2022年3月22日 (火)

アメリカに生き続ける「パール・ハーバー」 ――「絶対零度」かもしれません――

アメリカに生き続ける「パール・ハーバー」

――「絶対零度」かもしれません――

 

ここ数日は、アメリカ人のパール・ハーバー観について、1986年に上梓した『真珠と桜』(「ヒロシマ」から見たアメリカの心)での解説を整理してお伝えしています。今回は1959年から1960年の私自身の経験から始めていますが、1980年代、教職に就いていた時もパターンは似たり寄ったりです。

 高校時代には、地域の慈善団体等で話をすることもありました。例えば、キワネス・クラブです。

キワネス・クラブの昼食会にスピーカーとして招かれたのも同じ頃だった。30分ほど日本についての話、特に日本の高校生についての一般的な話をしたが、その後、質問が安保問題に集中した。日本についての記事はあまり載らないアメリカの新聞に丁度その頃、安保闘争が紹介され始めていたからだ。安保問題そのものより、アメリカに対して普通の日本人がどんな感情を持っているのかを一所懸命説明したつもりだが、とれ程の説得力があったのかは疑問である。そしてここでもパール・ハーバーが出てきた。

 「第二次大戦後、アメリカはパール・ハーバーさえ許し、日本に民主主義を導入し、その上、アメリカの兵隊を送って日本を守ってあげようと言っているのに、どこが不服なんだ。感謝されこそすれ、反対される理由が全く分らない」というものだった。

 再びここでも議論が打切られたのは、「17歳の少年一人を、大人が10余人寄ってたかって吊し上げるのはフェアでない」というサマーズ氏の言葉があったからだ。

 実は、アメリカ人の心の中でパール・ハーバーがどのような位置付けにあるのかを考える上で、一番ピッタリしているのは次の比喩ではないかと思います。60年間にアメリカそしてアメリカ人の意識も変ってきているとは思いますが、今回のゼリンスキー大統領演説に使われ、それが効果のあることを見るにつけ、人の心を変えるためにはいかに長い時間が掛るのかを改めて感じています。

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Wikiwandから

https://www.wikiwand.com/ja/%E7%B5%B6%E5%AF%BE%E9%9B%B6%E5%BA%A6

 

その後の印象をも含めて考えると「パール・ハーバー」は「原爆と比べられる」ような生易しいものではなく、他のすべての善悪を測る物差しに目盛られた最悪点だと言った方が正確だろう。絶対零度とは、これ以下の温度はない最低点だが、パール・ハーバーは、多くのアメリカ人にとって他国(あるいは他人) が自国(または自分) に対して取り得る絶対零度とでも言えそうだ。

 それを骨の髄まで感じたのが、198011月に起った駐イラン・アメリカ大使館での人質事件だった。

 病気療養のためアメリカに来たいという。パーレビ前国王の願いを、アメリカは「人道的見地」から聞き入れた。その報復措置としてイランは、アメリカの象徴である大使館員を人質に取るという卑劣、かつ非人道的、国際法違反の行為を取った。 こうした解釈に基いて、「真珠湾以来の国難」「第二次大戦中の日本人(正確に述べれば日系アメリカ人) と同様、 アメリカにいるイラン人(イラン系アメリカ人も含む) はすべて強制収容所にぶち込んでしまえ」はたまた「ニューク・ジ・アヤトーラ (ホメイニに原爆を使え)」といった声がアメリカ中に起ったのである。

 イラン人資産の凍結が行われ、南部の大学ではイラン人だというだけの理由で停学処分を受けた学生もいる。さすがに、日系アメリカ人ほどひどい仕打ちはされなかったが、この人質事件を通して再び、象徴として、また物事の判断を下すための物差しとしてのパール・ハーバーがより深く根を下したと言ってよいだろう。

 (中略)

 その当時、日本からタフツ大学に留学していた十九歳の女子学生と、 このことについて話し合ったことがある。

 「私にも経験がある。友達に、彼の友達――同じ年くらいの男の子ーーを紹介されたんだけれど、別れ際、・バス停でバスに乗る直前『お前たちなんであんなことやったんだ』 って言うの。何のことかと思っていたら         パール・ハーバーのことを言ってたらしいの。 『リメンバー・パール・ハーバー』って言ってバスに乗ってった。「ウッソー っていう感じだけど」

 だから・イランの人質事件の反応も、ああまたかと思ったというのである。

この項はまだ続きます。何故、アメリカ人の「パール・ハーバー」観が、変らないのかについても考察します。

[2022/3/22 イライザ]

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2022年2月23日 (水)

大好きなホンダN-WGNのボンネットが開かない ――マニュアルが全く役に立ちません――

大好きなホンダN-WGNのボンネットが開かない

――マニュアルが全く役に立ちません――

ホンダの軽自動車Nワゴン、略してN-WGN、を買ったのは2014年で、それ以来何の問題もなく乗ってきました。友人たちにも事ある毎に「お勧め」の車として推薦してきました。

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それだけではありません。とにかく乗るのが楽しく、東は宝塚経由で京都まで、西は湯布院まで、合計13万キロも走りました。その間、何の故障もなかったのですからこれ以上の車は望めないとまで思っています。それが、何と言うことでしょうか、昨日、8年振りに大問題が発生しました。ボンネットが開かないのです。

発端は、この辺りの気温です。夜のうちに-7度になる日もあり、朝も1度くらいで、窓は恐らく降り掛かった雪のせいで汚れています。ウインド・シールド・ワイパーを使おうとしたのですが、ウインド・ウォッシャー液が出てきません。凍ってしまったのだと思い、温いウォッシャー液を足して融かそうとしたのですが、ボンネットが開きません。

車の中、アクセルの右上方にある、ボンネットオープンレバーを引いて、ボンネットが軽く開いた状態にはなったのですが、通常は、そこにレバーがあってそれを上に押すか左右どちらかに押せば、ボンネットを全開できるのですが、そのレバーの位置が分りません。

手で触ってもレバーがどれだか分りませんし、隙間から目で見てもレバーらしきものが見えないのです。これが前から見た隙間とそこから見えるエンジンルームです。中が暗いので良く見えないのですが、懐中電灯で照らしてみました。白い楕円の中にあるのは、手で触れば分るのですが、車の一部で押しても引いても動きません。その右の黄色の四角が実はレバーの一部なのですが、見えている部分、つまり手で触れる部分は、これも全く動きません。レバーは、その右下、隙間からは見えないところにあるからです。

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困った挙句にガソリンスタンドで店員さんに教えて貰ってボンネットを開けて中を見ると、ここにレバーがありました。エンジンルームを上から見た画像です。

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黄色い楕円で囲んだ部分がレバーです。上からは見えますが、横からは見えません。そのレバーの位置についてのホンダのマニュアルがこちらです。

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説明の3では、「ボンネット中央のレバーを押して」と書いてあるのですが、軽く開いたボンネットの隙間から手を入れてもレバーには触れないのです。より正確には、次のように書くべきでしょう。

ボンネット中央の隙間から右手の人差し指を入れて、下方に折り曲げて左右に動かして下さい。上手く行けば左側にレバーがあることが分ります。それを左に押してください。上手く行かなければ、人差し指の位置を変えて試してみて下さい。

ホンダが最初に4輪車を製造販売した時に、ドライバーの手の届きやすいところに「小銭入れ」を配置したということを聞いて以来、消費者の立場を常に第一に考えてきたという印象のホンダなのですが、このマニュアルの説明は、「上手の手から水が漏れた」ということなのでしょうか。

[2022/2/23 イライザ]

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2019年6月26日 (水)

自動車運転の安全性を高めるために (5) ――自動運転が普及するまで――

前回は、急発進防止装置の「ペダルの見張り番」を国内の全車に取り付けるべきだという問題提起をしました。費用は、何の役にも立たない、ということは人の命を助ける上でも役に立っていないということなのですが、オスプレイとイージスアショアを止めてそれを充てればお釣りの来ることを説明しました。

でも、それで十分かと言われると、そうではありません。人命を守る上で効果のあるのは、「自動ブレーキ」です。ペダルの踏み違いによる事故だけが事故なのではないのですから、その他の事故でも、自動車のフロントの部分が、人間や他の車に近付いたことをセンサーが察知すれば、自動的に防レーキが掛るような装置は必要不可欠です。

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費用面では、現在でも、自動ブレーキを搭載したモデルとそうでないモデルとの価格差は5万円くらいらしいので、個人的に自動ブレーキを採用することも可能です。しかし、全車に搭載した方が効果的ですので、その線で考えましょう。日本全国で一年間の新規登録される自動車数は約500万です。現在の価格、一台5万は、大量生産や技術革新等で、2万円くらいに下げるのは難しくないでしょう。となると、全部で1,000億円です。

そこですぐ頭に浮ぶのが、「思いやり予算」です。アメリカ軍が日本に居続けるために、そしてアメリカ国内より豊かな生活をし、基地でアメリカ軍のために働く労務者の費用も、私たちの税金で払うということになってしまっているのですが、「思いやり予算」というニックネームが付いているくらいですから、どうしても必要な支出ではなく、相手を「思いやる」ための予算です。

この「思いやり予算」が一年約2,000億円ですので、その半分で多くの日本人の命が、交通事故から守られます。それ以前の問題として、これまで、技術的には可能ではあっても、ヨーロッパに売る車には搭載しても日本国内の車には搭載して来なかった自動車メーカーが、罪滅ぼしのために、内部留保の一部、それもほんの一部を使って、日本人の命を守るための「社会的責任」を果しても罰は当りません。

これを10年続けると、国内で走っている車のほとんどには自動ブレーキが搭載されることになります。それまでには自動運転車も普及してくるはずですので、それと合わせると、これから10年経つと、国内での自動車事故は激減するでしょう。

自動運転車の装備の一部になるであろう、その他の機能の一つは、赤信号で車が自動的に停車することです。人間は赤信号を見ても交差点に突っ込みます。でも赤信号をセンサーが感知したら自動的に車を止めることは技術的には簡単です。

そして、自動運転車の普及のための中間的な措置として、高齢者の住む割合が多い団地で、自動運転バスサービスを5年から10年の間、提供すべきです。アイデアは簡単です。バスが団地内を一巡するコースを決めて自動運転車を走らせ、公共交通機関の駅まで輸送するのですが、鍵は固定ルートに限った、しかも時刻表に従ったサービスだという点です。これを実現するのはそれほど難しいことではありません。

実現可能なのは、団地から駅までのバスサービスが次々と廃止された理由にあります。それは、運転手さんの人件費が賄えなくなったからです。自動運転バスは、人件費の問題がありませんので、つまり、「無人」のサービスになれば、そのコスト上の問題がクリア―されますので、高齢者に取っては素晴らしい環境が出現します。

「高齢者の免許返納」キャンペーンよりはこちらのキャンペーンの方が、希望に満ちていると思いますし、こんなサービスがあれば、自分で自動車を運転しなくても済むことになりますので、それこそ「自動的」に免許返納をする高齢者が増えるというボーナスも期待できそうです。

 

 [2019/6/26 イライザ]

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2019年6月25日 (火)

自動車運転の安全性を高めるために (4) ――お金の問題ではありません――

締め切りが迫っている仕事があって時間がままならず、一日遅れになりましたが、自動車運転の安全性を高めるために何ができるのかを考えたいと思います。

自動車運転の安全性を高めるという大目標に関連のある、マスコミ報道、ネットでのやり取り、学者や専門家の意見、警察等の発表や統計等を眺めていても、「絶対に」出て来ないのが、自動車そのものが事故の発生にどのくらい関わっているのか、という点です。

「プリウス・ロケット」とか「プリウス・ミサイル」というような言葉で表現される、プリウスの急発進が原因が主要原因かもしれないという、問題提起が多くの人によって行われています。例えば、「タウンNEWS 広島平和大通り」の最近の記事へのコメントで、「工場長」さんが分り易い説明をしてくれています。

プリウスだけではなく、他の車種でも、車の構造を変えることで防げる事故は多いのかもしれません。そう考えたのは、1966年のベストセラーになった、ラルフ・ネーダーの名著『Unsafe at Any Speed』(どんな速度でも危険)の問題提起を思い出したからです。

GMの人気者だった、Corvairという車に構造的な欠陥があることを告発したばかりでなく、計器パネルやダッシュボードに隠れている危険性や、車ごとにギアの配置が違うことによる混乱等についても問題提起をしています。事故が起きた際に、車中の人間にどのような力が加わるのかについても分析をした上で、安全性を高めるための提案も行っています。

私が特に注目したのは、メーカーが中心になって1920年代に、交通事故について考える上での「枠組み」を作って、マスコミも消費者もそれに従って事故を考えるという風潮が出来上がっていたという点でした。その元になった事故についての「標語」は、「Engineering, Enforcement and Education」、つまり、技術と、法律と教育という意味ではあるのですが、この標語が伝えていたのは、「法律と教育」とはドライバーの責任ついてであり、「技術」とは道路を意味していたとのことです。シートベルトを付けたり、エアバッグを装備したりするといった抜本的な対策の阻害要因になっていたのが、このような標語に代表される世の中の「常識」だったのです。

現在の標語「高齢者が運転しなければ安全」に共通しているのは、自動車そのものの安全性より、ドライバーの責任が過度に強調されている点です。

しかし、複数の合理的解決策があるのですから、それを迅速に採用することが喫緊の課題だと思います。そのための、財源としては防衛費を充てるのが手っ取り早いことは言うまでもありません。一機で212億円して、墜落する以外には役に立たないオスプレイ購入額が3600億円ですし、役に立たないことが良く知られているイージスアショア―は6,000億円ですから、りょうほうあわせて約1ちょうえんです。でも現実には戦争で死んだ人はこの74年間いないのに、交通事故では昨年、3532人亡くなっているのですから、どちらが優先度が高いのかは言うまでもありません。

例えば、東京都が補助金を出すことに決めた急発進防止装置、オートバックスでは、「ペダルの見張り番」として売っています。現在は取り付け費込みで、約3万円ちょっとします。自動車の保有台数も、免許証所有者数も大体8,000万ですので、それを基に推計してみましょう。

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仮に、「ペダルの見張り番」の値段が1万円に下がったとしましょう。これは、大量生産・大量販売、同時に技術改良で実現可能でしょうから、夢のような話ではありません。これを国内にある全車両に付けたとしても、8.000億円です。オスプレイとイージスアショアを買う代りに、事故による死者、年間3,500人すべてまでは難しいとしても、仮にその3分の一の1,000人の日本人の命を救えるのであれば、こちらの方が賢いだけでなく、人道的なお金の使い方になるではないでしょうか。

なかなか本論に行き着きません。この稿続きます。

 [2019/6/25 イライザ]

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2019年6月23日 (日)

自動車運転の安全性を高めるために (3) ――交通事故総合分析センターの資料を元に――

前回のお浚いから始めましょう。警察庁交通局の分析によると、高齢者の事故については次のような結論が大切だということになります。

75歳以上高齢運転者による死亡事故は、75歳未満の運転者と比較して車両単独事故が多く、特に工作物 衝突や路外逸脱事故が多く発生している。また、人的要因では操作不適が最も多く、特にブレーキとアクセル の踏み間違いによるものの割合が高い。

そこで、「イタルダ」という略称でも知られている交通事故総合分析センターの『特集 運転操作の誤りを防ぐ ─駐車場、高齢者に多いペダル踏み間違い事故─』から、参考になりそうな数字をグラフとともに検討してみましょう。

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この説明にも出ているように、「ペダルの踏み間違い」が原因事故では、確かに高齢者の場合の発生率は高いのですが、事故は、ハンドル操作やブレーキ操作が原因で起こる場合も深刻です。それら全てを合算した「操作不適事故全体」が一番上のグラフなのですが、ほぼ左右対称です。

となると、対策面では、若者と高齢者両方を視野に入れないと効果がないことが分かります。高齢者の「免許返納」に力を入れるだけでは問題の半分を無視していることになるからです。

とは言え、「ペダルの踏み違い」による死亡事故は多いので、その内容をもう少し詳しく見てみましょう。運転状況と道路状況です。

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他の項目は無視して良いとは言えませんが、「車両の単独事故」と「駐車場」が圧倒的に多いことが分かります。この二つに注目して事故数を減らすために「免許の返納」という手段を選ぶとしたら、高齢者の説得には「お前の運転で人を殺す可能性が高いから免許を返納せよ」と言う代りに「あなたにもっと長生きして欲しいから、運転は控えて欲しい」というメッセージの方が、事実を踏まえた、しかも受け入れ易いものだと思うのですが、如何でしょうか。

もう一つ、グラフを御覧下さい。類型別のグラフですが、ここでの問題点は、単独事故ではなく、車が人に対しての凶器になっている場合です。

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車両単独や車両相互の場合も勿論問題なのですが、「人対車両」で突出しているのは、「75歳未満の運転者」の場合なのです。そして、75歳以上の運転者の場合の危険性については触れられていても、75歳未満の運転者が「人対車両」事故を起こす率がこれほど高いことには一切触れられていないのです。

高齢ドライバーに対する偏見と予断に満ちた説明です。これで「結論ありき」の説明の実態はお分り頂けたと思いますが、具体的な対策はどうすれば良いのか、高齢者の経験に基づいた知恵も交えながら次回取り上げたいと思います。

[2019/6/23 イライザ]

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2019年6月22日 (土)

自動車運転の安全性を高めるために (2) ――2019年版「交通安全白書」――

昨6月21日の閣議で、政府は2019年版「交通安全白書」を承認したようです。その内容を日経は次のように報じています。分り易くするため、順序を少し変えてあります。番号は筆者が付けました。

18年の交通事故死者は3532人で、統計が残る1948年以降で最少となった。「交通戦争」と呼ばれ過去最悪だった1970年の1万6765人と比べ、4分の1以下に減少した。

75歳以上の高齢者が18年に起こした死亡事故は、運転免許証を保有する10万人当たりの換算で2件で、74歳以下の約2.4倍となった。

10万人当たり換算の死亡事故を年代別にみると、16~19歳が4件と最も多く、80歳以上が11.1件で続いた。高齢者の重大事故が問題化する中、データで深刻さが裏付けられた。

75歳以上のドライバーのブレーキとアクセルの踏み間違いによる死亡事故は4%だった。74歳以下の1.1%より多かった。

 

統計の年度は違いますが、警察庁交通局では、これを次のようなグラフにまとめています。

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まとめ方は色々あるのですが、資格で囲んだ「平均」を使って、一番右の三つの年齢層をひとまとめにすると、「75歳以上」の棒グラフの値は、7.7になります。そのように修正されたグラフの与える印象は、若者の運転と高齢者の運転のどちらも危険度が高い、それも同程度の危険度だ、ということになるのではないでしょうか。

しかし、高齢運転者による死亡事故件数の多いことは事実ですので、その原因を把握し、対策を立てることは当然です。そのために、同じく警察庁交通局が分析した結果を見てみましょう。

 

【高齢運転者による死亡事故に係る分析のまとめ】

・ 75歳以上高齢運転者は、免許人口当たりの死亡事故件数が多いことから死亡事故を起こしやすい傾向に あり、今後も運転免許保有者数が増加する中において、高齢運転者による事故防止対策は喫緊の課題。

・ 75歳以上高齢運転者による死亡事故は、75歳未満の運転者と比較して車両単独事故が多く、特に工作物 衝突や路外逸脱事故が多く発生している。また、人的要因では操作不適が最も多く、特にブレーキとアクセル の踏み間違いによるものの割合が高い。

 

特に、「車両単独事故が多く、特に工作物 衝突や路外逸脱事故が多く発生」しているということですので、巷間流布されている、高齢者が危険な運転をして、その結果として過失の全くない人たちが「殺されている」というイメージとは少し違った現実が浮び上ります。

同時に、「操作不適が最も多く、特にブレーキとアクセル の踏み間違いによるものの割合が高い」ということなのですから、この点について、さらに詳しく分析する必要がありそうです。

またまた、長くなってしまいました。この項は続きます。

 [2019/6/21 イライザ]

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2019年6月21日 (金)

自動車運転の安全性を高めるために (1) ――客観的なデータで議論しましょう――

高齢者がブレーキとアクセルを踏み間違えて、死亡事故を含む深刻な事故が起きている。この事態を解消するために、出来るだけ早く高齢者から免許証を取り上げるべし。


といった趣旨の全国的キャンペーンが、マスコミ主導で全国的に広がっています。何故、このように理不尽なキャンペーンが展開されているのかについては、このところ始った秋篠宮バッシングとともに、近い内に分析しますが、まずは、高齢者と交通安全について、少し冷静に考えてみたいと思います。

出発点は、客観的なデータによって状況を把握することです。意外な真実が見えてきますし、見えるべきデータが公表されていないことにも気付くはずです。

まずは、高齢者が交通事故でどのくらいの数死亡しているのかを見てみましょう。警察庁交通局交通企画課が発表した、2018年10月末の「交通事故統計」に掲載されている分り易いグラフです。

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「年齢層別・状態別死者数」のグラフです。手前から奥に行くにしたがって年齢層が上がっています。一番奥は、65歳以上です。また、「677」人と死亡者数がいた番多いのは、65歳以上の歩行者です。それは、左から右に移る列では、一番左が「自動車乗車中」、そして右から二番目が「歩行中」そしてその左隣りも死者数が「234」人と多いのですが、これは自転車乗車中です。

「歩行中」という状態が示しているように、これは、高齢者が加害者ではない事故による死者も含まれています。簡単に言ってしまえば、高齢者が被害を受けその結果死亡した交通事故を数えているのです。自ら危険運転をして亡くなった場合も含まれますので、全て相手が悪い訳ではありません。

問題の一つは、このグラフに劇的に示されているほど多くの高齢者が交通事故で死亡しているのですが、これを放置しておいて良いことかという点です。この統計に示されている高齢の死亡者を減らす対策も、高齢者が起こす事故と同じくらい熱心に推進されてしかるべきなのではないでしょうか。横断歩道以外で道路を横断したり、走行中の車の直前や直後を横断する等の「法令違反」が約半数なのですが、残りの約半数には過失がないのですから、高齢の歩行者を守るための対策という視点ももっと強調されてしかるべきでしょう。

免許の返納と、高齢の歩行者が事故で死亡するケースを結び付けることも可能です。論理的には問題はあるのですが、分り易い喩えで問題点をアピールしておきます。仮に、高齢の運転者が免許証を返納すれば、歩くか自転車に乗るかという交通手段を取らざるを得ません。それは、死亡率としては運転より倍近い可能性の交通手段を偉ぶ事になるのですから、より深刻な生命の危険にさらされることになるのです。そんな犠牲を強いるだけの信頼できる根拠が実際にあるのでしょうか。

思った以上に説明が長くなってしまいました。この項は続きます。

 [2019/6/21 イライザ]

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2019年6月10日 (月)

認知機能検査の結果

先日、自動車教習所で、認知機能検査を受けた報告をアップしました。その結果として受ける高齢者講習の時間が二時間で済み、また受講料も安くなるように、「受験勉強」をしたこともその内容もお伝えしました。

さて、その結果が届きました。予想通り、100点です。

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これで自信が付きましたので、新たなチャレンジに挑戦します。もし、認知機能検査のお知らせを受け取った方で、チョッピリ不安をお持ちの方がいらっしゃるようでしたらお知らせ下さい。「受験勉強」のお手伝いを致します。このブログのコメントとして残して下されば、情報は公開せず、こちらから御連絡致します。

[2019/6/10 イライザ]

 

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2019年6月 6日 (木)

認知機能検査

今年の誕生日 (正確には、それプラス一月) までには、運転免許証の更新をしなくてはなりませんが、その前段として二つのステップを踏まなくてはなりません。一つは、前回既に受けた高齢者講習ですが、今回はそれに加えて、「認知機能検査」を受けなくてはなりません。その点数次第で、高齢者講習の時間と受講料が変ってくるのです。

先月、公安委員会から、認知機能検査の通知が来ました。

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早速、近くの自動車教習所で予約をして、今日検査に行ってきました。結果は、10日から2週間くらいの間に郵送してくれるようなのですが、恐らく100点が取れていると思います。それは、もう既に検査を受けた友人から情報を貰い、ネットで調べて準備をしていったからです。自分だけで準備をするのが不安な方には、2000円程度で、検査のための記憶術を書いた本を買うこともできます。ネットでの情報は例えばこちらのサイトを御覧下さい。問題も含めて、この検査については、警察庁や警視庁等のサイトにも載っていますので、そちらも参考になさって下さい。

この検査で一番難しいのは、16枚の画像を見せられて、それを全て書き出すという検査です。昔なら、一度見ただけでこのくらいの枚数は簡単に覚えられたのですが、「寄る年波」には勝てず、記憶する方法を考えました。それをここで公表しますので、役に立てて下さい。

実は友人と話をしたときに、「こんな準備をして検査を受けるのはルール違反ではないか」という疑問を投げ掛けたのですが、「そんなことないだろう。ネットで調べて準備をすることも含めて、準備ができるのも認知機能の一部だと考えられるのではないか。それも含めての検査のはずだ」という明快な答えが返ってきましたのです、その線で準備するのは問題ないという前提です。

まずは、16枚の画像を御覧下さい。

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ネットで公開されている16枚一組の画像には、4つのパターンがあります。A、B、C、Dと名前が付けられていますが、実は、それぞれの画像は、ある特定のカテゴリーに属するものでした。そのカテゴリーを覚えておけば、16枚はすぐに出てきます。となると、カテゴリーをどう覚えるのかがカギになりますが、これは、「二十の扉」式に分けておくと覚えやすいことが分りました。以下、その説明です。

「二十の扉」では、カテゴリーを三つに分けていました。「動物」「植物」「鉱物」です。それに倣って、この三つから始めます。

まず、「動物」には、哺乳動物、鳥、昆虫、そして人間の体の一部の絵という4種類が出ていました。上の絵では、ライオン、ニワトリ、そしてテントウ虫と耳です。これは、簡単に覚えられます。「植物」は、野菜、果物、花の3種類です。タケノコ、ブドウ、薔薇です。これも覚えるのは簡単です。残ったのは、鉱物ですが、その中に9枚の絵があります。これらを、三つずつのグループに分けて覚えることにしました。

最初の一つは、「屋外」にあるものです。茲には二つのグループがあります。武器・兵器が一つで、もう一つは、交通手段です。それぞれ大砲とオートバイです。

「屋内」にあるものは、二つのグループに分けました。一つは「衣・食・住」で、着るもの、台所用品、そして家具です。これは、スカート、フライパン、そしてベッドです。二つ目は、4つのグループなのですが、「士能工商」と名付けました。「士」は文房具、「能」は楽器、「工」は大工道具、そして「商」は電化製品・電気製品です。それぞれ物差し、オルガン、ペンチ、そしてラジオです。

このグループ分けを覚えるのは簡単だと思いますので、それを元に、まず上の16枚の画像の一つ一つが、どのグループに属するのかを確認した上で、絵を隠して、「動物・植物・鉱物」から始めて、一つずつ思い出してみて下さい。特に75歳以上の方には、次の認知機能検査で使って頂ければ幸いです。

 [2019/6/6 イライザ]

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コメント

歳を取ると、
今話している目の前の人の名前が、思い出せないことがあります。
試験勉強して、効果があるというのも若いうちだけでしょうか。
もっとも私の娘は中学生の頃、昨晩勉強した漢字を翌朝のテストでできませんでした。
我が家は皆生まれた時から認知症のようです。

「ニンチショウ」様

コメント有り難う御座いました。

物忘れに大きな影響のあるのは、睡眠の長さと質らしいです。それについても、最近読みましたので、その中でも面白かったことを近い内にアップします。役立つ情報が含まれている可能性もありますので。

老人介護の現場では、交通事故を上回る転倒死亡事故が問題になっていますが、日本では、他の先進国では禁止されている高齢者への睡眠導入剤が簡単に処方されていることも大きな問題です。先日も知人高齢者が比較的安全だと言われているマイスリーを飲んだ直後に転倒し、救急車で運ばれるという事故がありました。

睡眠薬は睡眠の質を著しく劣化させますが、私の場合、その睡眠薬すら効かないほどの酷い睡眠障害なので、医師からも「記憶については諦めてください」と言われています。

「工場長」様

コメント有り難う御座いました。

「睡眠薬すら効かないほどの酷い睡眠障害」とは、大変ですね。マシュー・ウォーカーの『睡眠こそ最強の解決策である』には、「健やかな眠りのための12のアドバイス」が載っていますが、それは既に試された上でのことですよね。

そんな状態であるにもかかわらず、工場長さんの書かれるブログの記事は、それなりに睡眠の取れている私のものなどより、はるかに洞察力に富み、知識のレベルも深いですし、幅も広いのですから、ある意味で「天才的」な人格の一部としての睡眠障害といった位置付けになるのでしょうか。

2018年7月13日 (金)

大雨災害からの教訓 (4) ――被災した労働者の給料を減らさないで下さい――


大雨災害からの教訓 (4)

――被災した労働者の給料を減らさないで下さい――

 

前回は、災害に襲われた広島地域で英雄的な活動を続けている人たちへの賛辞と感謝の意を表した積りですが、今回もその続きです。

 

当り前のこととして毎日通っていた道路が使えなくなり、その有り難さを痛感した人は多かったようですが、私もその一人です。この写真は、国道2号線の一部ですが、数時間前にはタクシーでここを通った家人は、冷や汗と共にこの写真を転送してくれました。

 

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その当り前のこと、普通のことが普通に存在することの有り難さを的確に表現してくれた人がいました。広島と呉を結ぶ31号線が復旧したときのことをテレビが報じてくれたのですが、インタビューに応じた一人のドライバーの言葉です。

 

「今まで、普通のことだと思っていた、その「普通」が如何に有り難いのかが良く分りました。「普通」に感謝しています」といった趣旨でした。

 

そして、私たちの日常生活の「普通」を守るために、尋常ではない働き方をしている人たちが多くいるというのが、昨日のこのブログの趣旨の一つだったのですが、物流トラックのドライバーさんたちもそのような英雄たちです。

 

ある物流拠点Aからの情報ですが、そこから中国地方各地に荷物が運ばれます。何カ所かを回るのでしょうが、説明を簡単にするため、配送地Bとしておきましょう。通常は、余裕で一日掛らずにA地点からB地点まで行けるようなのですが、大雨による道路被害で、迂回路を使い、渋滞に巻き込まれながらの配送になりますので、結局、徹夜状態で2日掛って、B地点まで配送し、逆を辿って、また2日掛けてA地点に戻るという過酷な仕事をしなくてはならなくなったとのことでした。

 

4日間ほとんど眠らずに仕事をすることなど私には想像もできませんが、こんな過酷な状況でも、遅れはあるのでしょうが、それでも物流にできるだけ支障を来さないよう頑張っている、トラック・ドライバーの皆さんには感謝の言葉以外ありません。かなり無理をなさっての運転が続いていることは分っていますが、無理をし過ぎて事故を起こさないよう、くれぐれも慎重に運転をして下さいますよう。

 

車と言えば、製造する方も大変です。部品の搬入が影響を受けて、マツダその他の自動車メーカーは一部工場で操業を停止しています。従業員の中には被災者もいるようですので、自分の住まいの整理等に時間を使えるのは有り難いはずです。

 

同時に、心配な情報も入ってきました。従業員の給料が今月は2割カットされるらしいという内容です。ガセネタであることを祈っていますが、これほど大規模な災害に襲われ、大きな被害を受けていない地区でも、何かと出費が重なります。そんな従業員に犠牲を強いるのではなく、大企業として、広い意味での社会貢献の一部としての従業員の給与対策を立てて貰えないものか、祈るような気持でこの稿を書いています。

 

[2018/7/11 イライザ]

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コメント

こんな時こそ未曾有の内部留保を使って欲しいものですね。

一番問題だと思うのは、これほど毎年のように被害を出しておきながら、根本的な議論、合意形成が全く諮られていないことだと思う。治水ということに対しては、森林の保全から川の氾濫に対してどう対応するのかということが100年単位で計画される必要があり、頻繁に氾濫するメコン川流域からドイツのライン川など、途上国でも先進国でも抜本的な基本方針があり、日本のようにコンクリートで自然をねじ伏せるような方法はとっていない。日本はいつまでも「復旧」であり、僅か数十年のことを「経験のない」と称し、土建業だけが儲けるということを繰り返している。

「労働者」様

コメント有り難う御座いました。

おっしゃる通りです。そして組合にも頑張って貰いたいですね。

「後期高齢者」様

コメント有り難う御座いました。

正に、私の思いを的確にまとめて下さり、有難う御座います。このてんについては、明日から少しずつ提案をして行きたいと思っています。より良い内容にするため、さらなるインプットをお願いします。

マツダは給与を2割カットでなく、休業した日は一時帰休と同じようにその日の分の7割が支給されると聞きました。
マツダなどは、月給でなく、日給月給制だったと思います。

「やんじ」様

コメント有り難う御座いました。

マツダの方針を教えて頂き、有難う御座います。2割カットではなく、3割カットですね。それも災害が原因で。

一番弱い、日給で働く職員へのしわ寄せを見て、株主は喜ぶのでしょうか?

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