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2019年6月11日 (火)

脱走兵の平和貢献 ――Elaine Sacrry (エレイン・スカーリー) 教授の講演から (1)――

カリフォルニア州のサンタ・バーバラ市に、「核時代平和財団」(英語名は、Nuclear Age Peace Foundation) と呼ばれる平和団体があります。1982年に、デービッド・クリーガー博士により設立されたNPOですが、この財団が最終目標として掲げているのは核兵器のない世界の実現です。

クリーガー博士は弁護士でもありますので、この財団の核兵器の廃絶のための活動には、法律面からのユニークなアプローチが特徴だと言っても良いでしょう。さらに、出来るだけ多くの人々に的確な情報を提供して、核廃絶のための声が大きくなる努力をしてきた事でも知られています。

その一環として、毎年この財団の本部で核廃絶のための運動で注目されている著名人を招待して講演会を開いています。今年のスピーカーはハーバード大学教授のElaine Scarry さんでした。2014年に『Thermonuclear Monarchy』(熱核兵器王朝)という著書が話題になったのですが、二回にわたって彼女の考えを紹介しておきたいと思います。

Elaine-scarry

クリーガー博士からのメールに添付されていたURLから、今年の5月9日の講演の様子をYouTubeのビデオで見ることが出来たのですが、その中には、今まで全く知らなかった情報も盛り込まれていました。まずはそれから取り上げます。

皆さんは、アメリカの南北戦争でリンカーン大統領の率いる南軍が、奴隷制度の維持を目指していた南軍に勝ったことは御存知だと思います。それでは、その理由は何だったのでしょうか。

一般的には、北と南の経済格差や技術格差が挙げられます。北軍に志願した黒人の兵士数が多かったことなども理由の一つだとも言われています。でも、スカーリー教授が挙げたのは脱走兵の数でした。通常の統計では、北軍は250万人の兵士の内、約20万人が脱走し、南軍では100万の兵士の内、約10万人が脱走したということになっているのですが、スカーリー教授によると、南軍の脱走兵は、25万人に上るのだそうです。これでは士気にも関わりますし、「戦力」という点からもどちらが勝つのかは時間の問題だったということになるでしょう。

しかも、脱走した理由の多くは、兵士たちがいなくなった家族の困窮だったということですから、これは最初の南北の経済格差とも連動しています。

ベトナム戦争でも多くの脱走兵が戦地を離れましたし、脱走兵の支援をするボランティア組織もべ平連との連携でできました。その後のイラク戦争等でも脱走兵の数の多さは、大きな問題になっています。

しかしながら、どの国の政府も脱走兵についての情報をできれば隠したいと考えていることも事実です。日本政府もその点では人後に落ちませんし、それを防ぐために戦陣訓を作り「生きて虜囚の辱めを受けず」といった大規模な洗脳作戦まで実行したのです。

さて、このことと各兵器とがどう結び付くのでしょうか。次回までに、皆さんにも考えてみて貰いたのですが。

[2019/6/1 イライザ]

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