広島市長に「平和宣言」への要望書提出
昨日広島県原水禁は、広島市長に対し8月6日の平和宣言に「日本政府に対し、核兵器禁止条約早期発効のため日本政府がまず署名・批准することを強く求めること」を盛り込むよう要請を行いました。
広島県原水禁からは、佐古正明代表委員、金子哲夫代表委員、渡辺宏事務局長の3名が参加し、広島市市民局国際平和推進部津村浩部長に、下記の要望書を手渡し、今後の「平和宣言」策定にあたって、充分私たちの意見が反映されることを要望しました。
少し長くなりますが、原水禁の思いが込められていますので、要望書の全文を掲載します。
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8月6日の「平和宣言」についての要望
本年の平和宣言の中で、次の二項目について日本政府に強く求めて下さい。
・核兵器禁止条約早期発効のため日本政府がまず署名・批准すること
・早期発効のため日本政府が各国政府に働き掛けること
連日、広島市民の生活向上と核兵器廃絶に向けて努力されていることに敬意を表します。
間もなく、広島は74回目の8月6日を迎えます。しかし、広島市民の願いにもかかわらず、核兵器廃絶への道はいまだ明確となったとは言えません。
そうした中にあって一昨年国連で「核兵器禁止条約」が圧倒的多数の賛成で採択されたことは、核兵器廃絶を現実のものとさせる大きな道筋を与えるものとして、被爆者はもちろん広島市民、世界の人びとは心から歓迎しました。
広島県原水禁も、こうした世界の動きと連動し、かつ被爆地「ヒロシマ」の運動体として、核兵器禁止条約の早期発効こそ、今世紀という時代に意味を与えるための有効な手段だと信じています。
私たち広島県原水禁は、1955年に開催された第1回原水爆禁止世界大会で採択された「ヒロシマアピール」の「原水爆が禁止されてこそ、真に被害者を救うことができます。」を運動の柱として、一貫して「核兵器廃絶」を訴え続け、その実現のため様々な取り組みを続けてきました。また被爆者の皆さんもその実現のため1955年2月様々な困難を克服し、被爆体験を証言するためイギリス、西ドイツを訪れた日詰忍さんをはじめ多くの被爆者が、世界各地を訪れ被爆体験の証言を通じて「核兵器の非人道性」を告発するとともに、「私たちのような思いを他の誰にもさせたくない」と訴え続けてきました。その被爆者のあきらめない努力が、世界の人々の心をとらえ、核兵器廃絶運動の推進力となったのです。
さらに「核兵器が非人道性兵器」であり、国際法に違反するものであることを明らかにすることができたのは、たとえば胎児にまでその影響が及ぶことを隠していたABCCの情報を白日の下にさらした市民やジャーナリストの力がありましたし、被爆後献身的に治療に当たった広島の医療関係者たちの活動のお陰です。こうした被爆者や広島市民の様々な活動と願いが、「核兵器禁止条約」採択の大きな力となったことは、条約の前文からも明らかです。
そして、1995年の国際司法裁判所において、被爆都市である広島市長・長崎市長が、政府の意向に反して「核兵器は国際法違反である」旨の発言したことによってより明確になりました。これは、市長個人の見解ではなく、広島市としての公的な発言のはずです。それは、市民への約束でもあったのですから、このことは、誰が市長になったとしても、後世に受け継がれなくてはならない重みを持っています。勝手に変更できることではないはずです。
広島市の訴えが、国際司法裁判所の勧告的意見として結実し、核兵器禁止条約へとつながったのですから、広島市としてより積極的な役割を果たす責務があります。
すべての被爆者や広島市民は、日本政府が「核兵器禁止条約の署名・批准」することを強く求めるとともに、広島市長がそのための役割を果たされることを強く望んでします。それ以上に、広島市長がそのために、歴史に残る大きな役割を果たされることを強く望んでします。
被爆地広島の市民を代表する貴職に置かれましても今年8月6日の平和宣言において明確に力強く「日本政府に対し、核兵器禁止条約の署名・批准」を求められるよう衷心からお願い致します。
以上
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多くの平和団体や被爆者団体も同じ要望を行っていますので、8月6日の松井広島市長の「平和宣言」で明確に日本政府への要望となることを願い、見守っていきたいと思います。
いのちとうとし
[お願い]
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