#コロンブス問題 (その5) ――#板坂元氏の #無知論――
#コロンブス問題 (その5)
――#板坂元氏の #無知論――
進化論とは?
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シリーズはこれで終りです。江崎玲於奈筑波大学学長の1992年の入学式式辞の中のさわりを念のため掲げます。
大学を出るまでには、独立した人間になってもらわなくてはならない。独立の人間とは「自分自身で価値判断のできる英知」を持つ人間である。今後の人類の平和と繁栄という視点から重要なのは、たとえば大学で教えられる固定されたプログラムに「疑問を持ち、あるときは拒否したり、あるいはそれを改善したプログラムを作成するというような努力」の結果、「卓越したプログラムが創造できるような人間」になり、「グローバルな視野でものごとを考え」られることである。
同じ1992年のマスコミの報道について、ハーバード大学の板坂元氏は、社会進化論が根底にあることを指摘しています。彼の著書『老うほどに知恵あり』(PHP研究所、1994年刊)の中の「無知論」から引用しますが、これがどの大学でも良いのですが、その年の入学式の式辞だったら、と思うのは私だけではないでしょう。
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(前略)
極東とは、ヨーロッパが世界の中心で、近等・中東・極東と考えた時代の古臭い言葉だし、やはり一種の差別語だ。キップリングの「東は東、西は西」といった尊大な白人優越主義の考えに裏打ちされた言葉だから、いやしくもアジア人は使うべきではない。世界史という名で欧米の歴史を教えていた時代はもう過去のことになっているのだ。
ただし、テレビのタレントの挙げ足取りをするつもりはない。が、こういう発見という言葉を不用意・無反省に使うことを止すことかゆら日本人の国際化は始まると私は思っている。というわけは、19世紀以来欧米人が頑迷に抱きつづけできた社会進化論を葬り去る時が来ているし、日本人はその喪主の一人になるべきだと考えるからだ。
人類は動植物同様に進化する、と19世紀の学者たちは信じた。そして、最も進化したのが白人、つぎに黄色人種。いちばん進化が遅れているのが黒人、という図式を社会進化論者は描いた。だから、白人は自分たちより劣った人種を指導する責任があると彼らは考える。原住民たちにキリスト教を教え込むべきだ。彼らは、法律も政治も知らないから白人が治めてやらねばならない。経済も無知だから経済活動は白人がやって、彼らには原料と労働力を提供させればよい。こういった意識が十九世紀の帝国主義の根幹になり、白人たちはアフリカ、アジア、南米などに広大な植民地を作った。搾取と収奪は正しいことであり、神から許され励まされる所業であると彼らは信じていた。
そういう思想も政策も、今となっては、誤りであり白人の思い上がりであったことは、南アフリカの例を一つ取ってみてもわかることだ。
だが、私は、帝国主義北判をここでするつもりはない。注意しなければならないのは、白人から劣る人種と見なされた日本人が、明治維新以来、社会進化論の焼き直し版を信じ、アジアの盟主、アジシアの指導者という思想を作り上げ、ミニ帝国主義を実現しょうとしたことだ。「支那四億の盲しいたるたる民を救え」といったスローガンは、朝鮮半島を植民地にしたり、満州国を作ったりという尊大と横暴な愚挙を生み出して行った。それが大東亜共栄圏とか八紘一宇とかいうバブル思考につなが、やがて破算するに至ったことは詳しく述べるまでもない。
(後略)
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もっと多くのマスコミ人や芸能人が、1992年にこの文章を読んでいたら、とも思いますが、まず私たち自身が、もう一度背筋をシャンと伸ばして身を律することから始めるべきなのかもしれません。
今日一日が皆さんにとって素晴らしい24時間になりますよう
[2024/6/19 人間イライザ]
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