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2019年7月30日 (火)

広島一中の追悼式と広島二中の祈念コンサート―その2

昨日のつづきです。午前中の「広島一中原爆死没者慰霊祭」につづき、午後は県民文化センターで開催された観音高校音楽部OB合唱団第18回祈念コンサート「レクイエム碑(いしぶみ)」に行きました。このコンサートに行くきっかけは、7月25日に開催された別のコンサート会場で、旧知の増田遥先生に出会ったことです。「広テレが放送したことがある『いしぶみ』を知っていますか。」「観たことがありますよ。確か綾瀬はるかさんが出演していましたよね。」「あれはリメークですが、それを題材にした『レクイエム碑(いしぶみ)』のコンサートをするので、もし時間があったら是非聞きに来てください。」とお誘いを受け、入場券を手渡していただいたのです。

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本川河畔に建つ広島二中の慰霊碑

入場の際配布されたパンフレットからこの混声合唱のための「レクイエム碑」が生まれた経緯を紹介します。「1969年、広島テレビにより、広島二中の被爆を描いた番組『碑』が放映されました。爆心地に程近い本川土手で建物疎開の作業中に被爆した広島二中1年生3百余名の悲劇がドキュメンタリーとして構成され、杉村春子さんにより朗読されたものです。(略)被爆時に二中の2年生だった山本定男氏は、このドキュメンタリー番組に感銘を受け、作曲家の森脇憲三氏とともに広島テレビに働きかけ、番組をプロデュースした薄田純一郎氏の作詞による合唱組曲『レクイエム碑』が完成しました。」ということです。初演は、1970年10月です。

県立広島二中は、戦後広島観音高校と校名が変わりました。2001年に広島観音高校音楽部OB合唱団が結成され、2002年8月に「第1回祈念コンサート」が開催されて以来、「レクイエム碑」が歌い続けられています。この「祈念コンサート」は、その後も毎年開催され今年で18回目を迎えています。その間ずっと指揮者は増田遥先生です。

私が、開場時間の午後1時半に会場に着くと、すでに半分以上の席が埋まっていました。結局公演が始まった午後2時には、立ち見も出るほどの入場者となりました。

コンサートは、一部「唱歌メドレーなど」の後、15分間の休憩があり、いよいよ二部「混声合唱のためのレクイエム『碑』」のスタートです。

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昨年のコンサート風景:プログラムから転載

出演者も、一部の私服姿からがらりと変わり、皆さん盛装での合唱です。曲は、広島に投下された原爆により全滅した広島二中の1年生の被爆の瞬間から全滅までの惨状を、少年らの学校生活の様子も交えつつ描かれており、全9章で構成されています。全部の詩を紹介することはできませんので、まず章の紹介をします。「1 序章、2 点呼、3 爆発、4 川の中、5 時間割、6 さちゃんお母さんよい、7 船の中で、8 全滅、9 終章」です。

終章の最後の三節だけ詩を紹介します。「広島を思う 人あれば 広島は永遠にあり  子らの声聞く 人あれば 広島の心が聞こえる  広島を思う 人あれば 広島は永遠にあり」

合唱が終わると、会場のあちこちからすすり泣きの声が聞こえてきました。私の隣に座っておられた高齢の女性は、歌の半ばからずっとハンカチで目頭を押さえたままでした。きっと誰か縁の人が犠牲になられたのだと思います。そして会場は、大きな拍手に包まれました。

コンサート終了後、益田先生にあいさつしようと待っているロビーで故高橋昭博元資料館館長の奥さんに出会いました。高橋昭博さんは、広島二中2年生の時に被爆。「主人が亡くなって以来このコンサートを聞きに来ていますが、今回は最高でした。本当はスタンディングオベーションをしたかったのですが、周りを見ると」高橋さんの感想です。本当に私も感動しました。こんな機会を与えていただいた増田遥先生ありがとうございます。

最後にもう一つ紹介しておかなければならないことがあります。毎年、この「祈念コンサート」当日の午前中には、観音高校生のための「碑鑑賞会」が、1年生を対象に行われているそうです。今年は、昨年が台風で中止になったため1年生2年生、一緒の鑑賞会となったそうです。次の世代に引き継ぐ努力もされているのです。

奇しくもこの日は、二つの旧制中学校の慰霊・祈念の行事に参加させていただくことができ、広島の市民によって被爆体験継承のための努力が続けられていることを知る機会となりました。

いのちとうとし

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