社会

2023年2月11日 (土)

「建国の日」にこそ本当の独立国を目指そう ――そのために、憲法を文字通り読むことから始めよう――

「建国の日」にこそ本当の独立国を目指そう

――そのために、憲法を文字通り読むことから始めよう――

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岸田・荒井発言から始まった人権についての考察ですが、当然、憲法をどう解釈するのかが中心にならなくてはなりません。同時に、「空理空論」に陥り易い傾向に歯止めを掛けるために、憲法無視をそのまま現世に実現した感さえある、沖縄における米軍とそれに従属する日本政府、日米間の取り組みを文字化した日米地位協定について、憲法や歴史そして平和という多角的視点からの本質的な理解が必要です。

そのための教科書として、前号では元参議院議員で弁護士の大脇雅子さんの近著、『武力に寄らない平和を生きる――非暴力抵抗と平和的生存権』を紹介しましたが、加えて、前泊博盛編著の『本当は憲法より大切な日米地位協定』(2013年、創元社)と矢部宏治著『日本はなぜ、「基地」と「原発」を止められないのか』をお勧めしておきます。これだけ読めば、私たちが何をなすべきかについて考え行動する上での、出発点が良く分ります。

国の関係では、当然日米関係が主題なのですが、その関係の捩れと政治の矛盾を端的に表している大問題を一緒に考えて行きましょう。

沖縄では米兵による多くの凶悪犯罪が起きていますが、その捜査を日本側は自由にできないのです。それは日米地位協定があるからです。Yahoo!Japanニュースの2016818日号によると、

「日米地位協定を一言でいえば、<在日米軍と軍人、軍属、家族らは日本の法律に縛られないで自由に行動できる>という取り決めである。締結から56年間、一度も改定されることなく、今日に至っている。」

これは米軍基地内に逃げ込んだ容疑者を日本の警察が逮捕したり拘束したりできないという結果を生んでいるのです。

これについて、アメリカ側の専門家、かつて沖縄の米海兵隊で顧問をしてきたロバート・エルドリッヂさんは日本の司法制度に不備があるからだと次のように説明しています。

「(日本の刑事訴訟法によると)基地の外で逮捕されたアメリカ人は、日本の警察署、留置所に送られて、取り調べを(最長で)23日間ずっと受けること(が可能)になっている。弁護士が(取り調べに)立ち会えるといった世界の常識を、なぜ日本は求めないのか。もし、地位協定の改定そのものを目指すのであれば、まず日本は、そのことを改善しなければいけないと思います」

日本側が日本人のみならず、国籍に関わらない形で犯罪者の人権を尊重する立場に立てば解決する問題なのですが、日本政府にその気はないのです。前泊氏は次のように述べています。

「今回の事件を見ても分かるように、アメリカ軍はアメリカ国民を守ろうとしているんです。アメリカ国民ですから。犯罪者であろうと(自国の)国民を守ろうとしている米政府に対して、被害者すらも守ろうとしない日本政府の姿が、浮き彫りになった気がします。米軍は大事にするけれども、日本国民である被害者は大事にしない。そして、再発防止にも後ろ向きであると」

ここではっきりしたのは、日本がいまだに「独立国」ではないということです。そして国内では国民に対して、また国際的にも結局、日本政府にとって「人権」は無視しても良い対象だということなのではないでしょうか。

アメリカに対しての属国としての態度は、主権者としての国民を認めていないことから派生する、「主権国家」という意識がないからでしょうし、国民の「人権」を蔑ろにするのは憲法が何たるかを感じても理解してもいないということなのではないでしょうか。

つまり、力関係だけを元に物事の判断をしている力の支配を信奉しているからだとしか見えません。敢えて付け加えれば、それを日本社会が許してしまっていることこそ最大の問題なのではないでしょうか。日本社会をこの病から救うためには、憲法を再度、読み直すことから始めよう、というのがタイトルの意味です。

社会が大人しくなっている例としては、20年間も給料が上がらないほど労働条件が悪くても、「ストライキ」という声さえ起らない我が国の状況を上げました。これは、「日本社会が壊れて行く」シリーズの5回目の問題提起ですが、その他の回でも大切な点を取り上げています。

これ以上、日本社会が劣化しないよう共に考え行動できれば思います。

以上、中途半端の感を拭えませんが、それはこのシリーズがまだ続くからです。次回は、このような事柄を全て包括している矢部宏治氏による憲法についての問題提起を取り上げ、それに対しての一つの答を示します。

   

最後に、今日一日が皆様にとって素晴らしい24時間でありますように!

[2022/2/11 イライザ]

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2022年12月31日 (土)

この一年(2022年)を振り返る (4) ――読んで良かった本――

この一年(2022)を振り返る (4)

――読んで良かった本――

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今年最後の日ですので、今年読んで良かった本を4冊御紹介します。もっとあるのですが、特に今、印象に残っているもの4冊です。

最初は、Audible.comから配信されて聴いた本です。毎日生活する中で私たちは、「何で?」とか、「ちょっと疑問符」という思いに捉われることがあります。それを手掛かりに、多くの人たちの経験を集めて、その先にある問題を特定し、解決策を考えること、そしてそれをスケールアップして解決すること、そして場合によってはビジネスとして成り立つように育てて行くことを、分り易く教えてくれる本です。

例えば、仮に手に障がいのある人が身近にいて、洋服を着るのに時間が掛かることに気付いたとしましょう。ボタンを掛けるのが特に難しいらしいことまで特定できたとして、次のステップとして、同じような障がいのある人たちから「ボトムアップ」の情報を集めるという点がカギです。

そこから、例えば「障がい者のおしゃれ」といったより抽象的かつ普遍的なテーマを見付けて、その実現のためのサービスや行政の場での対応等につなげる具体的なステップを学ぶことができます。

起業家にとって役立つだけでなく、政治と関わりのある人たちにも必読の書です。

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二冊目は、少年院で数学を教えた経験を、三人の先生方がそれぞれの視点から報告している感動的な一冊です。「数学の授業が矯正教育に驚きの効果をもたらす」ことを知って、正に目から鱗の思いでした。瀬山士郎さんには、《社会と数学の関わり》を話し合う数学人の集いで、近い内にお話を伺えればと思っています。

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最後に御紹介する二冊は超衝撃的です。

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菅野久美子さんの『超孤独死社会』(2019年刊)の存在は、ハフ・ポーストの菅野さんの記事「「こうなったのは自分が悪い」のか? ごみが腰まで堆積する孤独死現場が伝えること」を読んで知りました。そちらも是非読んでみて下さい。

この本も関さんの本も、前回指摘したように、背後に埋もれているより本質的な問題に焦点を合わせています。それは、社会における女性や高齢者の置かれている位置ですし、社会的弱者に対する社会全体、特に政治の冷たさです。1988年に刊行された『この国は恐ろしい国』から30年以上経っているのに、問題の本質はそれほど変わっていないという事実には腹が立ちますし、絶望にも似た気持にさせられます。

しかし、昨日指摘したのは、「知っている人」が「知らない人」に伝えて行く義務です。来年を、そのためにより有効に生かして行きたいと決意しましょう。

今年一年、様々な機会に、多くの皆さまからそれぞれのお立場で言葉にもならないほど助けて頂きました。心からの感謝の気持を捧げて一年の締めくくりに致します。

 

そして来年一年が、皆様にとって素晴らしい365日でありますように!

[2022/12/31 イライザ]

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2022年9月29日 (木)

《社会と数学の関わり》を話し合う数学人の集い 「準備会」のご案内

《社会と数学の関わり》を話し合う数学人の集い

「準備会」のご案内

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数学の好き嫌いにかかわらず何方も大歓迎です

 

《社会と数学の関わり》を話し合う数学人の集い――「準備会」のご案内

 

まず、「数学人」とは、何らかの形で数学との関わりや関心をもっている人を意味します。

8月15日にこの呼びかけをしましたが、準備会の日にちが近付いてきましたので、再度のお誘いをさせて頂きます。

呼びかけ人●秋葉忠利・上野健爾・浪川幸彦・亀井哲治郎

目的●この国はいま,戦争への道を進んでいるだけでなく,コロナの蔓延,自然災害,物価高,老老介護,子どもの虐待,等々,数え上げれば切りのない多くの問題を抱えています。

そのような現実のなかで,私たち「数学人」(何らかの形で数学との関わりや関心をもっている人)には何ができるのか,何をなすべきか。どれも難題です。

そこで呼びかけ人4人で話し合った結果,ともかくも「数学人」たちが集まって,社会や政治の問題について,自由に気軽に語り合い,刺激し合う場をつくってはどうか,と考えました。

下記の要領で,まずは「準備会」から始めます。ぜひご参加ください。

 

日時●2022年10月1日(土) 20:00~21:30 [Zoom形式]

参加申込み・問合せなど●亀井哲治郎までメールをお送りください。

tetsu_kamei_1203@yahoo.co.jp

 

参加申し込みをされた方に,10月1日の直前にZoomの情報をお知らせします。

それでは今日一日が、皆様にとって素晴らしい24時間でありますように。

[2022/9/29 イライザ]

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