原爆投下

2024年8月31日 (土)

#駐日大使 の #式典招待は ――#知って貰うため #友達になって貰うため――

#駐日大使 #式典招待は

――#知って貰うため #友達になって貰うため――

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#平和の原点シリーズ第2

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《駐日大使を招待するのは》

前回、結論として掲げたのは次のような内容です。

結論として、アメリカ人 (そして敢て付け加えますが、どこの国の人であっても) 広島に来ることには大きな意味があるのです。きちんと勉強をしてから来てくれた方がその効果はより大きくなると思いますが、それも含めて、どのような条件も一切付けずに「広島に来て下さい」と、誰にでも自信を持って勧めるべきだと、敢て言い切りたいと思います。

この結論からは、世界中のリーダーたち、特に核保有国、その中でも原爆を投下した唯一の国、しかも核超大国であるアメリカの大統領には広島訪問を促すべきだという事になります。とは言え、こちらが招待したからと言って世界のリーダーたちがおいそれとやって来てくれるほど暇ではないでしょう。周到な準備が必要です。

自然な流れとして、各国の代表 (略して駐日大使と呼びます) を広島に招待すること、それも86日という特別な日に、平和記念式典に参加するという形での広島訪問が適切であることは言うまでもないでしょう。

招待することが大切なのは、広島に行きたいと考えている大使がいたとして、各国の外交部門も官庁の一つですから、予算を付けて広島に行くという口実が必要です。その口実として、「招待された」は立派に通用するという意味があります。あるいは、他国への遠慮があったとしても、「招待されたから」という説明で、批判を避けることが可能です。その他の理由もありますが、多くの国の駐日大使がこの招待を歓迎してくれました。

招待した以上、交通費は別としても、何らかのおもてなしは必要です。5日の夜には出席して下さる各国大使やその代理の方を心の籠った夕食会に御招待することにしました。その席で、ホストとして式典に参加して下さったことへの感謝の御挨拶をすると同時に、慰霊の場に相応しい式典の意味や被爆の実相、そして被爆者のメッセージについて、英語で直接皆さんにお話しする時間を設けました。平和への祈りを共有することにも配慮しました。

東京に戻られてから、「式典に感動した。夕食とヒロシマ・レクチャーにも感謝している」というお礼の言葉を寄せて下さった方もいらっしゃいました。各国の代表の皆さんに一人でも多くヒロシマの友達になって貰う、そして被爆の実相や被爆者のメッセージについて学んで貰う、という目的の意味は伝わったと感じました。

仮に、駐日大使を平和記念式典に招待するという行動を「駐日大使プロジェクト」と呼ぶとして、このプロジェクトの目的は、慰霊と平和への祈りという本来のものに加えて、友達作りと教育もあるとまとめられますから、最初から、誰かを呼んで誰かを呼ばないなどという、「選別」または「排除」とい考え方とも全く相容れない枠組みだったのです。

こんな枠組みですので、仮にも「選別」や「排除」というような考え方そのものが馴染まないのですが、そんな異質の概念を持ち込むことが、広島にとって、また世界にとってどんな意味があるのかを次回は考えたいと思います。

 

今日一日が皆さんにとって素晴らしい24時間になりますよう

 

[2024/8/31  人間イライザ]

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2024年8月 9日 (金)

#原水禁 #国際シンポジウム ――#2045ビジョン と #NoFirstUse #提案しました――

#原水禁 #国際シンポジウム

――#2045ビジョン #NoFirstUse #提案しました――

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私も英語と日本語で発言しました

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被爆79周年原水爆禁止世界大会の国際シンポジウムは86日の午前9時から開催されました。まずその概要です。

テーマ    核兵器廃絶に向けた第一歩を踏み出すために

司会                        谷雅志                    (原水禁事務局長)

開会あいさつ         金子哲夫               (原水禁共同議長)

キーノートスピーチ  藤本泰成         (原水禁顧問)

パネリスト              イ・ヨアンさん         (参与連帯・韓国)

                             トム・アンターライナーさん   (軍縮キャンペーン・イギリス)

                             デービッド・ギブソンさん       (ピースアクション・米国)

                             秋葉忠利               (原水禁顧問)

コーディネーター 藤本泰成               (原水禁顧問)

まとめ

閉会

ネットの接続が上手く行かず、アンターライナーさんは参加できませんでしたが、アメリカや韓国の状況、さらに日本を加えた北東アジアの情勢等多岐にわたる分析と、各国での具体的な運動等について、実りあるシンポジウムになりました。

その内容は、是非ビデオで御覧頂きたいのですが、当日の同時通訳の日本語を拾えませんので、その点は御承知置き下さい。

 

このシンポジウムで私は、開会総会の締めの挨拶で強調した点を国際的にアピールしました。その原稿は、追ってアップしますが、簡単に要点だけここに記しておきましょう。

[2045ビジョン]

被爆100周年にあたる2045年までに核兵器を廃絶することを目標に掲げて世界的運動を展開する。それまでの中間点の2035年までに、核兵器保有国が「No First Use」、つまり、核兵器の先制不使用に合意する。この計画を[2045ビジョン]と名付ける。

この発言は英語で、27:30くらいから始まります。その後の質疑の中で、日本の政治環境を変える必要のある事を、これも英語で、54:34くらいから訴えています。

このシンポジウムには、約550人の方が出席されていましたので、私の主張の背景として、「ヒロシマ」の意味とその重みを生かさなくてはならないこと、特に総理大臣や広島市長の役割の大きいことを今度は日本語で強調しました。十分には説明できませんでしたので、このブログで近く詳説しますが、平和記念式典にだれを呼ぶ呼ばないということの基本にある「ヒロシマ」の意味についても言及しました。始まりは、1:06:32です。

最後に、コーディネーターの藤本さんの強調されていた、核兵器の廃絶の基本的意味は、命を尊ぶという思想だ、を受けて、憲法と政治について、拙著『数学書として憲法を読む――前広島市長の憲法・天皇論――』から何点かをかいつまんで説明しました。これも日本語で、1:21:10くらいから始まります。

多くの分科会が並行して開かれ、極暑の中の平和行進等もある世界大会ですが、核兵器廃絶のための情熱と知恵が結集されていることを改めて確認する機会になりました。

 

今日一日が皆さんにとって素晴らしい24時間になりますよう

[2024/8/9  人間イライザ]

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2024年6月15日 (土)

#石棺で覆い #100年以上かける覚悟 ――#東電 も #このことは分っているはず――

#石棺で覆い #100年以上かける覚悟

――#東電 #このことは分っているはず――

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結局は放射能の減衰に頼る他はないのです

(環境省のホームページより https://www.env.go.jp/chemi/rhm/h29kisoshiryo/h29kiso-01-02-07.html)

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前回は、廃炉が不可能であるという二人の専門家による指摘と、そして京大の一つの研究所の比較研究の結果を取り上げました。まだお読みでない方のために、再度リンクを貼り付けます。

 ①  『アエラ』の20223月7日号に、小出裕章さんが、明確に「廃炉は不可能」と言っていますし、その説明も分り易く説得力があります。

②  『テレ朝news』の2023311日号では、元東工大の研究者、澤田哲生さんの「デブリを完全に取り出すのは不可能」という言葉を載せています。

③  スリー・マイル島とチェルノブイリという先例と福島の比較検証――京都大学大学院経済学研究科 フェローの竹内敬ニさんの再生可能エネルギー経済学講座の中の「福島原発事故の処理、廃炉は何年かかる?40年前の米TMI事故炉の廃炉も未着手」

そして本当は、「石棺」で覆うこと、そして100年も掛かることは、東電も承知の上で今の路線を突っ走っている可能性もあります。

とはいえ、私たちが合理的な判断で未来の作戦を立て直すために、原発によって発生する毒についての主要な注意点を簡略にまとめておきましょう。

(A)  放射性廃棄物 (ここで、「廃棄物」とは、人間の役に立たないので廃棄せざるを得ないものを指す。) は、元々の原料であるウランの採掘から始まって、原発の稼働や、その停止、停止後の処理等々、あらゆる場面で生産され、その量はいわば「指数関数的に増える」。

(B) 「廃棄物」とは、婉曲語法、または隠蔽語法で、人間に害を与える「毒物」であるというべきもの。

(C)  そして、その毒性の元である放射能を、無毒化することはできず、冒頭のグラフに示したように、毒性が減衰することを待つしか方法がない。

(D)  その間、これらの毒物と人間とをどう隔離しておくのかが問題であって、100年計画 (その単位で考えなくてはいけない長期的問題であるという意味で、100年経てば解決している問題だということを言いたいのではない。) を立てて、すでに大きな被害を与えてしまった人々には十分補償を行いながら、問題の発生責任者たちが覚悟を決めなくてはならない。

福島の過ちを繰り返してはいけないことは、広島・長崎を繰り返してはいけないことと同じ重さがあるのですが、科学的知見を元に考えると、そもそも人間が手を出してはいけないことだったのです。

そんなことを人類が考え実行してしまった心理的な背景に、広島・長崎の悲劇の重さを謙虚に受け止めることができず、「理想のエネルギー」を実現することで広島・長崎への償いをしたい、とでもいった「正当化」の気持ちとでも呼べるような動機が、どこかで働いていたのかもしれません。

 

今日一日が皆さんにとって素晴らしい24時間になりますよう

[2024/6/15  人間イライザ]

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2024年5月29日 (水)

#廃炉館 と #福島第一原発 敷地内 #視察 ――#引き続き #午後の講義 そしてその後の #感想――

#廃炉館 #福島第一原発 敷地内 #視察

――#引き続き #午後の講義 そしてその後の #感想――

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#美しい田んぼ

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広島県原水禁の福島原発視察についての同時進行メモです。詳細はいのちとうとしさんが後日、まとめて下さいますので、備忘録として、視察の現場でのインタビューを中心にお届けします。

二日目は、東電が富岡町に立てた廃炉館で専用バスに乗りこみ、福島第一原発の敷地内に入りました。「百聞は一見に如かず」の感を深くしました。その後、浪江町に移動してお二人の方から現地の様子を詳しく伺いました。そして、参加者の中から、お二人の女性にコメントを伺いましたので、お読み頂ければ幸いです。

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中谷悦子と言います。今回は個人で来ましたけれども原水禁の常任理事ということと、日頃は被爆二世の活動をしています。今回個人で来た理由というのは、私は実は2013年、事故の2年後に自分で車を運転してこちらに来て、それかられ2年後ですねそれから1年後の2014年にもう1度来たんですけれども、その時っていうのはやはり見る ことすべてが生々しくて原発事故の大きさっていうのは確かに感じ取れました。自分が見るものに驚かされたというのが大きな印象だったんです。

それから10年来てないわけです。で、このままでは自分の中で福島のことを忘れてしまうんではないかっていう思いがあって今回参りました。

今回来て思ったのは、やはり原発事故というものがいかに巨大でそして人の暮らしを奪う、人の命を奪うという風な大きな事故であるということ。それは地震自信が原因だとは言うけれども、でもその元を作ったのは やはり東電であり日本政府であり、そこに群がる人たちだということ。

決してみんなが喜んで作ったわけではない、中には反対をした人もいる、でも事故はそういう人たちを巻き込み犠牲にしていったということで、やはりそこには許せないっていう思いを持ちました。

それともう1つ思ったのはやはり放射線の恐ろしさです。何年経とうと消えないという恐ろしさっていうのを、今回、地域の様子を見たり、それから原発の中に入ってほんとに強く思いました。

で、それを広島との繋がりで簡単にまとめると、原発も原爆も最終的には放射線を作る核分裂です。やっぱり核っていうものを絶対に人間、人類とは相容れれないもの、人類だけではなく地球と相容れないって強く思いました。

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森下敦子といいます。現在は広島平和教育研究所に所属しています。

私は2013年と2015年東日本大震災の後、北部の方、岩手県や宮城県辺りは少しだけですけども被災の状況を見たことがありますが、その時福島には行かれませんでした。でこの度福島の発電所の中を見ることができるというので、この機会は普通ではなかなか持てませんのでよかったら行かせてくださいということで申し込みました。実は私は広島市の北部の方の本当に山と山が迫った狭いところに田畑を、ほんとに猫の額ぐらいの狭い田畑を受け継いだ立場にあるんです。昨日からずっとバスでこの辺りを走ったんですけども本当に田畑が広くて、羨ましいぐらい広くて、すごい豊かなとこだったんだろうなと思いました。

私の狭い田んぼにこの間田植えをしたんですけど、田植えがしてある田んぼの風景は本当に素敵で大好きです。バスから見てもいいですし、飛行機の上から見下ろしたらそれはそれは綺麗な景観なんですよね。それがもうどこもほとんどの地域で、そんな風景がめちゃくちゃにされている。帰還もされてないというような事情で。それを見て、ほんとになんかもったいないというか、悲しいというか残念というか、そんな気持ちが第一印象です。これは東北地方の北の方を見た時にはなかった感想ですね。

原発の中を見させていただきましたけれども、これまで私たちの研究所の方でも原発事故のことは学習したり資料を作ったり随分関わってきたんですけれども、本当に今日現地に入ってみて、いやこんな状態なのかっていうことがまざまざとわかりました。まず資材の多さ。所狭しと色々な資材があったり使われなくなった機械や部品が野ざらしで置いてあったり。そういうところを写真に撮ることができなかったので頑張ってスケッチしたんですけども、まずそれに驚きました。

また働いてる方々を見ながら、働くモチベーションはいかばかりなのかなと思いつつも、世の中には誰かがやらなければならない仕事っていうのは色々あるわけですよね、だからそう思いつつ、今回のこの2011年のこの事態は今ここで働いてる方々には何の責任もないのに、結局はその責任を取るのは国民なのか、他の誰かなのかということをちょっと考えましたね。

で、大まかな廃炉に向けた工程は聞かせてもらったんですけれども、きっとこれは果てしのない作業になるのだと思います。多分、この原発の事故を知らない、若いこれから生まれてくるであろう世代の人たちもこの作業に関わるわけですね。

電気はとても必要なエネルギーですけれども、他にも色々エネルギーはありますよね。どのエネルギーにしても最後はどう片付けるのかとか色々課題はあると思いますが、原発ほどではないと思います。

実はもう一つ気付いたのは、耕作されてない田畑のあちこちに太陽光パネルがあったんです。それを見ながら、自然エネルギーではあるけれどこの電気は誰が使うのかなとか、住民は帰還してないところでしたから、美しい田園風景がなくなって今度は無機質な無機質な太陽光のパネルがあちこちに、それもこれからも増えていくでしょう。こういう田園風景は見たくないなとすごく思いました。

今そういう感想で、また広島に帰っていろんな人にこの話を伝えたいと思いました。

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[2024/5/29 人間イライザ]

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2024年5月 4日 (土)

#戦争が起きる前に #人が死ぬ! ―― #竹信三恵子さんの #講演――

#戦争が起きる前に #人が死ぬ!

―― #竹信三恵子さんの #講演――

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会場は満杯でした (空席は取材の終ったマスコミ席です)

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「戦争させない・9条壊すな!広島総がかり行動実行委員会」主催の憲法記念日集会に参加してきました。「2024 平和といのちと人権を! 53ヒロシマ憲法集会」です。

今日の講師は、ジャーナリストで和光大学名誉教授の竹信三恵子さんで、タイトルは「憲法9条で生活破壊を止めよう――戦争が起きる前に人が死ぬ!――」でした。

広島弁護士会館のホール一杯の人が集まり、オンライン参加を含めると450人の参加者があったのと事でした。会場が熱気に包まれていたことは付け加えるまでもないでしょう。

講演の内容や採択された決議は、いのちとうとしさんがアップされると思いますので、このブログでは、講演を聴きながら膨らんでいったいくつかのイメージをお伝えします。

講演の柱は、今の政治は軍拡のために私たちの生活を破壊していることですし、特に女性の社会的な地位や経済的状況を為政者たちが操作することで、その現実を誤魔化してきた上に状況を悪化させてきたという指摘です。

数字としては、戦争に明け暮れた戦前の軍事予算は、国家予算の7割も8割も占めていた時代があり、同時に当時の女性たちが自立できないような環境も押し付けてきたこととの関連性についての鋭い指摘がありました。

国の予算のほとんどが戦争・軍隊のために使われている状態で、市民の生活が成り立たないことは誰にでも分ることですが、今という時代がその方向に向かっているという自覚を持つことの重要性にも言及されました。

実は、この視点が都市としてのものであること、だからこそ、平和市長会議が広島市や長崎市の呼び掛けに応じて、核兵器廃絶と世界へ宇和実現のために立ち上がった歴史が頭に浮かびました。

そして、「戦争が起きる前に人が死ぬ!」という言葉からは、「原爆は爆発する前に人を殺す」を思い起こしていました。

この原理から分るように、③の段階で既に大量の放射線が発生し致死量以上が地上に降り注いでいます。その放射線を受けた人たちは、その結果として (その場ですぐではありませんが) 死に至るのです。

爆発後の破壊力が余りにも大きいため、この点が注目されることはほとんどありませんが、でも、人を殺傷するメカニズムの一部ですから知っておくべきことでしょう。

そして、竹信さんが警鐘を鳴らしたことをもう一つ上げておくと、(グラフが再現できませんので、簡単に言葉で説明します) 軍事費が防災費より多くなっているという事実です。この点については、私もこれまで何回も提唱してきた「防衛省防災省に」とも重なります。「防衛省を防災省に」することで、全ての問題が解決される訳ではありませんが、日本人の命を守るという観点からはどうしても必要な方向転換です。

最近の私のブログの記載も御覧下さい。

能登半島地震で年が明けた今年、台風や豪雨等、これ以上の災害が起きないことを祈りつつページを閉じます。

 

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[2024/5/4 人間イライザ]

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2024年5月 3日 (金)

#公的謝罪の歴史 ―― #米政府の「リドレス」が #衝撃でした――

#公的謝罪の歴史

―― #米政府の「リドレス」が #衝撃でした――

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日系アメリカ人の強制収容と言えばこの本でした

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安保法制違憲訴訟の会から頂いた刺激が前向きに作用しているせいだと考えていますが、関連した出来事にまで思いが飛んで、新たなエネルギーが湧いてきている感じです。それらを筋道立てて説明するのは後回しにして、憲法記念日に当って、個人の権利回復のために公的存在、それも強大な力を持つ国家や宗教が、公的に謝罪した実例をいくつか挙げておきましょう。

私が、政治について楽観的な気持を持ち続けている理由はいくつもあるのですが、その一つが、1988年にレーガン大統領による日系アメリカ人への謝罪です。

「ディスカバー・ニッケイ」というブログ中、村川庸子さんが執筆された「アメリカの戦後補償(リドレス)」から引用します。分り易く感動的な考察ですので、一読をお薦めします。

1988810日、レーガン大統領が市民の自由法(Civil Liberties Act of 1988)に署名した。日米戦争中に強制立ち退き・収容された日本人移民および日系アメリカ人に対し公式に謝罪し、各自に2万ドルを支払うというものであった。

賠償も、ただお金を払うというだけではなく、例えば、強制退去によって大学を去らなくてはならなくなった人たちのための特別の卒業式が、2008年にワシントン大学で開かれたりもしています。

村川さんによると、「アメリカの日本人移民および日系アメリカ人の強制立ち退き・収容に対する戦後補償はこのような形で一応の決着をみた」のですが、それでも70年近く掛っています。

私個人にとっては、アメリカ政府が自らの過ちを認めて謝罪すること、さらにその過ちによって被害を受けた人たちへの賠償を行うということが衝撃でした。それは、1980年に「基本懇」と呼ばれる懇談会――いわば日本政府の主張があたかも客観性のあるものの如く被せる衣の役割を果している組織ですが――が、「受忍論」と呼ばれる見解を公表して、「戦争の犠牲は国民があまねく受忍すべきだ」という方針を政府に答申したこととの違いに驚いたからです。

さて、人種差別という共通項からは、当然、奴隷制度と黒人差別に対してはどうなのかという疑問が生じますが、2008年にアメリカの連邦下院は、アメリカにおける奴隷制度とそれに付随した差別的な法律に対しての謝罪決議を採択しています。

また、2009年には上院が、「不当、残虐、野蛮、そして非人間性を具現した奴隷制度」について謝罪する決議を満場一致で採択しています。同時に、この決議が賠償を請求の根拠にはなり得ないことも明示的に謳っています。(Wikiwandの記事から)

最後の点とも関係しますが、これらの決議だけでアメリカ社会の差別主義的な傾向が全て是正されたわけでもありません。2020年のジョージ・フロイド事件とその後の「Black Lives Matter」運動がその証拠です。さらに、奴隷制度が与えた被害に対する補償も議論が始まったばかりです。

時間が掛かると言えば、ガリレオの裁判が頭に浮かびます。1633年に、地動説を唱えたことで裁判に掛けられ有罪になったのですが、1992年、ローマ教皇ヨハネ・パウロ二世が、ガリレオ裁判の誤りを認めて謝罪しました。その間、359年です。

権力や権威が真実を認め、謝罪をするのにこれほど時間が掛かるということを示していますが、もう一つ強調したいのは、それでもこの359年間に科学は進歩していたという事実です。

さて、こうした歴史から、核兵器の廃絶や原爆投下を正当化し続ける日米政府についてどんな教訓を汲めば良いのでしょうか。

 

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[2024/5/3 人間イライザ]

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2024年4月30日 (火)

#安保法制違憲訴訟の会 #Zoomミーティング で #心に響いた #言葉 ―― #記憶 #加害 #謝罪 ――

#安保法制違憲訴訟の会 #Zoomミーティング #心に響いた #言葉

―― #記憶 #加害 #謝罪 ――

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被爆者の権利の多くも裁判に依って勝ち取ったものです

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429日夜、安保法制違憲訴訟全国原告連絡会のZoomミーティングで「被爆80周年を意味ある年に!」というタイトルで問題提起をさせて頂きました。

最初に、同日に高知地方裁判所が、安保法制違憲訴訟について、訴えを棄却したことが、中西弁護士から報告されました。佐々木隆憲裁判長が、全く温度を感じられないような言動でこの裁判を指揮したという感想も述べられたのですが、司法が私たちとともに力を合わせて憲法が社会の基礎にあることが日常的に感じられるように社会を創ろうとしているとしたら、とてもそんな態度は取れないのではないかと感じました。

同時に、これまで被爆者が勝ち取ってきた権利の多くが、裁判によって実現してきたことも重要です。それも合わせて、プレゼンの最初には、この訴訟を続けて来られた多くの皆様に感謝の言葉を捧げました。

私のプレゼンの内容は、順を追ってこのブログにアップする予定ですが、今回は、かなりの時間を掛けてZoomに参加された皆さんからの発言の中で、私の心に沁みたキーワードを御紹介した上で、それらの単語からどんなイメージを連想したのかを綴ります。

《記憶・加害・謝罪》

広島・長崎、そして被爆者や核兵器の廃絶などについて、長い間、関わり考え続けてきた一人として、この三つのどの言葉も身近な存在です。でも昨夜は、特に「謝罪」が響きました。それには理由があります。

オバマ大統領が広島訪問をするかしないかの議論があった時、「謝罪をしないなら広島に来るな」という声もありました。それについては今までも書いてきましたし、もう少しまとまったものを皆さんにお届けしたいとも考えているのですが、昨夜頭に浮かんだのは、40年以上も前のことです。

当時は、アメリカに住んでいたのですが、海外のローカル・ジャーナリストを広島・長崎に招請して、直接取材した結果を、例えばアメリカの読者向けに報道して貰うプロジェクトにも関わっていました。(事務局の意向で、それは「アキバ・プロジェクト」として知られるようになりました。)

アメリカでは、当時住んでいたボストンの近郊の人たちとともに、様々な平和関連活動をしていました。ある日、仲間たちと原爆の展示会の手伝いをしていたときだったと思うのですが、高齢の女性、白髪で品の良い人でしたが、に声を掛けられました。(私は40歳になるかならないかでしたので、「高齢」に見えましたが、実際にはおいくつだったのかは分りません。

私の手を取って、「申し訳ない。本当に日本の人たちには申し訳ない。出来れば日本に行って、日本人一人一人に謝りたい。」と涙を流して謝ってくれたのです。

当時のアメリカの雰囲気は、平和運動の会合でも「広島・長崎は正しかった。でも次の核を使うことは許されない」という言葉が普通に出て来ましたので、勿論、この女性のように「申し訳ない」と感じて謝罪してくれる人もいたのです。

「有難う御座います。その言葉を被爆者が直接聞けたら、どんなに喜ぶことでしょう」と、手を握り返すことくらいしかできませんでした。

その場でこの女性にとってもっと意味のある言葉が出て来なかったことを未だに残念に思っていますが、同時に、「謝罪」という言葉とともにこの女性の記憶が蘇り、その言葉をさらに一般化するような答えを見付けることのできないでいることも残念に思っています。それは、この言葉を受け止めることになった私の「立場性」(故人になった友人が好んで使った言葉です)とも、大きく関わっています。

海を隔てての日本との距離が大きい中で、広島・長崎を思いつつその対極にあるアメリカ社会での生活には、寺山修司の「マッチ擦るつかのま海に霧深し身捨つるほどの祖国はありや」の意味が違った色合いを持っていたのです。

[続きます]

 

2024年も言葉を大切にして、知的にも情緒的にも誠実さが輝く年にすべく頑張りましょう。

[2024/4/30 人間イライザ]

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2024年4月12日 (金)

#トルーマン神話 の #呪縛 ―― #核廃絶 を #阻む #三点セット――

#トルーマン神話 #呪縛

―― #核廃絶 #阻む #三点セット――

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平和の拠点であり続けて欲しい原爆資料館前の行列 2016年

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アメリカ、ミシガン州選出のティム・ウォルバーグ下院議員の「広島・長崎」発言を取り上げてきました。

今回の発言も、1945年のトルーマン大統領の記者会見での正当化のための三つがポイントになっています。それを「トルーマン神話」と呼ぶことにします。

ブログでの解説も徐々に問題の本質に近付いてきたのですが、前回、軽めに問題提起をした点こそ、核廃絶の阻害要因として認識し、それらとどう向き合い解決して行くのかを考えなくてはならないことなのです。

阻害要因は、三つにまとめられます。以下、「予告編」として、三つを簡単に説明します。

第一は、アメリカ社会の原爆観です。私は、長い間アメリカに住んで、直接肌身に感じてきたことですし、その後もアメリカ社会との接点を保ちながら多くの友人たち、マスコミ等を通し、アメリカ観察については人後に落ちないという自負があります。そうした背景を元に達した結論です。

アメリカ社会の中では、原爆投下が正当であると言う考え方がいまだに根強く残っているということです。特に共和党の支持者の中では、圧倒的に多数の人がそれを信じているという現実が問題です。ウォルバーグ発言はそのことを端的に示しています。

第二に日本政府の立場です。極端に言ってしまうと、核兵器廃絶を先頭に立って、世界の先頭に立って推進すべき日本政府が、アメリカの保守的社会と同一の価値観を持ち続け、アメリカ政府と一緒になって、原爆投下の正当性を主張し続けてきたというところが問題です。

上川外務大臣の「抗議はしない」発言が、何よりの証拠です。

そして第三の点は、それを変えるための重要な拠点が失われつつあるということです。日本政府の頑なな姿勢を変えるためには、最終的には選挙によって政治を変えなくてはなりませんが、まずは世論の目が、日本政府の本音は何かということに注がれ、その結果として政府の本音を理解するに至るというプロセスが必要です。しかしながら、それが上手く行っていないのです。

本来であれば、例えば都市としての広島市が中心になって、世論の喚起をするという役割を果たすべきなのですが、最大疎外要因の一つである外務省が、広島市の平和行政を乗っ取ってしまったという現実があります。

それに対抗することはまだ可能だと信じていますが、そのためには、私たちの側で重大な決意をしなくてはなりません。時間もエネルギーも必要です。より詳しくはこのブログでさらに持論を展開したいと思います。

 

2024年も言葉を大切にして、知的にも情緒的にも誠実さが輝く年にすべく頑張りましょう。

[2024/4/12 人間イライザ]

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2024年4月11日 (木)

#ウォルバーグ下院議員 への #撤回要請 #書簡 ―― #市政記者クラブで #記者会見を開きました――

#ウォルバーグ下院議員 への #撤回要請 #書簡

―― #市政記者クラブで #記者会見を開きました――

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記者会見で――左から、高橋克浩代表委員、秋葉代表委員、一番右が金子哲夫代表委員

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アメリカ、ミシガン州選出のティム・ウォルバーグ下院議員の「広島・長崎」発言について、これまで二回にわたって問題点の解説をしてきました。一度目は、上川外務大臣の姿勢と、1945年のトルーマン米大統領の記者会見発言を取り上げました。

二度目は、トルーマン発言の間違っている点を、研究者等の考察を元に指摘し、事実を提示しました。

続いて、4月10日には、広島市役所の市政記者クラブで記者会見を開き、ウォルバーグ議員への書簡を公表した上で、FAXと郵送で、同議員に届けることを報告しました。次に掲げるのは、書簡の日本語版です。署名の入ったPDF版は、こちらのフォルダーから御覧頂けます。

この書簡が、訪米中の岸田総理の目に留まり、「被爆地広島出身の総理大臣」としての立場から、ウォルバーグ議員発言の撤回を要請して貰えれば、それに越したことはありません。

でも、上川大臣発言を元に考えると、岸田総理個人にも広島市にも、その他被爆者の代弁者たるべき公的機関や個人に、早期終結と人命救助という二点についての見解を問うべき問題なのかもしません。

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2024年4月10日

拝啓  ティム・ウォルバーグ下院議員殿

私たちは、1954年に発足した広島の平和団体です。それ以来70年にわたって広島・長崎の被爆者の声を代弁し、彼らの生命・生活を守る運動、そして核兵器のない平和な世界実現のための運動を続けてきました。

最近、日米のマスコミ報道で、貴殿が3月25日に、ガザでの惨状について、広島・長崎を例示して「長崎や広島のようにすべきだ。早く終わらせる。ウクライナも同じようにするべき。」との趣旨の発言をされたことを知りました。

また、Xへの投稿では、核兵器を使用すべきだと言ったのではなく、戦争が早く終るほど、戦渦に巻き込まれる罪のない人々の命が救われる、という趣旨だったとの説明もされています。そして、「広島・長崎」はそのためのメタファーとしての意味しか持たないとも付け加えられています。

[イスラエルがハマスをできるだけ早く排除すべきこと、ガザへの人道支援には反対であると貴殿が主張されていることも理解しています。ただし、その点については、この書簡での問題提起とは別件ですので、切り離して論じます。]

私たちは、こうした報道を次のように受け止めました。

貴殿の一連の発言の趣旨は、「広島・長崎の歴史から分るように、ガザやウクライナでの戦闘を早く終結させることにより、罪のない人たちが巻き込まれ、生命を失うことを避けられるので、そうすべきである。」

後半の「ガザやウクライナでの戦闘を早く終結させることにより、罪のない人たちが巻き込まれ、生命を失うことを避けられる。」には賛成します。ただし前半については、もし貴殿が「広島・長崎」を「戦争を早く終結させる」ことのメタファーとして使われたのであれば、次のような事実から注意を喚起したいと考え、この書簡を認めています。

  1. 米戦略爆撃調査団は、1946年の報告書において、原爆の投下がなくても、ソ連の参戦がなくても、米軍の日本上陸作戦がなくても、日本は11月初めには降伏していたであろうことを結論付けている。[*1]
  2. 歴史学者Gregg Herken教授は、仮に米軍の日本侵攻があったとしても、US Joint War Plans Committeeによる米軍の死者数予測は約4万人であると述べている。[*2]
  3. 同じく歴史学者Martin Sherwinは、原爆投下は戦争終結を早めたのではなく、遅らせたことを指摘している。[*3]
  4. 1945年12月末までに、広島・長崎の原爆で亡くなった被爆者の数は約20万人である。[*4]
  5. 「生存者が死者を羨む」という言葉が示す如く、被爆者は、1945年以降長期にわたり放射線被害、その他の直接的原爆被害や精神的な被害を被り、苦しんできた。[*4]

これらの事実から、「広島・長崎」を、戦争の早期終結のメタファーとして、またその結果としての多くの罪のない命の救済のメタファーとして使うことは、誠に不適切であり、撤回を求めます。また、原爆投下の結果起きた、非業の苦しみと人間的悲惨さに対する貴殿の無知と無神経さを残念に思います。

貴殿が、真に罪のない人たちが戦争に巻き込まれることを避けたいと願っているのであれば、一度、広島・長崎を訪れ、被爆者との対話を通して、戦争に巻き込まれた罪のない人たちの心からの願いに耳を傾けられることをお勧めします。

敬具

秋葉忠利

金子哲夫

高橋克浩

広島県原水禁代表委員

 

広島県平和運動センター・広島県原水禁

広島市西区横川新町7-22

TEL:+81-82-503-5855 FAX: +81-82-294-4555

e-mail:h-heiwa@chive.ocn.ne.jp

Sources:

[*1]  Shigesawa, Atusko.” The U. S. Strategic Bombing Survey’s Early-Surrender Conclusion and the Debate over the Atomic Bombings of Hiroshima and Nagasaki.” Hiroshima Journal of International Studies, Volume 19, 2023

(https://hiroshima-cu.repo.nii.ac.jp/record/124/files/HJIS19-1.pdf, viewed on April 4,2024)

[*2]  Herken, Gregg. “Five myths about the atomic bomb” The Washington Post, July 31, 2015, (https://www.washingtonpost.com/opinions/five-myths-about-the-atomic-bomb/2015/07/31/32dbc15c-3620-11e5-b673-1df005a0fb28_story.html, viewed on April 4, 2024)

[*3]  Sherwin, Martin. “Interview.” The Chugoku Shimbun, 1995.  Also a personal communication to one of the authors in 1995.

[*4]  Hibakusha. Wikiwand. (https://www.wikiwand.com/en/Hibakusha, viewed on April 4. 2024)

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[2024/4/11 人間イライザ]

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2024年4月 7日 (日)

#トルーマン記者会見 の #誤謬を糺す ―― #戦争の早期終結 も #人命を救った も #反証があります――

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―― #戦争の早期終結 #人命を救った #反証があります――

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トルーマン大統領

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ティム・ウォルバーグ下院議員の発言とその修正には、「広島・長崎」を「メタファー」として使うことには問題がないという前提がありました。それは、原爆投下直後のトルーマン大統領の記者会見での投下が正当だという三つの理由が挙げられていたからです。

① 真珠湾攻撃があったから戦争が始まった。

② 原爆投下によって戦争を早く終らせることができた。

③ その結果として、25万もの米兵の命が救われ、25万の日本人の命救われた。

この内、② と ③ は誤りですので、訂正する必要があります。

原爆投下が戦争を早期に終結させた、あるいは原爆なしでは戦争は終わらなかった、という主張に対する反論には様々なレベルのものがあります。

例えば、そもそも原爆を投下することにした際のアメリカ側の目的が、戦争終結後のソ連に対する優位を確立するためのものであったという考察からは、原爆投下によって戦争が終結したのではなく、終結は既定の事実だったことが分るという結論が導かれます。

あるいは、原爆の開発に必要だった巨額の費用を正当化するためには、実戦で原爆を使ってみる必要があったのだという理由付けからも、早期終結のために必要だったという結論は出てきません。

しかし、私がこれまでに触れた多くの文書の中で一番説得力があると考えているのは、被爆直後に広島・長崎入りした米国の戦略爆撃調査団 (USSBSと略します) による結論です。終戦後、12月までの間日欧で、戦争中のアメリカの空軍力を実証的に調査しその報告書を1946年7月に公表しています。

その結論部分で原爆については、「原爆投下がなくとも、ソ連の参戦がなくとも、また、日本上陸が計画、実行されなくとも、恐らく1945年11月1日までには、そして1945年12月31日までには確実に、日本は降伏していただろう」と述べています。繁沢敦子さんの論文を御覧下さい。

この結論についてのいろいろな議論もあるのですが、兵站も含めた軍事力という客観的指標を元にしている点が重要なのです。それを外れた議論になると、それは「原爆」そのものが必要かどうかではなく、それをどう政治的に利用すべきかという判断の領域になります。

となると、評価されるべきなのは、「原爆投下」という行為をどのような政治的理由によって利用したかということの是非になりますので、「投下」が必要だったかどうかなのではなく、「それが必要だった」、と言い張る理屈が正しかったかどうかのというレベルについての議論になりますので、それを混同してはいけないのです。

それに関連して、どのくらいの数の人命が救われたかについても、歴史学者のバートン・バーンスタイン教授は、「1945年6月に、US Joint War Plans Committeeが行った米軍の上陸作戦による死者数予測は約4万人であると述べている」のです。25万にとは比べものになりません。こちらは、ワシントン・ポスト紙のGregg Herkenさんの論考が明快です。

そして、多くの皆さんも御存じの通り、広島と長崎で亡くなられた方は、1945年末までに20万人、そしてその後も長期にわたり放射線被害、その他の直接的原爆被害や精神的な被害を被り、苦しんできたのです。

つまり、「広島・長崎」を戦争の早期終結、そしてその結果としての人命の救済のメタファーとして使うことには根拠がなく、最小限の言い方として、不適切です。それだけではなく、被爆者の被った、言葉に表したくても人類の語彙が貧困であるために十分には表現できない「被害」を理解しようとするなら、「メタファー」としてでも、このような形で広島・長崎に言及してはいけないはずです。

さて、こうした点を簡潔に書簡にまとめて、ウォルバーグ下院議員に送る必要がありますが、それについては次回に。

 

2024年も言葉を大切にして、知的にも情緒的にも誠実さが輝く年にすべく頑張りましょう。

[2024/4/7 人間イライザ]

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