#アメリカの世論を一人で変えた #ウォルター・クロンカイト ―― #客観的な報道と #自らの見解は峻別――
#アメリカの世論を一人で変えた #ウォルター・クロンカイト
―― #客観的な報道と #自らの見解は峻別――
ウォルター・クロンカイト(Wikipediaから)
#聖職者たちも #伝道の役割を果した
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《ウォルター・クロンカイトが世論を変えた》
ベトナム戦争反対運動が成功した背景には公民権運動と女性解放運動があったことを見てきました。
この3つの運動がそれぞれ絡み合い、そしてお互い同士に力を与えながら、愛的より大きな社会的変革に至ったのですが、運動が社会全体に広まるにあたっては、当然マスコミの役割も重要でした。
「重要」という言葉はこの際アンダーステートメントです。当時、アメリカに住んでいた私の印象では、CBSイーブニング・ニュースのアンカーマンを務めていたウォルター・クロンカイト一人の力で、アメリカの世論をベトナム戦争反対の方向に変えてしまったのです。
ウォルター・クロンカイトとは当時アメリカ中で一番人気のあったニュースキャスターです。彼は「アメリカで最も信頼できる男」というラベルを貼られる位、事実を報道すること、客観的に報道することに徹したジャーナリストでした。そして彼が自分の意見をニュースの中に差し挟む事はほとんどしなかったという点も重要です。私には、ベトナム戦争以外の重要問題についての彼の個人的発言を聞いた記憶がありません。
しかし、ベトナム戦争については、彼がベトナムに赴いて取材をし、特別番組を作った後で、「これは個人的な意見だが」と言うことをはっきりと述べた後、戦争を継続するのではなく、交渉をすべきだというベトナム戦争についての結論を述べたのです。つまり戦争は止めるべきだということです。
この辺の事情については、BS-TBSの「報道1930」キャスターをしている松原耕二さんが御自分のブログで、クロンカイト氏をインタビューしたときのことも交えながら書いていますので、ぜひお読み下さい。
その中にも触れていますが、当時のリンデン・B・ジョンソン大統領はこれでアメリカの世論は自分たちから離れてしまったと述べています。
《聖職者たちも大きな役割を果した》
「クロンカイト氏が一人で世論を変えた」と言った口が乾かない内に、その他の人たちも大きな役割を果したというのは矛盾しているのですが、その時々に受けた印象を羅列して行くと矛盾した事象を受け入れながら、心の中で全体像としての整理を徐々にしているようです。
私が「アメリカの家族」と呼んでいたサマーズ家に、高校で留学したときには一年間(1959年から1960年)お世話になったのですが、68年に大学院に入ったときにもまずサマーズ家に寄りました。穏健なアメリカ人の典型だと言って良いような家庭でしたが、当時の日本の高校生との間には政治的な考え方にはずいぶん差がありました。
丁度60年安保が話題になっていたころで、アメリカでも「Zengakuren」が一面トップの見出しになったくらいです。私は全学連の立場を一生懸命説明しましたが、MR.サマーズだけではなく、彼の友人たちもアメリカの軍隊が日本に駐留して日本を守っていることに感謝すべきだという立場でした。議論は平行線を辿り、そのまま日本に帰ってきてしまいましたが、8年後にはサマーズ家の考え方はがらりと変わっていました。
「タッド(愛称としてこう呼ばれていました)、私たちは間違っていた」から始まって、ベトナム戦争が間違いであることを、アメリカの世界戦略等についてのより広い文脈から考え直した、とのことでした。
サマーズ家の政治観が変った原因の一つは、息子のスティーブが大学の中での議論を両親に伝えていたことも大きかったのですが、もう一つ、教会の影響があったのです。
高校時代、日曜になると嫌々ながらサマーズ家の3人と一緒に教会に「連れて行かれた」のですが、牧師さんのお説教はあまり面白いものではなく、政治の問題が話題になることもありませんでした。とは言え、教会の皆さんにはとても親切にして頂き、一年間が実り多いものになったのは教会を通してのネットワークの存在が大きかったことは、後々良く分りました。
しかし、68年のメソジスト教会の牧師さんはまだ若い人で、毎週、ベトナム戦争や時事問題についての知識を会衆と共有し、サマーズ夫妻もこの牧師さんの大ファンになっていたのです。
これは、シカゴ郊外の保守的な小さい町だけではなく、おメリカ中の多くの地域で起きていた現象なのではなかったかと想像出来ました。若き聖職者たちが真実の伝道者になっていたのです。
ある意味、アメリカ社会でのクロンカイト氏の評価は「聖職者」とでも形容したら良いようなものでした。それも毎日のテレビを通してのものでしたので、聖職者のトップと言っても過言ではなかったと思います。そのクロンカイト氏が、「聖職者」のトップとしての立場から、ベトナム戦争反対という言葉を発したのですから、瞬く間に燎原の火の如くアメリカ中に広がったとしてもそれは自然なことだったのです。
皆様にとって、きょう一日が素晴らしい24時間になりますよう!
[2025/6/6 人間イライザ]
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