人権

2025年1月24日 (金)

#人のふり見て我がふり直せ ―― #トランプ就任演説の使い方 ――

#人のふり見て我がふり直せ

―― #トランプ就任演説の使い方 ――

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#我が国の人権施策は最悪かも

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ここ数回このブログでアップした記事について、「工場長」さんから大変鋭いそして蘊蓄のあるコメントを頂きました。それを少し敷衍する形で、今回は二点について取り上げます。

工場長さんが、17日の本ブログへのコメントとして、トランプ大統領の就任演説の内容と大統領令を分り易く的確にまとめて下さった上で、トランプ大統領の目指していることと我が日本で現在通用している施策との比較をして下さいました。

そのうちの2つを今回は考えてみたいと思います。1つ目は、性別は男女2つのみとするというトランプ方針と深い関わりのある日本の戸籍制度です。

工場長さん御指摘の通り、日本の戸籍制度では、性別は男女の二つしか認めていませんので、トランプ施策は既に我が国では実現しています。しかも長い歴史を背負っています。

さらに、今わが国では夫婦別姓を認めるかどうかが問題になっています。では、アメリカではどうかというと、夫婦別姓は当たり前です。アメリカにはもともと戸籍制度がありませんので、結婚をしたとしても、自分の姓を変える必要など全くないからです。

アメリカでは結婚をすると結婚証明という文書をお役所が発行してくれます。それがその後、夫婦としての様々な権利を行使する上での基本文書になります。でもそれは、結婚したことを証明するだけの文書です。どちらかが姓を変えなくてはいけないなどという制限は付いていないのです。

トランプ大統領でもこの制度を変えるとは言っていません。となると、結婚したら戸籍制度に縛られて姓を変えなくてはいけないという制度、しかもこれは世界中で唯一日本だけが行っている制度なのですが、ここでも日本の周回遅れがはっきりしてしまいます。

2つ目は「不法入国者を拘束後すぐに釈放する慣行を終わらせる」という大統領令です。けれども、結局ここで言っているのは拘束後もすぐに釈放しないのですから、拘束を許すということです。そして、すぐ釈放しないのですから、長期の拘束も許すことを含みます。

では我が国ではどうでしょうか。工場長さんがリマインドして下さったように、不法入国者のみならず、日本人の刑法犯についても長期のしかも人権蹂躙の拘束が行われています。

皆さんも覚えていらっしゃると思いますけれども、スリランカ人のウィシュマ・サンダマリさんが入国管理局に拘束されて、体調が悪くて、死にそうだ、病院に行かせてくれと哀願したにもそれは認められず、結局拘束中に亡くなったという事件がありました。2021年のことです。

ということは、トランプ大統領がこれから目指していること以上の「成果」を日本では既に2021年の時点でも実行しているということになります。

さらにもう一つ上げておくと、東京オリンピックの汚職に関与しているとの廉でカドカワのトップだった角川歴彦さんが逮捕され拘束されました。2022年のことです。角川さんは重い病気を持っていました。拘束中の環境が原因で命の危機さえ感じそのことを訴えたのですが、担当者からは無視された上に次のような言葉を受けていました。

「角川さんあなたは生きている間にはここから出られませんよ。死なないと出られないんです。」

人質司法とも言われていますが、日本人でも一旦拘束され、そして検察当局が何としてでも有罪にしたいと考えている人については、これほど無茶なそして人権を蹂躙した拘束が平然と行われてきている。それが日本の社会です。詳しくは、このリンクから「人間の証明」というサイトに入って詳細をお読み下さい。

工場長さんが指摘しているように、日本のマスコミは、トランプ大統領の時代に逆行するような施策を並べて報道し批判しています。にもかかわらず、上に挙げたようなひどいことが日本で起きていることについては、露ほどの関心を持っていないように見えます。

日本のマスコミが、トランプの悪政と比較してもそれ以上に酷い状況が日本にはあることになぜ触れないのでしょうか。生活を守ることに忙しい庶民が思い出さないことかもしれないけれど、それを多くの人に思い起こさせること、警鐘を鳴らすことがマスコミの責任なのではないでしょうか。

幸いことに、このブログの読者の皆さん、普段から工場長さんの発言に注目して下さっている皆さんには、その点についての工場長さんからのメッセージが届きました。改めて今回取り上げた2つの問題についてのサイトを訪問して下さい。皆さんもこうした人権無視の施策が行われている我が国を変えるために一緒に頑張っていただきたいと思います。

エネルギーと電気自動車については機会を改めて取り上げたいと思います。

 

[お詫びと訂正] ハワイ大学のイベントは、126日の朝9時からです。ブログの方も訂正しておきました。お詫びして訂正します。

 

皆様にとって、2025年が素晴らしい一年になりますよう!

[2025/1/24    人間イライザ]

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2024年8月 9日 (金)

#原水禁 #国際シンポジウム ――#2045ビジョン と #NoFirstUse #提案しました――

#原水禁 #国際シンポジウム

――#2045ビジョン #NoFirstUse #提案しました――

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私も英語と日本語で発言しました

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被爆79周年原水爆禁止世界大会の国際シンポジウムは86日の午前9時から開催されました。まずその概要です。

テーマ    核兵器廃絶に向けた第一歩を踏み出すために

司会                        谷雅志                    (原水禁事務局長)

開会あいさつ         金子哲夫               (原水禁共同議長)

キーノートスピーチ  藤本泰成         (原水禁顧問)

パネリスト              イ・ヨアンさん         (参与連帯・韓国)

                             トム・アンターライナーさん   (軍縮キャンペーン・イギリス)

                             デービッド・ギブソンさん       (ピースアクション・米国)

                             秋葉忠利               (原水禁顧問)

コーディネーター 藤本泰成               (原水禁顧問)

まとめ

閉会

ネットの接続が上手く行かず、アンターライナーさんは参加できませんでしたが、アメリカや韓国の状況、さらに日本を加えた北東アジアの情勢等多岐にわたる分析と、各国での具体的な運動等について、実りあるシンポジウムになりました。

その内容は、是非ビデオで御覧頂きたいのですが、当日の同時通訳の日本語を拾えませんので、その点は御承知置き下さい。

 

このシンポジウムで私は、開会総会の締めの挨拶で強調した点を国際的にアピールしました。その原稿は、追ってアップしますが、簡単に要点だけここに記しておきましょう。

[2045ビジョン]

被爆100周年にあたる2045年までに核兵器を廃絶することを目標に掲げて世界的運動を展開する。それまでの中間点の2035年までに、核兵器保有国が「No First Use」、つまり、核兵器の先制不使用に合意する。この計画を[2045ビジョン]と名付ける。

この発言は英語で、27:30くらいから始まります。その後の質疑の中で、日本の政治環境を変える必要のある事を、これも英語で、54:34くらいから訴えています。

このシンポジウムには、約550人の方が出席されていましたので、私の主張の背景として、「ヒロシマ」の意味とその重みを生かさなくてはならないこと、特に総理大臣や広島市長の役割の大きいことを今度は日本語で強調しました。十分には説明できませんでしたので、このブログで近く詳説しますが、平和記念式典にだれを呼ぶ呼ばないということの基本にある「ヒロシマ」の意味についても言及しました。始まりは、1:06:32です。

最後に、コーディネーターの藤本さんの強調されていた、核兵器の廃絶の基本的意味は、命を尊ぶという思想だ、を受けて、憲法と政治について、拙著『数学書として憲法を読む――前広島市長の憲法・天皇論――』から何点かをかいつまんで説明しました。これも日本語で、1:21:10くらいから始まります。

多くの分科会が並行して開かれ、極暑の中の平和行進等もある世界大会ですが、核兵器廃絶のための情熱と知恵が結集されていることを改めて確認する機会になりました。

 

今日一日が皆さんにとって素晴らしい24時間になりますよう

[2024/8/9  人間イライザ]

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2024年7月21日 (日)

#伊藤塾の伊藤真塾長にお会いしてきました ――#伊藤塾 #法学館 ともに #未来の司法を担う #若者の育成をしています――

#伊藤塾の伊藤真塾長にお会いしてきました

――#伊藤塾 #法学館 ともに #未来の司法を担う #若者の育成をしています――

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一ファンとして、お目に掛かれて光栄でした

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司法試験について少しでも知識のある方は、「伊藤塾」という名前も御存じではないかと思います。司法試験に受かるためには物凄いほどの勉強が必要なのですが、そのための塾として一二を争う実績のあることで有名です。法学館は、そのホールディングカンパニーと言えば良いのでしょうか。

この伊藤塾では、主には塾生を対象にしていると思われますが、一般にも公開されている「明日の法律家講座」という講演会を開いています。

実は、拙著『数学書として憲法を読む――前広島市長の憲法・天皇論――』を上梓してからすぐに、伊藤塾長から御連絡を頂き、この講座で話をさせて頂くことになりました。残念なことに、その後のコロナの蔓延で、オンラインでの講演になってしまいましたが、貴重な機会をお作り頂きましたので、一度お礼を申し上げなくてならないと考えていました。

実は、拙著の主要なテーマの一つは、「憲法が死刑を禁止している」なのですが、その根拠として真っ先に挙げたのが憲法13条です。

そして、伊藤塾長もオフィシャルサイトで、13条が憲法の基本であることを強調されていますし、それは伊藤塾に至る道のりの出発点でもあることを示しています。私にとっては、数学的に読む姿勢が、憲法の専門家と同じ方向であることに気付いて大いに勇気付けられました。

もう一つ感激したのは、人権弁護士としての伊藤塾長のコミットメントです。一番最近の例は、「人質司法」というタイトルで、伊藤塾のオフィシャルサイトに掲載されている「角川人質司法違憲訴訟」です。スリランカ人のウィシュマさんが、名古屋入管で非人間的な扱いを受けて亡くなったこと、その原因となった人権蹂躙や暴力的な行為の数々は、マスコミが報道してきましたが、それと同じようなことが、東京拘置所に収監された角川歴彦氏にも起きていたのです。

それは、「人質司法」の典型であり、人質司法の根絶を求めて結成された弁護団の一員として伊藤塾長も関わることになったのです。

選挙で政治を変えることの難しさは、つい最近の東京都知事選挙で明らかですが、被爆者の援護についても、あるいは一般戦災者の権利についても、日本政府は「何もしてこなかった」と言いたくなるような過酷な仕打ちを続けてきました。そのような状況を変えてきたのは、司法の力です。その力をより大きくするために頑張っているのが伊藤塾ですが、この点については、機会があれば詳しい説明をしたいと考えています。

私が80を超えて実感してきたのは、人生の有限性なのです。それでも希望を持ち続けられるのは、次の世代の皆さんに期待できるからです。

司法を目指す若者を育成することで、その期待をより大きく充実したものにして下さっている伊藤塾長にお時間を取って頂き、感謝の気持ちを直接伝えられたのは、ファン冥利に尽きると言っても過言ではありません。

 

今日一日が皆さんにとって素晴らしい24時間になりますよう

[2024/7/21  人間イライザ]

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2024年6月20日 (木)

#コロンブス問題 (その5) ――#板坂元氏の #無知論――

#コロンブス問題 (その5)

――#板坂元氏の #無知論――

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進化論とは?

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シリーズはこれで終りです。江崎玲於奈筑波大学学長の1992年の入学式式辞の中のさわりを念のため掲げます。

大学を出るまでには、独立した人間になってもらわなくてはならない。独立の人間とは「自分自身で価値判断のできる英知」を持つ人間である。今後の人類の平和と繁栄という視点から重要なのは、たとえば大学で教えられる固定されたプログラムに「疑問を持ち、あるときは拒否したり、あるいはそれを改善したプログラムを作成するというような努力」の結果、「卓越したプログラムが創造できるような人間」になり、「グローバルな視野でものごとを考え」られることである。

同じ1992年のマスコミの報道について、ハーバード大学の板坂元氏は、社会進化論が根底にあることを指摘しています。彼の著書『老うほどに知恵あり』(PHP研究所、1994年刊)の中の「無知論」から引用しますが、これがどの大学でも良いのですが、その年の入学式の式辞だったら、と思うのは私だけではないでしょう。

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(前略)

極東とは、ヨーロッパが世界の中心で、近等・中東・極東と考えた時代の古臭い言葉だし、やはり一種の差別語だ。キップリングの「東は東、西は西」といった尊大な白人優越主義の考えに裏打ちされた言葉だから、いやしくもアジア人は使うべきではない。世界史という名で欧米の歴史を教えていた時代はもう過去のことになっているのだ。

ただし、テレビのタレントの挙げ足取りをするつもりはない。が、こういう発見という言葉を不用意・無反省に使うことを止すことかゆら日本人の国際化は始まると私は思っている。というわけは、19世紀以来欧米人が頑迷に抱きつづけできた社会進化論を葬り去る時が来ているし、日本人はその喪主の一人になるべきだと考えるからだ。

人類は動植物同様に進化する、と19世紀の学者たちは信じた。そして、最も進化したのが白人、つぎに黄色人種。いちばん進化が遅れているのが黒人、という図式を社会進化論者は描いた。だから、白人は自分たちより劣った人種を指導する責任があると彼らは考える。原住民たちにキリスト教を教え込むべきだ。彼らは、法律も政治も知らないから白人が治めてやらねばならない。経済も無知だから経済活動は白人がやって、彼らには原料と労働力を提供させればよい。こういった意識が十九世紀の帝国主義の根幹になり、白人たちはアフリカ、アジア、南米などに広大な植民地を作った。搾取と収奪は正しいことであり、神から許され励まされる所業であると彼らは信じていた。

そういう思想も政策も、今となっては、誤りであり白人の思い上がりであったことは、南アフリカの例を一つ取ってみてもわかることだ。

だが、私は、帝国主義北判をここでするつもりはない。注意しなければならないのは、白人から劣る人種と見なされた日本人が、明治維新以来、社会進化論の焼き直し版を信じ、アジアの盟主、アジシアの指導者という思想を作り上げ、ミニ帝国主義を実現しょうとしたことだ。「支那四億の盲しいたるたる民を救え」といったスローガンは、朝鮮半島を植民地にしたり、満州国を作ったりという尊大と横暴な愚挙を生み出して行った。それが大東亜共栄圏とか八紘一宇とかいうバブル思考につなが、やがて破算するに至ったことは詳しく述べるまでもない。

(後略)

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もっと多くのマスコミ人や芸能人が、1992年にこの文章を読んでいたら、とも思いますが、まず私たち自身が、もう一度背筋をシャンと伸ばして身を律することから始めるべきなのかもしれません。

 

今日一日が皆さんにとって素晴らしい24時間になりますよう

[2024/6/19  人間イライザ]

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2024年5月24日 (金)

(ほぼ) #自民党政治家 の #女性蔑視発言 #人権無視発言 #リスト ――#ポリタスTV・津田大介リポート を #見て下さい――

(ほぼ) #自民党政治家 #女性蔑視発言 #人権無視発言 #リスト

――#ポリタスTV・津田大介リポート を #見て下さい――

 

#19分くらいから、森発言、その後他の政治家の発言リストが続きます

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上川外相の「うまずして何が女性か」発言は撤回されましたが、他人に指摘されるまで事の重大性に気付かなかったのですから、それだけで「アウト」です。

私の頭に浮かんだのは、2001年の、当時の石原慎太郎都知事の発言です。「女性が生殖能力を失っても生きているってのは無駄で罪です」という言葉を松井孝典氏の発言の引用だと断って、しかしながら積極的に肯定して使っています。(松井氏は、「自分はこんなことは言っていない」と否定しています。念のため。)

冒頭に埋め込んだ、津田大介さんのYouTube動画では、これに続いて多くの政治家たち、そのほとんどが自民党所属ですが、の差別発言をリストしコメントしています。

これを見れば、上川発言が単に不注意によるもので、女性蔑視や差別とは無関係だ、という言い訳が、それこそ単なる言い訳にしか過ぎないことが分ります。

批判の中でマスコミが強調しているのが、「子どもを生みたくても生めない人への配慮に欠ける」です。これも大切な点です。同時に、選挙で勝たせることが出来なければ、つまり生まないという結果になれば、自分たちの女性としての価値がない、という含意は、「子どもを生まないと女性としては価値がない」という、石原都知事をはじめとする発言と同じことなのだという点もそれ以上に強調されるべきなのではないかと愚考します。

動画を見ている時間のない方は、その内容をリストにした「ダブルっち博物館」ブログを御覧下さい。面白いブログですが、真ん中くらいまでスクロールして、その後にゴシック体で書かれています。最後の結論部分もなかなか目にすることのない内容ですので、お読み下さい。(評議に一部誤字がありますが、動画は正確ですので、そちらを参照して下さい。)

自民党の体質が変わらないのは、日本社会全体の体質を反映しているからなのだと思いますが、ジェンダーギャップ指数で、日本は世界の156か国中、120位だという現実を、もっと厳しく「当事者」として受け止める必要がありそうです。

 

今日一日が、皆さんにとって素晴らしい24時間になりますよう!

[2024/5/24 人間イライザ]

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2024年5月 3日 (金)

#公的謝罪の歴史 ―― #米政府の「リドレス」が #衝撃でした――

#公的謝罪の歴史

―― #米政府の「リドレス」が #衝撃でした――

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日系アメリカ人の強制収容と言えばこの本でした

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安保法制違憲訴訟の会から頂いた刺激が前向きに作用しているせいだと考えていますが、関連した出来事にまで思いが飛んで、新たなエネルギーが湧いてきている感じです。それらを筋道立てて説明するのは後回しにして、憲法記念日に当って、個人の権利回復のために公的存在、それも強大な力を持つ国家や宗教が、公的に謝罪した実例をいくつか挙げておきましょう。

私が、政治について楽観的な気持を持ち続けている理由はいくつもあるのですが、その一つが、1988年にレーガン大統領による日系アメリカ人への謝罪です。

「ディスカバー・ニッケイ」というブログ中、村川庸子さんが執筆された「アメリカの戦後補償(リドレス)」から引用します。分り易く感動的な考察ですので、一読をお薦めします。

1988810日、レーガン大統領が市民の自由法(Civil Liberties Act of 1988)に署名した。日米戦争中に強制立ち退き・収容された日本人移民および日系アメリカ人に対し公式に謝罪し、各自に2万ドルを支払うというものであった。

賠償も、ただお金を払うというだけではなく、例えば、強制退去によって大学を去らなくてはならなくなった人たちのための特別の卒業式が、2008年にワシントン大学で開かれたりもしています。

村川さんによると、「アメリカの日本人移民および日系アメリカ人の強制立ち退き・収容に対する戦後補償はこのような形で一応の決着をみた」のですが、それでも70年近く掛っています。

私個人にとっては、アメリカ政府が自らの過ちを認めて謝罪すること、さらにその過ちによって被害を受けた人たちへの賠償を行うということが衝撃でした。それは、1980年に「基本懇」と呼ばれる懇談会――いわば日本政府の主張があたかも客観性のあるものの如く被せる衣の役割を果している組織ですが――が、「受忍論」と呼ばれる見解を公表して、「戦争の犠牲は国民があまねく受忍すべきだ」という方針を政府に答申したこととの違いに驚いたからです。

さて、人種差別という共通項からは、当然、奴隷制度と黒人差別に対してはどうなのかという疑問が生じますが、2008年にアメリカの連邦下院は、アメリカにおける奴隷制度とそれに付随した差別的な法律に対しての謝罪決議を採択しています。

また、2009年には上院が、「不当、残虐、野蛮、そして非人間性を具現した奴隷制度」について謝罪する決議を満場一致で採択しています。同時に、この決議が賠償を請求の根拠にはなり得ないことも明示的に謳っています。(Wikiwandの記事から)

最後の点とも関係しますが、これらの決議だけでアメリカ社会の差別主義的な傾向が全て是正されたわけでもありません。2020年のジョージ・フロイド事件とその後の「Black Lives Matter」運動がその証拠です。さらに、奴隷制度が与えた被害に対する補償も議論が始まったばかりです。

時間が掛かると言えば、ガリレオの裁判が頭に浮かびます。1633年に、地動説を唱えたことで裁判に掛けられ有罪になったのですが、1992年、ローマ教皇ヨハネ・パウロ二世が、ガリレオ裁判の誤りを認めて謝罪しました。その間、359年です。

権力や権威が真実を認め、謝罪をするのにこれほど時間が掛かるということを示していますが、もう一つ強調したいのは、それでもこの359年間に科学は進歩していたという事実です。

さて、こうした歴史から、核兵器の廃絶や原爆投下を正当化し続ける日米政府についてどんな教訓を汲めば良いのでしょうか。

 

今日24時間が、皆さんにとって素晴らしい一日になりますよう!

[2024/5/3 人間イライザ]

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2024年3月19日 (火)

#教育勅語 と #御真影 ―― #どう扱われたのか も #一緒に考えないと――

#教育勅語 #御真影

―― #どう扱われたのか #一緒に考えないと――

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#山中恒 ・ #山中典子著 の #間違いだらけの少年H

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教育勅語も軍人勅諭も、「暗記」というより「丸暗記」が基本的には押し付けられました。そして、まず教育勅語に焦点を合わせると、学校行事の大切な節目節目には、最大限の威厳と畏怖の念を伴った行事として、厳粛裡に執り行われました。

その様子を垣間見るためには、「YAHOO!JAPAN知恵袋」の回答の中の「ベストアンサー」が分り易い説明をしてくれています。

そして回答者の「ya1****」さんが最後に触れている、「人間の生き方を示したよい面も含まれていました。」が、教育勅語問題を解く一つのヒントを与えてくれているのです。

恐らく「ya1****」さんにはそのような意図はないだろうと思いますが、それは、最近話題になった広島市長が新人研修のために教育勅語を使ったり、稲田朋美元防衛大臣が教育勅語を正当化したり、日本会議がその普及に熱心だったりするときの「口実」としても使われている言葉だからです。

その口実を受け入れることは、実は軒を貸すことになるのですが、その結果として母屋までというのが、教育勅語推進派の目的だとしてもおかしくはありません。

そんな術中に陥らないために、教育勅語がどう扱われたのか、もう少し詳しく見てみましょう。そのために、私の尊敬する「歴史家」、山中恒さんと山中典子さんに登場して貰います。お二人の書かれた『間違いだらけの少年H』です。副題は「銃後生活史の研究と手引き」で、1999年に勁草書房から出版されています。

この本の53ページから54ページ、そして58ページに興味深い記述があります。まず53から54ページです。

4年生以上の使用する修身教科書の冒頭にはすべてに「教育ニ関スル勅語(一般に「教育勅語」とよばれたが、これは略称)が掲載されていて、4年生になると授業で暗唱させられた。

ばかばかしい話だが、私はいまだに教育勅語が全部暗証できるし、ついこの間までは旧漢字で書き取りもできてしまった。先日も私よりわずか年長の方の話をきいていたら、この方はなんと「ジンム、スイゼイ、アンネイ、イトク、コウショウ、コウアン、コウレイ、コウゲン、カイカ・・・・」とまるで御詠歌でもうたうように、歴代天星の贈り名を百二十三代の大正天主までをみごとにやってのけたのである。教学大旨(明治12=1879)に「仁義忠孝の心は人みなこれあり、しかれどもその幼少のはじめに、その脳髄に感党せしめて培養するにあらざれば、他のものごと、すでに耳に入り、先入主となるときは、後いかんともなすべからず」(引用者註=原文は旧漢字、句読点無し、カタカナ)とあるように、仁義忠考のことは忘れてしまったが、教育勅語の文句だけは経文のように「脳髄に感覚せしめ」られてしまったのである。

さて第1章の年表を見ていただけばわかるが、昭和十五年といえば、昭和十年の天皇神格化の先がけとなった[国体明徴運動」があり、さらには昭和十二年、教育現場における天皇神格視の強化をはかった『国体の本義』編纂配布があり、しかも皇国史観によって、人皇第一代の神武天皇が即位してから二千六百年というので、大々的に「皇紀二千六百年祭」が開催される年にも当たった。それだけに学校教育の現場では子どもたちに、いっそう天皇景仰の臣民感覚をインプリンティングさせるために徹底した天皇崇拝のしつけが行われていたのである。

その「天皇景仰と天皇崇拝」の気持を植え付けるために、大掛かりな式典が挙行されていたのです。山中の58ページに載せられている式次第を見るだけでもその様子が絵見てくるような気がします。

『日本の教育課題1「日の丸」「君が代]と学校』(1995年・佐藤秀夫編・東京法令出版)および『続・現代史資料8・教育―御真影と教育勅語1(前出)には昭和十三(一九三八)年に山形の北村山郡小学校長会が編纂した【三大節明治節其の他儀式次第並に其の作法」というのを紹介している。

もちろんこれは、小学校令施行規則第28条によるもので、各学校の式次第もこれとほぼ同じであったし、私の在籍した小学校・国民学校も全くこれと同じであった。原文はカタカナなので、ひらがなになおして引用しておく。

 

第四 三大節及び明治節拝賀式次第

ー、  職員児童着席

二、  来賓着席

三、  校旗入場(引用者註 = 私の国民学校では、校旗はあらかじめ濱壇の下にかざってあった)

四、  敬礼                                 一同楽器を以て合図

五、  始式の挨拶

六、  開 扉                  一同俯首低頭 学校長奉仕

七、  唱歌  君が代                   二回  一同合唱  楽器伴奏回

八、  御影に対し最敬礼 1、学校長及び職員/2、児童生徒/3、管理者及び参列者

九、  勅語奉読>

一〇、  唱歌勅語奉答    一回  一同合唱  楽器伴奏>

一一、  閉扉                 一同俯首低頭  学校長奉仕

ー二、  学校長誨告  (引用者註=教え告げるの意)

一三、  当日の唱歌  (引用者註=それぞれの式歌)    一回 一同合唱 楽器伴奏

一四、  終式の挨拶

一五、  敬礼                 一同  楽器を以て合図

ー六、  校旗退場

一七、  退場

御真影と教育勅語はいわば一体化された存在であり、教育勅語に「良い面もありました」と言うことは、天皇の存在やその絶対性さえも認めることになるというトリックを御理解頂けたらと思います。そして、一体生かされた御真影と教育勅語は、教員の命を賭けてさえ守らなくてはならない存在だったのです。

例えば、2017.6.10 教育史学会シンポジュウム「教育勅語の何が問題か」(於お茶の水女子大学)での、小股 憲明(大阪芸術大学短期大学部)氏による報告、「教育勅語・御真影をめぐる不敬事件と学校儀式」には、教育勅語についての多面的な解説と、多くの不敬事件や殉職事件の詳細が載せられています。一二を抜き書きしておくと、

  • 明治 40[1907]年 1 月 仙台市県立第一中学校の御真影・教育勅語謄本焼失事件=大友元吉書記の御真影・教育勅語謄本殉職事件~校舎火災の際、取り出そうとして逃げ遅れて殉職。
  • 大正 12[1923]年 9 月 関東大震災時の御真影殉職~関東大震災での殉職者 41 名(神奈川県 27、東京府 13、千葉県 1)。うち東京 13 名中の 8 名までが、「御真影を守護」「御真影奉遷のため奮闘中」の殉職であった。

戦後かなり経った頃でも、少し古い家に行くと、鴨居の上に天皇と皇后の写真が飾られていたことを思い出しますが、「御真影」の意味がハッキリ伝わってきたのは、実に意外な場所からでした。

[当然、続きます]

 

2024年も言葉を大切にして、知的にも情緒的にも誠実さが輝く年にすべく頑張りましょう。

[2024/3/19 人間イライザ]

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2024年3月18日 (月)

#成田悠輔 の #ジェノサイド #提唱 ――#政府 も #一流企業 も その #本質が分っていないのか?――

#成田悠輔 #ジェノサイド  #提唱

――#政府 も #一流企業 その #本質が分っていないのか?――

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#高齢者

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成田悠輔 (彼の発言内容の非人道性・犯罪性を強調するために、敢えて敬称は外します) 発言については、一年ほど前に大きく取り上げられました。高齢者の「集団自決」や「集団切腹」以外に、我が国の問題を解決する方法はない、と言いっ切っています。この解決方法を仮に「成田プラン」と呼んでおきましょう。

その後、ニューヨーク・タイムズの取材では、「メタファー」だと言い訳をしていますが、それ以前に彼自身が「メタファーではない」と明言していますので、「メタファーではない」のです。そして子どもたちとの対話では、この趣旨を強調し敷衍しています。「集団自決」ゃ「集団切腹」の提唱に止まらず、煽動をしていると言っても良いのではないでしょうか。

それほど酷い「成田プラン」については、多くのマスコミ報道がありました。大多数の皆さんがその本質を理解したと思っていました。その結果として、成田が発言を撤回し、根本的な反省をして、人権や人間の尊厳、そして未来を創る上での希望の役割等について新たな認識を持つようになることを期待していました。それまでは「猶予」期間とでも言えば良いのでしょうか、公的な役割とは関係ないところにしか登場しないだろうと考えていたのですが、甘過ぎました。

まず、キリンが「集団自決」や「集団切腹」発言のあったことを承知の上で、成田をテレビのコマーシャルに起用したと聞いて、言葉を失いました。それ以上に許せないのは、3月15日に、山本太郎議員の参議院質問の中で明らかになった、政府による成田起用です。政府機関である農水省や財務省が、これまた「集団自決」や「集団切腹」発言を知っていながら、公費で成田を雇っていたのです。

詳しくは山本太郎議員の参議院での追及を御覧下さい。

これは、官民ともに、高齢者の「集団自決」や「集団切腹」を核とする「成田プラン」を、少なくとも容認はしていることを示していることになるのではありませんか。高齢者である私は、それこそ他人事ではないという感覚でとらえました。でも多くの皆さんにとっては、「集団自決」とか「集団切腹」という言葉自体が抽象的過ぎて、その実体が伝わらなかったのかもしれません。

「成田プラン」の中身をより身近に感じて頂く上で、一年前の私のブログ記事が少しはお役に立てると思いますので、簡単な紹介とリンクを貼り付けます。(なお、各記事中に貼り付けてあるリンクの中には削除されてしまっているものもあります。この機会に復活して貰えると良いのですが。)

(1)  昨2023年2月23日には「集団自決や集団切腹のリアルな記憶を大切に」というタイトルで、成田発言の概要と、太平洋戦争や赤穂浪士という現実に起きた集団自決や切腹を思い起こすことの重要性を提起しました。

(2)  その翌日24日には、「立ち止まって考え始めたら、怒りで震えが止まらなくなりました」と題して、小学生を相手に成田が提案した「自動死亡装置」についての思考実験をしてみました。(リンクを貼った『女性自身』のサイトはもう削除されていました。)

(3)  さらに2月28日には、「1,000万人もの人をどう殺すのですか?」というタイトルで、もう一つの思考実験をしてみました。そもそもこんな提案は憲法違反ではないかという問題提起もしています。

今回はそれにもう一点付け加えて、成田発言が国際的にも糾弾されるべき事柄である点を指摘しておきます。昨今、ウクライナやガザでの戦争行為について、「ジェノサイド」という言葉が盛んに使われています。もっとも日本はこの条約を批准していませんので、関心は低いのかもしれません。

成田提案の「高齢者の集団自決、集団切腹しかないんじゃないか。(略) 僕はこれを大真面目に言っていて、(略) これがこの国の明らかな問題だ。」という提案内容は、「ジェノサイド」の勧めです。

まず、「ジェノサイド」の定義を振り返りましょう。ジェノサイド罪の防止と処罰に関する条約(ジェノサイド条約) の第2条です。(国連広報センターのホームページから)

この条約において、ジェノサイドとは、国民的、民族的、人種的または宗教的な集団の全部または一部を、それ自体として破壊する意図をもって行われる以下のいずれかの行為を指す。

a. 集団の構成員を殺害すること、

b. 集団の構成員に重大な身体的または精神的な危害を加えること、

c. 集団にその全部または一部の身体的破壊をもたらすよう意図した生活条件を故意に課すこと、

d. 集団内の出生を妨げることを意図した措置を課すこと、

            e. 集団の子どもを他の集団に強制的に移すこと。

成田プランの対象は、我が国の高齢者ですので、「国民的集団」の「一部」という範疇に入ります。そして、「それ自体として破壊する意図」は、明白です。しかもその「破壊」の内容は「自決」、「切腹」ですから、a.またはc.を満たすことも明らかです。

ある年齢に達すると、自動的に死亡する装置を埋め込む、というのは、a.に該当するでしょうし、ある年齢に達すると、崖から飛び降りる慣習を作るのは、c.でしょう。

ジェノサイド条約では、ある国が自国民に対してこのような行為を取ることは想定されていないのかもしれませんが、農水省や財務省から始まって政府全体がこんな考え方に汚染されてしまったと、これも大胆な思考実験ですが、考えると、国際機関に訴える可能性も出てきますので、ジェノサイドかどうかも検討しておく必要があるのです。少なくとも、ジェノサイドの定義に当てはまるほどの非人道的行動を容認してはならないはずです。そしてそのような行為を公にし、子どもたちにまで広めている行為も看過できません。

サントリーが、桜を見る会に酒類を無償提供していたことが明るみに出て、サントリー製品は使いたくないと感じるようになり、今回のことでキリンも駄目。ことによると、日本製のビールは飲めないというようなことになったら悲劇です。せめて、これほど酷い言説に対しての配慮をするくらいの良識は、利益追求を至上目的とする営利企業にも持っていて欲しいと思うのは、甘いのでしょうか。

そして少なくとも、キリンはコマーシャルを止めたのですから、農水省や財務省もそれと同じレベルの対応くらいはしないと、憲法15条違反になります。「全体」の中には、高齢者も含まれるのですから。

 

2024年も言葉を大切にして、知的にも情緒的にも誠実さが輝く年にすべく頑張りましょう。

[2024/3/18 人間イライザ]

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2024年3月 9日 (土)

#最高裁 は #最高法規 を #超えた存在か? ――#世論 が #憲法解釈 を #左右して良いのか?――

#最高裁 #最高法規 #超えた存在か?

――#世論 #憲法解釈 #左右して良いのか?――

240308

#最高裁 は 何時から #世論調査 の #権威になったのか?

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前回は、婚外子差別について、最高裁判所が5回も合憲であるという判断を示した後、2013年になってようやく「違憲」であることを認めたことを取り上げました。その続きです。

それと全く同じパターンが8日には繰り返されました。8日が国際女性デーにちなんで、「夫婦別姓の選択肢を認めないのは個人の尊重などを求める憲法に違反する」ことを掲げて、12人の勇気ある市民が東京地裁と札幌地裁に提訴したのです。しかも、今の制度である、「強制的夫婦同姓制度」が合憲であるという最高裁判決も複数回出されているのです。

死刑制度は、旧・刑法が定められる以前から存在していましたが、夫婦同姓は、1898年施行の民法で初めて法律的に強制されるようになりました。その点に注目すると、私の主張している「明治刑法や明治民法を守るために、今の憲法が蔑ろにされている」ことを裏付けていると言って良いでしょう。

この例示も含めて、私が問題にしているのは最高裁の果している役割です。婚外子に戻ると、「本人が全くコントロールできない出生の事情を理由に、法的な差別を行ってはいけない」のです。そんな差別が(差別を禁じている)憲法14条違反であることは誰にも分ります。

にもかかわらず、最高裁が複数回にわたり差別が合憲だと言い続け、最後には行けであることを認めたのですが、その理由をWikiwandに求めると、「戦後の家族の形が国民意識が多様化し、諸外国でも差別撤廃が実現していることなどを総合的に考慮し、「子が自ら選択・修正できない事柄を理由として、その子に不利益を及ぼすことは許されないという考えが確立されてきた」と指摘し」たからなのだそうです。

この点について、指摘しておきたいことがいくつかあります。まず、当然の権利が認められずに苦しんだり損をしたりしながら、自らの権利を守るために、諦めずに法廷で問題提起をしてきた婚外子の皆さんや、支援者の皆さんの勇気と遵法精神に敬意を表します。それは憲法12条の義務を果すという私たちの義務を憲法の精神通りに実行したことでもあるのです。

12この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によつて、これを保持しなければならない。(後略)

それと対照的に、5回も婚外子差別が合憲だと断定した最高裁には御咎めがないのでしょうか。被害者の側から訴訟を起すといった形ではなくても、最高裁の側で謝罪するなり、被害を受けた人たちに対する一言があっても良いように思うのですが、そのような常識は通用しないほどの意味を、憲法81条(最高裁が法令についての終審裁判所であることを規定)は持っているのでしょうか。

これに関してもう一言付け加えると、81条で最高裁判所に与えられている権限は、98条の規定している、憲法が「最高法規」であることを超えてはいけないはずなのです。つまり、14条の差別禁止条項を無視して、婚外子であれ他の存在であれ、「差別が合憲だ」と憲法に反した判断を下してはいけないはずなのです。

特に、2013年の最高裁判決では、結局のところ、世界の情勢や国内世論が婚外子差別を許さない雰囲気になってきたから差別は違憲にする、と言っているに等しいのですが、これも問題です。

憲法11条と97条では、基本的人権が永久に保障された権利であること、人類が長い間掛って手にしたものであり、侵すことの出ない権利だと宣言しているのですから、それを侵しても良いということを世論を理由に主張することなどできないはずです。

さらに、仮に最高裁が世論の動きに従った決定をすることが許されたとしても問題は残ります。何時から最高裁は、正確に世論を判断する能力を獲得したのでしょうか。世論調査機関を子会社化したとでも言うのでしょうか。恐れ多くも人権についての判断をするに当っては、誰にもとまでは言いませんが、多くの人にとって説得力のある客観的時事を元にして「このように世論が変ったので、それを元に判断する」という結論を示すべきなのではないでしょうか。

 

こう書いて来る内に、死刑について、また最高裁の他の判決について、言いたいことが溢れ出て来てしまいました。少し整理して続けます。

 

2024年も健康に留意しつつ、少しでも良い年にすべく頑張りましょう。

[2024/3/9 人間イライザ]

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2024年3月 8日 (金)

#憲法より #民法を #優先する #最高裁 ―― #婚外子差別 には #5回も #合憲判決を出しています――

#憲法より  #民法を #優先する #最高裁

―― #婚外子差別 には #5回も #合憲判決を出しています――

240307

#2013年 に ようやく #違憲 になりました。その #理屈は #小学生にも分ります。

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前回のタイトルは分り難くなってしまいましたが、明治時代に作られた刑法をそのまま受け継ぐことが、新憲法の遵守より優先されていることを強調したかったのです。今回は、刑法だけではなく、最高裁は、民法も憲法より優先していることを指摘しておきましょう。

その例として、婚外子の人権が無視されてきたことを挙げておきましょう。同じ趣旨のことを4年前にも取り上げていますのでそこからの引用ですが、今回は『数学書として憲法を読む――前広島市長の憲法・天皇論――』の改訂版の一部としてどの活用するのかが目的ですので、再度お付き合い下さい。

前回は、1880年に原型、特に刑罰の概要が出来上がった刑法の価値観が、昭和23年の死刑についての最高裁判決のバックボーンであることを確認しました。何故、その姿勢が今でも貫き通されているのかを最終的には解明して、その対策を考えなくてはいけないのですが、今回はその前の段階として、民法も憲法より優先されていることを確認しておきましょう。

一つ注意しておくと、「旧民法」として知られている法律は、1898年に施行されています。新憲法の制定に従って、特に家族法の部分が大改正されていますので、改正後の法律を「民法」と呼びますが、ここで問題にしたいのは、改正されずに残ったところにこそ、刑法の優先と同じ価値観が残っていることです。それは、日本式の家族制度を優先するという考え方です。

日本式の家族制度を保存して行こうという考え方は、当然、民法の骨組みに使われています。たとえば、婚外子 (かつては非嫡出子と呼ばれた) は、相続に当って嫡出子の半分しか遺産を相続できないという差別的な民法900条があったのですが、これは新憲法施行の際には全く顧みられませんでした。

それから60年以上経って、2013年に、この規定が制定されてから115年振りにようやく削除されたのです。「家長」が妻以外の女性との間にもうけた子どもに対する家族の憎しみ等の感情もこの差別を助長していたのですが、「家長」は非難の対象にはならず、親を選べない子どもの人権が認められないという状態が戦後60年以上続いていたのです。

それだけではなく、婚外子の人権を守るために、何度か訴訟が起こされ、婚外子差別は違憲であるという主張が行われたにもかかわらず、そのたびに最高裁は、この差別は「合憲」だという判断を下していたのです。つまり、憲法より優先される価値や世界観が日本社会の動きを左右していたことが明らかに示されているのです。

1995年には、最高裁の大法廷が「合憲」判決を出し、その後、2000年、2003年、2004年、2009年と、頑なに5回も回を重ねて、差別を合憲だと言い張ってきたのです。

その理由は概ね次の通りです。

日本の婚姻制度は法律婚を建前としている。そして相続権のある子どもとは、その法律婚の中で生まれた子どもを意味することが当然である。しかしながら、婚外子の存在することも事実であり、法律婚を尊重する立場と、婚外子の権利を保護する立場を調整しなくてはならない。その結果が、相続額を「半分」にするということであり、その違いは「合理的理由のない差別」とは言えない――というものです。

それに対する反論はストレートで、誰にでも分ります。つまり、出生の事情は本人が全くコントロールできないことであり、それを理由に法的な差別の行われるのは、(差別を禁じている)憲法14条違反である。

死刑が違憲であることの「証明」と最高裁の判決の比較をした際にも同じ理由を掲げましたが、専門家がその権威に依って正当化することより、小学生が理解できて、その結果、説明することで納得できる事柄の方が真実である可能性は段違いに高いのです。

(ここで「小学生」にしたのは、知的な能力と発達段階を考慮して、論理的な議論のできる最低年齢はこのくらいかな、という意味での言葉です。詳しく条件化すると飛んでもない手間が掛かりますので。)

 

2024年も健康に留意しつつ、少しでも良い年にすべく頑張りましょう。

[2024/3/8 人間イライザ]

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