2019年度広島県被団協総会で考えたこと
一昨日(5月31日)、広島県被団協の2019年度総会が開催され、私も来賓の一人として出席しました。
坪井直理事長の姿を見ることができなかったのは、残念でしたが昨年12月に理事長代行に就任された箕牧さんを中心に新たな運動方針が決まりました。
私も来賓としての短いあいさつの中でも触れたことですが、広島県被団協と広島県原水禁(発足当時は、原水爆禁止運動広島協議会の名称)は、ともにビキニ水爆実験を契機に始まった署名運動の中から生まれた組織として、常に連携しあってきた関係にあります。今総会に出席し、改めてそのことを思い起こし、「被爆者援護」「核兵器廃絶」の共通の課題に向けた運動の強化を決意しました。
「総会」の中で特に印象に残っていることがあります。「総会」の冒頭には、毎年「原爆で犠牲となった人たち」に対する黙とうから始まりますが、その後の植田雅樹副理事長(呉市原爆被害者の会)の開会のあいさつで言われた「黙とうをするといつも私の頭の中には、あの日の情景が思い起こされます。」という一言です。私たちの運動の原点は、被爆の実相だということを決して忘れてはならないということを改めて教えていただきました。
今年もまた私は来賓の皆さんが退場された後も会場に残り、討論を最後まで聞きました。特徴的だったことは、その多くが、被爆者の高齢化が進む中で、どう組織を維持していくのか、運動を展開していくのかという大きな課題についての発言だったことです。その中で一様に触れられたのが、二世の組織化についてでした。福山市原爆被害者友の会では早くから被爆二世を中心とした組織に改編されていますが、他の多くの地区でも会長や事務局長の役割を二世が担うようになったことが報告されました。新たに選ばれた県被団協の役員体制の中でも、二世の人たちが、副理事長や理事に就任されており、今後の組織の方向性もより明確になってきたように思います。また、この総会では、組織の維持のための「寄付」を行うことが決まりました。広島県被団協は、私たち原水禁の運動にとっても一緒に頑張っていかなければならない、大切な組織です。今回の寄付の呼びかけ文の冒頭は「会員の皆さま」となっていますが、私たちも支援の輪を広げていかなければと思います。ところで、広島県被団協総会の様子を伝えるマスコミ報道では、「被団協の統合」問題が、なぜか大きく取り上げられています。総会後の箕牧理事長代行へのインタビューでのやり取りがニュースとなったようですが、この問題は、総会の論議では全く触れられることはありませんでした。「統合問題」を考えるとき、箕牧理事長代行もそのインタビューの中で答えておられるのですが、「過去の歴史」にこだわりがあることは、やむを得ないことだと私は思っています。ここでは過去の経過について触れることはしませんが、当時日本被団協の理事長だった森滝先生が、日本被団協の分裂を防ぐためにどれだけ努力されたのかを学んでみる必要があると思います。
原水禁もそうですが、結成されてからわずか8年余りで組織が分かれ、その後すでに55年という長い年月が経っています。その長い時間には、それぞれの組織が歩んできた歴史があります。そして、関わりを持つ団体も全く違っています。そうした様々な条件を克服し組織を統一することは並大抵のことではないと思います。私自身、組織の統一を否定するものではありませんが、今この時期に組織を統一することに大きなエネルギーを割くことよりも、共同行動の幅をより広げていくことに力を注ぐことが、むしろ今私たちの運動の求められていることだと思います。
いのちとうとし
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