#ハーバードへの #トランプのイチャモン ―― #反論は #ハーバードという #存在そのもの――
#ハーバードへの #トランプのイチャモン
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《トランプのイチャモン》
トランプ政権のハーバード大学に対する攻撃、つまりイチャモンですが、それは大きく分けて3つに分類することができるのではないかと思います。
1つは補助金、研究委託費等々の形で、連邦政府そのものあるいは連邦政府が影響力を持つ機関からハーバード大学に支給されいる補助金その他の名目のお金を断ち切るというものです。
2つ目は「反ユダヤ的」な活動をした学生のリストを提出しろ、DEIやクォータ制を廃止しろ等、大学内の言論活動や大学そのものの存在意義に関わるような活動についての圧力を掛け、それらの活動をトランプの思うがままの方向に変えさせるというものです。
3つ目は留学生を排除すると方針を、国務省がビザを出さない、あるいは大学から留学生資格を認める権限を剥奪する等の措置です。
それぞれ理由にもならない理由をつけてはいますが、結局はイチャモンとしか見えません。ハーバード大学がいわば象徴としていじめの対象になっているのは、ハーバードの存在そのものが、トランプ政権の本質に対するアンチテーゼだからだと考えると納得が行きます。存在そのものがトランプの存在そのものに対する反論になっている、だからそれが憎い、何としてでも叩き潰したい、という短絡的なチェーンでの一連の行動でしょう。
《小児型強弁者に対抗するには》
となると、トランプ政権そのものへの対抗手段を考えることになりますが、もう少し的を絞るために、その背後にある小児型強弁者としての価値観、そしてそれを元にした短絡的な判断と決断に私たちがどう対応できるのかを考えてみたいと思います。それを元に、ハーバード大学が合理的な存在としてどのような作戦を取れるのかを推測できるからです。
小児型強弁に対して何ができるのかを考えても、実は合理的にできる事はほとんどありません。しかしながら、幸いなことに、今トランプが起こしていることは、大統領権限によって小児型強弁の価値観を押し付けている訳ですから、大統領でなくなってしまえば、その効果は半減するどころか、無に近い存在になります。つまり2028年の選挙戦で強力な候補を立てて、2029年からは、新たな大統領の下、小児型強弁ではなくて、常識のある1人の人間としての価値観を代弁してくれるような政権を作るということが考えられます。
そのために大統領候補としてふさわしい人を探したり、あるいは来年行われる中間選挙での争点として、言論や思想の自由、そして学術的な研究の重要性についての項目を掲げて、健全な社会の発展のために頑張ることを前面に出す作戦が考えられます。
《闘いは短期戦》
となるとハーバード大学が取るべき対トランプ対策は、1年あるいは3年と言う短期的な対応で済むことになります。
そこで、第一の攻撃、ハーバード大学から資金を引き揚げることを考えてみましょう。ハーバード大学の財政のかなりの部分は寄付金で賄われている訳ですけれど、永久にハーバード大学にお金を注ぎ込みたいと願う篤志家や企業は多くないかもしれません。でも一年か二年なら、あるいは一年に限ってということであれば、かなりの人が、少しは懐が痛むけれど、ハーバード大学を応援するためにお金を出しましょうと言ってくれる可能性は大きくなります。
このような形での支援を求めるドライブをハーバード大学や同窓会の有志達が既に始めていてもおかしくはありません。
イチャモンの二つ目と三つ目については、トランプ政権が法律違反あるいは憲法違反を犯しているという反論がかなり有効ですので、裁判を通してトランプ側の非を立証するのが標準的なシナリオでしょう。
その法律の世界でもハーバードの存在は無視できません。というより、ハーバード抜きでアメリカの法律や政治を語ることは難してほどの影響力をハーバードは持っています。
法律の他に、医学や経済等の専門分野でもハーバードの存在の大きさは改めて明記するまでもなく認められていると考えて良いでしょう。
とは言え、念のためにいくつか例示しておくと、先ずお金の面つまり経済で考えると、アメリカの経済界に君臨する定期刊行物を一つ挙げろと言われれば、それは『ハーバード・ビジネス・レビュー』になるでしょう。また命の面で言えば、ハーバードの医学部それから、附属病院としての役割を果している病院群抜きには、アメリカの医学そして世界の医学は語れません。病院もでは、「マス・ジェネラル」と呼ばれる「マサチューセッツ総合病院」、ハーバード大学医学部の附属病院と言っても位くらいの存在ですし、それに加えて、「ブリガム・アンド・ウィメンズ・ホスピタル」という病院も付属病院の位置付けです。
《ハーバードはエスタブリシュメントの象徴》
法律、経済、医学、等々の専門分野のリーダーたちの中で、ハーバード出身者、ハーバードに属する組織で働いている人たちが多くを占めているという事実がそれを示しています。
しかも、そのほとんどの人たちは、大学の存在の意味、人類の知的な活動の意味等充分理解して、節度を持ってハーバードを支援し、節度を持ってハーバードを中心に据えたネットワーク、系列に連なっていることの影響力を行使してきたと言って良いと思います。
ですから、トランプ政権が無茶苦茶なことをしたからといって、これらの「ハーバード閥」に連なるアメリカのエスタブリッシュメントが形振り構わず、トランプ政権に対抗する手段を使い始めるという事はあり得ません。
しかしながら、2年後の中間選挙そして4年後の大統領選挙を視野に入れると、やはりアメリカのこれまでの歴史、特に知的な活動を中心にした人類全体を網羅する理性的・良識のある社会が、これまで蓄積をしてきた大きな遺産を次の世代に引き継ぐ責任を果すため、今まで以上の影響力を行使するということになると思います。
もう一つマスコミの世界についても考えておきましょう。トランプ政権が得意としているのは、Xを始めとするSNSを縦横無尽に使って、あることないことを巻き散らして、自分たちに有利になるような世論を作っていくことですが、それはアメリカの伝統的なエスタブリッシュメントの手法とは大きく異なります。いわゆるオールド・メディア、その典型的な媒体が、例えばニューヨーク・タイムズですけれども、今後ともニューヨーク・タイムズ、それからボストンに本拠を持つ『The Atlantic』といったような月刊誌、こうした報道機関が事実をもとにした、そして、知的な価値を尊重する方向での報道を、今まで以上にしっかりと続けていく事は、何よりも重要なのではないかと思います。
そしてそのオールド・メディアと連携をしながら、さらにはSNSも賢明に使いながら、アメリカの草の根運動が広がっていくことには期待できます。特に女性たちがこれからどう、より多くの人達の声を結集していくのかという点に注目したいと思います。
《結論とdisclaimer》
さて、トランプのイチャモンに対してハーバードがどのくらい本気で反論・反撃する積りなのか、という疑問を出発点にして、ベトナム戦争反対運動との比較もしながら論じてきましたが、こうして一段落してみると、ハーバードを守る上での最大の砦は、ハーバードという存在そのものなのではないかと言うべきなのだということに気が付きました。
そこで一つお断りしておきますが、この一連の記事では、ハーバードが象徴するエリート主義や、ベトナム戦争の際にも問題になったエスタブリシュメントとしての責任等については、単純化して「理想像」としてのハーバードを前面に出しました。ハーバードの持つ構造的な欠陥等については、別の機会に論じることがあるかもしれませんが、今回は、トランプのシッチャカメッチャカなイチャモンに、知的な価値を重んずる私たちの側からの分析ということで、御理解頂ければ幸いです。
もう一点、日本でも、学術会議の会員任命拒否から始まって特殊法人化まで進んでいることについて、ハーバードと比較しても負けず劣らず酷い状況が続いているのにもかかわらず、社会的な関心がないに等しいことに心を痛めています。日本政府の方針もトランプ政権のイチャモンも、人類全体の拠って立つ知的・理性的価値観を、暴力的な強者の好き勝手な政治に捻じ曲げるのが目的なのですから、もっと世界的な規模での共闘が行われなくてはならないと思うのですが―――。(そんな動きがあるにもかかわらず、私だけが知らないということであれば、まだ救われるのですが。)
皆様にとって、きょう一日が素晴らしい24時間になりますよう!
[2025/6/8 人間イライザ]
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