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2022年4月30日 (土)

観光船事故は防げたのか ――政府は国民の生命を最大限尊重しなくてはならない――

観光船事故は防げたのか

――政府は国民の生命を最大限尊重しなくてはならない――

 

知床半島沖での観光船の事故で、11人の方が亡くなり15人の方も行方不明という状況ですが、多くの皆さんは「会社や船長の判断が適切であれば防ぐことができた」と感じているようです。私もそう思います。でもその他にもこの事故を防ぐためにはできることがあったのではないかと思います。

ここでは国の責任を、憲法を元に考えてみます。

憲法13条は、日本政府の義務として、個人の生命に対して最大限の尊重をしなくてはならないと規定しています。その部分を、憲法を元にまとめておきます。

 生命に対する国民の権利については、立法その他の国政の上で最大の尊重を必要とする。

この義務を課せられている政府として、今回の事故、にどう関わるべきだったのかを考えます。前提条件として、船体が健全であることは満たされていると仮定します。GPSとか、レーダー等の装備についての条件も付けなくてはなりませんが、それらは大丈夫という前提で以下考えて行きます。

その際、①放り出されると数分から30分で低体温症によって死亡してしまう海水の温度、②強風そして波が高いという気象条件、③乗り物に乗る人について政府が法律を作って命を守ることの正当性、という三つの要素を元に考えます。

歴史的事実として、日本政府は、凍て付く海に浸かると、短時間で生命が失われることを知っています。例えば、1912年のタイタニック号の沈没事故では、救命ボートに乗れた710人は助かりましたが、1,513人は亡くなりました。船が沈没して数分後に低体温症によって死亡したと考えられています。

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 タイタニック号 (Public Domain)

また、強風と高波浪によって、大きな船でも沈没、転覆、座礁したりした例としては、1954年の洞爺丸台風によって、沈没した洞爺丸の他にも多くの船舶が被害を受けたことが記録されています。(ウイキペディア「洞爺丸事故」から)

さらに、乗り物による事故を防ぐために、政府が直接関わって法律を作った例としては、1986年に、原付も含めたすべてのバイクについて、すべての道路でヘルメットの着用が、罰則付きで義務化されています。バイクの場合は、自分で運転するのですから、自己責任の事故も存在しますので、そこまで政府が関与しなくてもという意見もあったようですが、「事故防止」という目的が最優先された例です。(Virgin Harley.com   https://www.virginharley.com/labo/labo07/)

以下、議論を簡単にするために、低海温の海に話を限ります。つまり、その温度に人が浸かっていると、30分以内には低体温症で死亡するレベルの温度の海について考えます。

そのような結果に至らぬように、乗客を運ぶ船については、厳しい審査後に与えられる免許、あるいは免許の条件や、その運用のための規則を設ける必要がある、というのが今回の主張です。

以下、免許を許す条件を以下考えますが、まず海が平穏であれば、そして船長以下船員も免許と訓練を受けていれば危険性は少なくなりますので、低海温の海には一切出港を禁止する、という選択はしないことにします。

それでも、生命の危険を最小限にしたい訳ですから、気象条件によって、出港停止の規則を設けることは当然です。また気象は変わりますので、出港後に危険な状態になることも考えておかなくてはなりません。

とにかく、船に「異常」が生じた場合どうすれば良いのかということに尽きるのですが、いくつかの可能性があります。

  1.  緊急に近くの港に避難することを、「異常事態発生」時の「義務」として課す必要があります。
  2. 「緊急」避難用の十分の数の救命ボートを積んでおくよう義務付けることも必要です。
  3. それは、小さな船では無理かもしれませんので、例外として、命の助かる範囲内に他の船舶が必ずいるような条件が満たされれば出港を許可する制度にすること。これは、実現可能性が高いのではないでしょうか。
  4. その一例として、斜里町の港から知床観光に出かける船は、10分から30分の間隔で出港するといったシステムになっていれば、何らかの事故が発生しても近くの船が救助できる環境になるのではないでしょうか。

詳細な規則は、現にその海を知っている人たちの間で協議して決めることにしても、国としての責任で基準を設けて、それ以上の場合には、あるいはその可能性のある予報が出ていれば、お客さんを乗せての出港は禁止するという大原則は法制化すべきなのではないでしょうか。

それが国民の生命に対しての最大限の尊重の具体例の一つだと考えているのですが、如何でしょうか。

宮島と宮島口の間のフェリーは、往復があるのでなお条件は良くなっていますが、二つの船会社が少し時間を違えて出港しています。何かあった場合、後続の船が救助に当たれるという観点からは優れたシステムになっています。そして、天候のため、フェリーは出ませんということも何度かありましたね。

船のことも海のことも全く分っていない人間の素人考えかもしれませんが、事故が起きればほぼ絶望的な状況になるであろう、凍て付く海での事故防止のためには、私たちが無い知恵を絞る努力も必要なのではないでしょうか。

 [2022/4/28 イライザ]

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2022年4月29日 (金)

皆様、有難う御座います ――Change.org署名が10万を超えました――

皆様、有難う御座います

――Change.org署名が10万を超えました――

 

皆様、有難う御座います。皆様の御賛同のお陰で、Change.orgでの署名が10万を超えました。夜9時半過ぎの署名の画面です。

220428-10changeorg  

102,813」という数字を御確認下さい。私たち、一人一人の存在は「一(いち)」ですが、同じ気持ちを共有して、同じ目的のために一人一人が一つの行動を取ることで、その結果が10万という大きな数字になるという事実がハッキリ分りました。これを、20万にすることも可能ですし、ここからまた別の行動につなげて戦争を止めさせること、犠牲者の冥福を祈り遺族の悲しみに寄り添うこと、避難民を支援すること、そして今回のように侵略戦争が再び起らないような世界実現のために知恵を集めること等、多くのことが可能になります。

 私は、10万の皆様の意思を代表して、再度プーチン大統領と岸田総理大臣にこのキャンペーンの趣旨を認めた書簡を出します。また、その他の核兵器保有国の首脳にも同趣旨の書簡を出し、協力を要請します。

 そして、次の段階の行動への準備も始めます。6月末の核兵器禁止条約締約国会議、8月の核不拡散条約再検討会議という二つの重要な国際会議の場を生かして、皆様から頂いた署名の趣旨を各国の代表や国際機関、市民団体等、多くの皆さんに伝え広げたいと考えています。

 さらに、現在進行中の戦争でロシアが核兵器を使わないと宣言するというだけでなく、今後の世界の動きの中で、どの国も核兵器は使わないと宣言するように働き掛けたいと考えています。核保有国が「核兵器の先制不使用」(No First Use—略してNFU) 宣言をするということです。

 第一歩としては、核兵器禁止条約締約国会議と核不拡散条約再検討会議に参加する各国の代表はじめ多くの皆さんに、私たちのメッセージを伝えるためのビデオを作成して、現地で配布したいと考えています。もちろん、YouTubeにもアップします。

 その他の活動について、皆様からの御提案をお待ちしています。

 [2022/4/29 イライザ]

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2022年4月13日 (水)

ガルージン大使とカーチス・ルメイ将軍 ――ウクライナでの民間人爆撃と東京空襲――

ガルージン大使とカーチス・ルメイ将軍

――ウクライナでの民間人爆撃と東京空襲――

 

49日にTBSの「報道特集」は、金平茂紀キャスターによるロシアのガルージン駐日大使の単独インタビューを放映しました。その動画ですが、YouTubeにアップされていましたので、ここに埋め込みます。最初の1分くらいを御覧下さい。

  私が特に引っ掛かった部分を文字化しておきましょう。

 

[大使] 我々が攻撃しているのは、軍事施設だけで民間施設は攻撃していない。

[金平] 私たちの仲間が私たちの同僚が取材に行って来て、例えば病院とか民間施設が破壊されている現場で実際に目で見て取材してきましたよ

[大使] それはなぜ起きたかというとウクライナ軍が学校や病院から一般人、生徒たちを追放して、それを軍事拠点としたからです

 

その後、病人や一般人が死亡していることを金平キャスターは事実として指摘するのですが、大使は最後まで、同じことを繰り返しています。

 この部分の発言で私の頭に浮かんだのは、1945年の310日の東京大空襲でした。これについては、このブログで311日に簡単に触れています。

そこで強調したのは、記憶し続けることの大切さですが、記憶している私たちの世代が今の時点で語る必要もあることに気付きました。戦争中 (と私たちの世代が言うときの「戦争」は、1945年に終戦を迎えた戦争です)、だけではなく、戦後の歴史についても若い世代の人たちに事実を伝えることが大切です。

 東京大空襲では、一晩に約10万人もの「民間人」が殺されました。B29329機が襲来して、木造家屋を焼く尽くす最も効果的な「焼夷弾」を約2時間の内に33万発も落して、東京の中心部を焼き払ったのです。そして、この作戦を計画、実行、指揮したのが、カーチス・ルメイ司令官でした。

[出典はWikipedia https://www.wikiwand.com/ja/%E3%82%AB%E3%83%BC%E3%83%81%E3%82%B9%E3%83%BB%E3%83%AB%E3%83%A1%E3%82%A4]

 一次資料には当っていませんが、次のサイトにはルメイの回想録の中に次の言葉かあるとの引用がされています。他の文献でも読んだ記憶があるのですが、それについては確実な出典が見付かり次第アップします。

 [出典はユダヤ館 「ヒロシマ・長崎への原爆投下と東京大空襲について」

http://www1.s-cat.ne.jp/0123/Jew_ronkou/america/atomic_bomb_holocaust.html]

 戦後、カーチス・ルメイは回想記の中で次のように述べた。

 「私は日本の民間人を殺したのではない。 日本の軍需工場を破壊したのだ。 日本の都市の民家は全て軍需工場だった。 ある家がボルトを作り、隣の家がナットを作り、向かいの家がワッシャを作っていた。 木と紙でできた民家の一軒一軒が、全て我々を攻撃する武器の工場になっていたのだ。 女も子供も老人も全て戦闘員だった。 これをやっつけて何が悪いのか」。

  カーチス・ルメイは東京大空襲を初めとする無差別爆撃、及び、広島・長崎への原爆投下の直接の責任者であった。 しかし、1964126日、日本政府はカーチス・ルメイに勲一等旭日大綬章を授与した。 授与理由は「カーチス・ルメイは日本の航空自衛隊の育成に協力した」というものである。 この時の総理大臣は後にノーベル平和賞を受賞した佐藤栄作である。

 以上は歴史的事実ですが、ふと頭を過ったのは、「ガルージン大使はカーチス・ルメイの言葉と理屈を知っていたのだろうか?」という疑問でした。

仮に知らなくても、「自然に」思い付いたのかも知れません。何故なら、これは「戦争の論理」だからです。戦争を前提として構成された社会では、このような考え方が大手を振って歩いていても不思議ではないのです。

そして、その答は戦争の否定しかあり得ません。そこに、日本国憲法を世界化する意味があるのです。

このことだけから、ウクライナで起きている戦争を解決することは難しいでしょう。しかし、解決のための様々な可能性を模索しながら、過去の出来事を思い起こしつつ、新たな視点を加えて歴史的教訓を探し、また歴史的事実から、ウクライナ情勢解決の糸口を見つける努力をする上では、少しは役立つのかも知れません。

 [2022/4/13 イライザ]

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2022年3月27日 (日)

岸田総理とエマニュエル大使の発言 ――車座対話の成果は?――

岸田総理とエマニュエル大使の発言

――車座対話の成果は?――

 

岸田総理大臣とアメリカのエマニュエル大使が平和公園を訪れました。どのような日程だったのか、NHK NEWS WEB の中の広島NEWS WEBが全体像を簡潔にまとめていますので、主要部分を引用します。

(https://www3.nhk.or.jp/hiroshima-news/20220326/4000016957.html)

 「岸田総理大臣とエマニュエル大使は原爆資料館を視察し、2016年に当時のアメリカのオバマ大統領が訪問した際に寄贈した折り鶴などを見て回りました。そして、資料館を訪れた各国の元首や首脳たちがメッセージを記載する芳名録にそれぞれ記帳しました。このあと2人は、そろって原爆慰霊碑に献花し、原爆の犠牲者に祈りをささげました。」

 「原爆慰霊碑に献花したあと岸田総理大臣は原爆資料館でエマニュエル駐日大使と会談し、(中略) 

冒頭、岸田総理大臣は、「核兵器を含む大量破壊兵器は絶対にあってはならない。被爆の実相に触れてもらったが国際社会に強いメッセージを発し、広島訪問は大変意義深いことになると確認している」と述べました。

これに対し、エマニュエル大使は「ウクライナの人々への共通の価値は揺るぎない。ロシアの不法な戦争に反対するのはアメリカだけでなく全世界的なものだ。不法な戦争により日々、軍事活動が拍車をかけて展開されている。ロシア軍は病院や避難所などと知りながら無実の人を無差別に攻撃している。広島ほど平和にコミットするために重要な場所はない」と述べました。」

 「平和公園での一連の日程を終えたあと、

岸田総理大臣は記者団に対し、「ロシアによるウクライナ侵略について核兵器が使用される可能性が懸念されている。 唯一の戦争被爆国として核兵器の威嚇や使用は絶対にあってはならないし、惨禍は繰り返してはならないという思いを改めて確認した」と述べました。

その上で「核兵器の使用の可能性が現実の可能性としてあるなか、大使の訪問は

国際社会へのメッセージになると期待しているし、有意義だ」と述べました。

そして、「ウクライナ情勢は核兵器のない世界を目指す上で道のりの険しさを突きつけている。広島の総理大臣として世界に発信していかないといけない。

国際社会と協力し、ウクライナや周辺国への支援を進めていかないといけない。

ロシアが侵略をやめるよう、国際社会と緊密に連携していきたい」と述べました。」

せっかく、総理と大使がそろって平和を公園を訪れるという前向きの行動を取ってくれたのですから、「注文を付ける」ことはしたくないのですが、政治的な分岐点として大切な考え方と事実の認識について、解説を付け加えておきます。

 一つは、岸田総理の「ウクライナ情勢は核兵器のない世界を目指す上で道のりの険しさを突きつけている。広島の総理大臣として世界に発信していかないといけない。」という件です。

 総理は、実際に核が使われるかもしれないという懸念があることにも言及しているのですから、それと合わせると、何故「道のりの険しさ」なのでしょうか。核兵器の廃絶という道のりが険しいものであっても、ウクライナで起きていることから明白なのは、核兵器を使わせない、そのためには核兵器の廃絶という道を選ぶしかない、という現実でしょう。「険しくても、ただちに核廃絶の方向に舵を切る」と宣言する場ではなかったのでしょうか。

 エマニュエル大使の記者団への発言について、NHKWEB記事を御覧頂きたいのですが、テレビを見ていて大切だと思った点が二つ抜けていますので、それを補足しておきます。

 彼は、「資料館を見た結果、被爆資料が教えてくれていること、私たちに語っていることを一度で吸収することはできません。ですからもう一度、資料館を訪れます。」と語っていました。最後の部分も大切なのですが、それが訳されていませんでした。

 もう一点、大使は広島の松井市長と長崎の田上市長からの要請を数日前に受けているのですが、その時に貰った「宿題がある」、と大使は述べ、それは、「平和首長会議(Mayors for Peace)へのアメリカの加盟都市数を増やすことだ。」とのことでした。「都市が平和のために活動することが大切だ」という趣旨の発言もありました。これらの点には全く問題がありません。

 でも、Mayors for Peace は既に素晴らしい活動をしています。エマニュエル大使は2011年から2019年まではシカゴ市長を務めています。その直前、つまり2010年の時点で、全米市長会議は、当時のオバマ大統領に核兵器禁止条約の締結や批准、そして核廃絶のリーダーシップを握るようにと決議をしています。

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ないものねだりになってしまいますが、全米市長会議のこれまでの活躍を踏まえて、「核廃絶を願う全米市長会議の決議を実行するようバイデン大統領に進言する。」くらいのことを今回は言って欲しかったというのが私の気持です。

 ずっと気になっているのが、若い人たちと総理の「車座対談」です。今日の報道には取り上げられていませんでしたので、明日の新聞で確かめられればと思います。

 最後におまけです。全米市長会議の20101月の会議の時の写真です。オバマ大統領に「広島に来て下さい。」と要請し、「是非行きたいです」という返事を貰った時です。

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 [2022/3/27 イライザ]

 

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2022年3月26日 (土)

岸田総理の平和公園訪問 ――アメリカのエマニュエル大使とともに――

岸田総理の平和公園訪問

――アメリカのエマニュエル大使とともに――

 

この項を書いているのは325日ですが、26日の土曜日に、岸田総理大臣がアメリカのエマニュエル駐日大使とともに平和公園を訪れることが発表されました。原爆資料館を視察し慰霊碑に献花するとのことです。岸田総理個人では、これまで核兵器の悲惨さを訴えるために活動してきた人たちと車座での対話を行うとのことです。

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夜の慰霊碑

 複数のマスコミ報道によると、松野官房長官は次のように述べています。「被爆の実相に対する理解の重要性を内外に発信するとともに、核兵器のない世界に向けた機運をいっそう醸成することが期待される。また、ウクライナ情勢をはじめとする国際情勢のほか、幅広い分野での日米関係の強化について意見交換を行う」

 プーチン・ロシア大統領による核脅迫の深刻度を考えると、ガルージン駐日ロシア大使とともに平和公園を訪れて、被爆の実相をプーチン大統領に伝えて貰う方が現時点での緊急性は高いようにも思えます。

 とは言え、どこかから始めなくてはなりません。アメリカの次はロシアという順序で、またその他の核保有国の駐日大使を総理大臣が次々と資料館に案内し、被爆者の体験を聞いて貰う機会を作ってくれることに期待したいと思います。

 エマニュエル大使が被爆者から直接体験を聞くことになっているのかどうかは分りませんが、核兵器の残酷さや非人間性についての理解を深めるためには一番大切なことなのですから、26日の日程には欠かせません。

 岸田総理の平和公園訪問は、唐突にも感じたのですが、先週から調整が行われていたとの報道もあります。そしてChange.orgの署名運動に賛同して下さった方が54,624人になった312日に、署名運動の趣旨をまとめた手紙を岸田総理に送りましたので、タイミングとしては、その手紙に応えてくれたようにも感じられます。直接の因果関係がないとしても、総理大臣は署名運動に賛同して下さった皆さんと同じ波長で考えていることになります。だとすると、プーチン大統領説得のためのモスクワ行きの可能性も高くなってきているのかもしれません。

 参考までに、312日付の岸田総理大臣宛の手紙のコピーを以下、貼り付けます。

 

**************************************

内閣総理大臣 岸田文雄殿

「核を使わない」と、ロシアに宣言させるために行動して下さい

2022年3月12日

前広島市長・秋葉忠利

54,624人のChange.org署名キャンペーン賛同者一同

 拝啓

総理大臣御就任おめでとうございます。また、国民のために日夜激務をこなしておられることに感謝しています。

本日はウクライナ危機に関連して、ロシアのプーチン大統領による「核脅迫」を「核使用」にしないようできる限りの活動をしかつ祈っている被爆者や市民たちのために、貴職の役割が必要不可欠であることから、お願いの筆を執っております。

2月24日と27日に、プーチン大統領が核兵器を使うぞとの威嚇 (「脅迫」の方がより正確です) を行い、あまりの無謀さで世界を震撼させました。特に、広島・長崎の被爆者たちにとっては、到底許せる発言ではなく、何とか核の使用を阻止させなくてはならないと全力の活動を続けています。

貴職御存じの通り、核を使用するという脅しをかけることは、明確に国際法違反です。1996年の国際司法裁判所の勧告的意見、国際法として効力を持つ核兵器禁止条約は核による脅迫を禁止しています。

さらには1月3日の、「核戦争を防ぎ軍拡競争を避けることについての核保有5か国首脳による共同声明」では、わざわざ「5か国は、それぞれの国の保有する核兵器が相手国に対して、また他のどの国に対しても向けられていないことを再確認した」とまで言っているのですから、5か国首脳の一人であるプーチン大統領ならびにロシアは自らの言葉を守らなくてはなりません。

中国は、核を保有して以来「核兵器の先制不使用」を宣言していますので、少し立場は違いますが、それでもこれらの国々は、ロシアに対して「国際法違反」であるとか「共同声明違反」であるとの批判はしていません。それは、どの核保有国も核抑止論に基づく核の使用や核による脅迫を前提にした対外政策を取り続けてきたからです。

その典型例が、2016年のイギリス議会における当時のメイ首相の発言です。「10万人の罪のない男女や子どもの命を奪う核兵器の使用を許可する覚悟があるのか」と質問された際、メイ首相は、躊躇することもなく「Yes」と言った後で、「核抑止で重要なのは、敵に我々が核を使用する用意があると知らしめることだ」と述べています。(ニューズウィーク日本語版電子版2016年7月21日)

この発言に対しても核保有国は批判をしていないのです。

メイ首相の躊躇なき「Yes」やプーチン大統領の核脅迫の背景にあるのは、彼ら・彼女らは、実際にその言葉通りの結果が生じたとき、被害に遭う人間一人一人、そしてその一人一人を愛する家族や友人たちの痛みを感じていないことなのです。

それだけではなく我が国の中でも広島・長崎に来たことのない人たちは、ごく少数の例外を除いて、核兵器がどのような「生き地獄」を人類にもたらすのかについての認識が薄いのです。

外国からの訪問者の多くは、例えば「広島を見るまでは被爆の酷さを知らなかった。広島訪問が自分の人生を変えた」と広島訪問の意味を伝えてくれています。

しかし、プーチン大統領が、核のボタンを押すかどうかを決める前に広島に来ることは現実にはないかもしれません。となると、次善の策ではありますが、こちらから出かけて、被爆の実相を伝える必要があります。その責任を果す上で、原爆ドームのある広島一区選出の総理大臣である貴職には、他の誰にもない説得力があります。

被爆者の証言や被爆者の描いた絵、被爆直後に撮影された写真、治療を受ける被爆者の動画、破壊された町に残された多くの遺物や遺構等々、多くの資料も活用できます。

そして、77年前の1945年と今とには大きな違いのあることを認識して貰わなくてはなりません。広島や長崎の被爆直後の有様は、即時に世界に届いたのではないからです。日本国内でも被爆後7年、日本が独立した1952年になって初めて原爆についての情報が公開されたのです。

でも今はインターネットがあり、ドローンがあります。核戦争後の惨状は、今なら瞬時に、リアル・タイムで世界に伝わります。

高画質のカメラ搭載のドローンはインターネットを通じて、放射線量の高い悲惨な場所から、悶え苦しみ死に至る「生き地獄」の様子を、世界中の数十億の人たちに伝えることになります。数万人から数十万人もの被爆者たちの映像と音声が長時間にわたって流され続け、私たちはそれを精細な大画面で見続けることになります。

その結果、世界の大多数の人たちから、核兵器の即時撤廃の声が上がるはずです。「これで人類が終る」「どんな理由であっても、核兵器を使ってはいけない」「人類史上最悪の行為だ」「下手人を死刑にしろ」「核兵器はただちに廃絶しろ」等々、最大級の糾弾の声が上がるはずです。

どの国もその声を無視できるはずがありません。核兵器を廃絶しようとしない政治家は、即座にその地位を失うことになるでしょう。

それだけでは済みません。核使用後の阿鼻叫喚は録画され編集された映像として残され、それがウクライナ危機の間なら、「プーチン大統領」の仕業、「ロシア」の悪行として永遠に語り続けられます。これは「核を使わない」と宣言する上でのインセンティブの一つになり得ます。

しかし忘れてはならないのは、このシナリオでは、核使用の結果として数万、数十万もの人命が失われることです。しかもそんな大きな犠牲を払わなくても核なき世界は実現でき、核保有国首脳への烙印が押されなくても核廃絶に至る簡単な方法があるのです。

今、私たちの前にある二つの選択肢を整理しておきます。まずここで示したように、核兵器の廃絶は実現します。選択肢とは、そこに至る二つの道のどちらを取るのかというというものです。一つは、核兵器の廃絶のために数十万の人命の犠牲が必要になるという道。もう一つは、ただ一人の犠牲も生じることなく核廃絶に至る道です。答は明らかです。

今、プーチン大統領が「核兵器を使わない」と宣言し、その他の核保有国首脳も同様の宣言をすれば良いだけなのです。数十万人の犠牲は必要ないのです。

広島・長崎の被爆の実相と被爆者のメッセージを背負って、その説得ができるのは被爆地選出の岸田総理大臣をおいて他にはいないのです。ぜひモスクワへ飛んで下さい、そして安保理事会に出席して、被爆の実相を伝え、プーチン大統領そして核保有国が「核を使わない」と宣言するよう働きかけて下さい。せめて、核の先制不使用を取り付けて下さい。

敬具

 

秋葉忠利 (前広島市長)

追伸  プーチン大統領に宛てた手紙と資料の一式を同封します。

 **************************************

 

26日、広島訪問時の総理と大使の発言に注目しています。

 [2022/3/26 イライザ]

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2022年3月25日 (金)

キエフではなくキーウに ――ローマ字ではKiev ではなくKyivです――

キエフではなくキーウに

――ローマ字ではKiev ではなくKyivです――

 

毎日新聞のオンライン版319日号によると、自民党内でウクライナの首都の日本語名称を「キエフ」ではなく「キーウ」に変えるべきだとの声が強まっているそうです。

 33日に、河野太郎・党広報本部長がツイッターで、「ウクライナに侵略している国の言葉を使うのをやめてウクライナ語でキイフ(キーウと同義)と呼ぼう」と投稿したのが始まりだとのことです。

 Wikiwand によると、ウクライナで採用している公式ローマ字つづりは、「Kyiv」だそうで、外交文書などではこのつづりが使われているのだそうです。

 Wikiwandでは、実際にウクライナで「Kyiv」がどう発音されているのかも知ることができます。私の耳には「キーユ」に近い音に聞こえました。「Ukraine」の方も聞いてみましたが、「ユクレニナ」の方が近い感じでした。

 かなり長い間、ローマ字つづりは「Kiev」が使われていたようなのですが、それは元々ロシア語からのローマ字化だったということで、2014年のロシア-ウクライナ戦争後は西欧では使われなくなったとのことです。

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大辞林第三版では「Kiev」が使われています。

 固有名詞の発音は、原則その固有名詞の持ち主の意思に従うべきだと思います。人の名前なら、本人がどう発音しているのかに従うべきでしょうし、国や地名は、その国でどう発音されているのかが尊重されるべきでしょう。

 そう言った途端に頭に浮かぶのが、日本と中国の関係です。「習近平」は日本ではふつう「しゅう・きんぺい」です。でも元々の発音は、「シー・チンピン」の方がはるかに近いのです。そして、国際的な場で、「しゅう・きんぺい」と言っても誰のことなのか全く伝わりません。

 逆に、日本の固有名詞を中国で読むときには、日本での発音は無視されて、漢字の中国読みになります。例えば、「広島」は「グアン・ダァォ」です。その広島の姉妹都市の重慶ですが、日本では「じゅうけい」、中国では「チョンチン」です。漢字は「重庆」です。

 それで解決するのかと思いきや問題はもっと複雑で、在日中国人の周来友(しゅう・らいゆう)さんは、2021630日の電子版Newsweekで、中国人名を日本人の耳で聞いての発音に近いカタカナで表記された場合、そのカタカナを見ただけでは在日の中国人の多くには誰なのかが分らないということを指摘しています。詳しくは、Newsweekの記事をお読み下さい。

 ここまでくるとお手上げなので、日中の発音とその表記についての複雑な関係はどなたかに整理して頂くとして、原則として本人・本国の発音を使うという点を生かす方針は、誰にでも分り本人にも納得のできるものだと思います。それを尊重することに問題はないはずですね。

 [2022/3/25 イライザ]

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2022年3月24日 (木)

ゼレンスキー大統領の国会演説 ――被爆の実相を知らしめることが重要――

ゼレンスキー大統領の国会演説

――被爆の実相を知らしめることが重要――

 

3月23日、午後6時から、国会議員に向けてウクライナのゼレンスキー大統領がオンラインで演説を行いました。

 他国向けの演説と比べてトーンを落として、やや抽象的な印象でした。それは、日本国憲法第9条によって、日本という国が戦争に関わることができないという事実を尊重したからなのだろうというのが私の感想です。

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しかし、ウクライナの状況の酷さを訴えるために、他国への演説と同じように、これまで日本が経験してきた悲劇や被った犠牲への言及はありました。一番、長く取り上げたのは原発破壊による放射線被害でした。これは福島第二原発事故の被害に重ねることで、私たちにウクライナを身近に感じて貰いたいという意図が伝わってきました。

 また、ロシアの侵略を「ツナミ」と表現し、化学兵器の使用の可能性については「サリン」によって、私たちにより強くその危険性を訴えてもいました。

ちょっと引っかかったのは、「さらに核兵器が使われた場合の世界の反応が話題になっています」とは言ったものの、「広島・長崎」という固有名詞は出てこなかったことです。アメリカ向けの演説での「パール・ハーバー」とは対照的でした。

ここ数日、アメリカにおける「パール・ハーバー」の意味を解説してきました。それは多くのアメリカ人が長い間、「パール・ハーバー」が原爆投下を正当化していると信じてきたことです。この点を敷衍すると、「パール・ハーバー」と同じ被害を受けていると言うのであれば、その結果として自分たちが核兵器を使う権利があると主張するに等しいことになります。

 これは、現在進行中の武力紛争の当事者としては仕方のないことなのかもしれませんが、「力に対抗するには力に頼るしかない」という戦争肯定の枠組みの中での言葉です。行き着く先は核兵器の使用であり、人類の滅亡です。

そして、ゼレンスキー大統領がその矛盾に気付いているかどうかは分りませんが、同時に大切な発言をしています。それは、現在の国際機関が侵略を予防するという機能を果していないという点であり、その新しい機能が果せるような国際的なツールを作る上で、日本の果たせる役割に期待しているという言葉です。

 これも日本の平和憲法を踏まえての発言であると解釈したいのですが、そうであれば、核兵器の使用はそれが誰によって行われても許されないという結論しかありません。核兵器だけではなく、戦争否定を強く推し進める国際的な仕組みを作らなくてはなりません。そのためには、戦争の被害を、身を持って体験してきた世界の都市の連帯が有効です。都市が軍隊を持たないこともそのために役立ちます。

 歴史的にどの都市も大きな戦争被害を受けてきています。自らの被害を世界に伝え、戦争否定という共通項で未来を考える時が来ているのではないでしょうか。

 私たちが世界に伝えられること、人類の滅亡を防ぐために役立つことの一つは、やはり被爆の実相を真に迫る形で伝えることなのではないでしょうか。頭でだけではなく、全身でそのことを理解して貰うためです。

 そのためにこそ圧倒的多数の世界市民、つまり私たちがそのことを言い続け、広島出身の岸田総理に、被爆者の代弁者としての役割を果して貰うことが重要です。

 [2022/3/24 イライザ]

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2022年3月23日 (水)

「パール・ハーバー」⇒ 原爆の意味は? ――暗闇ではなく光を!――

「パール・ハーバー」⇒ 原爆の意味は?

――暗闇ではなく光を!――

 

ここ数日は、1986年に上梓した『真珠と桜』(「ヒロシマ」から見たアメリカの心) から引用しながら、アメリカ人のパール・ハーバー観を考えてきました。1960年代と1980年代を比べてもあまり変ったようには見えなかったのが、前回までのストーリーです。

800pxmontage_pittsburgh  

Wikiwandから

https://www.wikiwand.com/ja/%E3%83%94%E3%83%83%E3%83%84%E3%83%90%E3%83%BC%E3%82%B0

 今回は、イランアメリカ大使館人質事件後というタイミングでの、ボストンではなく、より保守的なピッツバーグでの反応です。

 その頃、 たまたま訪れたアメリカ鉄鋼業の本拠地ペンシルべニア州ピッツバーグ付近でも、反日感情がむき出しだった。レンタカーのタイヤがパンクしたことを、 ある鉄鋼関係者に話したら、「日本人の車だと思って空気を抜いたやつがいるんだろう」という答が返ってきた。その上、「ピストルで撃たれなかっただけラッキーだったな」と、冗談のつもりだろうが付け足した。別の企業経営者は私を前にして、「ジャップが、ジャップが」と言いながら拳を振り回したし、「いまダットサンに乗っているけれど、周りから冷たい目で見られている。とてもたまらないから、 この次の車は日本製以外のものにする」と打ち明けてくれた。バーテン嬢もいる。

 ラジオやテレビ、新聞や書籍でも、第二次大戦中の日本軍の残虐行為に焦点を合せたり、日本人の身体的醜さを嘲笑うようなものが増えた。1981年の127日は丁度パール・ハーバー40周年だったこともあって特にパール・ハーバーが話題になった。 たとえば「ボストン・グローブ』紙はその日、数ベージの特集を組んでいる。

 (中略)

何故、アメリカ人はこれほどパール・ハーバーにこだわり続け、事あるごとにパール・ハーバーを持ち出すのだろう。

 その問に答えてくれたのは、 私の教えた学生の一人K君である。コンピュータ科学を専攻し・現在はIBMで働いているが、線型代数、 それに実験講座「広島と長崎の体験」 の両方のクラスで優等生だった。

 「第二次大戦、 その中でもパール・ハーバーの屈辱からアメリカが立ち上り遂に勝利を収めるまでの歴史は、アメリカ200年の歴史中最も輝かしい時代であり、 それに疑義をさしはさむような 教育はなされていない。 だから、私達のように第二次大戦終了後生れた人間でも、日本のパール・ハーバー攻撃は悪の権化だと考えているし、第二次世界大戦中とその直後のアメリカの行動は、それと対照的に、一点の汚れもないと信じ込んでいる人がほとんどである」

 簡単にまとめとしまうと、アメリカの世論では、「パール・ハーバー」は核兵器使用の十分条件だということなのです。

 それを元に・アメリカ議会向けのゼレンスキー大統領演説を分析すると、今のウクライナ情勢は核兵器の使用も許容されるくらいの非常事態だというアピールだと考えられます。それを聞いて、アメリカが即座に核兵器使用の可能性も踏まえてウクライナへの支援を強めるとは思えません。でもアメリカの「パール・ハーバー」観がそこにあることも含めると、これは戦争を何とか平和的に解決したいという意思表示というよりは、力にはより大きな力で対抗すべきだという姿勢の表明のように聞こえます。

そんな生易しいことではない、ロシア軍はウクライナを侵攻し、多くの女性や子どもたちを含めた市民が殺害されている状況を世界に伝えるためには、ましてやそれを止めさせようとするなら、このくらいの言葉では不十分だという反論もあり得ると思います。

しかしながら、そんな時だからこそ私たちは、「暗闇をなくせるのは暗闇ではなく、光だ」というマーティン・ルーサー・キング牧師の言葉を思い起こすべきなのではないでしょうか。戦争を否定する憲法を持ち、核兵器が絶対悪であることを身をもって経験した被爆者たちの言葉に魂を重ねてきた私たち市民、そして日本政府が、平和的解決のために積極的な行動を取るときなのではないでしょうか。

 明日、ゼレンスキー大統領が、国会で演説をするとのことですが、その機会を捉えて、平和的解決を先導するという日本の立場を明確にして欲しいと願っているのは、私だけではないはずです。

 [2022/3/23 イライザ]

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2022年3月20日 (日)

パール・ハーバーと原爆・核兵器 ――ゼレンスキー大統領演説とアメリカの感情――

パール・ハーバーと原爆・核兵器

――ゼレンスキー大統領演説とアメリカの感情――

 

ウクライナのゼレンスキー大統領が316日の、日本時間夜、アメリカ議会に対してオンライン演説をしました。

その中で、アメリカ時間1941127日の日本軍による真珠湾攻撃 (略して「パール・ハーバー」) と、2001911日のアメリカに対する同時多発テロ (略して911) とを引き合いに出して、ウクライナはそれと同じ思いを3週間し続けていることを強調しました。

 ゼレンスキー大統領は、それを止めるためにはウクライナ上空を飛行禁止区域にする必要があると続けました。さらに、ウクライナに対する様々な形での支援を要請したのですが、パール・ハーバーを引き合いに出したことでアメリカ人がどのような感情を持つのかについて、日本人の多く、特に若い世代の皆さんは余り知識がないように思われますので、解説しておきたいと思います。

Photo_20220319232901   

実は、この点についてアメリカでの生活が長くなり、反核運動が高まったときに上梓した『真珠と桜』(1986年朝日新聞社刊)で、丁寧に説明した積りですので、そこから引用したいと思います。長くなりますので、数回に分けます。

 最近 (注・1986年から見て) の全面核戦争についての態度を「表」の部分とすると、原爆についての感情は、アメリカの「裏」 に当る。 マスコミ等によって伝わるアメリカの動きは、 いわば表の報道である。だが、そうした表面での動きとは関係なく、実は裏の部分、つまりアメリカ人の原爆観に相当する部分こそ、長期的には、アメリカの社会や政治の動きを決定しているのではないか。私にはそんな風に見える。

これは、アメリカ人の原爆観を支えている価値観を見ると、 一層はっきりする。

第二次大戦直後のアメリカ人の原爆観を研究した歴史学者マイケル・ヤべンディッティ教授は、これまで例示してきたような原爆観が形成された背後には四つの大きな理由があると言う。

 第一に、大多数のアメリカ人は原爆投下によって戦争が早く終ったと信じたこと。その結果、当時のイギリス首相チャーチル氏が推定したように125万人の連合国側の命が救われたとも信じていたこと。

第二に、真珠湾攻撃以後、アメリカの世論が統一され、何が何でもこの戦争に勝つべきであるという態度が生じたこと。そのためには、手段を選ぶ必要などないとされ、仮に連合国側と枢軸国側で同じような武器を使ったにせよ、連合国側の動機は純粋であり、従って武器の使用は正当であるという論理が受け入れられたこと。

第三に、アメリカ人の創造カ・勤勉さの結果として生れた武器に対して、アメリカ人が誇りと称賛の念を持っていたこと。ヨーロッパやイギリスの科学者や技術者の貢献があったにもかかわらず、原爆の製造がアメリカの科学技術の勝利だと考えられ、その論理的帰結として原爆が使われることにもなったということ。

第四に・真珠湾攻撃と相まって、日本人は残忍卑劣な敵であるというレッテルが張られ、それ以前からあった日本人蔑視の態度を一層硬化させたこと。事実、 ヒットラーによるユダヤ人の大虐殺がアメリカに伝えられた後でも、アメリカ人のほとんどはドイツ人以上に日本人を憎んでいたという報告もある。

さらに、被爆者がアメリカに憎悪の念を持っていないという広島・長崎発の報告からは、だから、アメリカ人の方で原爆投下の下当性について疑いを持っ必要はないのだという結論が導かれることにもなった。

その後、こうした原爆観を変え得る可能性を持った出来事は数多くあった。ジョン・ハーシー氏による『ヒロシマ』の刊行、ソ連を始めとする他国の核クラプへの参加、朝鮮戦争、キューバ危機、ベトナム戦争などである。

しかし、その後も多くのアメリカ人は第一の点を信じている。アメリカの科学・技術に対する自信は揺ぎ始めているとはいうものの歴史的な事実として、1945年の時点でアメリカが圧倒的優位にあったことは疑う余地もない。結局、第二、第四の点が問題たが、これは、パール・ハーバーに関連した態度としてまとめて考えた方が分り易い。そして、心の奥深く、アメリカ人が パール・ハーバーに対して抱いている感情は、日本人の想像あるいは願望とはずい分かけ離れているのである。

 

これからが本論なのですが、長くなりましたので次回に。

 [2022/3/20 イライザ]

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2022年3月19日 (土)

昨日の記者会見が記事・番組になりました ――SNSによるプロモーションも広がっています――

昨日の記者会見が記事・番組になりました

――SNSによるプロモーションも広がっています――

 

昨日317日の木曜日11時から12まで開かれた日本外国特派員協会での記者会見については昨日報告させて頂きました。

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Change.orgの提供です

 嬉しいことに、会見に参加して下さったジャーナリストの皆さんの製作した記事やテレビ番組が、夕方には世界各地に広まっていました。17日夜の時点で分っているものを以下にリストします。日本語ではありませんが、覗いてみて頂ければ幸いです。

 

記者会見そのものは、こちらから御覧頂けます

また、Change.org の作って下さった、SNS用の動画も多くの皆さんに見て頂いています。例えば、YouTube5,000回以上視聴されています。

 その他、Facebook, Twitter, Instagramでも多くの皆さんにシェアして頂いています。有り難いですし、より多くの皆さんの署名でプーチン大統領、そして岸田総理が動いてくれれば、核兵器使用を阻止できます。

 「どんな理由であれ、核兵器を使ってはならない」を再度確認した上で、さらに私たちの輪を広げましょう。

 [2022/3/19 イライザ]

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