無党派層

2024年8月16日 (金)

#選挙 と #損得勘定 ――#同級生の投票行動から考える・第5回――

#選挙 #損得勘定

――#同級生の投票行動から考える・第5回――

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政権交代も損得勘定から

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東京都知事選挙についての同級生との会話から始まった、選挙についての論考を続けています。分り易さを優先していますので、疑問点や反論等があって当然です。そんな時には是非コメントをお寄せ下さい。コメントそのものは非表示にして、回答だけアップさせて頂くことも可能です。

前回は、1990年の衆議院選挙では、消費税による損得が有権者の投票を左右したことを指摘しましたが、その後の政権交代でも、経済やお金、つまり損得が大きな要因になっています。

1993年の選挙の結果、自民党宮沢政権から細川政権への交代が起きたのですが、それはリクルート事件東京佐川急便事件という金権腐敗事件の影響が大きかったせいだと考えられています。詳細はそれぞれについてのWikiwandの記事を御覧下さい。

次に、2009年の衆議院選挙の結果、民主党が単独過半数を勝ち取り、自民党の麻生内閣から、鳩山内閣への交代が実現したのも、民主党がマニフェストや脱官僚政治を掲げたからだということももありますが、背後にはやはり経済問題とマスコミの影響があります。経済的には、米英の「レーガノミクス」の失敗をわざわざ日本にも導入したことで起きた経済の停滞と、リーマン・ショックによるダブル・パンチが大きかったのではないでしょうか。この点を分り易く解説している記事がYahoo知恵袋へのベストアンサーとしてアップされています。お読みください。

そして、民主党政権の崩壊も、かなり損得に関係しています。何しろ、消費税率を8%に上げたのですから。さらに民主党の経済政策も、目に見える形でのアピール力に欠け、さらにマスコミの報道でネガティブな色を付けられてしまった「2位では駄目なんでしょうか」等のイメージが付いて回った結果、低く評価されていたのですから。

ここまで振り返った上で、東京都知事選挙を再度見直してみましょう。カギになるのは蓮舫候補の得票をどう見るかですが、蓮舫知事の実現を信じていた人たちから見れば残念であるばかりではなく、3位になったことに腹が立つことも十分理解できます。でも、「蓮舫候補は健闘した」という評価を前提に結果を分析した方が、納得できるような気がします。

まず、私の同級生たちのように、蓮舫候補本人にはコントロールのできない「嫌い」という感情が付いていたことがある中での選挙でした。そして安倍元総理が繰り返し使うことでかなりの人の頭にこびり付いてしまった「悪夢の民主党政権」のイメージがそれに重なっていました。蓮舫候補は、選挙中にネガティブなイメージをポジティブなものに変えるという、至難の技を課せられていたのです。

そう考えると、ある意味惨敗しても仕方がなかった選挙でこれだけの結果を残せたのは評価に値します。それは、初めて一人でスタンディングをした多くのボランティア、そして蓮舫選挙の意味を情熱をこめて訴えネットワークを広げた女性たちとその仲間の皆さんの力があったからでしょう。その点は高く評価すべきだと思います。

対して小池候補は、知事としてコロナで窮状に陥った小規模の飲食店や企業に補助金を配る側にいたのですし、子育て等に関連する補助金は選挙直前や選挙中にも続いていたのですから、損得という視点からは多くの味方がいてもおかしくはありません。

勿論、自民党と闘うというお題目で当選しておいて、その自民党と癒着していることや、環境破壊、開発事業の不透明さ、学歴詐称と厳しい批判に晒されてもいましたが、隠れたり隠したり、さらにはそれと連携したマスコミの協力等もあって、前回の選挙ほどではないにしろ当選することができた、と言っても良いのではないかと思います。

では石丸候補への支持はどう見るべきなのでしょうか。長くなりましたので、次回取り上げたいと思います。

 

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2024年8月15日 (木)

#損得が関わらなければ #現状維持 ――#同級生の投票行動から考える・第4回――

#損得が関わらなければ #現状維持

――#同級生の投票行動から考える・第4回――

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選挙結果は無党派層が動かしている

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まだこだわっているのかと笑われそうですが、東京都知事選挙についての同級生との話から、私が改めて感じたことを単純化して四つにまとめてみました。(これまでの経緯は、昨日のブログから御確認下さい。)

  1. 候補者についての「好き嫌い」は、変えられない。
  2. 自分の投ずる一票がどんな影響を与えるのかについて、多くの人は理解している。
  3. 自分の損得に直接響かない限り、現状維持を選択する。
  4. 選挙制度を変え、社会との関わりについて「当事者」意識を持ち、それを共有できれば政治は変わる。

前回は、2.を取り上げましたが、それは、3.と一緒に考えないと分り難いかもしれませんので、改めて説明したいと思います。

前回の結論を要約すると、一つには、私たちが、マスコミ等の情報を元に、いわば「常識」とでもいうレベルで受け止めているのは、選挙の結果の多くは無党派層がどう投票したかによって決まるということ。もう一つは、投票率そのものが低いのも無党派層の動きに大きく左右されているということでした。

もっと短縮すると、選挙結果は無党派層が決めていると言っても良いのですが、2.では、それを無党派層の人たちが理解していると表現しました。(以下、無党派層の人たちと言うべきところでも「無党派層」と簡略化します。)

それは、無党派層が多数を占め続けていること、そして選挙結果を決め続けているからなのです。

選挙結果を見て、当選した側に投票した人は満足するでしょう。逆に負けた方の人たちは悔しい思いをするに違いありません。死票の多さに憤りを感じる人も多いはずです。そして、無党派層は、自分たちの (以下、穏やかならぬ表現ですが、端的に全体像を示すために使います) 「気まぐれ」な投票結果が思う通りになったのですから、「気まぐれ」の部分も含めて満足していると考えて良いでしょう。

その結果として、「無党派層」であり続け、「気まぐれ」な投票をすることも続けていると解釈すると、無党派層が減らない理由も分ります。自分の判断通りに事が運んだことから、次も同じように事が運ぶであろうことを(無意識裡にであっても)、無党派層が想定して選挙そのものを見ていると考えて良いでしょう。それを、「自分の投ずる一票がどんな影響を与えるのかについて、多くの人は理解している」と表現しても良いのではないでしょうか。

となると、(と、ならなくても選挙の結果からの教訓として)、選挙に関わる人たちの立場から考えると、無党派層を取り込むためには、無党派層の構成メンバーたちの政治観、社会観等を知ることが重要になります。

そしてこれまでの多くの選挙結果を見ると、基本的には3.の、「自分の損得に直接響かない限り、現状維持を選択する」が無党派層の基本的な考え方だと言えるのではないでしょうか。

こう書くのは、無党派層を批判するためではありません。一つの解釈として社会全体が保守的になるのは、社会そのものを継続させるために必要なメカニズムなのだ、とも言えるのですが、同時に、為政者たちは意図的に、多くの人がこう行動せざるを得ないような枠組みを作り、私たちはその制約の下生きなければならなかった、そしてそれが今も続いているという側面も重要です。

この点を御理解頂くために、一例を挙げましょう。これは損得以上に人間の尊厳に関わることですが、何らかの理由で生活保護を受けたいと考えている人は、役所に申請をしなくてはなりません。でも、その申請を自治体の窓口が受け付けないという、とんでもない事案がいまだに全国的に見られます。為政者たちの恣意的な思惑で私たちの権利が脅かされているのですが、これほど切羽詰まった状況で、個人が声を上げても、それが届かず、「現状維持」、つまり生活保護が受けられないという状態が続くのです。

「現状」では法律違反が行われているからそれを止めさせるために、法律違反を知っている内部の人間が問題提起をする「内部告発」も、日本社会ではまだまだ異端視されていますし、力を持つ為政者や経営者たちからは、実力で阻止されている事例が後を絶ちません。

兵庫県の職員が法律的に根拠のある公益通報制度を使おうとしても、知事以下の権力がそれを「違法」だと断定して、闇に葬ろうと画策している一例だけで私の言いたいことは十分通じると思います。

選挙に話を戻すと、自分の損得に直接影響があると感じた多くの有権者が自民党に反旗を翻した例として、1990年の衆議院選挙を挙げておきましょう。

その時、社会党の候補者で当選しなかったのは、2,3人で、当選者全員で150名ほど、一年生議員が61人も生まれました。私もその一人でした。その理由は、政府が導入しようとしていた消費税が、従来は自民党支持の中小・零細企業経営者にとって大きな負担になることでした。社会党は消費税導入に反対していたのです。

ここで、「損得」の中に、政治の腐敗や民主主義の破壊、特に金権政治に対する市民の怒りが入る場合もあります。有権者、主権者としての市民が、「政治」に「当事者」として関わる場合、健全な政治を破壊することは、自らの「損」になると感じる人がいるという点が重要です。

長くなりますので、次回に。

 

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2024年8月14日 (水)

#一票の価値 #棄権する人も理解している ――#同級生の投票行動から考える・第3回――

#一票の価値 #棄権する人も理解している

――#同級生の投票行動から考える・第3回――

240814

選挙結果は無党派層が動かしている

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高校の同級生二人との東京都知事選挙の話から、選挙とその意味について、特に選挙に勝つためにはという視点を忘れずに、考えています。最初の回はこちらからお読みください。

同級生との話から、私が改めて感じたことを単純化して四つにまとめてみました。

  1. 候補者についての「好き嫌い」は、変えられない。
  2. 自分の投ずる一票がどんな影響を与えるのかについて、多くの人は理解している。
  3. 自分の損得に直接響かない限り、現状維持を選択する。
  4. 選挙制度を変え、社会との関わりについて「当事者」意識を持ち、それを共有できれば政治は変わる。

前回は、最初の1.について取り上げましたが、今回はそこから発展して、2.を考えます。

選挙の度に問題になるのは、「無党派層」とか、「浮動票」と呼ばれる人たちの投票行動です。どの世論調査でも政党支持をしている人より多い人たちがここに分類されていますので、選挙に勝つためには、この層の人たちの多くから支持され一票を託されるように作戦を立てることが普通に行われています。

それは当たり前のことなのですが、「無党派層」に属する人たちの性格付けとして私たちが何となく受け入れているのは、政治に対する関心がそれほど高くない人たちという断定だったり、一票の重みについての十分に理解していない人たち、というような解釈ではないでしょうか。選挙で棄権する人たちの割合でも、無党派層の人たちが多くなりますので、投票に行かない理由の一つとして、一票の価値が出てくるという構図です。

さらに、選挙の投票率が低いときには、無党派層の関心が今一だったというような説明がされることもあります。

同時に、大方の予想とは違う選挙結果になったりすると、それは「無党派層」が支持した結果だという解釈がそれまた大勢になります。どんな選挙でも、純粋に無所属という候補はまれで、どこかの既成政党の推薦とか支持とかというラベルが張られますので、それらの支持母体の持つ既定票以上の票がどこから来たのか、といわれると、こういう答になることは分ります。

でも、白と黒を反転させた図として考えてみると、このような現実は、無党派層の人たちの一票一票が選挙の行方を決めていることになりますので、無党派層に属する人たち一人一人がどのような判断の元に誰に投票しているのかを理解することは、勝つための選挙作戦を立てる上で重要になります。

これを逆説的に「自分の投ずる一票がどんな影響を与えるのかについて、多くの人は理解している」とまとめたのですが、この点について納得して頂くためには、その次の3. 「自分の損得に直接響かない限り、現状維持を選択する」を一緒に考えなくてはなりませんので、次回に論じます。

 

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