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2023年1月29日 (日)

日本が壊れて行く? (2) ――「異次元」の違和感には理由(わけ)がある――

日本が壊れて行く?  (2)

――「異次元」の違和感には理由(わけ)がある――

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新年早々、1月10日に山口県周防大島沖で海上自衛隊の護衛艦「いなづま」が座礁しました。原因として、エンジンやレーダーに故障はなく、天候に問題はなかった、それに他の船舶との関連もなかったと報道されています。多くのマスコミが報じていますが、朝日のデジタル版のサイトはこちらです。

これをまとめると、事故の原因は、レーダーでは捕捉されていた浅瀬に乗組員が気付かずに、舵を切らなかったためその浅瀬に乗り上げた、ということになります。

油漏れして、かつ航行不能になったということは、スクリューが損傷したからとしか考えられません。浅瀬に乗り上げてからスクリューを逆回転させて船を止めようとしても、瞬時には止まらないということかもしれませんし、スピードもかなり出ていたのかもしれません。

専門家が現場と船を見た上で結論を出すのでしょうから、それと違っていたら訂正しますが、常識的に考えた結果を元に以下、議論を続けます。

それから10日も経たない18日、新潟海上保安部所属の巡視船「えちご」が、柏崎市の椎谷橋灯台沖1.1キロの地点で座礁しました。椎谷橋灯台が消えていたので、確認のために浅瀬に近寄ったためらしいのですが、浅瀬の水深は2メートルから4メートルで、「えちご」の喫水である5メートルより浅かったのです。また漁協関係者によると「漁船も近付かない場所」だとのことでした。これについても各種の報道がありますが、『新潟日報』の記事はこちらです。

この二つの事故が一月中に起きたのはたまたまかもしれません。でも二件とも、浅瀬に乗り上げ航行不能になったということも合わせて考えると、「偶然」で済ませて良いのかという疑問は残ります。

それは、軍拡政策とも関連があるからです。精密機器を搭載している近代的な船舶でも、浅瀬に乗り上げるという人為ミスが立て続けに起きる可能性が高いのですから、同じように最先端技術の集積である兵器の管理で人為ミスが起きてもおかしくはないからです。

以下、私の妄想であればそれに越したことはありません。また、高校時代に初めて生活をしたアメリカでの、「パール・ハーバー」の意味が余りにも大きかったための過剰反応かも知れません。とは言え、お付き合い頂ければ幸いです。

現実に戻って、岸田内閣の軍事費倍増計画の中で、トマホークという巡航ミサイルをアメリカから500発、金額にすると1500億円もかけて買う予定だそうです。トマホークは、最先端技術の集まりです。軍艦とは空と海という違いがありますし、巡視艇との違いはトマホークが武器だという点でしょう。でも、所詮は人間の作った機械です。

今回の、自衛艦と巡視艇の座礁が人為ミスによって起きたように、トマホークの発射についても人為ミスが起きないとは言えないことが問題です。「偶然」一か月の間に二つの座礁事故が起きたのですから、「偶然」トマホークの人為的発射事故が起きるかもしれないではありませんか。

「敵基地攻撃能力」という大看板までぶら下げることになる我が国からのミサイルは、命中または落下した国からは当然先制攻撃と見なされ、戦争が始まるでしょう。

「そんなことはあり得ない」と断言したいのですが、我が国の歴史を振り返ると躊躇せざるを得なくなります。人為ミスが元で、日本という国だけではなく日本人に対して「最悪のレベルの卑劣な国家・民族・国民」という烙印が押され、80年以上その烙印が生き続けているからです。それは、日本が正に「敵基地」である真珠湾の基地を攻撃した時から始まっています。

この攻撃をアメリカに対して伝えた最後通告は、ホノルル時間の1941年12月7日午前8時50分にアメリカ政府に渡されたのですが、真珠湾攻撃そのものはその50分前、午前8時に始まっていたのです。つまりこれは、「宣戦布告のない卑劣な戦争を仕掛けた」ということになるのです。それに対するアメリカの反応が対日観を決定的なものにしました。(渡部昇一氏による「真珠湾攻撃・・・なぜ日本の宣戦布告が遅れたのか?」による)

ルーズベルト大統領は、「私は議会に対し、一九四一年十二月七日、日曜日に日本によって行なわれた不当かつ卑劣な攻撃以来、合衆国と日本帝国は戦争状態にあることを宣言することを求める」という演説を行なったのである。

日本側の宣戦布告が遅れたのは、翻訳が遅れたとか、正式文書としてタイプするのに時間が掛かった等の説明がされていますが、「人為ミス」であることには違いがありません。

自衛艦や巡視艇が「あり得ない」くらい基本的な人為ミスで座礁するという事故が一月に二件も起きているのですから、私たちが「常識」だと考えていること、あるいは専門家たちが「あり得ない」と太鼓判を押しているようなことについても、人為ミスが元で、「あり得ない」ことが実際に起きてしまう可能性を問題にしない訳には行かないのです。だから、「異次元」の違和感なのです。

その結果として、船が損傷したとか物品が壊れたであればまだ救われるのですが、人命が失われることになったり人が苦しんだりということになると、単に「ミス」だからと言って見過ごしてはいけないことの範疇に入ってきます。次回はそんなケースを取り上げます。

 

最後に、まだ1月中ですので、今年一年が皆様にとって素晴らしい365日でありますように!

[2022/1/28 イライザ]

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2022年12月17日 (土)

独裁政治を繰り返すな 修正版

独裁政治を繰り返すな 修正版

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二月前にお知らせしたように、「面白いプロジェクトを始めていますので、ブログとツイッターはしばらく休んでいます。」という状態なのですが、でも、社会的関心が「ゼロ」になったわけではありません。

我が国にとって歴史的な日となった1216日、岸田内閣は安全保障関連3文書を閣議決定して、「戦後安全保障政策の大転換」を宣言しました。国民的議論が全く存在しない形で国の基本的な姿勢を変えてしまうことを宣言したのですから、「独裁」以外の形容詞でこの大転換を表現することはできません。

戦後の安全保障政策」を簡単にまとめると、最初の逸脱は、「国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する」そして、「陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない」と規定した憲法に反して、軍隊を保持したこと。

第二に、その言い訳として「専守防衛」という苦しい説明を続けてきたこと。つまり軍隊は日本という地理的な範囲から外には出さないことですが、それは「海外派遣」でいとも容易に破り捨て、最近の例を挙げると、それさえ踏みにじって「集団的自衛権」を認め「専守」を反故にしたことを挙げておきましょう。

そして、ウクライナ戦争で明らかになっているように、最近の戦争は敵国の軍事施設・民間施設を問わず、ミサイルで攻撃するのが主流になってきています。それを、取り繕うために、「敵基地」を攻撃しているのだというのが、何度もロシアの使った言い訳です。

それこそ「敵基地攻撃能力」なのですが、日本もその力を公然と使うぞと宣言したのです。つまり、ロシアのような攻撃ができるし、そうするぞと言ったのも同じです。それが今回の閣議決定です。

戦争を鼓舞する政策にはお金が掛かりますが、それを増税で賄うことになるのは好戦指向を持つ人たちにとっては当然の理屈です。税についての議論は回を改めて論じますが、今回は、政治の理非を論じる上で二つの重要な「事実」を指摘しておきます。

一つは、総理大臣が「独裁」的な行動を取った場合の決着の付け方です。19946月、自民党や新党さきがけと連立政権を樹立し、総理大臣になった村山富市氏は720日の衆議院本会議手、当時の社会党員にはほとんど相談もなく、当然、より多くの市民への説明や相談もなく、「自衛隊は憲法の認めるものだ」と断定しました。

私はこれを「独裁」的手法の一例だと考えています。総理大臣になったからといって国民的には多数の支持があった考え方を、数秒でひっくり返したのですから、そう言われても仕方がないでしょう。

そんな内閣を実現するために私も骨を折りましたので反省を込めて、その後、社会党の改革に取り組みました。詳しくは、機会を改めて説明します。

敢えて村山内閣の評価を続けると、総理大臣として、これほど大きなマイナス行動をした村山氏は、終戦後50年に当る翌1995年には、第二次世界大戦・太平洋戦争そして戦後の総括を行う「総理大臣談話」で、保守派から妥協を勝ち取り、それなりに意味のある内容に踏み込んだ文書を作っています。一方では「自衛隊合憲」と歩み寄り、もう一方では我が国の「戦争責任」について歩み寄らせたのだという解釈も可能です。この「取引」をどう評価するのかも大切ですが、岸田内閣で「総理大臣談話」に相当するものは何になりそうなのかについて、何方かに教えて頂ければ幸いです。

第二の点は「敵基地反撃能力」についての心配です。

この言葉を聞いたとき、何より先に私の頭に浮かんだのは「真珠湾攻撃」です。高校生の時にアメリカに留学して、アメリカ人の世界観の基本には、一つの国家が取り得る最悪の事例として194112月7日の日本による「真珠湾攻撃」が定着していることを何度も体で感じた経験があったからです。そしてそれは多くのアメリカ人の心の中に今でも生きています。

日本が経済的にアメリカの脅威であると恐れられていた1980年代とは違い、影の薄い我が国ではありますが、「Black Lives Matter!」と叫ばないと人権を守れないという側面も持つアメリカで、日本に対して無条件で突き付けることのできる謳い文句を与えるような施策をわざわざ声高に採用する意味も考えなくてはなりません。老人の杞憂に過ぎないことを祈りつつ。

次回は増税について取り上げます。

 

それでは今日一日が、皆様にとって素晴らしい24時間でありますように。

[2022/12/17 イライザ]

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2022年10月15日 (土)

フルブライト・プログラムへの寄付

フルブライト・プログラムへの寄付

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昨日のブログでの結論は、「持つべきものは友」でした。今日もその感を深くしてホテルに戻ってきました。今日会ったのはほぼ50年来の友人、グレン・フクシマです。

彼の略歴はWikipedia でお読み頂くことにして、最近の彼の大貢献は「フルブライト・プログラム」の70周年記念に際して、100万ドルの寄付をしたことです。日本円にして、今の為替レートだと1億4,500万円です。

日系三世のアメリカ人としてハーバードも含めてアメリカで教育を受けた後、フルブライト・プログラムで日本に留学し慶應と東大で学んだことが、彼の人生にとって大きな意味を持ったということへの感謝の気持から、そして日米間の教育交流が、中国、台湾、韓国に比べて衰退していることへの危機感から、このような寄付になったとのことです。詳しくは、彼が日経に書いた記事をお読み下さい。

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グレンとは共通の友人も多く、また政治や社会についての考え方も似ているところが多くあります。その理由の一つは、二人とも日本社会とアメリカ社会両方で長く時間を過ごし、今もその両者からの視点で物事を見ているからだと思います。グレンがそれ以上に素晴らしいのは、私よりはるかに広い世界とつながっていて、交友関係も幅広く深いことです。今回も日本に住む何人かの人と会うことを勧められましたので、近い内に連絡を取りたいと思っています。

そして、フルブライト・プログラムについても、寄付をしたのが純粋な気持からであること、最近目立っている何人かのお金持ちのような自己中心的動機が一切ないことにも感激しています。

持つべきものは友であり、グレンも含めてこのような友人たちに恵まれたことに心から感謝し、誇りに思っています。

 

それでは今日一日が、皆様にとって素晴らしい24時間でありますように。

[2022/10/15 イライザ]

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2022年10月 1日 (土)

何故、都市が立ち上ったのか

何故、都市が立ち上ったのか

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戦争になると、被害を受ける代表が都市です。ここに掲げた、横浜、イーペル (ベルギー) 、そしてゲルニカは、みな戦争による大きな被害を受けています。その結果、都市が発信しているメッセージは「Never Again!」です。こんな思いは二度としたくない、させてはいけない、ということです。

そして、それを実現する上で大切なのが多様性と寛容さです。それが平和の基礎になるのですが、同時に創造力を培って経済的な力の源にもなっています。

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ここに掲げた三都市はどれも、先進的な産業都市です。多様性と寛容さという点から見ると、オースチンは超保守的なテキサス州の中で、リベラルな都市として知られています。それは、デル・コンピューターが本拠を据えて若い人たちが流入してきたためです。ボストンは、アメリカで最初に同性婚を認めたマサチューセッツ州の中心都市です。MITは隣町のケンブリッジにあります。そしてサンフランシスコは、シリコンバレーの隣にあって、ボストンとともにアメリカのリベラな都市の代名詞です。

今日の講演は、13:30分から、かながわ県民ホールの二階で開催されます。

 

それでは今日一日が、皆様にとって素晴らしい24時間でありますように。

[2022/10/1 イライザ]

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2022年9月21日 (水)

“NO” to Abe’s State Funeral

“NO” to Abe’s State Funeral

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写真は左から司会の中川智子、黒岩秩子、秋葉忠利、吉川春子、瀬古由起子

今月16日の記者会見の様子は既にこのブログで報告しましたが、英語での記者会見が実現しませんでしたので、それに代る手段で海外への発信をしようとしています。「声明文」の英訳もできていますが、山際大志郎大臣の発言も織り込んでアップデートしますので、明日以降にアップします。。

今日はその短縮版を、アメリカのハリス副大統領(ホワイトハウスのe-メールの宛名に)と、カナダのトルドー首相(ファクスで首相宛)に送りました。ここで疲れてしまって一休みしているところに、毎日新聞からの連絡があり、毎日新聞の英語電子版である「The Mainichi」に英語の声明文を掲載して頂けることになりました。そのための、イントロダクションを今、書いています。これで、世界に届きます。

以前に、トランプ大統領への手紙を同紙が取り上げてくれた時には、その記事を引用しながらThe Boston Globe とThe Washington Postも取り上げてくれましたので、同じように広がることを期待しています。

急に寒くなっていますので、体調管理が大切になってきました。コロナについてもまだまだ油断はできません。感染しないよう努力を続けましょう。

それでは今日一日が、皆さんにとって素晴らしい24時間でありますよう。

[2022/9/21 イライザ]

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2022年9月 3日 (土)

ラウン博士とチャゾフ博士

ラウン博士とチャゾフ博士

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IPPNWとは、核戦争防止国際医師会議(かくせんそうぼうしこくさいいしかいぎ、International Physicians for the Prevention of Nuclear War: IPPNW)の略称です。

Wikiwandによると、

核戦争を医療関係者の立場から防止する活動を行うための国際組織で、1980年に設立された。本部はモールデン (マサチューセッツ州)。各国に支部があり、日本支部の事務局は広島県医師会内にある。

米国のバーナード・ラウンとソ連のエーゲニィー・チャゾフが提唱した。1981年以来、現在は隔年で世界会議と地域会議を開催している。83カ国、約20万の医師が参加している。1985年にノーベル平和賞を受賞。2012年の20回目の世界大会は、23年ぶりに日本で開催された。

この世界大会で、私は講演をしたのですが、その際に簡単に述べたことが今回のテーマです。それは、アメリカのレーガン大統領とソ連のゴルバチョフ書記長が、米ソの「冷戦」という世界を覆っていた大きな枠組み変えた背景です。レーガン・ゴルバチョフ・チームは、(1) 核兵器廃絶のために協力し、そして(2) 冷戦終結のためにも協力しました。お二人がこれほど大きな仕事を達成できたのは、ラウン博士とチャゾフ博士の力が大きかったのではないか、ということなのです。

その前に、あまり知られていない事実ですので、復習しておくと、レーガン大統領とゴルバチョフ書記長は1986年のレイキャビック・サミットで、核兵器の全廃に合意していたのです。

その時の議事録です。

レーガン大統領:「どうだろう、これができれば素晴らしいのだが、私たちの考えているのは、5年毎の期限が2度終了するまでに、爆弾、戦場システム、巡航ミサイル、潜水艦兵器、中距離ミサイルシステムや核爆発装置を全廃するということなのではないか。」

ゴルバチョフ書記長:「そうだな。では、全ての兵器をリストアップしてみてはどうだろう」

シュルツ米国務長官:「すぐ取り掛かりましょう」

レーガン:「仮に私たちが考えている10年間という期限の終了時に核兵器を全廃しようという合意ができれば、その合意をジュネーブの代表団に託し、条約を起草させましょう。そうすれば、あなたが米国を訪問する際にその条約に署名することができる。」

残念なことに、この合意は軍産複合体や官僚組織の抵抗にあって実現しませんでしたが、冷戦の時代にこのように驚異的な合意が行われたこと自体奇跡です。

その背後には、ラウン、チャゾフ両博士がいたというのが今回、強調したいことなのです。このお二人に共通しているのは、専門が心臓外科であること、そして、ラウン博士はレーガン大統領の、そしてチャゾフ博士はゴルバチョフ書記長の主治医だったことです。

仮に以下の私の推測が事実だったとしても、お二人はそれを公言しないでしょうしそれを知っている周りの皆さんも沈黙に徹することは御理解頂けると思いますが、このお二人が、両首脳に対して大きな影響力を持っていたとしても不思議ではありません。

どのような形でその影響力を行使したのか想像でしかありませんが、核兵器や核戦争についての正確かつ人道的な情報を提供したとしても不思議ではありません。

しかし、もしこれが事実だとしても、別の問題も生じます。仮に、為政者に対する個人的な影響力を持つ人が、その力を邪な目的のために悪用する可能性が出てくるからです。

幸いなことに、ラウン、チャゾフ両博士の医学に対するコミットメント、そして人類を核の脅威から救いたいという強い思いと実行力は疑う余地がありません。専門を生かして、専門家だからこそ、「核戦争による犠牲は医学では救えない。だから核兵器を廃絶しなくてはならないのだ」と主張したお二人にも、そしてゴルバチョフとレーガン両首脳にも感謝の意を表したいと思います。

  

台風11号がますます心配です。コロナについてもまだまだ油断はできません。そして、医療関係者や行政の皆様等、現場で頑張って下さっている皆様に心からの感謝を捧げます。さらに、私たち自身、感染しないよう努力しましょう。

 それでは今日一日が、皆さんにとって素晴らしい24時間でありますよう。

[2022/9/3 イライザ]

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2022年8月28日 (日)

NPT再検討会議で最終文書不採択

NPT再検討会議で最終文書不採択

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「機能不全に陥っている日本の政治・岸田内閣」をシリーズで取り上げています。第2回は、「詭弁」と「強弁」の実例を検証しました。特に、官僚や政治家が常習的に操る「標準的嘘」を念頭に置くことの大切さを強調した積りです。

今回は、そのシリーズの「特別編」と言っても良い、NPT (核不拡散条約) 再検討会議で、最終文書が不採択になったことを取り上げます。

この会議では、全員一致で決定が行われることが決まっています。今回はロシアだけが反対して最終文書が採択されなかったことで、特に欧米諸国はロシアを非難しています。それはそうなのですが、「残念」、「落胆した」、「遺憾」と言っているだけでは核廃絶を進めることにはつながりません。どうすれば良いのか、具体的には次の機会に提案します。

ここで指摘しておきたいのは、「最終文書」の不採択は核保有国にとっては痛くも痒くもないこと、そしてロシア非難によって私たちの目を眩ませている結果になっていることです。

そのために、NPT再検討会議の歴史を振り返っておきましょう。

1995年--NPTを無期限延長

2000年--「核兵器の完全廃絶を達成するという核兵器国の明確な約束」が盛り込まれた

2005年--最終文書採択されず

2010年--2000年の「明確な約束」の再確認、核兵器のもたらす人類への壊滅的破壊、「核兵器禁止条約」「期限」等への言及があった

2015年--最終文書採択されず

2000年と2015年の「明確な約束」は、画期的な表現ですし、2000年には大きな拍手で迎えられました。問題は、にもかかわらず、何も起こらなかったことです。

2015年の再検討会議の結果を総括しておくと、①最終文書は採択できなかった。②その最大の理由は中東、特にイスラエルだった。しかも③2010年に採択された最終文書はこの5年間無視された。という3点が重要です。ロシアはどこにも出てきませんが、2022年は、ロシア一色です。

NPT再検討会議で最終文書が採択されない最大の障害は、「満場一致」方式です。これは元々、「P5」と呼ばれる核保有五か国の利権を守るために採用されたのですが、その他の核保有国にとっても、「核保有」を継続するために「役立って」います。

とは言っても、2010年はアメリカの努力で最終文書が採択されました。それを「成功」と呼んでも間違いではありません。しかし、2015年はオバマ政権が保守派に乗っ取られたため結果が出せなかったという結果になっています。最終文書が採択されてもそれが次の結果につながるのかという実質を冷静に見守る必要があります。

その視点から、NPTにおいて最重要なのは第6条だと言っても過言ではありません。それは、次の「誠実交渉義務」と呼ばれる義務です。

「各締約国は、核軍備競争の早期の停止及び核軍備の縮小に関する効果的な措置につき、並びに厳重かつ効果的な国際管理の下における全面的かつ完全な軍備縮小に関する条約について、誠実に交渉を行うことを約束する」

簡単にまとめると、2017年に国連で採択され2021年に発効した「核兵器禁止条約」(TPNWと略)のような条約を作るために、全ての締約国は誠実に交渉する義務を負う、という意味です。

核保有国はこの6条を全く無視し続けてきました。その結果、マーシャル諸島共和国は2014年に、核保有国を「NPT6条の義務履行違反」の廉で、国際司法裁判所に提訴しました。管轄権の問題でこの提訴は却下されましたが、国際社会は努力を続け、2017年には、国連総会が、多数決でTPNWを採択しました。

しかし、核保有国も、日本をはじめとする各依存国もTPNWの交渉に反対しました。これは明確にNPT6条違反です。さらに、未だにNPTの署名も批准も行っていないことが大問題であることも指摘するまでもない点でしょう。

その文脈で、NPT検討会議の最終文書不採択についての岸田総理の言葉を読むと、岸田内閣・日本政府の「不誠実さ」が炙り出されてしまいます。

NPTを維持、強化して行くことこそが核軍縮に向けた唯一の現実的取り組みである。

つまり、日本政府は、被爆者や市民が「悲願」として掲げてきた「核廃絶」ではなく、「核軍縮」が目標であり、NPTの「維持強化」の中には6条の遵守が入っていないことを認めていなければ、こんなことは言えないはずなのです。「核兵器禁止条約」に反対していることには頬かむり、NPTにだけ焦点を合わせているのは、核保有や使用を容認していることと同義です。

もっともその不誠実さと、核保有5か国が今年13日にわざわざ、「核戦争は決して起こしてはならない」、「自分たちの核はどの国に向けられてもいない」等の趣旨を盛り込んだ共同声明を出しながら、ロシアの核脅迫に際しては、「共同声明違反だ」という声を上げていない事実とを比べると、どちらの方が罪深いのか判断に迷います。

こう見てくると、NPT再検討会議における最終文書不採択は、それなりに見通せた範囲にあることもお分り頂けたと思います。しかし、NPT再検討会議の意義はそれだけではありません。この一月、世界の多くの市民と政府、そして多くのマスコミも核保有国の言動に注目してきました。それは、核保有国に対する大きなプレッシャーになっています。

NPT再検討会議が終わった今、私たち市民社会がどのような形でこのプレッシャーを核保有国に対して与え続けられるのか、考えるのも大切です。もう一点付け加えれば、「今になって」考えるのではなく、2015年のNPT再検討会議が終ってからすぐに、考え始めてしかるべきことだったのです。グッド・ニュースはその通りに考えてきた人やグループも存在することです。その人たちやグループは、非核保有国内だけではなく、核保有国の中にも大勢いる事実も重要です。この点については再度論じます。

 

コロナについてもまだまだ油断はできません。皆様、くれぐれも御自愛下さい。

それでは今日一日が、皆さんにとって素晴らしい24時間でありますよう。

[2022/8/28 イライザ]

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2022年8月23日 (火)

『戦争広告代理店』

 

『戦争広告代理店』

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『戦争広告代理店』に現れる主な登場人物

ロシアがウクライナに侵攻した今年(2022) 224日から、世界の圧倒的多くのマスコミは、「ロシア」=「悪」、「ウクライナ」=「善」という形での報道を続けてきました。そのマスコミからの情報が主な情報「源」である私たちは、その善悪の対比をそのまま受け入れることになります。

とは言え私は、それだけではない可能性のあることも頭に入れながら全体の状況を判断する必要があると感じていました。それは、高木徹著の『ドキュメント 戦争広告代理店』(講談社 2002年刊) を読んでいたからです。

舞台になったのは、「ボスニア」と「セルビア」ですが、状況が複雑で簡単な説明ではかなり不正確なことしか伝えられません。

その愚を犯しても、『ドキュメント 戦争広告代理店』の記述に従って簡略に整理しておくと、まず、ユーゴスラビア社会主義連邦共和国の崩壊後、1991年から1992年にかけて、「スロベニア、クロアチア、マケドニア、ボスニア・ヘルツェゴビナの各共和国が独立して、残されたセルビア共和国とモンテネグロ共和国が新たなユーゴスラビア連邦を構成」しました。

この地域、特にボスニア・ヘルツェゴビナとユーゴスラビア連邦での紛争が起きるのですが、ボスニア・ヘルツェゴビナが「ボスニア」と呼ばれ、もう一方のユーゴスラビア連邦は、セルビア共和国のミロシェビッチ大統領の支配下にあったため、単に「セルビア」と呼ばれることがありました。

そしてこの紛争は、「ボスニア」が独立した1992年の春に始まり、1995年の秋には国連の調停で和平協定ができ停戦に至りました。

しかし、この紛争についての真実は未だに分らない部分が多くあります。『ドキュメント 戦争広告代理店』によると、この紛争の最も悲劇的な事件と言われる199425日の「青空市場砲撃事件」についても、死者60人以上、負傷者およそ200人という痛ましい悲劇であるにもかかわらず、「この砲弾が紛争当事者のどちら側から放たれたのか、今も不明である。」くらい、謎に包まれているのです。

しかし、当時の報道、そして今私たちの記憶に強く残っているのは、「ボスニア」=「善」そして、「セルビア」=「悪」という二項対立です。「悪役」として世界的にその名を知られたのが、セルビアの大統領だったミロシェビッチでした。彼は、その後起きたコソボ紛争での責任を問われて、旧ユーゴスラビア国際刑事裁判所(オランダ・ハーグ)において、人道に対する罪などの廉で裁判に掛けられ、その最中、2006年に亡くなっています。

そんな対立図がどのように作られたのかを、詳細に追ったのが『ドキュメント 戦争広告代理店』です。この対立を何より際立たせた象徴的出来事は、1992922日、国連総会において、ユーゴスラビア連邦追放決議が圧倒的多数で採択されたことでしょう。

こうした「善」が「悪」に勝つというシナリオを、約4か月で実現した立役者は、ボスニアの外相ハリス・シライジッチ、そして彼を助けたアメリカのPR会社ルーダー・フィン社、特にそのワシントン支局のジム・ハーフ国際政治局長でした。

 この間、ハーフは、シライジッチが英語に堪能であることを活かして、彼を「ボスニア」のスポークスマンとして、アメリカ社会に売り込みました。そのために、マスコミにどう対応すれば良いのかのノウハウを叩き込むこともしました。そして、マスコミが「ボスニア」での「悲劇」を一言で表すために「民族浄化」というキャッチ・コピーを作り、また「強制収容所」の存在を伝える写真やレポートで世論に火を付けました。(その一部は、後にフェイクであることが判明。)

シライジッチ外相の主要演説も、ハーフが書いたのですが、大団円は、国連決議採択前日の21日にボスニアのイゼトベゴビッチ大統領が国連で行った演説でした。それは、英語の演説で、その趣旨は「ボスニア」が多民族国家であり、他民族の共存を何より大切にしていることでした。

この演説について、全米公共ラジオの記者は、『ドキュメント 戦争広告代理店』の中で正直に気持ちを語っています。「多民族共存のイメージには、多くのジャーナリストがごまかされてしまいました。現実には、ボスニア政府、つまりモスレム人は他の二つの勢力、セルビア人とクロアチア人と同じように民族主義者の集まりでした」

現在のウクライナ報道全てが、『ドキュメント 戦争広告代理店』の描いているような一広告代理店による様々な工作の結果だとは考えられませんが、どちらの側もその意図を強調するために、誇張やフェイクを入れているかも知れませんし、そこに広告代理店が一枚噛んでいる可能性もあるのではないでしょうか。

真実を見極める難しさを理解しながら、冷静に判断する姿勢だけは失ってはならないと感じています。

 

コロナについてもまだ油断はできません。皆様、くれぐれも御自愛下さい。

それでは今日一日が、皆さんにとって素晴らしい24時間でありますよう。

[2022/8/22 イライザ]

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2022年8月11日 (木)

『水素エコノミー』(下)

『水素エコノミー』()

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昨日に続いて、『水素エコノミー』の(下)をお届けします。その中で、「ハバートのベルカーブ」という言葉が出てきます。本文中に一応の説明はしてあるのですが、分り難いかもしれません。

簡単に言ってしまうと、横軸に年、縦軸に世界の石油の生産量を示すグラフを描くと、それが「ベルカーブ」、つまり釣り鐘型になり、石油生産のピークは2010年から2030年くらいになる、というモデルを指します。「世界」の石油生産量ではなく、「アメリカのアラスカとハワイを除く州」の生産量を縦軸に取ると、1970年がピークになるという予測を立てたのが、地質学者のハバートで、その結果、アメリカだけではなく、世界的にも同じことが言えるだろうという予測が立てられたのです。

このグラフの形や位置は、世界の石油の埋蔵量と、毎年の石油の消費量によって決まります。2003年当時とは、その両者とも違った数字になっていますので、事は簡単ではありません。今後も変わるであろうことも予測できます。しかし、石油そのものが有限の資源であるという前提からは、どこかでベルカーブのピークに達するであろうことは確かでしょうから、このモデルを有効に使うことが大切です。

さらに、エネルギー源をロシアだけ、中東だけに過度に依存することの危険性もウクライナ戦争から再認識されています。その点でも、水素燃料が再度脚光を浴びてもおかしくはありません。

以下、2003年7月25日号の『春風夏雨』です。

 

『水素エコノミー』(下)

2003725

前回のお約束通り、今回は『水素エコノミー』の内容を紹介したいと思います。

著者のジェレミー・リフキン氏は私の好きなノンフィクション作家の一人ですが、評論家・作家・研究者等、どの範疇にも入らないユニークな活動を続けています。日本でも彼の著書『エントロピーの法則』がかなり読まれたようですからお馴染みの方も多いと思います。

『水素エコノミー』の通奏低音もエントロピーです。この概念を正確に定義するにはかなりの知識が必要ですが、一般的には、全ての物は、外から働き掛けがなければ、秩序のある状態から混沌・混乱の状態に推移する、とでも言えると思います。この「物の状態」に付けられる数値がエントロピーと呼ばれ、エントロピーの大きくなることがすなわち、無秩序の状態だということなのです。

資本主義経済学は、初期のニュートン力学を元に構築されており、エントロピーなどを扱う熱力学的な考え方はほとんど取り入れていない、というのがリフキン氏の主張ですが、エントロピーの考え方を元に、人類史や現在のエネルギー状況を考えるというのがこの本の前半の展開です。

エントロピーの概念を経済学に取り込んでローマから現在の世界まで、歴史を見直すことで、今まで十分に理解されていなかった動きがハッキリ分るようになってしまうことに、改めて科学の力を認識させられています。これまで別の著作の中で読んだことはあったのですが、そのときも魔術を見るような思いでした。しかし、それ以上、勉強になったのは第二章「ハバートのベルカーブを滑り落ちる」です。地球全体では、石油の埋蔵量は大体これから60年持つ位だろうというのが長い間、多くの人が言い続けて来た予測です。この埋蔵量を毎年ごとの石油の生産量グラフという形にすると、ベルカーブ(釣鐘の形)になる。しかも、その天辺を過ぎた時点から石油の生産量は減少し、価格も高くなる、というのが、現在世界的に「標準的」だと考えられている数値モデルだというのです。しかもそのピークには早くて2010年頃、遅くてもそれから20ないし30年後だろうという予測が大勢を占めるというのですから驚きです。

いわば、恒久的な石油危機が近付いているという話です。天然ガスも余り頼りにならないことも付記されていると、絶望的なシナリオになりそうですが、そこで登場するのが燃料電池であり、水素エネルギーなのです。簡単に説明しておくと、燃料電池とは、水の電気分解を正反対の方向で捕らえることで電気を作る仕組みです。中学校の理科を思い出して頂きたいのですが、水の中にブラスとマイナスの電極を入れると、水は水素と酸素に分かれます。逆に、水素と酸素を一緒にしてやれば、電気が生じるという原理の応用です。その結果、「滓」として残るのは純粋の水ですから、この点からもクリーンなエネルギーだということはお分かり頂けるでしょう。

燃料電池の特色の一つは、現在の研究開発の目的の一つが家庭用の燃料電池を実用化することにあるように、小型の燃料電池でもその効率は大型のものとは変らないという点です。例えば原子力発電との違いはこんなところにあるのです。しかも、モジュール化できるので、つまり、小さい物をまとめて簡単に一つの電池にすることも可能なので、柔軟性があることも特徴の一つです。地域毎の小さい規模の燃料電池ステーションでその地域の電気を賄うという将来図を描いて頂ければと思います。

後は、どのように水素を得るのかが問題ですが、リフキン氏は至って楽観的です。これも電気分解によって水から得ようというのですが、その電気には再生可能なエネルギー、太陽光や風力、地熱、バイオマス等々を考えています。

短絡的に考えると、そんなことをするのなら、直接、例えば太陽光発電で得た電気を使えば良いようなものなのですが、問題は、それでは夜、電気を使えないという問題が残ることです。どこかでこの電気を貯蔵する装置が必要なのです。しかも効率良く。それが燃料電池です。

リフキン氏はこの燃料電池を丁度現在のインターネットのようにつなげて、世界的なエネルギーの網を作ることで、経済システムそのものを今のものとは全く違ったものにしたいと考えています。それが夢のような話なのか、もっと現実性のある、人類にとっての希望の源になるのか、是非、『水素エコノミー』を読んだ上で判断してみて下さい。

皆さんの読後感もお寄せ頂けると幸いです。

 

炎暑とともに豪雨も各地を襲っています。コロナについてもまだ油断はできません。皆様、くれぐれも御自愛下さい。

 それでは今日が、皆さんにとって素晴らしい一日でありますよう。

[2022/8/11 イライザ]

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2022年8月 6日 (土)

8月6日に総理 (市長) がなすべきだったこと

86日に総理 (市長) がなすべきだったこと

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被爆77周年の今日、亡くなられた被爆者の皆さんに心から哀悼の誠を捧げます。そして核なき世界を実現するために、全力を尽くすことを改めて誓います。

広島市が、今日の記念式典に他国の大使は招待しているにもかかわらず、ロシア大使を招待しなかったことをニュースで知って驚いています。広島市が独自にこのような判断を下すとは考えられませんので、外務省またはもっと上の指示だと思われます。

ウクライナ情勢が緊迫度を増す中、平和的解決に至る可能性を摘んでしまったことが誠に残念です。

岸田総理 (あるいは広島市長なのですが、以下、「市長」とは言及しません。「市長」を補って読んで下さい。) がなすべきだったことは簡単です。

核保有国の駐日大使を招待して、総理自ら資料館を案内し、被爆者の被爆証言をともに聞く機会を作るべきだったのです。もちろん、ロシア大使もその中の一人として招待すべきだったのです。

さらに、被爆証言の後、核保有国の大使たちに、「これを見て、貴国が核兵器を他国に先んじて使うべきだと、貴国の大統領 (あるいは首相) に進言しますか?」と問い掛けるのです。それに対して、「もちろんそうする」と言える大使はいないでしょう。そこで、「では、核の先制不使用に賛成して貰えますよね」と畳み込むのです。

「もちろんそうする」と答える大使はいないかもしれません。「本国に伝える」くらいが関の山かもしれません。しかし、それでもこのようなイニシャティブは重要です。

仮にプーチン大統領が、振り挙げた拳をどこかで下したいと考えているとすれば、この機会に乗じて「ヒロシマの悲劇を目の前にして、核による解決を避けることにした」と言っても、面子を失うことにはならないでしょう。それがヒロシマの力です。

あるいは、アメリカがロシアに対して、「今の状況で核は使うべきではないことを広島で学んだ。核の先制不使用を約束するからロシアも同調して欲しい」と提案することも可能です。これもヒロシマの力があってこそ意味のある提案です。

こんなシナリオ通りには行かないかもしれません。しかし、最低限、日本や広島市の誠意は伝わりますし、それがどのような連鎖で次の平和的解決への努力につながるかは分りません。

事は、核戦争の回避ですし、人類滅亡から人類を守ることです。どんな可能性でも試してみるくらいの決意が必要なことは、言われなくても分って欲しいのですが――。

  

炎暑とともに豪雨も各地を襲っています。皆様、くれぐれも御自愛下さい。

 それでは今日が、皆さんにとって素晴らしい一日でありますよう。

[2022/8/6 イライザ]

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