高校生が描いたヒロシマ原爆の絵画展
今年の夏、多くのマスコミが取り上げた広島市立基町高校性が描いた「ヒロシマ原爆の絵画展」が、広島国際会議場地下2階中会議場コスモスで開催されています。会期は、21日までです。私は、昨日行ってきました。
会場に着いたのは、午後2時過ぎでしたが、多くの参観者がいました。ざっと数えると25人を超えているようです。みんな熱心に見ておられます。その中に、絵に添えられたキャプションを熱心に読んでおられる人の姿が目に入りました。
一度体験談をお聞きした安楽寺の前住職で被爆者の登世岡浩治さんです。登世岡さんが、見終えられたところで声をおかけしました。「登世岡さん、どう感じられましたか」と問いかけると、返って来た言葉が、「今晩は眠れそうにありません。あの皮膚の垂れ下がった姿を描いた絵を見て、当時を思い出しました。今晩は、きっといろんな体験が、次々に浮かんでくるに違いありません。」でした。そして「だから、私は今でも資料館には入ったことがないんですよ」と続きます。登世岡さんの体験談を聞いた時の「思い出すことが余りにつらく恐ろしい。だから、被爆から約50年間黙して語らずでした」という話を思い出しました。
さらに続きます。「実は、今年7月にこの基町高校から依頼を受け、全校生徒の前で被爆体験を証言したんです。この学校で取り組んでおられる『原爆絵画』のことを知っていましたので、話を始める前に『この中で、原爆の絵を描いている人がいたら、手をあげてください』といったら、後ろの方で数人の手があがりました。そこでさらにこう言いました。『被爆の体験を継承し、平和を訴えるためにがんばっているこの人たちに大きな拍手をしてあげてください』と。生徒さんみんなが大きな拍手をしてくれました。そして『私は、まだ見たことがありませんが、今度機会があったらぜひ見たいと思います』といったのです。ですから、今日はどうしてもこの会場に来なければと思い来たのです」と。そんな出会いがあったから、本当なら見たくないこの「ヒロシマ原爆の絵画展」に来ておられたのです。そして人一倍熱心に見ておられたのです。
不思議な出会いを感じながら、私もゆっくりと見て回りました。何人かの知り合いの被爆者の名前が、見えます。そして、テレビで取り上げられた作品もあります。絵の横には、絵のタイトルと「絵がかられ情景」さらに「生徒のコメント」「被爆体験証言者のコメント」が書かれた説明文が添えられています。「人が黒くなっている想像できず、色を作って塗るのに抵抗を覚えた。・・・」どんなに大変な作業だったか作者の苦労のあとがうかがえます。「とてもイメージの湧きにくい場面だったと思います。絶望して死ぬ人など普通では一生見ないでしょうね。」被爆者のコメントです。
ずーと見ていくと会場の真ん中に据え付けられた立て看板に目が止まりました。それは、絵画とは別に9月完成を目指して「原爆の絵本・紙芝居製作」が進んでいるということを掲示した内容でした。おどろいたことに、その証言者が旧知の小倉圭子さんだったのです。すでに何枚かの絵が出来上がっているようです。「原爆の絵本・紙芝居」が完成するのが楽しみです。小倉さんが、基町高校のこの企画に協力していることを初めて知りました。もう一度展示されている絵画をよく見ると、小倉さんの証言をもとにした絵画が2枚ありました。
本当ならば絵画の感想を書かなければなりませんが、ここでも人との出会いを感じましたので、そのことを中心にした報告になってしまいました。
今日、明日の二日間しかありませんが、ぜひ多くの人に見ていただきたい「絵画展」です。
いのととうとし
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