岸田総理

2023年5月29日 (月)

広島で被爆者を裏切ってはいけない (7) ――一歩踏み出したG20サミット・バリ宣言――

広島で被爆者を裏切ってはいけない (7)

――一歩踏み出したG20サミット・バリ宣言――

230526

慰霊碑

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 2022年8月1日のNPT再検討会議で、「被爆地広島出身の総理大臣」という大見得を張った後、披露された「ヒロシマ・アクション・プラン」には、「被爆者」や「核兵器禁止条約」、「核廃絶」のどの言葉も使われていませんでした。2023年5月に開かれるG7広島サミットでの結論を予告されたような気がしましたが、11月になると、仄かな期待を持っても良い動きがありました。

それは、11月15日と16日に、インドネシアのバリで開かれたG20サミットです。G7諸国は日本も含めて出席していましたし、ロシアと中国、さらにインドと、6核保有国が参加していたことにも注目です。そこで、それらの国の首脳「自ら」署名した文書の一節を引用します。

平和と安定を守る国際法と多国間システムを堅持することが不可欠である。これには、国際連合憲章に謳われている全ての目的及び原則を擁護し、武力紛争における市民及びインフラの保護を含む国際人道法を遵守することが含まれる。核兵器の使用又はその威嚇は許されない。紛争の平和的解決、危機に対処する取組、外交・対話が極めて重要である。今日の時代は戦争の時代であってはならない。

「国際人道法の遵守」という枠組みを明確にした上で、何の条件も付けずに「核兵器の使用又はその威嚇は許されない」と宣言しているのですから、これが1996年の国際司法裁判所の勧告的意見を視野に入れた表現であることは明らかです。

1996年の勧告的意見では、例外が認められていることが問題でした。それは、「国家の存亡そのものが危険にさらされるような、自衛の極端な状況における、核兵器の威嚇または使用が合法であるか違法であるかについて裁判所は最終的な結論を下すことができない」と表現されています。

そして、この (法的な) 隙間を埋めるための措置が、2017年7月に国連総会で採択された核兵器禁止条約 (TPNW) なのです。TPNWは、50か国の批准後90日という条約上の規定に従って、2021年1月22日に発効しました。

このような背景を考慮すると、G20バリ宣言では、「核兵器禁止条約」という言葉は使われなかったにしろ、それが視野には入っていたと考えても良いことが分ります。さらに、「核兵器の使用は許されない」のですし、核兵器の「先制不使用」政策を採用している中国とインドもバリ宣言に署名しているのですから、最低限の線で共有された概念として、「核兵器の先制不使用」に、バリ宣言がOKを出していると解釈しても良いことになります。

G20サミットでこれだけのことができたのですから、G7広島サミットで、それを再確認することは「延長線上」にあるのですから、自然な流れのはずです。しかし、「ヒロシマ・アクション・プラン」とはかなり色合いが違います。そのギャップを埋めるための行動が必要になります。岸田総理大臣への要請行動は、こうした流れの中で生まれることになりました。次回に続きます。

 

「「核兵器を使わない」と、直ちに宣言して下さい!」キャンペーンは続けます。

 

そして皆さんにとって、今日一日が素晴らしい24時間でありますよう祈っています!

 [2023/5/29 人間イライザ]

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2023年5月28日 (日)

広島で被爆者を裏切ってはいけない (6) ――「ヒロシマ」が核抑止論にお墨付きを与える?――

広島で被爆者を裏切ってはいけない (6)

――「ヒロシマ」が核抑止論にお墨付きを与える?――

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折り鶴

 

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2022年8月1日のNPT再検討会議で岸田総理は「ヒロシマ・アクション・プラン」を披露し、NPTこそ、その「原点」だと強調しました。5月19日の「首脳広島ビジョン」では、「原点」ではなく、「礎石」に代っていましたが、意味は変わりません。念のため、「アクション・プラン」の冒頭部分を再度掲げます。

「被爆地広島出身の総理大臣として、いかに道のりが厳しいものであったとしても、「核兵器のない世界」に向け、現実的な歩みを一歩ずつ進めていかなくてはならないと考えます。そして、その原点こそがNPTなのです。」 

目的は、核抑止論を正当化するだけではなく、それこそ、「現実的な」政策であり、今後も堅持されなくてはならいという主張のためです。その理由は、NPTが核保有国の利害関係を守るための手段に貶められ、「三本柱」と呼ばれてきた三つの原則は実質的に二つになってしまっているからです。三本柱とは、

  • 全面的かつ完全な核軍縮が、厳重かつ効果的な国際管理の下に行われることになるような条約締結のために誠実な交渉を行うこと
  • 米・英・ロ・仏・中以外の国に核兵器を拡散させないようにすること。
  • 原子力の平和利用は推進すること。

この内の第一の柱は、NPTの第6条です。その意味は、分り易く言えば、核兵器禁止条約のような条約を作りなさい、ということなのですが、核保有国はこの6条を全く無視し続けてきました。核兵器禁止条約が、「ヒロシマ・アクション・プラン」の中にも「G7首脳広島ビジョン」の中にも使われていないのは、そのためです。と言うことは、NPTとは、安保理の常任理事国である5つの核保有国が核兵器を持つことは認め、その継続を前提として、その他の国々が核兵器を所有することは認めず、原発は推進するという内容の条約です。

原発の推進は、別建てで論じますが、NPTとは、核保有国の核を正当化し、その体制を持続する上での「法的正当性」を主張するための道具にされてしまっているのです。

「その原点がNPTなのです」の後に続くのは、「NPTは、軍縮・不拡散体制の礎石として、国際社会の平和と安全の維持をもたらしてきました。NPT体制を維持・強化することは、国際社会全体にとっての利益です」なのですが、それと、「ヒロシマ・アクション・プラン」の第一の基礎として挙げられている命題は同じことを述べています。

「核兵器不使用の継続の重要性を共有すべきであることを訴えます」

ロシアによる脅しは非難していますが、その裏では、その他の国についての言及はないのですから、ロシアは使うことも脅しもダメ、他の核保有国はどちらもできる、という主張なのだと考えても矛盾ではありません。実際、その通りなのだという説明は、ここでは省きます。

これほどあからさまに、核保有の正当化と、核抑止論の効果、そして、それが世界平和のためになっている、だからその体制を保持するのが正しいと言われると、それが、2023年5月のG7広島サミットのテーマであることも見えてきます。

それ以上に問題なのは、「被爆地広島出身の総理大臣」を強調し、演説中には「被爆者」という言葉は一切使わなかったにもかかわらず、演壇から折り鶴を指示して、あたかも「ヒロシマ・アクション・プラン」が被爆者の思いそのものであるかのような印象を与える演出をしていることです。

G7サミットを広島で開く目的は、「ヒロシマ」がこうした主張にお墨付きを与えているのだ、という印象作りではないのかと思われても仕方がありません。

事実、5月21日に終ったG7広島サミットではその通りのことが行われたのですが、昨年秋の時点では、まだ一縷の望みがありました。それは、11月にバリで開かれたG20サミットです。長くなりましたので、この項は次回に。

 

「「核兵器を使わない」と、直ちに宣言して下さい!」キャンペーンは続けます。

 

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 [2023/5/28 人間イライザ]

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2023年5月27日 (土)

広島で被爆者を裏切ってはいけない (5) ――G7首脳が広島まで来てくれたことは、当然評価に値します――

広島で被爆者を裏切ってはいけない (5)

――G7首脳が広島まで来てくれたことは、当然評価に値します――

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平和記念資料館

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昨年3月1日から始めた「宣言キャンペーン」から、今年の5月9日に開始した「念押しキャンペーン」までの経緯を記録した上で、G7広島サミットの総括をすることが一連のブログ記事の目的です。でも、いつもの癖で長くなっていること、また内容を説明する上で必要な背景等の記述にもスペースを割いていますので、全体のバランスに欠けている気がしてきました。

今回は、G7広島サミットのもたらした、プラス面をできれば短くまとめておきたいと思います。その大前提は、これまで広島を訪れた私自身の外国人の友人の中で、資料館の展示や被爆者の証言から、人生観の変るほどのショックや感動を受けなかった人は皆無だという事実です。日本人でも同じことなのですが、その点については改めて考えて見る必要を感じています。

そしてオバマ大統領の広島訪問についても、私の考え方は、「謝罪がなければ広島に来るな」という考え方ではなく、「謝罪があってもなくても、とにかく広島に来る気持があるのなら歓迎すべきだ」でした。

でも、オバマ大統領は資料館には扉を開けてすぐ出て来る数分いただけ、そして被爆者との「遭遇」も瞬時だったことには問題が残りました。それでも、アメリカの大統領が広島にやってきたことの意味は大きかったのです。この点については当時の、テレビでの解説、ブログや記者会見等々で詳しく説明していますので、機会があれば、リンクを張ることにします。

今回のG7首脳の広島訪問については、資料館滞在時間は40分、その中で被爆者の小倉桂子さんとの対話が10分あったそうですので、オバマ大統領訪問時の問題点は解消された、と考えることができます。ただし、20日のブログで述べたように疑問は残ります。

外務省の意図は、物理的・客観的に計測可能な範囲では視察もし、被爆者の話も聞いたという実績を作ること、でも実質的には外務省の思惑以外のメッセージは伝わらないような「演出」だったのかなとしか考えられません。

しかし、私たち市民的な立場からは、事実を持って語らしめることも重要です。

一つには、イギリスのスナク首相の記者会見での言葉があります。毎日新聞の記事「英首相「広島で何が起きたのか忘れない」 原爆資料館訪問に言及」 には、スナク首相の素直な言葉が読み取れます。

「主要7カ国首脳会議(G7サミット)に出席した英国のスナク首相は21日、広島市で記者会見し、19日の原爆資料館訪問について「深く心を動かされた」と振り返った。

スナク氏は「爆発でねじ曲がった子供の三輪車や破れた血まみれの制服などの展示品を見た」と明かし、「これらの記憶を胸に刻み、我々は(広島で)何が起きたのか決して忘れないと決意し、歴史的なG7サミットで平和と自由、民主主義の道を歩むことを誓った」と強調した。」

また、被爆者の小倉桂子さんは、19日の広島テレビのインタビューに笑顔で答えて、首脳たちに向かって思わず、「夢が叶った」と言ったことを報告してくれました。被爆者がバイデン大統領やアメリカという国を憎んではいない、敵意を持っていないことまで伝わるのですから、これだけでも多くのアメリカ人の心を開かせるための一言になります。

そして他の国々の人々にも、これからの世界平和を築く上での出発点としてこれ以上相応しい言葉はなかったのではないかと考えられます。加えて小倉さんは、首脳の皆さんに「Thank you for coming.」と「Welcome to Hiroshima!」とおっしゃったとのことです。「首脳広島ビジョン」にこうした点を付け加えるべきではなかったのでしょうか。

こうした事実を元にまとめるとすると、広島訪問、特に資料館の視察と被爆者との対話で、首脳は「深く心を動かされた」と感じ、被爆者は「夢が叶った」とまでの満足感があったのですから、G7首脳、そしてEU首脳と招待国首脳の広島訪問は、評価に値すると言うべきなのだと思います。

加えて、世界のマスコミを通して広島のメッセージが伝わった事実も大切です。さらに一言付け加えれば、このような訪問が、仮に全員同時ではなくても、G7サミットという形でなければ実現しなかったのであれば、G7サミットも、その限りにおいては評価すべきことになります。

しかし、これは全てが非公開だった資料館での40分間について、ほんの少し漏れてきた情報を元にした結論です。ブログにも書いた通り、「外務省の思惑以外のメッセージは伝わらないような「演出」」が上手く行った結果だったと考えても矛盾はありません。その可能性も検証しながら「真実」に近付く努力も、どこかの時点で試みなくてはなりません。

こんな疑問が払拭し切れないだけではなく、もっと積極的に、今回のサミットが「被爆者を裏切った」、「「ヒロシマ」を弄んだ」「「ヒロシマ」を虚仮にした」等々と総括されていることも重要です。それは、「ヒロシマの心」が人類の滅亡か存続かの問題と直結しているからですし、核兵器についてのG7広島サミットの結果として公表された「首脳広島ビジョン」は、「ヒロシマ」という視点からも今回の最重要文書であり、その内容が自ずから評価を定めているからです。

その総括に至るまでの私たちの努力や、それが実際に為政者たちに届いたのかという検証も必要ですので、このシリーズを続けています。

 

そして皆さんにとって、今日一日が素晴らしい24時間でありますよう祈っています!

 [2023/5/27 人間イライザ]

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2023年5月26日 (金)

広島で被爆者を裏切ってはいけない (4) ――「ヒロシマ・アクション・プラン」には被爆者が登場しない――

広島で被爆者を裏切ってはいけない (4)

――「ヒロシマ・アクション・プラン」には被爆者が登場しない――

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被爆者 故石田明先生

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最初の部分は繰り返しになりますが、2022年2月24日ロシアがウクライナに侵攻し、プーチン大統領が核兵器を使うぞとの脅しをかけて以来、ロシア(そして全ての核保有国)に「核兵器を使わない」と宣言するよう促すキャンペーンを始めました。2022年3月1日、Change.orgの署名運動です。(長いので、「第一キャンペーン」または「宣言キャンペーン」と呼びます。)」

そして、G7広島サミットの直前、2023年5月9日には、Change.orgを通して「これで核は使えなくなりましたね」と岸田総理の念押しを促すキャンペーンを始めました。(こちらは「念押しキャンペーン」と呼んでおきましょう。)

「宣言キャンペーン」には、アメリカ大使館から書簡を受け取った旨の返事がありましたが、その他の国々から直接のコンタクトはないまま、8月1日に岸田総理は、NPT再検討会議に出席して、「ヒロシマ・アクション・プラン」なるものを公表しました。国連での岸田演説の最初の山を紹介しておきましょう。

「被爆地広島出身の総理大臣として、いかに道のりが厳しいものであったとしても、「核兵器のない世界」に向け、現実的な歩みを一歩ずつ進めていかなくてはならないと考えます。そして、その原点こそがNPTなのです。」 続いてNPTの説明があり、その後に「ヒロシマ・アクション・プラン」の内容が披露されています。それは「五つの行動を基礎」としており、そのトップが次の一節です。

「まず、核兵器不使用の継続の重要性を共有すべきであることを訴えます。ロシアの行ったような核兵器による威嚇、ましてや使用はあってはなりません。長崎を最後の被爆地にしなければなりません。」

昨日は、総理自身が、「被爆地広島出身の総理大臣」であることを強調しているからには、それに伴う責任として、最低限、「被爆者の気持を理解し、代弁する総理大臣」としての役割を果さなくてはならないことを指摘しました。今回はその続きです。

さて、次に進みましょう。「いかに道のりが厳しいものであったとしても、「核兵器のない世界」に向け」は、その通りです。しかし、それは次の言葉、「現実的な歩みを一歩ずつ進めていかなくてはならない」を単に修飾しているに過ぎない表現なのです。つまり、「被爆地広島出身の総理大臣」が被爆者を代弁する第一の言葉が現実的に事を進めることなのです。

確かに現実的に事に当たらなければ何事も前に進みません。しかし、被爆者たちが言って欲しいと願ってきたことはそれではありません。被爆者の思いを代弁する立場であるなら当然、言及しなくてはならない言葉が欠けています。

被爆者の思いは、自分たちが生きている内に何とか核兵器を廃絶して欲しいということですし、そのためには、「被爆地広島出身の総理大臣」である「私」は、どんな苦労も厭わない、という決意を聞きたかったのです。その言葉があって、次に、しかし現実は厳しい、その現実を乗り越えるために、被爆者と涙を共にし、知恵を絞り汗を流して努力すると、被爆者に誓う言葉があって然るべきだったのです。

冒頭の部分で、「被爆地広島の総理大臣として、被爆者の皆さんの悲願である「核なき世界」を実現するため、全力を尽くすことをここで誓います」と言っても問題はなかったはずですし、それに続けて、「しかし、現実の厳しさも見詰めなくてはなりません」とつなげることは可能だったはずです。

なぜ、それくらいのことも言わなかったのでしょうか。「被爆者」という言葉を使いたくなかった、というのが大きな理由だったのではないでしょうか。「ヒロシマ・アクション・プラン」の中で、「被爆者」という言葉を使えば、被爆者の存在、歴史の重みから、アクション・プラン全体に影を落すことになるからです。

それは、五つの基礎の最初に掲げられている「まず、核兵器不使用の継続の重要性を共有すべきであることを訴えます」にも及びます。核兵器が使われなかったのは、被爆者たちが自らの体験を世界に訴え続けてきたからだ、と多くの人が受け止めている事実を想起させることになってしまいます。

それを避けて、核兵器を持ち使うぞと脅すことで核は使われなかった、という趣旨の「核抑止論」が正しかったからだ、という結論に導くには、「被爆者」という存在をこの文書から抹殺しておく必要があったのです。

さらに、次の表現の「原点」には、もっと大きな違和感を持ちました。被爆者の立場から言えば、原点はあくまでも被爆体験です。8月6日と9日です。そしてその後の悲惨かつ苦しみに満ちた日々なのです。それを「省略」して、いきなり何故「NPT」なのでしょうか。「被爆者」という言葉を使わなかったのは、読み手をこんな疑問から遠ざけるためだったと考えると辻褄が合います。

さらに、五つの基礎の最初の項目で、「まず、核兵器不使用の継続の重要性を共有すべきであることを訴えます」と強調していることと合わせて考える必要もあります。岸田総理は、他のスピーチ等で、「77年間」と言っていますので、ここでの「核兵器の不使用」は長崎以降の歴史を指しています。しかし、NPTが条約として効力を持ったのは、1970年ですし、その効力を無期限に延長することになったのは、1995年です。

つまり、1945年の長崎以降、1970年までの間の25年間、核兵器が使われなかったのはNPTがあったからではないのです。それは、NPTが「原点」ではあり得ないことの証明でもあります。

被爆者に取っての本来の「原点」には触れずに、論理的には「原点」とは言えないNPTを持ち出してくる意図はどこにあるのでしょうか。ようやく、前半の結論に近付いたのですが、長くなりましたので、今日はここで一休みして、明日に続きます。

 

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 [2023/5/26 人間イライザ]

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2023年5月25日 (木)

広島で被爆者を裏切ってはいけない (3) ――「被爆地広島出身の総理大臣」とは?――

広島で被爆者を裏切ってはいけない (3)

――「被爆地広島出身の総理大臣」とは?――

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首相官邸のホームページから

https://www.kantei.go.jp/jp/rekidainaikaku/100.html

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最初の部分は繰り返しになりますが、2022年2月24日ロシアがウクライナに侵攻し、プーチン大統領が核兵器を使うぞとの脅しをかけて以来、ロシアに「核兵器を使わない」と宣言するよう促すキャンペーンを始めました。

Change.orgを通してのキャンペーンは、当然プーチン大統領に対する抗議の意味も込めて、「使わない」と宣言するよう呼び掛けました。さらに、ただ抗議するだけではなく、世界中の国々が同じ圧力を掛ける気持ちになるよう、全核保有国にも「使わない」宣言をするよう求めています。そうしないとロシアに対しても、核兵器廃絶のために活動してきた人たちに対しても説得力を持たないからです。

このキャンペーンを進めるための私自身の活動報告を、昨日は記憶だけに頼って記述しましたが、より正確には、昨日言及した皆さんの他にも、「憲法9条守ろう亀岡の会」や「こまえ平和フェスタ」、「パルシステム」、「ピースボート」、「横浜市非核兵器平和都市宣言市民のつどい」、杉並光友会、杉並区等に、発言の機会を頂いています。改めて感謝の気持を表します。そして多くの皆さんに共感して頂いたことも大きな力になりました。

さて、私たちの声とは関係なく、日本政府は広島でのG7サミット開催に向けての準備に怠りなく、国際社会もそれなりの動きを見せていました。

岸田総理は、8月1日、NPT再検討会議に出席して、「ヒロシマ・アクション・プラン」なるものを公表しました。岸田総理の決意は次のように述べられています。

「被爆地広島出身の総理大臣として、いかに道のりが厳しいものであったとしても、「核兵器のない世界」に向け、現実的な歩みを一歩ずつ進めていかなくてはならないと考えます。そして、その原点こそがNPTなのです。」 続いてNPTの説明があり、その後に「ヒロシマ・アクション・プラン」の内容が披露されています。それは「五つの行動を基礎」としており、そのトップが次の一節です。

「まず、核兵器不使用の継続の重要性を共有すべきであることを訴えます。ロシアの行ったような核兵器による威嚇、ましてや使用はあってはなりません。長崎を最後の被爆地にしなければなりません。」

ここまで、一まとめにしたのには理由があります。これを読まれた皆さんの多くは (過半数という意味ではありません。英語で言えば「many」です)、それほど違和感なく受け止められたのではないかと思います。広島出身の総理大臣が核なき世界を目指すのは当然ですし、そのために現実的なステップを踏むということも、「夢」を追うことが政治家の仕事ではないのですから当たり前です。そしてNPTという、長い間核保有国を縛ってきた唯一の国際条約を「原点」と言っても問題はないと考える人も多いでしょう。さらに、これまで核兵器が使われなかったという事実を今後も踏襲する、つまりこれからも核兵器が使われないように皆で協力しましょう、と言わなければかえっておかしなことになってしまいます。過激な表現で、「核廃絶」と叫んではいないけれど、それなりに「良いことを言っている」と感じた方がかなりいたことは理解できます。

しかしながら、私はこれを読んだだけで、この文章の執筆者の意図は全く違ったところにあるのではないかと心配しました。丁寧に読むと、その通りでした。多くの人に、「良いことを言っている」と思わせてしまうような表現を使いながら、実質的には「ヒロシマ」を裏切る内容が盛り込まれているのです。「詭弁」と言っても良いでしょう。

いくつもありますので、一つずつ取り上げましょう。長くなりますが、お付き合い下さい。最初は「被爆地広島出身の総理大臣」です。首相官邸のホームページでは、「出身地 東京都」 ( https://www.kantei.go.jp/jp/rekidainaikaku/100.html  2023年5月24日閲覧) と書かれているにもかかわらず、「被爆地広島出身の総理大臣」と自ら名乗っているのですから、相当な思い入れがあってのことだと解釈すべきだと思います。

勿論、「出身」の定義にはあいまいなところがあり、出生地だけではなく、本籍の所在地や育った場所、自分のアイデンティティーを最も的確に表しているところ等を採用しても、許されるだけの幅はあると思います。しかし、「被爆地広島出身の総理大臣」と自ら名乗ることには、当然それに付随する責任が生じます。

その責任を一言で表すと、「被爆者の代弁を最優先する総理大臣」だと規定して良いのではないでしょうか。少し譲ったとしても「被爆者の気持を理解し、代弁する総理大臣」くらいの責任は果さなくてはならないのでないでしょうか。

仮に自らの意識としてはそうではないとしても、少なくともそう解釈する人が大多数になることは想定しての名乗りなのではないのでしょうか。もしそれ以外の意味で「被爆地広島出身の総理大臣」と名乗っているのであれば、多くの人たちをミスリードしていることになりますし、良心的に言葉を使う立場の政治家であれば、それに対しての「丁寧な」説明をするはずです。

中途半端ではありますが長くなりましたので、今日はここで一休みして、明日に続きます。

 

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 [2023/5/25 人間イライザ]

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2023年5月24日 (水)

「こんな思いを他の誰にもさせてはならない」 ――被爆者の願いを実現するのは「広島出身」の総理大臣の使命――

「こんな思いを他の誰にもさせてはならない」

――被爆者の願いを実現するのは「広島出身」の総理大臣の使命――

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http://www.kremlin.ru/events/president/news/67568/photos/67359

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%82%A1%E3%82%A4%E3%83%AB:%D0%92%D0%BB%D0%B0%D0%B4%D0%B8%D0%BC%D0%B8%D1%80_%D0%9F%D1%83%D1%82%D0%B8%D0%BD_(10-01-2022)_(cropped).jpg

 

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2022年2月24日ロシアがウクライナに侵攻し、プーチン大統領が核兵器を使うぞとの脅しをかけて以来、広島・長崎の被爆者たちが叫び続けてきた言葉、「こんな思いを他の誰にもさせてはならない」が頭から離れません。

それは被爆者のみならず、「ヒロシマの心」を共有してきた全ての人、戦争その他の大きな悲劇を体験して来た人たち、そして平和を願い愛するすべての人たちが感じていることなのではないでしょうか。その中でも特に、「広島出身」の岸田総理大臣には特別の思い入れがあるものと信じてきました。

そう考えている内に、岸田総理が「核兵器を使わせてはならない」という圧倒的多数の世論を背に受けて、被爆者とともにモスクワまで飛んでプーチン大統領を説得する、というシナリオが頭に浮かびました。圧倒的多数の世論があることを示すには、Change.orgを通しての署名運動が効果的です。

昨年の3月1日にキャンペーンを立ち上げましたが、多くの皆様の賛同を頂くことができました。心から御礼申し上げます。そしてほぼ一月で、10万人を超える皆様の署名として実現しました。

送り先は、岸田総理大臣、プーチン大統領、そしてすべての核保有国の首脳とそれらの国の在日大使です。ロシアに対して、「ロシアの核使用は許せない。でも自分たちの核は使うぞ」と言ったのでは、全く説得力がありません。ですから、全ての核保有国が「核兵器は使わない」と宣言することしか選択肢はないのです。

核保有国の政府を動かすのですから、メッセージは少なくとも英語で世界的に発信しなくてはなりません。そのために、かつては英文毎日と呼ばれたThe Mainichi, ロンドンの専門誌The World Financial Review、国際NGOであるNoFirstUseGlobalのブログ等に、寄稿またはインタビュー記事を掲載して貰いました。

岸田総理に影響力を行使できるのは主権者である私たち、特に彼に一票を投じた有権者たちですが、国会議員もより身近な存在でもあります。また、議員外交を展開してプーチン大統領説得の一翼を担うことも考えられます。

現役の国会議員である舩後靖彦さんや阿部知子さん、元議員の喜納昌吉さんたちの人脈を使わせて貰って、国会議員、そしてNGOや市民の皆さんにもアピールをしました。でも、「国権の最高機関」である国会内の議員たちの動きは、私には歯痒く思えました。そんな時に、社民党から参議院選挙に出馬する可能性についての打診がありました。それまでは全く考えてもいなかった可能性ですが、もし当選すれば国会のレベルで「核兵器を使わない」宣言運動のために動けますし、選挙運動を通してより多くの皆さんに直接働きかけることもできますので、熟慮の末、全国比例区の候補になりました。

選挙戦を通じて、全国の有権者の皆さんに、「核兵器を使わない」宣言の意味を説き、そのサポートをしてくれるようアピールしました。当然、「核共有」といった核兵器を容認するどころか戦争を誘発する策動には絶対反対の論陣を張りました。

当選はしませんでしたが、「核兵器は使わない」宣言を全面的にサポートしてくれた社民党は一議席を確保することができました。この議席を活かして、国会内でのネットワークが維持できます。

さらに、9月には「国葬」反対の元国会議員のグループとともに活動し、それとともに、「核兵器を使わない」宣言運動も広げることができました。特に、この時に取材して下さったマスコミの皆さんにはその後も、私たちの運動について、様々な形で応援して貰えることになりました。

あまり長くなると、読むのに時間が掛かりますので、二回目はこれまでにして、「これで核は使えなくなりましたね」キャンペーン開始までの経緯のまとめは続きます。三回以降も是非御覧下さい。

「「核兵器を使わない」と、直ちに宣言して下さい!」キャンペーンは続けます。

 

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 [2023/5/24 人間イライザ]

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2023年5月23日 (火)

「ヒロシマ」を弄んだG7広島サミット ――「核廃絶」という「目標」達成のため再度決意しましょう――

「ヒロシマ」を弄んだG7広島サミット

――「核廃絶」という「目標」達成のため再度決意しましょう――

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Change.orgのキャンペーンから

 

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岸田総理は「G7広島サミットは成功だった」と自画自賛していますし、マスコミの論調も一部の批判はありますが、今一です。成功の反対の「失敗」というのも、G7主催者側の視点での評価ですから、私たちがこんなことを言ってはいけません。私たちの感覚で一番近いのは「「ヒロシマ」が弄ばれた」ではないでしょうか。

「弄ばれた」実態を一つ一つ挙げて、それが事実なのだと納得して貰いたいのですが、スペースもありませんし、これからの活動計画を立てて行く中でも明らかになりますので、一つ二つに限って指摘しておきましょう。

一つは、昨日も指摘したように19日に公表された、「核軍縮に関するG7首脳広島ビジョン」 (略して「広島ビジョン」と呼びます) の中の言葉、そして使われなかった言葉です。

「我々は原子爆弾投下の結果、広島や長崎の人々が経験したかつてない壊滅と極めて甚大な非人間的な苦難を長崎とともに想起させる広島に集った。」を再度読んでみて下さい。ごちゃごちゃしていますので、「長崎」の部分を割愛してみましょう。

「我々は原子爆弾投下の結果、広島や長崎の人々が経験したかつてない壊滅と極めて甚大な非人間的な苦難を想起させる広島に集った。」です。

「我々は、原子爆弾の結果、人類がかつて経験したことのない壊滅と極めて甚大な非人間的な苦難を受けた広島に集った」の方が事実に即していますし、意味は明快です。

もう少し短い例で比較してみましょう。皆さんが、卒業したことを誇りに思っている学校についてどう紹介しますか? 「私が卒業したことを想起させる学校です」と言いますか、それとも「私が卒業した学校です」でしょうか。

「被害を受けた」という表現を避けて、被害を「想起させる」土地として広島を位置付けたのです。アメリカへの忖度かもしれませんが、実際にその被害を受けた被爆者や、都市としての広島に対して大変失礼な言い方ではありませんか。

仮にアメリカがこのような表現を求めたとしても、「被爆地出身の総理大臣」なら、あるいは広島市長なら、「この点は譲れない」と主張すべきなのではないでしょうか。あるいは主張したけれども、拒否されたのでしょうか。

二点目は、「被爆者」という言葉が使われていないことです。それぞれの国内での反応が心配だから、首脳一人一人が小倉桂子さんの体験談にどう反応したのかは、仮に書かないことにしたとしても、「本サミットは岸田総理の強い要請により被爆者小倉桂子さんとの対話から始まった」と書くことは出来たのではないでしょうか。客観的な記述ですし、もし、アメリカの保守的な人たちからの批判が出て来たとしても、被爆者が存在することは事実なのですから、そこはバイデン大統領が事実として説明すべきところです。

それに、小倉さんがテレビのインタビューに笑顔で答えて、首脳たちに向かって思わず、「夢が叶った」と言ったことを加えれば、被爆者がバイデン大統領やアメリカという国を憎んではいない、敵意を持っていないことまで伝わるのですから、これだけでも多くのアメリカ人の心を開かせるための一言になります。

そして他の国々の人々にも、これからの世界平和を築く上での出発点としてこれ以上相応しい言葉はないほどの価値があったはずです。加えて、首脳の皆さんには「Thank you for coming.」と「Welcome to Hiroshima!」とおっしゃったとのことですので、それを付け加えても良かったかもしれません。

その他に、「広島ビジョン」の中での問題を三つ加えておくと、

  • 「核兵器禁止条約」という国際法上効力を持つ条約に全く触れていない。
  • 「広島」で、「核兵器の先制不使用」に触れていない。
  • 「広島」で、核抑止論の強化を主張している。

どの点も重要ですので、数回に分けて一つずつ説明しますが、今回はもう一つ、別の問題点を取り上げます。「語るに落ちた」の典型例になりますが、岸田総理と日本政府、特に外務省の本音が出てしまった点です。

各紙が取り上げていますが、21日午後2時過ぎ平和公園で記者会見を開いた岸田総理の言葉です。

「核兵器のない世界という理想に向けた基礎を確保し、核軍縮に向けた国際社会の機運をいま一度高めることができた」そして最後に、「夢想と理想は違います。理想には手が届くのです。我々の子どもたち、孫たち、子孫たちが、核兵器のない地球に暮らす理想に向かって、ここ広島から、今日から一人ひとりが広島の市民として一歩一歩、現実的な歩みを進めていきましょう」

ここで問題なのは「理想」の使い方です。日本政府は長い間、核兵器の廃絶を「核兵器の廃絶を究極的目標とする」という形で表現してきました。「究極的」というと難しい言葉ですので誤魔化されることが多いのですが、感覚的には「ずっと先」という意味です。「突き詰めて行くとそこに行き着く」という意味ですから、突き詰めないと永遠に到達できない場所です。日本政府は、努力もせずに「究極的目標」と言い続けてきたのですから、これを別の言葉で言うと「夢想」になります。

岸田総理の記者会見では、自らこれまで言い続けた「夢想」を否定して「理想」にしたのですが、それこそ、より実態に使い言葉になったとも考えられます。「Investigate Blog」(https://g2015graman.top/archives/19344.html) による、分り易い説明がありますのでお読み下さい。

それが最もよいと思う状態が「理想」。

ただ「思う」ことであり、実現しようとすることではありません。
 
 
ある物事をする時に目指して進んで行く目印が「目標」。

「目標」は、そこを目指して進もうという意識をしなくてはいけません。
 

岸田さんにとって、核兵器のない世界は「思う」ことであり、実現しようとすることではないという位置付けがハッキリ分って頂けたでしょうか。

今回のG7サミットがこんな結果になることは、事前に予測できたのではなかったか、というお叱りを受けると思いますが、その予測は当然していました。それを元に、日本政府と岸田総理にいくつもの提案をし、それでもギリギリになって、居ても立っても居られない思いで、「岸田さん、資料館の出口で「これで核は使えなくなりましたね」と念を押して下さい」と促すことにしました。そこに至る経緯も、何回かに分けて説明します。続きも是非御覧下さい。

G7広島サミットは21日午後に閉幕しましたので、Change.orgでのG7に期間を絞った署名キャンペーンも閉じたいと考えています。御協力下さった皆様への説明と御礼の一環として、第一回のこの稿を投稿します。しかし、「「核兵器を使わない」と、直ちに宣言して下さい!」キャンペーンは続けます。

 

そして皆さんにとって、今日一日が素晴らしい24時間でありますよう祈っています!

 [2023/5/23 人間イライザ]

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2023年5月22日 (月)

「核軍縮に関するG7首脳広島ビジョン」の問題点 ――サミットは閉幕しました――

「核軍縮に関するG7首脳広島ビジョン」の問題点

――サミットは閉幕しました――

20170423-18-15-08

 

グランドプリンスホテル広島から見た瀬戸内海

 

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G7広島サミットの首脳たちは、最終日の21日より一日早く、20日に「G7首脳声明」を発表しました。通常は会議が終ってから出されるものですから、異例です。

さらに、今回は19日に、「核軍縮に関するG7首脳広島ビジョン」と呼ばれる文書が公表されています。核兵器の廃絶という視点からは、こちらの特別に準備されたものの方がより具体的な内容を知る上で重要だと思われますので、まずはこちらを取り上げます。

かなり長いものですので『日本経済新聞』による要旨を掲げます。(『日本経済新聞』電子版5月20日付記事「G7首脳、核軍縮に関する共同文書「広島ビジョン」の要旨」から引用  https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA19DB40Z10C23A5000000/  5月21日閲覧)

「歴史的な転換期の中、我々は原子爆弾投下の結果、広島や長崎の人々が経験したかつてない壊滅と極めて甚大な非人間的な苦難を長崎とともに想起させる広島に集った。

核軍縮に特に焦点を当てた初のG7首脳文書で、すべての者にとって安全が損なわれない形での核兵器のない世界の実現に向けたコミットメントを再確認する。77年間に及ぶ核兵器不使用の記録の重要性を強調する。

ロシアの無責任な核のレトリック、軍備管理体制の毀損やベラルーシに核兵器を配備するとの意図は危険で受け入れられない。核兵器使用の威嚇、ましてや使用も許されないとの立場を改めて表明する。

我々の安全保障政策は核兵器が存在する限りにおいて防衛目的のために役割を果たし、侵略を抑止し戦争や威圧を防止すべきとの理解に基づく。

世界の核兵器数の全体的な減少は継続しなければならず、逆行させてはならない。核兵器不拡散条約(NPT)は堅持されなければならない。

現実的で実践的な責任あるアプローチを通じて達成される核兵器のない世界という究極の目標に向けた我々のコミットメントを再確認する。この点で日本の「ヒロシマ・アクション・プラン」は歓迎すべき貢献である。」

いろいろ問題はあるのですが、四点だけ指摘しておきましょう。感情に流されそうですので、できるだけ事実のみを取り上げようという努力の結果です。

  • 「被爆者」という言葉が使われていない。
  • 「苦難を受けた」のではなく「想起させる」広島と長崎という位置付け。
  • 「核兵器禁止条約」という国際法上効力を持つ条約に全く触れていない。
  • 「広島」で、核抑止論の強化を主張している。

これらの問題点や、最終の首脳声明も合わせて、さらに分析をお伝えしますが、G7広島サミットは21日午後に閉幕しましたので、Change.orgでの署名キャンペーンも閉じたいと考えています。御協力下さった皆様への御礼等もきちんとしたいので、少し時間を頂いて、「お知らせ」欄に投稿します。

 

そして皆さんにとって、今日一日が素晴らしい24時間でありますよう祈っています!

 [2023/5/22 人間イライザ]

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2023年5月21日 (日)

岸田総理へのお礼と新たなお願い ――Change.orgのサイトでも「お知らせ」しました――

岸田総理へのお礼と新たなお願い

――Change.orgのサイトでも「お知らせ」しました――

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昨日も報告しましたが、資料館の視察については、形だけかもしれませんが、40分時間を取り、被爆者の小倉桂子さんとの対面も実現しましたので、そのレベルでのお礼はしておかなくてはなりません。しかし、G7広島サミットはまだ続いていますので、その間に、岸田総理にもう一言発言して貰うという要請をすることも必要です。

それらの点について、Change.orgの「お知らせ」という欄に投稿した内容を以下貼り付けます。

****************************************

御賛同下さった皆様

多くの皆さまに御賛同頂き心から御礼申し上げます。私たちが岸田さんに届けたいメッセージは、短く分り易いものですし意味も明快です。皆様が他の方々に拡散して下されば、「炎上」するくらいの結果が生じてもおかしくはないと願っていました。 

事実、私にとっては「炎上」とも思えるほどの勢いで多くの皆さまから賛同を頂き、19日の朝には15,000名を超える方から、そして20日の午後5時時点では、17,090名の方から御署名を頂きました。

そして19日の朝には、G7首脳の皆さんは岸田総理の案内で資料館を40分間視察し、そのうち、約10分は被爆者の小倉桂子さんの被爆体験に耳を傾けて頂けたとのことでした。私たちが岸田総理にお願いした二つの項目のうちの一つ、

① 一つは、G7の首脳たちを、貴職自ら資料館に先導し自分の言葉で被爆の実相と被爆者のメッセージを伝えること。

は、表面的には実行されました。(続いて、被爆者の体験をG7首脳全員で傾聴することありません。)も、その中に入ります。しかし、資料館の本館には行っていない等、疑問は残ります。二つ目のお願いがありますので、それは今後、取り上げることにします。

二つ目のお願いは、

② もう一つは、資料館の出口で首脳たちに立ち止まって貰い、一言はっきりと、「これで核は使えなくなりましたね」と念押しをすること。

でしたが、「資料館の出口」では、この言葉を発して頂けたようには思えません。しかし、G7サミット中のどこかで、このことを念押しして頂ければ、G7首脳の皆さんの心により強い印象が残ります。

そのため、このキャンペーンの内容を少し広げて、二つ目のお願いを次のように修正した上で、皆様の御賛同を頂ければと考えています。

(2.5) もう一つは、G7サミットの期間中に、首脳の皆さんに一言はっきりと、「これで核は使えなくなりましたね」と念押しをすること。

ここで、「これで」とは、広島を訪れ資料館を視察し被爆者から体験談を聞いたことを指します。G7首脳の人間レベルの心に「これで核は使えなくなりましたね」と念を押すことで、被爆の実相は、首脳たちの心に刻み込まれることになります。「これで」と念を押した岸田総理の言葉が、今後、彼らの行動の出発点になるという期待を込めて!

そんな結果を生むために、より多くの皆さまに、このキャンペーンの拡散をお願いします。

もう一点お伝えしたいのは、多くの皆さまのコメントを読ませて頂いて、私自身が励まされていることです。日本はまだ大丈夫なのだ、そしてoctogenarianである私の志を継いで下さる若い世代の方々が大勢いらっしゃることに、感激し安堵しています。

このキャンペーンの元々の意味を御理解頂くために、5月9日に起草したキャンペーンの趣旨はそのまま残しておきますが、19日の資料館視察後には、「資料館の出口で」という限定なしのお願いをするという変更を加えてのキャンペーンに軌道修正しています。皆様の御理解と御協力のほどお願い申し上げます。

官邸や岸田事務所等には、お礼と新たなお願い(2.5)をメールで送りました。

 

キャンペーンのサイトを再度、掲げておきます。Change.orgのサイトは、左の下線部分か下のリンクをクリックして下さい。そして署名をお願いします。

https://www.change.org/NowYouCannotUseNW

QRコードからも入れます。

Qr_1252351_20230520215501

そして皆さんにとって、今日一日が素晴らしい24時間でありますよう祈っています!

 [2023/5/21 人間イライザ]

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2023年5月20日 (土)

G7首脳は40分間、資料館視察 ――被爆者の小倉桂子さんとの対話も10分以上――

G7首脳は40分間、資料館視察

――被爆者の小倉桂子さんとの対話も10分以上――

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 昨年、イタリアのテレビ局のインタビューに答える小倉桂子さん

そのときに御紹介した小倉さんの被爆体験と平和活動についても左の下線をクリックして是非お読み下さい。

 

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19日から始まったG7広島サミットでは、朝から首脳たちが約40分資料館を視察したようです。オバマ大統領のときの数分とは違って、実質的に資料館の中身を見て貰えたようです。何をどう見たのか、どう感じたのか等についてはマスコミにも公開されないままですし、主催したのは日本政府なので、資料館としても何も言えないという、密室の中の視察でした。

良かったことは、被爆者の小倉桂子さんとの対話が、10分ほどあったことです。オバマ大統領は坪井さん森さんとの「遭遇」が瞬時だったことを考えると、かなり進んだとみて良いのかもしれません。でも、小倉さん首脳たちがどう反応したのかについては、何も言ってはいけないと緘口令が布かれたようで、何も公表できないとのことでした。

結果的には、外務省の意図は、物理的・客観的に計測可能な範囲では視察もし、被爆者の話も聞いたという実績を作ること、でも実質的には外務省の思惑以外のメッセージは伝わらないような「演出」だったのかなとしか考えられません。

それに付いては、19日夜、宮島では軍縮や核の不拡散等が話題になるとのことですし、声明も出されるとのことですので、それを見た上で、明日にでも考えます。特に、2008年のG8下院議長会議との比較から多くのことが見えてきます。

Change.org署名キャンペーンは続けます。岸田総理への要請内容は幅を広めることにして、主催者側の意図通りのシナリオをどこかで崩せないのかについても、知恵を絞りたいと考えています。

キャンペーンのサイトを再度、掲げておきます。Change.orgのサイトは、左の下線部分か下のリンクをクリックして下さい。そして署名をお願いします。

https://www.change.org/NowYouCannotUseNW

QRコードからも入れます。

Qr_1252351_20230519090801

そして皆さんにとって、今日一日が素晴らしい24時間でありますよう祈っています!

 [2023/5/20 人間イライザ]

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