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2019年7月 2日 (火)

在米被爆者―私も被爆者協会設立に関わりました

 「ヒロシマの再考察・外国人被爆者(非軍人)の第2回講座が、6月29日に実施されました。今回のテーマは、「在米・在ブラジル被爆者」で、講師はこれまで在外被爆者裁判に法学者の立場から支援してこられた広島大学名誉教授の田村和之先生でした。

田村先生の話は、1992年春頃に初めて在外被爆者に関わった経緯から始まり、世界各地に居住する広島・長崎原爆被爆者の状況の解説がありました。具体的な数字もありますので、ちょっと紹介しておきます。世界の約30カ国に3千数百人(2017年3月現在で厚生労働省の発表では3209人)の被爆者が確認されています。大まかな国別は、2015年に厚生労働省が行った「原子爆弾被爆者実態調査」(5年に1度国勢調査と合わせ実施)によれば、調査対象の3406人のうち2758人から回答があり、内訳は韓国2064人、アメリカ508人、ブラジル94人、カナダ25人、台湾11人、オーストラリア10人、その他46人となっているようです。もちろんここには、在朝(北朝鮮)被爆者の数は含まれていません。しかし、おおよその国別の被爆者の数は推測できえます。

田村せんせいの話は、これからが本題です。まず在米被爆者についての報告でした。①なぜアメリカに広島・長崎の被爆者がいるのか②被爆者のアメリカ社会における生活③在米被爆者の組織・運動についてでした。次に在ブラジル被爆者についてですが、これも同じように①なぜブラジルに被爆者がいるのか②ブラジルにおける被爆者の生活③在ブラジル被爆者の組織、運動について、わかり易く話されました。

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田村先生は、在米被爆者組織の活動について、袖井林二郎著「私たちは敵だったのか 在米被爆者の黙示録」(初刊は1978年 現在は岩波書店の同時代ライブラリー)と倉本寛治著「在米被爆者五十年 私とアメリカの被爆者」(1999年刊)を紹介しながら、在米被爆者協会が設立(1971年)以来の取り組みを話されました。興味を引いたのは、主要な取り組みです。一つは、「広島の医師に診てもらいたい!」という強い願望による「広島からの専門医の派遣」です。それは1977年に初めて実現することになります。もう一つが、アメリカ政府に対する要求でした。1972年10月以来、「ヒバクシャ医療援護法案」が提出されました。1974年5月のカルフォルニア州議会の公聴会が開催され、その最初の証言者は、この後紹介するアーネスト荒井さんでした。様々な経緯があった中で、その後開催された上院財務委員会の議員の討論の中で発せられたのが「彼らは敵国人だった。そのエミネー(敵)をどうして保護する必要があるのか」という厳しいものだったそうです。結果法案は、否決されましたが、それ以上に倉本さんたち被爆者に応えたのは、「エネミー」発言であり、そこにひそむ日本人への差別意識だったそうです。この時の経過や様子は、袖井さんの本「私たちは敵だったのか」に詳しく書かれています。もちろんすべてのアメリカ人がこうした考えだったわけではなかく、ヒバクシャを支援したくれた人たちもいたこともこの本には書かれています。田村先生の話を聞きながら、改めてかつてこの本を読んだ時のことを思い出しました。関心のある方は、ぜひ袖井さんの本を読んでください。

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実は今日書きたかったことは、このことではありません。書きたいことは、田村先生の講演が終わり質問の時間になった時のことです。参加者の一人がマイクを握り次のように切り出されました。「私は、袖井さんの本で、在米被爆者協会設立時の一人として紹介されている荒井です。」びっくりしました。在外被爆者問題を取り組んでいる時、倉本寛治さんとは何度かお会いしたことがあったのですが、まさかこの会場に他の当事者がおられるとは想像もできなかったことですから。「私は日系三世です。父と一緒にハワイに住んでいましたが、日本で教育を受けるということで戦争の始まる前、日本に帰っていました。小学校5年生の時、比治山橋の近くで被爆しました。そして21歳の時帰米しました」。話が続きました。いよいよ被爆者協会設立に至る経過に話が進み、私に強い関心を持たせる話が出てきました。

少し長くなりますので、つづきは、明日報告します。

いのちとうとし

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