国連

2022年6月17日 (金)

成田を立って、今、ヘルシンキです

成田を立って、今、ヘルシンキです

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成田での「結団式」の写真は後程、送りますが、ヘルシンキからの発信です。約13時間掛かる予定でしたが、私たちの逸る心が影響を与えたのでしょうか、1時間早く着きました。そして、待ち時間の間、派遣団は全身熱心に仕事をしています。

PCR検査の時間の調整とか、LINEグループを作ってLINEオーディオを使えるようにしたりといった技術的な事柄も済ませました。

ウィーンまでは、3時間弱ですが、着いてからまた報告します。

それでは今日が、皆さんにとって素晴らしい一日でありますよう。

[2022/6/17 イライザ]

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2022年5月21日 (土)

戦争も核もない世界へ ――沖縄でもシンポジウムが開かれます――

戦争も核もない世界へ

――沖縄でもシンポジウムが開かれます――

 

東京での「核兵器禁止条約を考える集会」に続いて、521日には、沖縄で、喜納昌吉さんの呼び掛けで、「戦争と核のない世界へ」というテーマのシンポジウムが開かれます。

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東京そして、沖縄、両方のイベントに参加させて頂きますが、私の発言はこれまで、このブログ、そして姉妹ブログの「新・ヒロシマの心を世界に」、そしてChange.orgでの署名運動で皆さんにお伝えしてきたことです。

 加えて、琉球日報が鳩山友紀夫さんと私の論考を掲載してくれましたので、それも是非お読み頂きたいと思います。

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核「共有」とか、「敵基地攻撃能力」とか、「憲法改正」では未来の見えないことが、少しでも広まることを期待しています。

 [2022/5/21 イライザ]

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2022年5月20日 (金)

核兵器禁止条約について考える会 ――国会議員も動いてくれています――

核兵器禁止条約について考える会

――国会議員も動いてくれています――

 

2017年に国連総会で採択され、その後、「署名」と「批准」のために公開された核兵器禁止条約ですが、我が国は署名も批准もしていません。国会議員のレベルでは世界的に核兵器禁止条約を推進する動きが盛んなのですが、それに呼応して活動してきたのがPNND日本支部です。

 「核軍縮・不拡散議員連盟(PNND)日本は,市民の願いである核軍縮を政策に反映させるための国会議員による国際ネットワーク、Parliamentarians for Nuclear Non-proliferation and Disarmament (PNND) の日本支部であり、超党派の議員連盟です。」

 当然、核兵器禁止条約を支持して、日本政府が批准するように働きかけていると思ったのですが、そうではないようです。河野太郎会長の公式サイトから引用します。

 「国民の生命と財産を守るためには、日米同盟の下で核兵器を有する米国の抑止力に頼る以外ないのが現実です。

 核兵器禁止条約は、こうした厳しい安全保障環境を十分考慮することなく、核兵器の存在自体を直ちに違法化するものです。

 したがって、この条約がいかに核兵器廃絶という崇高な目的を掲げているものであっても、核兵器を直ちに違法なものとする核兵器禁止条約に参加すれば米国による抑止力の正当性を損うことになり、結果として、日本国民の生命や財産が危険にさらされても構わないと言っているのと同じことになります。

 これでは、北朝鮮のような相手に対して誤ったメッセージを送ることとなりかねません。

 国民の生命と財産を守る責任を有する政府としては、現実の安全保障上の脅威に適切に対処しながら、地道に核軍縮を前進させる道筋を追求していく必要があると考えており、核兵器を違法なものとして、直ちにその廃棄を各国に求める核兵器禁止条約は、核兵器廃絶に向けた我が国の考え方とは異なるものであり、この条約に署名することはできません。」(https://www.taro.org/2017/11/%E6%A0%B8%E5%85%B5%E5%99%A8%E7%A6%81%E6%AD%A2%E6%9D%A1%E7%B4%84.php)

 自民党の議員が自民党や政府と同じ考えであるのは仕方ないのかもしれませんが、国会の中では、核兵器禁止条約の重要性と日本にとっての意味を理解し、署名・批准に向けての活動をしている人もいます。

 参議院議員の舩後靖彦さんがその一人です。今日、20日に国会内での集会を呼び掛けて下さっています。

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https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/3/3b/%E8%88%A9%E5%BE%8C%E9%9D%96%E5%BD%A6.jpg

ジェットオオタニ, CC BY-SA 4.0 <https://creativecommons.org/licenses/by-sa/4.0>, via Wikimedia Commons

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 20225月吉日

国会議員各位

れいわ新選組 参議院議員

舩後 靖彦

 

「核兵器禁止条約を考える集会」ご臨席のお願い

 先生方におかれましては、政務、公務におかれてのご活躍に心より敬意を表します。また、今後とも私たちに対し大所、高所よりのご指導を賜れればありがたく存じます。

さて、この度「核兵器禁止条約を考える集会」を開催する運びになりました。ゲストスピーカーに秋葉忠利さん(元広島市長)、喜納昌吉さん(音楽家・元参議院議員)をお迎えして、我が国の核兵器禁止条約の批准について議論が深まればと考えております。

ご多忙のところ誠に恐縮ではございますが、ぜひご臨席を賜ればありがたく存じます。ご検討のほどよろしくお願い申し上げます。

 

 

日 時    5月20日(金) 15時~17時(終了予定)

場 所    衆議院第2議員会館B18会議室

  

「核兵器禁止条約を考える集会」次第

 15:00 開会の挨拶 (参議院議員 舩後靖彦)

15:05    基調講演 (秋葉忠利様)

15:35 基調講演 (喜納昌吉様)

16:05 意見交換

16:30 閉会

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素晴らしいイニシャティブですね。会の模様は追って報告します。

 [2022/5/20 イライザ]

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2022年5月 3日 (火)

WFRの対談記事・その3 ――核兵器禁止条約の目標は生存である――

WFRの対談記事・その3

――核兵器禁止条約の目標は生存である――

 

昨日に続いて、The World Financial Reviewに掲載された、Joseph Mazur氏と私の対談記事の和訳 (山田達也氏による) を掲載します。

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ジョセフ・メイザー

今年13日に、米国、ロシア、中国、フランス、イギリスの5つの核兵器保有国は、核兵器禁止条約を批准する代わりに、核兵器保有5カ国の首脳が「核戦争の防止と軍拡競争回避のための共同声明」を出しました。君はそれに何を期待しますか?

秋葉忠利

共同声明の要点は、5つの核兵器保有国が、(1) 核戦争に勝者はなく、起こしてもならないという点で一致していること (2) 核軍備の縮小に関する効果的な条約について、誠実に交渉を行うに対する義務を含む、核兵器不拡散条約の諸義務を引き続き順守すること (3) それぞれの国の政策がこれまで通り維持され、さらに一層増強されることで、核兵器の無許可または意図しない使用を防ぐこと (4) 核兵器の照準を互いに、または他のいかなる国にも向けないと再確認していること (5) 2国間及び多国間の外交的アプローチを模索し続ける意向であることです。

アントニオ・グテーレス国連事務総長は、「核戦争の防止と軍拡競争回避のための共同声明」を歓迎しましたが、最終的には、核によるすべてのリスクを排除する唯一の方法は、すべての核兵器を廃絶することであると強調、この目標を可能な限り早期に達成するために、核兵器保有国および全国連加盟国と協力する意思を改めて表明しました。

声明を出したというのは、世界中で増大する国連核兵器禁止条約への支持を、核兵器保有国が無視できなくなっている証拠です。世界の世論に対して表面的にでも認めざるを得ない原則を表明することによって、世界の世論を尊重しなくてはならなかったのです。しかし共同声明の署名国の過去の政策や声明を顧みれば、彼らが自国の生存が危機に瀕しているという主張をして、これらの原則に反する行動を取ることになるでしょう。

ジョセフ・メイザー

核兵器禁止条約の第1回締約国会議が、今年の夏にウィーンで開かれます。この会議に何を期待できるでしょうか?僕はそれが実り多い結果を生むことを望みますが、同時に世界は今世界が直面している生存に関わる問題にもっと真剣に取り組むべきではないでしょうか?

秋葉忠利

締約国会議は、市民社会に目を向けて、現実的で生産的な目標に焦点をあてるべきです。その中には、核保有5カ国、日本・カナダ・韓国などの核の傘依存国、NATO加盟国を含む非批准国に対し、条約への署名・批准を強く求めるべきです。

並行して、非核兵器保有国に核兵器を最初に使用しないという誓約、「核兵器の先制不使用(以下NFU)」政策も強く求めるべきです。これについては、重要な国々が既に幾つかの前向きな措置をとり、或いはNFUのアイデアに部分的な合意を宣言しているため、関係国の説得に成功する可能性は十分にあります。

1に、中国は核兵器を最初に取得して以来、NFU政策を採用してきました。第2に、米国はオバマ政権下でNFUを国連の政策とし採用するよう働きかけ、米国内ではNFU政策を立法化するための具体的な行動をとりました。残念なことに、日本の安倍政権からの断固たる反対が、そのような動きを阻止してしまいましたが。

3に、非核兵器地帯条約が、地理的に限られた地域内ではありますが、核兵器保有国にNFUを採用させることに既に成功しています。非核兵器地帯とは、自国領域内における核兵器の存在を認めない(実験・使用・製造・生産・取得・貯蔵・配備等を禁止する)条約に批准する特定の国のグループです。理想的には、核兵器保有国は核兵器でこのグループを攻撃しないことを約束します.(この状態は「消極的安全保障」またはNSAと呼ばれます)。核兵器保有国が批准したのはラテンアメリカとカリブ海諸国を対象とするトラテロルコ条約のみでしたが、核兵器保有国がNFUの考えに同意したことは重要です。NFUの概念は広がる可能性を秘めています。

ジョセフ・メイザー

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南半球全体が非核兵器地帯になっていて、それが北半球に広がっている今、次はどこで非核兵器地帯を形成するべきなのでしょうか?

*トラテロルコ(ラテンアメリカ及びカリブ核兵器禁止)条約、ラロトンガ(南太平洋非核地帯)条約、バンコク(東南アジア非核兵器地帯)条約、ペリンダバ(アフリカ非核兵器地帯)条約

秋葉忠利

最有力候補は北東アジアです。このアイデアの当事国は6ヵ国で、中核3ヵ国が日本・北朝鮮・韓国、そして周辺3ヵ国が米国・中国・ロシアです。成功した場合、北東アジア非核兵器禁止条約が定めるのは、中核3ヵ国が非核兵器保有国になるか、非核兵器保有国のままでいること、そして周辺3ヵ国がコア3ヵ国を核兵器で攻撃しないよう保証することです。

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 [対談は続きます]

 [2022/5/3 イライザ]

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2022年4月27日 (水)

後もう一人に声を掛けて下さい ――署名数は後2,500人で、10万人になります――

後もう一人に声を掛けて下さい

――署名数は後2,500人で、10万人になります――

 

広島、そして被爆者をサポートして下さっている御友人の皆様

ウクライナ戦争について、「「核兵器を使わない」と、ただちに宣言して下さい」署名運動に賛同して下さり、心から感謝しています。私たちのアピールの趣旨を改めて確認するとそれは、広島・長崎の被爆者の声である、この戦争で核兵器を使わないこと、さらには核兵器の先制使用は永久に行わないことの約束です。

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皆様のお陰で、署名数はほぼ100,000に達しました。

でも「ほぼ」なのです。

現在は、97,475ですが、後2,525で、力強く美しい10万に達します。

そのための緊急のお願いです。もう一度力を貸して下さい。もうお一人だけ、署名をして下さる方を増やして下さい。このお願いに応えて下さる方がたくさんいらっしゃることを信じています。(そして、声を掛けて下さる方を1だけに限定している訳でもありません。念のため。)

メールやソーシャルメディアで、ウクライナの戦争を憂慮している方に連絡を取って下さい。私たちの力を結集するためのアピールの一員になる機会を作って上げて下さい。明日と言わずに、今、連絡して下さい。

10万になった時点で、プーチン大統領と岸田首相には、再度、この署名運動の趣旨を強調した書簡を送ります。また同様の内容の書簡をその他の核兵器所有国の首脳にも送ります。

加えて、8月中 (広島・長崎の原爆の日も含めて) ニューヨークの国連で、核不拡散条約 (NPT) 再検討会議に参加している外交官に見て貰うためのビデオを録画します。NPTは今、危機的状況にありますが、核兵器の先制不使用政策を採用することがNPTを再生させるために直接的効果があります。

そのビデオはYouTubeにアップして、皆さんにはURLをお知らせします。(10万という目標達成ができれば、という条件付きですが。) 

皆様のお力を信じています。被爆者の期待に応えて、被爆者と共に闘って下さい。世界に、希望の光を届けましょう!

 [2022/4/27 イライザ]

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2022年4月10日 (日)

NoFirstUseインタビューの和訳第二回目です ――少し長いですが、お付き合い下さい――

NoFirstUseインタビューの和訳第二回目です

――少し長いですが、お付き合い下さい――

 

 「「ノーファースト・ユース・グローバル」が、ウクライナ紛争で核兵器を使うな、と訴える秋葉前広島市長にインタビューしました。」 というブログ・インタビューの日本語訳第二回目を掲載します。

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責任ある立場の人が核兵器使用の可能性に言及して世界を脅迫することを、被爆者は誰一人想像できませんでした。プーチン大統領があり得ない一線を越えたのは、広島と長崎での被爆者の経験を十分に理解していないからです。あの悲劇を内面化した人なら、核兵器を使ったり、核兵器を使うと脅したりすることは、想像だにできないでしょう

核兵器の使用を決断する超核兵器保有国の指導者として、プーチン大統領はその決断を下す前に、できるだけ早く広島を訪問しなければならない、と私は信じています。他の全ての核兵器保有国の指導者も、同じ義務を持ってしています。

 半世紀以上にわたり広島を訪れた訪問者を観察してきた私の経験から言うと、広島を訪れ、平和記念資料館を視察し、被爆者の声に耳を傾け、生死を語り合い、市民と交流する人は殆ど誰も、同じ結論に達します。それは、広島に来るまで核兵器の恐ろしさや非人道性を、理解していなかったということです。そしてどんな国も核兵器を使用してはならないということです。

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資料館入口付近(オバマ大統領の広島訪問直後)

プーチン大統領にそんな訪問の時間がないなら、その時は広島の中でも爆心地と原爆ドームがある選挙区から選ばれている、岸田首相が介入すべきです。首相は既に亡くなった被爆者、更に重要なことに、まだ苦しみ続け、今回の脅しを非常に心配する人々について知識が豊富です。首相はモスクワに飛び、プーチン大統領に、歴史的事実から核兵器を使うことがどれ程恐ろしいかを伝えるべきです。更にニューヨークにも行って、安全保障理事会に出席し、他の核兵器保有国首脳に向けて同じことを主張すべきです。岸田首相は、選挙区の人々を代弁する法的責任を負っていて、それには、被爆者の声、歴史的遺産、選挙区の有権者の意志が含まれます。

私は東京生まれですが、12年間広島市長を務めたということを指摘しなければなりません。私は1945年8月6日に広島にいなかったのです。しかしそれは、世界に対して、私が被爆者を含む広島市民の代表として行動することとは矛盾しません。その役割を果すための地位に彼らは自らの意思で選んだのですから。広島の市民や被爆者から同じように選ばれた総理大臣なのですから、岸田さんには更に大きな責任があります。今、彼は市民と被爆者の意志に基づいて日本国政府を動かすことができるからです。

AT: トヴィッシュさん

それで署名運動が今進行していて、賛同署名が10万人に近づいています。Change.orgにとってはとても素晴らしい成果となっています。10万に達したら何か具体的な計画をお持ちですか?

TA: 秋葉さん

もうプーチン大統領と岸田首相に手紙を送くりました、賛同者の数が5万人を少し上回った時のことです。ですから次の目標は、数が10万に達した時、プーチン大統領、岸田総理、他の核保有国首脳に、手紙を再度送りたいと思います。

AT: トヴィッシュさん

紛争のエスカレーションはいろいろな形で起こる可能性があるので、それをするのに必要な手段を持っている全ての国は、このメッセージを聞く必要があるってことですね。

TA: 秋葉さん

誰でも公に表明した立場を変えるためには、ちょっと背中を押して貰うと上手く行く場合があります。その人に対して怒鳴るだけでは上手く行かないでしょう。おそらく、より良い方法は、妥協できる環境を作ることです。

妥協点を指し示すあらゆる可能性、核兵器を使用しないよう促すものは、何でも検討する価値があります。ロシア以外の核兵器保有国が、「ねえ、君のとこが核兵器を使用しないと約束するなら、私たちはこの武力紛争で核兵器を使用しないと約束するよ」、って提案してみてはどうでしょうか。更に一歩進んで、核兵器で攻撃されない限り、どこも他国に核兵器を使用しないと宣言するのはどうでしょう。それが「ノー・ファースト・ユース(核兵器の先制不使用)」です。

AT: トヴィッシュさん

この署名運動について最近の日本の新聞記事で、秋葉さんはノー・ファースト・ユース(以下NFU)と核兵器廃絶との関係について説明していました。論理的な観点からだけでなく、政治的な観点からも、少し時間を取ってそれについてお話していただけませんか?

TA: 秋葉さん

分かりました。仮にある核兵器保有国の指導者が、個人的に、そして内緒で核兵器の廃絶を望んでいる、従って、その国は核兵器禁止条約を批准すべきだ、と考えているとしましょう。しかし批准は、核兵器やその他の関連施設を物理的に撤去しなければならないことを意味します。また、国の産業構造を変更する必要があります。より技術的な詳細が、そのような非常に大きな決定に伴って起こるでしょうね。

核兵器禁止条約締約国会議は、この側面を明確にしようとするでしょう。この手順は、条約に法的強制力を持たせるために必要ですが、同時に核兵器の廃絶を密かに望んではいるが、現状に縛られている指導者にとって、物事を困難にするだけです。

私たちがしなければならないことの1つは、仕事をより困難にしないことです。私たちは秘密の願いが達成しやすくなるよう工夫すべきです。例えばニンジンのようなものが考えられないでしょうか。

例えば、「これは今、直ちに核兵器禁止条約を完全に批准するよりも簡単だねー。この一段なら登れそうだし、それ程費用もかからない。国民の過半数からすぐに支持されるのに十分な説得力があるし、核兵器禁止条約批准への良い足がかりとなるぞ。」、という風に指導者が解釈できるようなものです。

それがNFU政策の採用です。これが実行しやすい理由はいくつかあります。第1に、中国とインドは既にNFUを宣言していて、それを守っています。9つの核兵器保有国の内、2つの国がもう同意しているのです。これは、核兵器保有国はどこも批准していない核兵器禁止条約よりも進んでいます。そして第2は、NFUはオバマ大統領が、国連を通じて国際協定にしようとしたことがあるからです。 残念ながらそのイニシアチは、当時の安倍首相の反対によって潰されてしまいましたが、米国では、NFUを支持する強い波が急速に広がっています。だから、バイデン大統領がそれを受け入れることには大きな期待が持てます。

第3に、中国とインド以外の核兵器保有国も、非核兵器地帯条約を批准し、NFUの原則に合意していることです。例えば、ラテンアメリカとカリブ海地域を対象とするトラテロルコ条約は、この地域の国々が核兵器を保有することを禁じています。更に、安保理常任理事国である5つの核兵器保有国が、この地域で核兵器を使用しないことに合意しています。同条約を批准し付属議定書に署名することで、限られた地域内ではありますが、5つの核兵器保有国が、既にNFU政策に合意しているのです。それは良い兆候です。

私たちは、NFU政策の普遍化に部分的な成功を収めました。これをもう少し推し進めて、NFU政策を他の核兵器保有国と他の世界各国広めることだけが残されています。

NFUのもう1つの長所は、簡単だということです。単なる宣言ですから、既存の施設を解体したり、核弾頭やミサイルを解体したりする必要はありません。単なる宣言であっても、ほんの少しだけお互いを信頼し始めることによって、NFU政策が現実に機能することを世界が理解すれば、より平和な世界へと転じるでしょう。

それは、核兵器保有国の指導者たちが、核兵器禁止条約と核兵器廃絶の残りのプロセスを、もっと自信をもって受け入れられることを意味します。言い換えればNFUは、核兵器禁止条約というより高い目標に辿り着くためのちょっと低い足掛かりなのです。それが私の提案です。非常に高い目標を達成するのは難しいかもしれませんが、初めの一歩を登り始められれば、次の目的地に少し到達しやすくなります。核兵器保有国の指導者がすぐに踏み出せる一歩は、NFUなのです。

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 続きます。

[2022/4/10 イライザ]

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2022年4月 9日 (土)

NoFirstUseインタビューの和訳です ――山田達也さんが訳してくれました――

NoFirstUseインタビューの和訳です

――山田達也さんが訳してくれました――

 

このブログの45日号で報告しましたが、NoFirsUse Globalが、「核兵器を使わせない」署名運動を紹介してくれ、さらに私のインタビューを掲載してくれました

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核兵器の先制使用を核保有国に宣言させるために活動している国際NGOですが、署名運動の中でも、核の先制不使用がカギになることを強調しています。

 ちょっと長くなりますが、その内容を友人の山田達也さんが日本語に訳してくれました。三回に分けて、掲載しますので、お読み頂ければ幸いです。

 

第一回

 「ノーファースト・ユース・グローバル」が、ウクライナ紛争で核兵器を使うな、と訴える秋葉前広島市長にインタビューしました。

秋葉忠利さんは1999年に広島市長に就任、平和市長会議の議長も務められました。2003年には、第7回核兵器不拡散条約(以下NPT)再検討会議の第2回準備委員会で演説し、平和市長会議が核兵器廃絶に向けた都市の国際運動の立上を目指す旨を発表なさっております。これを受けて2020ビジョンキャンペーン(2020年までに核兵器廃絶を目指す)が誕生。秋葉さんが市長に在任していた2011年までに、平和市長会議の加盟都市数は500未満から5000超に増え、同会議は10億人を優に超える人口を代表するようになりました。今回、秋葉忠利さんにインタビューしているのは、2015年まで2020ビジョンキャンペーンの国際ディレクターを務めたアーロン・トヴィッシュさんです。

インタビューを読むに当たって必要と思われる背景:

2020ビジョンキャンペーンは2006年に、国連総会(以下UNGA)が「多国間核軍縮交渉の前進に関する公開作業部会」を設立するよう、初めて提案した。2010年に国連総会はその提案を受け入れ、2015年には同作業部会が国連総会に、核兵器禁止条約(以下TPNW)に関する交渉会議を、国連の主導で開催するよう勧告した。その交渉の成果は2017年国連総会に提案され、国連総会は「核兵器禁止条約」を、署名のために開放することを承認、同条約は、2020年までに締約国50ヵ国による批准を受け、2021年に発効した。

*核兵器禁止条約は、第1条で、(a)核兵器その他の核爆発装置(以下「核兵器」という。)の開発、実験、生産、製造、取得、保有又は貯蔵、(b)核兵器又はその管理の直接的・間接的な移転、(c)核兵器又はその管理の直接的・間接的な受領、(d)核兵器の使用又は使用の威嚇、(e)この条約が禁止する活動に対する援助、奨励又は勧誘、(f)この条約が禁止する活動に対する援助の求め又は受入れ、(g)自国の領域又は管轄・管理下にある場所への核兵器の配備、設置又は展開の容認等を禁止することについて規定している。核兵器不拡散条約とは異なり、同条約では一部の国に核兵器国としての地位を認めておらず、条約の義務は全締約国に適用される。同条の規定にかかわらず、核兵器を保有する国が核兵器を可及的速やかに破棄することが義務付けられている。

秋葉忠利さんは現在、前広島市長として、原子爆弾の被害を受け、その後生き抜いてきた方々、被爆者の心そして祈願を再び取り上げています。アーロン・トヴィッシュさんは現在「ノーファースト・ユース・グローバル」運営委員会の委員です。

Interview インタビュー

AT: トヴィッシュさん

秋葉さんが、今回、change.orgで訴えることになった、動機って何だったのでしょう?

TA:  秋葉さん

ウクライナで武力紛争が始まって、プーチン大統領が核兵器を使うと少なくとも2度、脅しました。第1に、それは国際法違反です。違法であることを明らかにする、幾つかの事実も指摘しましょう。

1つ目は国際司法裁判所(以下ICJ)が1996年に出した勧告的意見です。勧告的意見ではあるものの、国際問題の合法性について考える上で大きな重みを持っています。その意見でICJは、核兵器の使用や使用するという脅迫は、一般的に国際法に違反すると述べています。一方でICJは例外を認めていて、国の存亡そのものが危険にさらされるような脅威に直面した場合においては、ICJは判断を下すことができない、と断っています。ロシアは今回、国の存亡そのものが危険にさらされる脅威には直面していません。結果として勧告的意見の例外規定は適用されません。

*勧告的意見:核兵器の威嚇又は使用は、武力紛争に適用される国際法の要件及び特に人道法の原則及び規則に一般的に違反することとなる。しかしながら、国際法の現状及び入手可能な事実関係に鑑み、裁判所は、国の生存そのものが問題となるような極限状況における核兵器の威嚇又は使用が合法か違法かを確定的に結論することはできない(賛成7-反対7、裁判長の決定票)」 としつつ、「厳格かつ効果的な国際管理の下におけるあらゆる側面での核軍縮を目指す交渉を誠実に行い、かつ妥結させる義務が存在する(全会一致)

2つ目は、核兵器禁止条約は勧告的意見における例外として存在している隙間を埋めているのです。核兵器禁止条約は、核兵器保有国と核兵器依存国がそれを批准していなくても、正真正銘の国際法で、核兵器に関連する各国の行動を規定する効力を持つ国際法です。その核兵器条約は核兵器を使うぞと脅すことを禁じています。

3つ目は、ロシアを含む核保有5ヵ国の首脳が、(今年)1月3日に共同声明を発表して、それぞれの国の保有する核兵器が相手国に対して、また他のどの国に対しても向けられていないことを明言しました。ところが、プーチンは今、それを使うかもしれないと言い、自らの言葉と矛盾した発言をしているのです。彼は共同声明を守って行動しなければなりません。勿論それに署名した他の核兵器保有国の首脳もそうすべきです。

プーチンの言葉に被爆者はショックを受け、筆舌に尽くしがたい恐怖を感じ、言い表せない気持ちに陥りました。(1945年)86日と89日を思い出したからです。プーチンの脅しがどんなことをもたらすのかを、被爆者は思い出したのです。そしてプーチンが核爆弾を使うのを止めさせるために何かしなければならないと感じたのです。私も全く同じように感じています。

1人の弱い個人として、私は change.org というインターネット署名を集めるメカニズムを使いました。このキャンペーンは、プーチン大統領に核爆弾を使用しないと宣言するよう、説得することが目的です。この陳情はまた、他の核兵器保有国に対し、核兵器を使用しないと公表することでプーチン大統領のイニシアチブに続くよう訴えています。そして、このキャンペーンは10万人近くの署名を集めていて、世界中の人々によって支持されています。

 次回に続きます。

[2022/4/9 イライザ]

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2022年4月 2日 (土)

署名運動のもう一つの意味 ――被爆者の人生ストーリーを共有する――

署名運動のもう一つの意味

――被爆者の人生ストーリーを共有する――

 

ウクライナの紛争で核兵器を使ってはならない、という声が世界的に広まっています。そのための署名運動も世界的に展開されています。例えば、AVAAZという署名サイトで、核戦争防止国際医師の会 (IPPNW) はじめ、16のノーベル平和賞受賞者や団体が賛同している署名運動が展開され、既に100万以上の署名が寄せられています。その日本語のサイトはこちらです。(こちらを「IPPNW署名」と呼びましょう)

Avaaz  

趣旨の全文は、サイトでお読み下さい

 どのサイトでも一人でも多くの方が署名することで、核兵器を使わせないという意思表示になりますので、御協力をお願いします。

 もちろん、私がChange.orgで始めた「「核兵器を使わない」と、ただちに宣言して下さい!」署名 (長いので「被爆者署名」と略します) にも、より多くの皆さんに賛同して頂きたいと願っています。

 そのために、「IPPNW署名」と「被爆者署名」との違い、特になぜ私が「被爆者署名」を始めたのかを「解説」します。自分で書いた趣意書を自分で「解説」するのもおかしな話なのですが、224日と27日の、プーチン大統領による脅しに対して何かしなくてはという危機感が先行して書いたものですので、それを少しでも分り易く書き換えるのも私の責任です。戦争そのものについても言及したいのですが、スペースがありませんので、核兵器の使用に焦点を合わせます。

 

(A) 「IPPNW署名」の趣旨――科学的説得

① ウクライナ侵攻は大規模核戦争を引き起こす可能性がある。

② それは、人類の滅亡につながる可能性がある。

③ ロシアとNATOどちらも、核兵器を使わないことを求める。

④ 全世界が核兵器禁止条約を支持するよう求める。

この全てに私は大賛成ですし、皆さんも同じ考えのはずです。短い趣意書ですからこれ以上のことを盛り込むのは無理ですし、簡単明瞭に趣旨が伝わる「意見書」ですが、世界的に展開されてきた、核戦争によっていかに非人間的な結果が生じるのかという科学的知見に裏付けられた説得力を持っています。

それに対して私の「被爆者署名」の趣意書は、被爆体験と被爆者の辿ってきた人生を元にしての考察をしています。

 

(B) 「被爆者署名」の趣旨--被爆者の人生ストーリーを共有する

① 脅しが現実になると、攻撃された都市では被爆者が実際に体験した「生き地獄」が現実になる。

 

(B 1) 大規模核戦争になり、人類は滅亡する場合――この場合は、「IPPNW署名」と同趣旨のシナリオになる。

 

(B 2) 「限定」核戦争で止まり人類は滅亡しない場合――この可能性も検証しておく必要がある。

  ② 核兵器によってもたらされた結果は、ドローンとインターネットで瞬時に世界に共有され、高画質画面で数億、数十億の人たちの居間に届けられる。(B 1)の場合もこれに準じたことが起きる。

  ③ その結果、「こんなに悲惨で惨い兵器は即座に廃絶しなくてはならない」という世論が世界を覆い、核兵器は廃絶される。(B 1)の場合もこれに準じたことが起きる。

  ④ 同時に、そのような結果をもたらしたロシアとプーチン大統領は、(もし人類が滅亡しないとすれば) 永遠に「極悪人」として記憶される。(B 1)の場合もこれに準じたことが起きる。

  ⑤ このシナリオ通りに核兵器が廃絶されても、核兵器の使用が前提なので、数万、数十万あるいは億単位の犠牲が出ることになる。

  ⑥ そのような犠牲者を一人たりと雖も生んではならないというのが被爆者のメッセージ、「こんな思いを他の誰にもさせてはならない」である。

  ⑦ 犠牲なしで核兵器を廃絶させる道がある。その第一歩は、今回の紛争でロシアが核兵器を使わないと宣言し、他の核保有国も不使用宣言を行うことである。

  ⑧ 続いて、すべての核保有国が核の先制不使用を宣言し、それに続いて核兵器禁止条約批准の準備を始めることである。

  ⑨ 上記の④が、今回の核使用を止まらせる可能性がある。

 

 (B 3) 根源は、被爆の実相を知らないこと――より長期的に考える

  ⑩ 今回の核使用は回避できたと仮定する。その先を考える。

  ⑪ 人類滅亡は避けなくてはならないことは言うまでもない。しかし、人類全体の運命如何にかかわらず、被爆者の言葉「こんな思いを他の誰にもさせてはならない」は、その前の段階、つまり核兵器によって作り出される「生き地獄」が瞬時であっても存在してはいけないという意味だ。つまり、(B) の①があってはならないということである。

  ⑫ にもかかわらず、核兵器を使うぞという脅しが元になっている「核抑止論」が生き続けているのは、核保有国のリーダーたちが、広島・長崎の被爆の実相を知らないからだ。

  ⑬ リーダーたちは、できるだけ早い時期に広島・長崎を訪問すべきだ。

  ⑭ プーチン大統領に「常識」が通用すると仮定して、核のボタンを押す前に広島・長崎を訪問できないのであれば、岸田総理がモスクワに飛んで、被爆地選出の総理大臣として、プーチン大統領に被爆の実相を伝えた上で、核使用をしないと宣言するよう説得すべきだ。

  ⑮ さらに、安保理事会で核保有国に対して同様の働き掛けをして、まずは核の先制不使用宣言を出すよう説得すべきだ。

 

荒っぽい筋書きなのですが、例えば、核のボタンを押す権限が大統領だけに与えられているという現在の政治的現実と核抑止論は表裏一体の関係にありますが、それがいかに危険なシステムなのかは、今回、疑いもなく明らかになりました。トランプ大統領が就任した時よりそれが如実に実感できることになったのは皮肉ですが、それも、元はといえば被爆の実相が世界的に共有されていないからだと考えられます。

日本政府、それを動かすことのできる私たちの責任は重大です。

[2022/4/2 イライザ]

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2022年3月31日 (木)

署名運動の持つ力 ――変化は起こせます。希望も創れます。――

署名運動の持つ力

――変化は起こせます。希望も創れます。――

 

Change.orgの署名運動には、日本語版と英語版があります。賛同して下さる方々からのコメントも書き込まれています。心から同感できるもの、元気を与えてくれるもの、考えさせられるもの等々、いろいろなコメントがあるのですが、英語版への最初のコメントは次のようなものでした。

Honestly I’ll sign this but this is dumb. If the world leaders can’t get him to stop, a petition won’t. Let’s be real.

 簡単に訳すと、「署名はするけど、こんなことは馬鹿げている。世界のリーダーたちが止められないのに、署名が止められるわけがない。現実的になろう。」です。

 これも一つの見方でしょうが、複雑な世界がどう動くのかについては、あらゆる可能性を視野に入れて考える必要があります。人類滅亡のシナリオを止めるためには、自分でできるそして少しでも可能性のある行動を取る必要があります。また被爆者の思いを何らかの形で表現して、多くの人たちと共有することもとても大切なのです。

 その背景として、二つのことを指摘しておきたいと思います。広島市のメール・マガジン「ひろめーる」に20054月と8月に掲載したコラムの一部を抜粋してお伝えすることで、(A) 時代の変化についての認識を持って頂ければと考えていますし、変化は起こせるという自信を持って頂きたいのが一つ。同時に、(B) 時代を超えた真実のあること、それは希望が大切であることと希望も創り出せるという真実なのですが、それも再確認したいと思います。(ひろめーるのコラムも「春風夏雨」ですが、それは『元気です、広島』というタイトルで海鳴社から出版されています。)

 (A) 1982年と2005年の間にアメリカでは、被爆者や被爆体験についての考え方に大きな変化があった。

 1982年には国連の軍縮特別総会が開かれ、ニューヨークでの100万人集会など大変な盛り上りのあった年です。そして2005年には、核不拡散条約の再検討会議が開かれました。日本からは、これらの機会に被爆者や平和活動化など多くの人が参加しました。この、23年間に何が起きたのかを「ひろめーる」のコラムで報告しています。ちょっと長くなりますが、お読み頂ければ幸いです。

20050504-135859

2005年のNPT再検討会議で

 個人的な感慨としては、NGOや市民活動家たちの広島・長崎に対する考え方がこの23年間で大きく変ったと感じています。1980年代、そして特に1982年には、多くの反核集会が開かれましたが、その際何度も耳にした言葉があります。それは「広島・長崎への原爆投下は正しかったが、次に核兵器が使われれば、それは自分たちの身に降り掛るか、人類の滅亡に繋がる。だから、凍結が必要だ」、というものです。

 当時の凍結運動をリードした中の有力メンバーには、PSR(「社会的責任を果す医師の会))IPPNW(核戦争防止国際医師の会)といった医師たちの組織が入っていましたが、彼ら/彼女らの活動はボストンから始まりました。そのボストンでさえ、集会の中で被爆者の発言する場を確保しようとしてもその意味を分って貰えないようなことが何度もありました。6月のニューヨークでも、集会に招待されながら紹介もして貰えないようなことさえあり、被爆者の存在を認めて貰うこと、そして発言の場を確保することは大変難しかったことを憶えています。

 勿論、被爆者のメッセージを初めから真剣に受け止め、いわば被爆者の代弁者として活動してきたアメリカ人、そして活動家たちは23年前にもいました。現在、その数が増えたというのが私の実感ですが、問題はその広がりです。23年前には、まだまだ広島・長崎そして被爆者についての理解が十分に広まっていなかったと言えるのではないかと思います。

 ところが今回は、私たちと協力してくれているNGOの関係者たちは例外なく、被爆者とそのメッセージを大切にしてくれています。その結果、多くの集会で被爆者の証言が中心的な役割を担うようになって来ています。

 一例として挙げておきたいのは、平和問題や人権環境などの問題について長い間、忍耐強い努力を続けてきたクエーカー教徒の団体である「American Friends Service Committee」が、「被爆者/被団協」を今年のノーベル平和賞に推薦してくれていることです。また、今回のニューヨークでの催し物のなかには、被爆者に焦点を当てたり、今後の被爆者の活動に対しての資金援助を目的としたりするものもあります。20年の間に、アメリカ人全てではないにしろ、アメリカの中に大きな変化が起きているのです。

 何故これほど大きな変化が起きたのでしょうか。これだ、という簡単な理由ではないような気がします。多くの人々、特に被爆者のたゆまぬ努力の結果だと思いますが、敢えて幾つか気の付いたことを挙げておきたいと思います。

 何と言っても、世界中の至る所で多くの被爆者が証言を続けたことを強調しておかなくてはなりません。多くの人にそのメッセージが伝わるまでには時間が掛ります。忍耐強く語り続けた一言一言が、それを聞いた人の胸を打ち、さらに多くの人に伝わって行く時間です。言葉に加えて、被爆者の描いた被爆当時の絵によって、想像力の乏しい、と言うよりは、通常の想像力はあっても、それではとても想像できない程の惨禍が多くの人々に伝わったことも大切だと思います。広島は勿論のこと、世界中の多くのジャーナリストが被爆者の声を取り上げ続けたことも重要です。手前味噌になりますが、広島市と長崎市が世界で開いている原爆展もそれなりの効果があったと思いますし、その他の多くの団体や個人も原爆展を開催する努力を続けています。

 もう一点、特に強調しておきたい点があります。それはこの25年ほどの間に、アメリカやカナダ等の多くの子どもたちが佐々木禎子さんの物語を読み、折鶴を折ることで被爆体験や戦争と平和について理解を深めてきたことです。一つのきっかけになったのは、エリノア・コアーさんという作家が1977年に出版した「Sadako and the Thousand Cranes(「禎子と千羽鶴」)という本です。今や、この本ならびにその後作られた映画等がアメリカやカナダ等では小学校の標準的な副読本の一つになったと言っても良いくらい普及しています。海外で活躍している日本人、特に、フランス、マラコフ市のシボーさんやアメリカシアトル市のパンピアンさん等の女性の手で、映画やコンサート、講演その他のイベントという形でさらに多くの子どもたちに禎子さんのメッセージが伝わったことも重要です。

 その他の芸術活動も多くありますし、ここに書き切れないくらい多くの人々の努力があって初めて、私が感じているような変化が起きてきているはずです。この辺りのことを詳しく調べて、何方かが感動的なノンフィクションにまとめて頂けるとありがたいのですが。

 さて、23年前と今回の違いで誰もが気付くのは恐らく、規模の差です。23年前は100万人の人がニューヨークを埋め尽くしましたが、今回は何人集まるのか未だはっきりとは分りません。しかし、100万人にはならないだろうと思います。だから今回ニューヨークに行く意味はないと言ってしまうのは早計です。何故このような違いがあるのかを考えなくてはなりません。

 私見では、23年前のデモや集会は、それを目的にした大きな運動がありその運動の成果だったのに対して、今回は、この「運動」に相当する部分がこれから始まるのだ、という違いがあります。

 例えば、同じく23年前に設立された平和市長会議(設立当時の名称は、「世界平和連帯都市市長会議」)2年前に決定をし推進している「2020Vision(日本語では「核兵器廃絶のための緊急行動」)は、2020年までに核兵器を廃絶することを目的としている行動計画です。中間目標として国連が2010年までに核兵器禁止条約を締結することを掲げています。そして、今年の再検討会議では、各国が核兵器廃絶の方向で交渉を始めることを決めるよう提案しています。つまり、これから15年間は続く大きな運動の出発点に当ります。2020年までに核兵器を廃絶させるために、今年の5月をきっかけとしてさらに多くの人々が私たちの運動に参加してくれることを期待しています。

 これを書いてから17年がたっています。その17年間の変化と、それ以前の23年間の変化とを比べてみるのも一興なのですが、それはまたの機会に譲ります。

 長くなりましたので、冒頭で述べた二つ目の「希望は創り出せる」は、また明日に。

 [2022/3/31 イライザ]

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2022年3月 8日 (火)

ないものねだり ――マーク・ハットフィールド上院議員――

ないものねだり

――マーク・ハットフィールド上院議員――

 

マーク・ハットフィールド上院議員と聞いて「ああ、あの人だ」と頷く人はそれほど多くはないでしょう。でも今のような混迷の時代にこそ、彼のような政治家に活躍して欲しいと考えるのは、「ないものねだり」なのですが、その理由です。

Mark_hatfield   

public domain

彼は、1922年生まれ、2011年に亡くなっていますが、オレゴン州の知事を経て、530年共和党の上院議員を務めています。映像的な記憶力をお持ちの方には、1981年のレーガン大統領の就任宣誓の際に、レーガン大統領が手を置いたく聖書を捧げ持っていた人だと言えば思い出して頂けるかもしれません。

 それほどの共和党の重鎮だったのですが、政治的には大変リベラルな面がありました。ウイキペディアの記述を一部引用します。

ハットフィールドは平和主義者で、共和党穏健派の中でも異色の議員として知られた。敬虔なキリスト教徒であった彼は、上院での反戦活動で知られた。ハットフィールドはジョージ・マクガヴァン、ユージーン・マッカーシーらと共に議会でのベトナム反戦活動の先頭に立った。その後も、湾岸戦争に反対するなど、安全保障問題でその異色ぶりは際立っていた。加えて、核軍縮運動に熱心な議員としても知られ、1982年にはエドワード・ケネディ上院議員との共著で核凍結を訴えた。また、中国のチベット支配に反対し、ダライ・ラマ14世がオレゴン州ポートランドで演説した際の紹介役を務めた。
(https://www.wikiwand.com/ja/%E3%83%9E%E3%83%BC%E3%82%AF%E3%83%BB%E3%83%8F%E3%83%83%E3%83%88%E3%83%95%E3%82%A3%E3%83%BC%E3%83%AB%E3%83%89)

彼が、政治家になろうとの志を持ったのは、1945年の9月、海軍中尉として広島に進駐し、被爆後の広島の状況や被爆した子どもたちとの交流があったからだと話してくれたことがありました。

 1980年、広島青年会議所の主催でシアトルとワシントンで「広島・長崎原爆展」を開く際に、アメリカ側の肝いり役として、上院議員会館のラッセルビルを使うこと等ワシントンでの準備一切を仕切ってくれ、会期中もホストとして他の上院議員たちを巻き込んで支援をしてくれたのです。

 説明役として、資料館の館長だった高橋昭博さんが同行しましたが、高橋さんとハットフィールド上院議員は、それ以前から文通を通しての知り合いでした。その関係で、青年会議所の展示会をワシントンで開く道が開けたという経緯もあります。

 私は、当時アメリカに住んでいたため、通訳兼案内役として青年会議所の皆さんや高橋さんと行動を共にしたのですが、そのときにハットフィールド上院議員の話してくれたことで、とても印象的なエピソードがあります。34日に、日本の国際連盟脱退について触れましたが、国連がロシア非難の決議を採択した時にそれを思い出したのは、ハットフィールド上院議員の話があったからです。

 脱退の時に全権を務めていた松岡洋右は、アメリカで苦学した後、オレゴン州立大学に入りました。オレゴン州知事の経験があるハットフィールド上院議員によると、学生時代に松岡は大変な差別を受け、その結果としてアメリカ嫌いになっていたというのです。国際連盟の脱退も、その後の日本の運命も差別やいじめがなければ起らなかった可能性が高い。だから自分は人権や平和の問題では一歩も譲ることができない、といった内容でした。

 志を高く持ちながら保守的な政党の中でも一目置かれる存在だったハットフィールド上院議員のような政治家の出現を望むのは、やはり「ないものねだり」なのかもしれませんね。

 [2022/3/8 イライザ]

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