、社員の一人から連絡が入り、「今津田沼駅で電車を待っているが、ホームに入るまでに2時間以上かかる見通し」と言われたら、会社側では、「御苦労様。今日は出社しなくて良い」と言えないものでしょうか。さらに大切なのはその次です。

「これは、災害による特別休暇だから、一切のペナルティーなしだよ。」と言えないものでしょうか。

私の知識の範囲で考えると、1990年頃から、(そして恐らくはもっと前からのはずですが)、労働者の権利が次々と剥奪されてきました。「ブラック企業」という言葉が作られて、深刻な労働者の権利の侵害がそんな言葉の陰に隠されるという、巧妙な世論調査が行われるようになる、はるか前から、労働組合叩きが始まり、スケープゴートにされ続け、気付いた時には、「就職」というのは、正社員になることではなく、パートか臨時、派遣といった形で細々と仕事を得るような状態になってしまいました。そして、賃金は安く、身分は不安定、労働条件は劣悪、老後の保障はなしとあっては、何百年も前の貧民と同じ条件で働いているとしか考えられないではありませんか。

それほど厳しい環境に置かれている皆さんに、「災害の時くらい、大きな声を上げましょう」というのも気が引けるのですが、我慢できるから我慢するのではなく、自然災害を最優先する国政実現のためにも、せめて災害時とその直後には、(パートも派遣も含めて) 「災害時くらい社員を大切にしろ、人間扱いしろ」という大合唱を起こせないものでしょうか。

[2019/9/11 イライザ]

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