被爆者

2023年3月24日 (金)

なぜ「都市」なのか ――必要条件と十分条件、両方あります――

なぜ「都市」なのか

――必要条件と十分条件、両方あります――

230224

戦争に反対すること、平和を維持するための努力を続けること、この二つは「都市」にとっては正に生死を分かつ重要な仕事です。

「戦争も平和も国際関係だから、国の管轄だ。だから国に任せておけば良い」で済むような生易しい仕事ではないのです。

平和市長会議の加盟都市数は8,000を超えているのですが、それらの都市の市長さんたちが異口同音に繰り返すのは、「戦争の被害を受けるのは都市であり、市民だ」という点です。核兵器も、誰も住んでいない大海の真ん中や、砂漠のど真ん中には落とさないのです。

そして戦災を受けた都市の市民たちは、例外なく「Never Again!」という声を上げています。

戦争を起こさないことは、そしてそのための努力をすることは市民の命を守るために「必要」なのです。敢えてここで付け加えておくと、国は国民の命を守りません。

二つだけ事実を述べておきましょう。まず、昭和20年6月6日付の沖縄方面特別根拠地隊司令官大田実少将が発した海軍次官あての電文から抜粋します。沖縄県知事が報告すべきことなのだが、県には既に通信力がないため、知事の依頼によって大田少将が通知したという断り書きも付いています。その内容が重要です。

その中で、敵軍が沖縄に上陸してからの状況が次のように描かれています。「陸海軍方面、防衛戦闘ニ専念シ、県民ニ関シテハ殆ド顧ミルニ暇ナカリキ。」

その後には、県民が軍と一体になって戦闘に巻き込まれ、軍が県民を守るというよりは民間人が軍を守るとさえ言えるような協力を余儀なくされたことが描かれています。そして、最後の一行は有名です。

「沖縄県民斯ク戦ヘリ。県民ニ対シ後世特別ノ御高配ヲ賜ランコトヲ」

にもかかわらず、未だに沖縄県民に犠牲を強いている事実こそ、「国」という存在の真実を伝えています。

もう一つは、1980年に被爆者援護について、識者からなる「原爆被爆者対策基本問題懇談会」が当時の厚生大臣に提出した報告です。何よりも先に記憶しておくべき個所を引用します。

「およそ戦争という国の存亡をかけての非常事態のもとにおいては、国民がその生命・身体・財産等について、その戦争によって何らかの犠牲を余儀なくされたとしても、それは国を挙げての戦争による「一般の犠牲」として、すべての国民が等しく受忍しなければならない」

国は国民に犠牲を求めてはいますが、守るとは言っていないのです。都市が守る他はないのです。

まだまだ続けられますが、もう一点、十分条件として重要なことを指摘しておきましょう。都市は軍隊を持たないという事実です。軍隊を持つ存在は、どうしても軍隊の存在を前提にして物事を考え処理しようとします。「あれば使う」という因果関係に縛られて戦争の是非を考えることになるのです。その呪縛から解放された立場で、国際関係を考える、都市間関係の延長として国と国との関係も捉えた上で外交の力を発揮する、という「パラダイムの転換」ができるのです。

最後に今日一日、皆さんにとって、素晴らしい24時間でありますよう!

 [2022/3/24 イライザ]

[お願い]

文章の下の《広島ブログ》というバナーを一日一度クリックして下さい。

広島ブログ

広島ブログ

2023年3月23日 (木)

「原爆にさわる」 ――映像ジャーナリスト熊谷博子さんの言葉――

「原爆にさわる」

――映像ジャーナリスト熊谷博子さんの言葉――

20161111-22-49-39_20230322205101

何度も、18日に開かれた「都市から核のない世界へ」 (杉並光友会と杉並区の共催) について書き続けていますが、戦争や大惨事等を経験した方々の言葉や行動が、人類史の意味を見事に捉えていて私たちにとって忘れられないものになることがしばしばあります。

優れたジャーナリストがそのような言葉や行動、そして経験をした人たちの姿を私たちに伝えてくれることで、普段では経験できないことに触れられるのも、今という時代ならではの出来事かも知れません。

映像ジャーナリストの熊谷博子さんから、イベントの後の茶話会で伺った言葉に私は大きな衝撃を受けました。

中沢啓治さんの名前が出てきたのは、広島市で起きている『はだしのゲン』削除問題と関連があるのかもしれません。それは、熊谷さんが中沢さんとともに、アメリカの人たちに中沢さんの被爆体験を伝えつつ、アメリカ社会の反応を記録する旅でのことでした。

バターンの死の行進を持ち出して被爆体験を聞こうとしなかった男性に、中沢さんが『はだしのゲン』の中の、被爆直後のゲンを描いた個所を示した気迫が凄かったという報告でした。それも私たちが原爆に触れる一つの形になります。

もう一つは、同じように、長崎の被爆者である谷口稜曄さんとアメリカを回って被爆体験を語り続けた旅でのことでした。熊谷さんが毎日谷口さんの背中の膏薬を張り替えていたため、彼の背中に触る機会があったのですが、その背中が「板のよう」に硬かったそうなのです。

そしてそれを「原爆にさわる」ことだった、という熊谷さんの表現で私たちの手にまで伝えてくれたのでした。被爆体験に触れる、と言ってしまうともう少し広い意味も付け加わりますので、分り易いのと同時に焦点も広がります。

「さわる」と表現することで原爆の本質を伝える意味に戦慄が走りました。G7広島サミットに参加する人たち、特に核保有国の首脳たちにこの感覚を伝えることができればとつくづく感じました。

 

最後に今日一日、皆さんにとって、素晴らしい24時間でありますよう!

 [2022/3/23 イライザ]

[お願い]

文章の下の《広島ブログ》というバナーを一日一度クリックして下さい。

広島ブログ

広島ブログ

2023年3月22日 (水)

英文毎日 (The Mainichi) への投稿がアップされます ――「核の先制不使用」実現のため、海外に拡散して下さい――

英文毎日 (The Mainichi) への投稿がアップされます

――「核の先制不使用」実現のため、海外に拡散して下さい――

Youtube

岸田総理がウクライナを電撃訪問しましたが、5月のG7広島サミットとの関連が注目されています。

そのサミットで、G7の首脳たちが資料館をじっくり見ることで被爆の実相を知り、時間を掛けて被爆者の証言に耳を傾けることで被爆者のメッセージを内面化することは最低条件として、私たちが強く要求し続けなくてはなません。

それ以上に大切なのは、ロシア/プーチンに核兵器を使わないと宣言させることです。そのためには、米英仏の三つの核保有国首脳が揃って、初めて広島を訪れる機会を「核兵器の先制不使用」宣言をする場として活用することが重要です。ロシアには使うな、自分たちは使うぞ、では説得力がないからです。

加えて、広島では平和教育の場から『はだしのゲン』や第五福竜丸が消されるという大事件も起きています。広島だけではなく、日本だけではなく、世界中で核について関心を持っている人たちの協力が必要です。

そのために、毎日新聞の電子的英文版であるThe Mainichi に寄稿しました。3月22日の午前7時にアップされます。下線をクリックして下さい。

念のため、ここにも貼り付けておきます。

https://mainichi.jp/english/articles/20230321/p2g/00m/0op/024000c

またそこから、原水禁のYouTubeで、私が世界に向けての被爆者や原水禁、そして核兵器廃絶のために活動している皆さんの代弁をしている動画にも辿り着けます。ここも下線をクリックして下さい。そしてそのURLを、拡散して頂ければ幸いです。ここにも貼り付けておきます。

https://youtu.be/1n-GuwnZEm8

世界中の仲間たちと力を合わせて、G7広島サミットが「核兵器の先制不使用」の出発点にするために岸田総理頑張れ、というメッセージを世界に広めましょう。

 

最後に今日一日、皆さんにとって、素晴らしい24時間でありますよう!

 [2022/3/21 イライザ]

[お願い]

文章の下の《広島ブログ》というバナーを一日一度クリックして下さい。

広島ブログ

広島ブログ

2023年3月21日 (火)

歴史は生きている ――杉並区のイベントで人生を振り返ることになりました――

歴史は生きている

――杉並区のイベントで人生を振り返ることになりました――

Photo_20230320220001

杉並に住む原爆被爆者の会である杉並光友会と杉並区共催の「都市から核のない世界へ」は、高円寺障害者交流館で開かれました。駅から徒歩10分足らずの場所に障害者交流館があるのは便利ですね。

会の進行をしてくれたのは、被爆三世の松本浩一光友会幹事でしたが、以前広島に住んでいたときには、西広島駅で毎週街頭演説をしていた私を御家族と一緒に見守って下さったことを枕にしてくれました。国会議員時代の約10年間、毎週日曜日と月曜日にそれぞれ一時間ずつ、街頭から国会報告と政治の分析・解説、そして進めるべき施策の提案を続けたことを懐かしく思い出しました。でも、寒い冬と暑い夏の間は大変でした。

この会の特色は、講演とトーク、対談が終った後、スタッフの皆さんでの茶話会があったことです。ここでのお話が杉並の歴史、そして日本の平和運動が生き続けていることを実感する場になりました。

順不同になりますが、まず、1954年のビキニ水爆実験の被害後に核実験と原水爆禁止を掲げての署名運動を呼び掛けたのは、杉並の魚屋さん、菅原健一とトミ子さん夫妻でした。18日には娘の坂本さんから、その後の杉並の区民の皆さんの活動を伺うことができました。

草の根から始まった原水爆禁止運動が組織化された後、長い間、原水協を引っ張って活動されたのが、当時の公民館館長だった安井郁さんでした。私にとって特に印象深かったのが1963年、原水禁運動が分裂した第9回の世界大会での安井理事長の姿です。当時は広島の平和公園を会場にして総会が開かれていたのですが、分裂を避けるための話し合いの経過を報告する安井さんの声を私たち通訳はブースの中から英語に訳していたのです。「私に、いましばらく時間を貸して下さい」という彼の声は、人類破滅までの時間を少しでも遅らせよう、という呼び掛けにも聞こえたのでした。

18日には、その安井さんの御長男の奥様が出席されていました。60年という時が、この場でつながって一つになったような気がしたのは幻ではありません。さらに、この日の世話人の一人である小寺隆幸丸木美術館理事長は、安井さんが原水協の理事長の後に丸木美術館の館長を務められたことを紹介して下さいました。

歴史の糸を手繰り続けると、すぐ脇道に迷い込んで長くなってしまいます。この続きはまた明日に取っておくことにします。

 

最後に今日一日、皆さんにとって、素晴らしい24時間でありますよう!

 [2022/3/21 イライザ]

 

[お願い]

文章の下の《広島ブログ》というバナーを一日一度クリックして下さい。

広島ブログ

広島ブログ

2023年3月20日 (月)

杉並区の岸本聡子区長にお会いしてきました ――69年前も今も杉並から新たな動きが始まっています――

杉並区の岸本聡子区長にお会いしてきました

――69年前も今も杉並から新たな動きが始まっています――

Photo_20230319221701

このチラシの講演とトークの会の講師を務めました。雨の中、18日に開催されましたが、参加されたのは約80名。とても熱心な方々ばかりで私にとってとても意味深い日になりましたが、まずは共催した杉並区の岸本聡子区長に、イベントの始まる前にお会いできました。

このような平和イベントに区が共催者として積極的に関わることも大切ですが、区長自ら会の初めの挨拶のために会場に足を運び、かつ講演に耳を傾けることもなかなかできるものではありません。私にとっても嬉しい経験でした。

岸本区長は被爆三世の中村涼香さんとの会話も楽しんでおいででした。

岸本区長と私との共通点がいろいろあって、それも嬉しかったのですが、例えば、自転車通勤です。 (私は荷物を落したことで多くの皆さんに迷惑をかけたのでそれで止めましたが――。) 外国暮しの経験が長いこと、そして、公共財 (「コモンズ」と呼ばれることもあります) という概念を政治の柱の一つにしていること等です。

岸本区長の場合は私より本格的に、公共財を守るという形で教育や医療、そして水道等を捉え、区民と共に育てるという施策を展開しています。

皆さんも御存じのことですが、杉並区は1954年の第五福竜丸のビキニ環礁での被曝後、原水爆実験と原水爆禁止のための署名運動を市民が始め、それが全国に広まって我が国の反原水爆運動になった発祥の地です。広島・長崎が原水爆に反対するだけでなく、市民の生活が元になって平和を我が手で創るという意思がこのような運動になったことで、全国に希望の灯が点った記憶があります。

そして混迷を深める我が国の政治にとって、岸本区長を選出した杉並区民が再び希望の灯を灯してくれていると感じたのは私だけではなかったように感じています。

次回は、このイベントのもう一つの特徴についての報告をします。

 

最後に今日一日、皆さんにとって、素晴らしい24時間でありますよう!

 [2022/3/20 イライザ]

[お願い]

文章の下の《広島ブログ》というバナーを一日一度クリックして下さい。

広島ブログ

広島ブログ

2023年3月16日 (木)

Responsibility of Prime Minister Fumio Kishida, elected from Hiroshima, On the occasion of the G7 Summit in Hiroshima

Responsibility of Prime Minister Fumio Kishida, elected from Hiroshima,

On the occasion of the G7 Summit in Hiroshima

March 16, 2023

Hiroshima and Japan Congress against A & H Bombs (Gensuikin)

Photo_20230316153601

Greetings to my friends, fellow peace workers and ladies and gentlemen, my name is Tadatoshi Akiba, Former Mayor of Hiroshima.  I am honored and privileged to represent Gensuikin, or the Hiroshima and Japan Congress against A & H Bombs, to discuss what the Hiroshima G7 Summit means and should be doing.

First and foremost, we expect all participants to show genuine respect to the hibakusha or A-bomb survivors.  Respect means listening to their experiences after the bombing at full length, even though such reality is indescribable by words alone.  They must spend at least one hour touring the Peace Memorial Museum to understand the reality. 

Listening to hibakusha and touring the museum is what students do when they visit Hiroshima on school excursions.

We expect that the G7 Summit participants will do more because they have the power to decide whether or not to use nuclear weapons or to influence such decisions, which students do not have directly.

Since the host of this Summit, Prime Minister Fumio Kishida, represents Hiroshima, his role in leading the direction of the Summit is critical.

The meaning and purpose of "Hiroshima" are to realize a peaceful world free of nuclear weapons by understanding the reality of the atomic bombings and respecting the hibakusha's messages humbly and sincerely.  It should not, in the least, ignore or belittle the meaning of "Hiroshima" or use it as an official seal to justify the rule of power.

The fact that no nuclear weapons states have used nuclear weapons since Nagasaki is significant.  However, the point of emphasis should be that, as John Hersey, the author of Hiroshima, stated in 1985, the hibakusha prevented such use as they have passionately testified their own experiences and appealed to the world not to use them. 

In other words, the hibakusha possess the power of "nuclear deterrence."  It is never permissible to attribute the non-use of nuclear weapons over these years to the "nuclear deterrence theory," which asserts that the possession of or the threat of use of nuclear weapons caused such no use.

As the hibakusha are aging, now is the time to discuss what the world should do to prevent the use of nuclear weapons in the world where we would not be able to rely on the hibakusha's deterrence power.  The conclusion is simple and obvious: there is no other way than to rely on the effective legal instrument, the Treaty on the Prohibition of Nuclear Weapons, or TPNW.

The first step toward utilizing this power is for nuclear weapons states to declare that they will not use or threaten to use nuclear weapons.  The historical significance of the leaders of three nuclear weapons states gathering in Hiroshima for the first time to attend the Summit should be no other than this declaration.  

They and the other G7 leaders, including Prime Minister Kishida, approved the G20 Bali Summit Declaration last November, which, in particular, stated, "The use and threat of use of nuclear weapons is inadmissible." Reaffirming this premise at every opportunity, including this Summit, is indispensable for ensuring that President Putin – or another leader – is dissuaded from using nuclear weapons, which is now one of the world's most pressing issues.

There are signs that Prime Minister Kishida and the other six leaders should aim higher: The G7 Hiroshima Declaration should be the starting point for the universal "No First Use" of nuclear weapons.

The first sign comes from Tomosaburo Kato, the first prime minister from Hiroshima, who passed away exactly 100 years ago.  He played a central role in concluding the Washington Naval Treaty in 1921.  By restraining the military at that time, Kato was able to transform Japan's policy of arms expansion into that of disarmament.  In addition, he successfully changed the antagonistic and confrontational relationships against the United States to those of cooperation.  It is also praiseworthy that Kato improved Japan's relations with China and the Soviet Union, which had not participated in the Washington conference, thus brightening the world's future.  Historians argue that had he lived a few years longer; he would have prevented Japan from entering the war against the United States.

As a prime minister from Hiroshima, Kishida should follow his example by exhibiting leadership in Japan's disarmament and worldwide disarmament and cooperation, including those countries that are not participating in the G7 Summit.  In particular, Kishida should initiate a peace process that would end the Ukrainian war as soon as possible by resorting to the moral authority and the high regard the world has always paid to Hiroshima.

The second good sign that supports such an attempt is the G20 Bali Summit Declaration I mentioned earlier.

Another comes from China and India: They have adhered to no-first-use policies since acquiring nuclear weapons.

China recently released a twelve-point peace proposal on February 24, stating, among other things, "nuclear weapons must not be used and nuclear wars must not be fought.  The threat or use of nuclear weapons should be opposed." 

Prime Minister Modi of India coined the phrase, "This era must not be of war," which left its mark in the Bali Declaration.

Suppose Japan, India, and China can create a path to end the Russia/Ukraine War and spearhead global no-first-use and the eventual abolition of nuclear weapons.  Then the hibakusha, including those who have passed away, would be more than proud of the accomplishment, and the world would hail them as heroes of the 21st century.

When more than 50,000 people died in a massive earthquake, and tens of thousands need help in Turkey and Syria, why are we wasting away precious human and material resources for war efforts instead of utilizing them for rescuing those people?

Let me close by quoting an elder from Hiroshima: Sunao Tsuboi, a hibakusha leader who died two years ago:

"Never again, and never give up!"

Finally, let me add a footnote:  These remarks represent a compilation of the document that Gensuiki submitted to Prime Minister Kishida on February 14, with copies sent to the heads of the G7 countries, and the acceptance speech delivered by Tadatoshi Akiba on March 4 of the Ahmadiyya Muslim Community Peace Prize in London.

 最後に今日一日、皆さんにとって、素晴らしい24時間でありますよう!


[2022/3/16 イライザ]

[お願い]
文章の下の《広島ブログ》というバナーを一日一度クリックして下さい。
広島ブログ

広島ブログ

 

2023年3月 5日 (日)

Ahmadiyya Muslim Peace Prize ――Acceptance Speech by Former Mayor Akiba――

Ahmadiyya Muslim Peace Prize

――Acceptance Speech by Former Mayor Akiba――

Dsc05628

His Holiness Hazrat, Mirza Masroor Ahmed, the worldwide Head of the Ahmadiyya Community conferring the prize on Dr. Tadatoshi Akiba

 

Ahmadiyya Muslim Peace Prize

Acceptance Speech

March 4, 2023

 

Tadatoshi Akiba, Former Mayor of Hiroshima

 

A Salam Alaikum! Your Holiness, members of the Ahmadiyya Muslim Community, distinguished guests, fellow peace workers, and ladies and gentlemen:

With humility and fresh determination, I stand here today to participate in the Peace Symposium and accept the prize on behalf of the hibakusha, the atomic bomb survivors of Hiroshima and Nagasaki, and all peace workers of the world.

It has been a year since Russia invaded Ukraine and threatened the possible use of nuclear weapons, which President Putin repeated over the past year.  And when the hibakusha heard his words, this came to their mind: [Show the photo.] A Nagasaki boy thrown into the living hell caused by a small nuclear weapon.  We should not let this happen again anywhere, anytime, to anyone.

I know that the Ahmadiyya Muslim Community felt the same way a year ago because you were one of the first in the world to recognize and protest nuclear weapons’ inhumanity and evilness back on August 10, 1945.  The second Kalif declared on that day that

“It is our religious and moral duty to proclaim to the whole world, that we do not consider lawful such bloodshed.”

Belatedly, the world finally came to the same conclusion when the Treaty on the Prohibition of Nuclear Weapons (TPNW) took legal effect on January 22, 2021. 

Unfortunately, nuclear weapons and dependent states are adamantly opposed to the TPNW by pledging never to sign or ratify it.  They believe that the possession of and threat of use of nuclear weapons guarantee that no nuclear powers will use such weapons.

Their belief is just a fantasy. It is not the false deterrence paradigm that did the trick.  The hibakusha’s power deterred their use.  John Hersey, who wrote the inspiring book Hiroshima in 1946, confirmed this fact in 1985 during his second visit to Hiroshima.

Cities and mayors agree because they are the targets of nuclear weapons by any nuclear weapons state and were the victims of past wars.  That is why Mayors for Peace, an organization of mayors worldwide dedicated to peace and the abolition of nuclear weapons, with the Mayor of Hiroshima as its head, strongly advocates “Never again!” to war and nuclear weapons. 

We hope that Prime Minister Kishida, who represents Hiroshima and therefore should have internalized such voices of cities and hibakusha, will lead the May G7 Summit to persuade President Putin away from using nuclear weapons.  The success will accelerate the process of ending the war.

There are signs that Prime Minister Kishida and the other six leaders should aim higher: The G7 Hiroshima Declaration should be the starting point for the universal “No First Use” of nuclear weapons. 

One such sign is the G20 Bali Summit Declaration last November that affirmed, “The use or threat of use of nuclear weapons is inadmissible.” All the G7 leaders lent their names to this.

Another comes from China and India: They have adhered to no-first-use policies since acquiring their nuclear weapons.

China recently released a twelve-point peace proposal on February 24, stating, among other things, “nuclear weapons must not be used and nuclear wars must not be fought.  The threat or use of nuclear weapons should be opposed.” 

Prime Minister Modi of India coined the phrase, “This era must not be of war,” which left its mark in the Bali Declaration.

If Japan, India, and China together can create a path to end the Russia/Ukraine war and spearhead global no-first-use and the eventual abolition of nuclear weapons, the world would more than welcome their heroic and historical status.

When more than 50,000 people died in a massive earthquake, and tens of thousands need help in Turkey and Syria, why are we wasting away precious human and material resources for war efforts instead of utilizing them for rescuing those people?

Words of Your Holiness give us direction: “regardless of its effect, we shall never give up our efforts to promote peace and justice certainly.  “              

Let me close by quoting another elder from Hiroshima: Sunao Tsuboi, a hibakusha leader who died two years ago:

“Never again, and never give up!”

 

最後に今日一日、皆さんにとって、素晴らしい24時間でありますよう!

 [2022/3/5 イライザ]

[お願い]

文章の下の《広島ブログ》というバナーを一日一度クリックして下さい。

広島ブログ

広島ブログ

 

アハマディア・ムスリム平和賞を頂きました ――共同通信の植田支局長の記事をお読み下さい――

アハマディア・ムスリム平和賞を頂きました

――共同通信の植田支局長の記事をお読み下さい――

Photo_20230305183601

ロンドン時間で昨夜、3月4日の夜、テニスで有名なウインブルトン近くにあるBaitul Futuh Mosqueでアハマディア・ムスリム協会の平和シンポジウムが開かれ、その一貫として、Ahmadiyya Muslim Prize for the Advancement of Peace(アハマディア・ムスリム平和賞)の授賞式か行われました。

2019年の受賞者、バーバラ・ホフマンさんと2022年の私とが最高指導者のカリフから賞状とトロフィーを頂きました。その後のスピーチでは、受賞にどのような意味があるのかを私なりに考え述べさせて頂きました。

全体像は共同通信ロンドン支局長の植田粧子さんの記事をお読み頂ければ幸いです。

写真を掲げて原爆の被害を伝えるというアイデアは、広島での記者会見の際に若い記者さんたちから御提案頂きました。

演説の全文は、英語圏の皆さんにもお読み頂くために、別の記事としてアップしますが、日本語訳は今から作りますので、出来次第アップします。

会場に来られた2,000人以上の皆さんからは、賛同の拍手を頂きましたし、多くの皆さんから核兵器の使用や第三次世界大戦の可能性について危機感を共有した、私たちも一緒になって、ヒロシマそしてあなたにももっと頑張って貰って、そんな可能性をなくそう、という力強いメッセージを頂きました。

 

最後に今日一日、皆さんにとって、素晴らしい24時間でありますよう!

 [2022/3/5 イライザ]

[お願い]

文章の下の《広島ブログ》というバナーを一日一度クリックして下さい。

広島ブログ

広島ブログ

 

2023年2月25日 (土)

「新たな制裁」ではなく「異次元の和平工作」を ――1945年、その時日本が求めたのは――

「新たな制裁」ではなく「異次元の和平工作」を

――1945年、その時日本が求めたのは――

Ukraineg1709970eb_1280

ロシアがウクライナへ侵攻してからちょうど一年、今日は成田悠輔氏を離れて、ウクライナについて考えました。

岸田総理は、24日夜開かれるG7首脳のテレビ会議で、ロシアに対する新たな制裁を主導するようですが、戦争を止めさせるために必要なのは仲裁役です。ここはかなり異例のアイデアを実行しないと不可能ですので、敢えて「異次元」という言葉を使います。日本がその仲裁役になる、あるいは「和平工作」を始めるくらいのことをしないと、事は収まりません。

「Those who cannot remember the past are condemned to repeat it.」 (過去を記憶できない者は、その過去を繰り返す運命を担わされる。) というのは、哲学者のジョージ・サンタヤーナの言葉ですが、それを今一度持ち出します。

日本が戦争に敗れた1945年を思い出しましょう。戦争の終結を模索していた日本は、日ソ中立条約を頼みの綱として6月にソ連に仲介を依頼しました。ソ連側は、1942年から対日参戦の意思を示していたくらいですから可能性はなかったのですが、教訓はそこにではなく、大局的には戦争で負けることが明らかだった日本側が戦争を終らせようと考えるだけではなく、実行に移すためには仲介が必要だったことです。

仮にこの時点で、ソ連、あるいは想像を逞しくしてその他の国でも良いとして、仲介の労を取っていれば、広島・長崎への原爆投下は避けられたかもしれないのです。我々だけに都合の良い、「歴史の”if”」だと言われればその通りです。同時に今のままの状況が続けば核兵器が使われ、第三次世界大戦になり、人類の滅亡さえ引き起こしてしまう可能性もあるのですから、和平の方にも少しの可能性さえがあれば、その可能性を大きくすることを考えたとしても罰は当たりません。誰かが、どこかの国が、しかも影響力のある国が、「戦争は止めよう」と言い続けること、そしてどちらが良い悪いではなく、とにかく戦争は止めて話し合いをしよう、という仲裁役として積極的に働くことが必要です。

1845年と今で違うのは、当時の和平工作が全て隠密裡に行われたことです。今回についても、水面下での交渉が必要な場面もあるかもしれません。でもインターネットとスマホとドローンの時代の今、全世界がウクライナとロシアの一挙手一投足に注目し、リアルタイムでそれを知ることができるのです。

そして、国際的な場で日本が「異次元」の発言をすることは許されています。それは、ロシアの核兵器使用の威嚇に対して、「唯一の」戦争被爆国としての立場があるからです。「どんなことがあっても核兵器の使用はさせない」、だから日本は仲介の労を取るのだ、という理屈には説得力があります。

しかも、その立場を取れる国として、中国にも注目すべきです。核保有国中で中国とインドだけが「核兵器の先制使用」をしないと宣言し、それを守ってきているからです。

幸いなことに、(それがいつ変わるのかは分りませんが)、中国はこの戦争に深くコミットはしていません。日本もまだ、深みにはまってはいないのですから、日中両国が協力して和平工作に乗り出すことは可能です。そしてそれが動き始めれば、日中関係を改善する上でも大いに役立つはずです。

被爆者のメッセージは世界に大きなインパクトを与えられます。「ピンポン外交」なんて出来る訳がないと笑われたピンポンが、米中、日中の関係改善に役立ちました。パンダの帰国に涙する人がこんなに多くいる日本から、ウクライナとロシアそして中国にも平和のメッセージを発信するという「異次元」の可能性を少しでも広げてみたらどうでしょうか。

 

それでは今日一日が、皆さんにとって素晴らしい24時間でありますよう!

 [2022/2/25 イライザ]

[お願い]

文章の下の《広島ブログ》というバナーを一日一度クリックして下さい。

広島ブログ

広島ブログ

2023年2月22日 (水)

『はだしのゲン』の何が問題なのか ――本当は松江市の先例と同じ理由?――

『はだしのゲン』の何が問題なのか

――本当は松江市の先例と同じ理由?――

1_20230222180301

中沢啓治さんの『はだしのゲン』で、原爆の悲惨さや戦争をしてはいけないことを学んだ人は多いと思います。広島市でも、平和教育の教材の中に、『はだしのゲン』の一部を引用したり絵を使ったりしていました。

ところが、突然、教材中の『はだしのゲン』を削除するという決定を市の教育委員会が下したというニュースが飛び込んできて、多くの市民は吃驚しています。

今日、広島県の被団協理事長の箕牧智之氏と事務局長の前田耕一郎氏が教育委員会に申し入れを行いました。申し入れ書を読んで頂くことで、削除することの問題点が良く分りますので、被団協のお許しを頂いて、以下、全文を紹介します。

****************************************

2023年222日 

 

広島市教育長

糸山 隆 様

広島県原爆被害者団体協議会

理事長 箕牧智之

「ひろしま平和ノート」からの「はだしのゲン」削除について

かねてから、教育全般にわたり尽力されていること、そして、被爆地ヒロシマとしての平和教育に力を注いでおられることに敬意を表します。

さて、現在、大きく取り上げられている「はだしのゲン」を「平和教育ノート」から削除することについてですが、私たちは「はだしのゲン」は中沢啓治さんの実体験に基づいた反核・反戦の強い願いと、わかりやすく人々、特に子どもたちに伝えたいという思いにあふれたものであると認識しています。そして、「はだしのゲン」は佐々木禎子さんの折り鶴とともに、広島の惨禍とそれが繰り返されてはならないことを世界中に伝えており、ヒロシマの象徴ともなっています。

今回の「平和教育ノート」からの「はだしのゲン」削除について、多くの反応があったことはそれを如実に物語っているのではないでしょうか。

そこで、お尋ねとお願いとを申し上げます。

1 まずお伺いします。

  • 「はだしのゲン」を「平和教育ノート」から削除するに当たって、これほどの反応がある重いものであることを想定されなかったのでしょうか。

広島市は、中沢さんの作品・活動を評価して名誉市民とし、また、一連の中沢作品の原画の寄贈を受けて、貴重なものとして平和記念資料館で管理していると我々は認識しています。

その中沢さんの作品の扱いについてより慎重な判断があってしかるべきではなかったかと思いますがいかがでしょうか。

(2) 新聞報道によって経緯を見ると次のとおりです。

識者や学校長たち13人の会議でプログラム全体の内容を検証。うちゲンの場面(1)(2)について「児童の生活実態に合わない」「誤解を与える恐れがある」との意見が出た。作中の別場面を引用する案も出たが、「漫画の一部を取り上げるだけでは、被爆の実態に迫りにくい」として、場面(3)も載せず、(被爆者の体験談に)差し替えることにした。」217日中国新聞。( )部分と下線は被団協で挿入)

別場面の引用をせず差し替えることにしたとの結論に至る過程で、どれほどの検討がなされたのでしょう。会議録や決裁過程を示して議論の経緯と内容を教えてください。私たちは「はだしのゲン」には様々なエピソードがあり、切り口を変えることによって「はだしのゲン」を残す対応ができたのではないかと考えています。削除せず今回予定の体験記を加える方法もあったのではないかとも思います。どうでしょうか。

2 次に、外すことについての市側の対応についてです。

先にも触れたとおり広島市は中沢さんから作品原画の寄贈を受けて管理しており、広島市は事前に遺族の了解を得て原画を無償で利用できるようになっていると承知しています。

平和教育ノートに原画を使用するに当たって、広島市は遺族に了解を得たのでしょうが、使わなくなることについて報告したのでしょうか。

削除を決めたのであれば遺族に経緯の説明と感謝の意を込めて連絡するべきだったのではないでしょうか。それが無償で掲載を承諾している遺族への礼儀だと思いますがいかがでしょうか。

3 もうひとつ重要なことがあります。

ご承知のとおり原爆の使用がもたらす結果は酷いものです。多くの人が一時に死に、傷つき、後々まで苦しみます。そして、戦争も多くの酷い死をもたらします。

私たちはその酷さを子どもたちにしっかり認識して欲しいと思っています。そのことによって原爆・戦争はいけないとの考えを身につけることができると考えるからです

その点において私たちは「はだしのゲン」の果たしている役割を高く評価しています。

広島の子供たちには私たち原爆で被害を受けた者たちが肌身で感じた悲惨さ、酷さを知った上で「平和」を口にし、訴えて欲しいと思っています。

教育は本当に大切なものです。かつて我が国は、国民を、そして子どもたちを戦争に協力させ渦中に巻き込んでいきました。その反省から現在の憲法があり、それに基づいた教育があります。過ちを繰り返さないため、「平和」についての根本を子どもたちに理解させるよう力を尽くして頂きたい。それを心から願っています。

核、力による支配の脅威が大きくなっている今、広島の平和教育の重要性はますます高まっていると感じています。このことに心を致しながら教育を進められるよう強く念じ、申し入れます。

********************************************************

御記憶の方もいらっしゃると思いますが、10年前、松江市でも『はだしのゲン』を小中学校の生徒たちに見せないための閲覧制限がありました。制限を要請したのは教育長でした。

多くの市民からの抗議があり、閲覧制限は撤回されましたが、広島市の場合はどうなのでしょうか。なぜ、今という時点での削除なのでしょうか。

『中国新聞』の2月22日付ウェッブ版によると、「プログラム改訂の必要性を議論した2019年6月~20年2月の「検証会議」(13人)と、新教材の内容を話し合った20年8月~22年7月の「改訂会議」(7人)の議事録。計約70枚に及ぶ」を検証した結果が報告されています。それによると、賛否両論があり、教育委員会の説明が必ずしもこれらの会議の内容を忠実に反映していないことも分ります。

改訂会議から半年以上も経った今、削除の発表があるのも不思議なのですが、G7がらみの理由が隠されているのか、その他、最近の広島市役所の中の何らかの動きと連動しているのか等も含めて、市民に分り易い説明が必要です。

 

皆さんにとって、今日一日が素晴らしい24時間でありますよう!

 [2022/2/22 イライザ]

[お願い]

文章の下の《広島ブログ》というバナーを一日一度クリックして下さい。

広島ブログ

広島ブログ

広島ブログ

無料ブログはココログ
2023年3月
      1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31