オリンピックの本を執筆します
いよいよ来年は東京オリンピックが開催されます。これが「ヒロシマ・オリンピック」として実現されていたかもしれない--少なくとも可能性はあったのですが――2020年を前に、「ヒロシマ・オリンピック」の記録が本になるかもしれません。
実は、「ヒロシマ・オリンピック」の基本計画は、今でも優れた内容だと思いますし、トウキョウ・オリンピックにはない素晴らしさも沢山持ち合わせていました。巨大化・商業化・国家化し過ぎてしまったオリンピックを改革しなくてはならないと考えている人たちも多くいますので、その面においても参考になる計画だと自負しています。
少なくとも「ヒロシマ・オリンピック」の意図したところ、その結果として出来上った基本計画等のブルー・プリントを記録として残した上で、次の世代あるいはその次の世代の皆さんが、今世紀中に「ヒロシマ・オリンピック」を実現するための一助にして貰えれば、と考えていたのですが、なかなか時間が取れませんでした。その理由の一つは、『数学書として憲法を読む――前広島市長の憲法・天皇論』執筆のために時間が必要だったからです。この度、法政大学出版局から刊行して頂けることになりましたので、いよいよオリンピックの方に本腰を入れることが可能になりました。仮に「オリンピック・プロジェクト」と呼びますが、元々は、私と中村良三氏が中心になって執筆しようと単純に考えていました。
中村氏は、多方面の才能の持ち主ですが、本来は建築家です。長く早稲田大学の建築学科で教鞭を執り、かつ広島市のためにも多大な貢献をしてくれていました。例えば、元宇品のグランド・プリン・ホテル・ヒロシマは、氏が西武建設時代に責任者として建設した建物ですし、その後広島市のアストラムラインの社長やシャレオの社長としても腕を振ってくれました。「ヒロシマ・オリンピック」についても、建築の専門家として大きな貢献をしてくれていました。
今回は、その中村氏の早稲田時代の御縁で、滋賀県立大学の環境科学部環境建築デザイン学科の白井宏昌教授と山崎泰寛准教授に、このプロジェクトに参加して頂けることになりました。特に白井教授は、ロンドン・スクール・オブ・エコノミクスで博士号を取得する際の研究テーマが、ロンドン・オリンピックですので、オリンピックの専門家、しかも国際的な視点からのオリンピックならびに建築そして都市経営の専門家ですので、鬼に金棒です。
そして、お二人のお陰で、このプロジェクトが一回りも二回りも大きくなりました。一つには、「ヒロシマ」だけではなくオリンピック開催に手を挙げた他都市についても視野に入れることで、客観性も増し多様な視点からの分析が可能になったこと。そして、「都市経営」あるいは「都市の未来」という枠組みからもこれまでの事例を検証することで、より大きな器ができたことです。これから出版社に打診するための企画書の最終版をまとめますが、長さの点では、岩波のブックレットくらいを最初の目標にしたらと考えています。(A5版で、約60ページほど)
今の段階で、この本に盛り込む内容としては、三つの柱を考えています。一つは、オリンピック開催に手を挙げたものの、結果として開催にまでは漕ぎ付かなかった都市にとって、オリンピックはどのような意味を持ったのか、そしてこれらの都市がオリンピックに残してくれた遺産はどんなものだったのかの検証です。二つ目には、2016年大会開催を目指した福岡の試みを検証しますが、新たなオリンピック空間を創出するという視点から大きな示唆が得られそうです。そして三つめは、2020年大会開催を目指した広島の試みを検証し、オリンピックという概念そのものの再構築という視点に注目します。
このプロジェクトは始まったばかりですので、今後、多くの皆さんからのインプットを頂きながら、内容を充実させて行きたいと考えています。
[2019/7/7 イライザ]
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参加ありがとうございます。
わぁ、一目見て先生と判りますね。しかし
よくのけておられましたね。
投稿: ⑦パパ | 2019年6月20日 (木) 09時25分
「⑦パパ」様
コメント有り難う御座いました。
何でも取っておく癖が付いているのですが、悲しいことに、本当に必要なものを探しても見付からない時が良くあります。
投稿: イライザ | 2019年6月20日 (木) 16時26分