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2024年3月21日 (木)

#御真影 は #海外公館に飾られていた ―― #教育勅語も各国語に訳された――

#御真影 #海外公館に飾られていた

―― #教育勅語も各国語に訳された――

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1911年に刊行された、G・G・ルパートの著書"The Yellow Peril"(『黄禍』) 写真は(Public Domain)

#黄禍論も広まった

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教育勅語の意味をできるだけ客観的な視野から検証してきましたが、一つには、「御真影」と一体の関係として捉えないと、全体像は描けないことが分りました。

そして、その「御真影」に出会った意外な場所とは海外の日本大使館や領事館等の公館でした。外からのお客さんを迎える応接室のような部屋がいくつもあるのでしょうが、例えばボストン日本人会の幹部があいさつに訪れたときに通されるのは、普通の応接室でしょう。その正面に天皇と皇后お二人の写真が恭しく飾られていたのです。

ことによると「麗々しく」の方が相応しいのかもしれませんが、1970年代ですから、普通の家庭に「御真影」が飾られることはまずない時代です。海外の公館の応接室で、「これが日本の大使館・領事館?」と思うほどの違和感と言ったら良いのか、非日常感と言ったら良いのかに襲われてしまったのです。

そしてそのときだけではなく、それから何度も海外の公館を訪れる機会があり、その度に「御真影」に接することになりました。別の部屋には皇太子と皇太子妃の写真が飾れたりしていましたので、海外公館は、皇室漬けになっているとさえ感じたこともありました。

それは、外国とのお付き合いが天皇の職務の中でも重要であることから、宮内庁の幹部職には外務省出身者が多いこととも関連があります。

となると、外務省と教育勅語の関係も無視できません。明治政府が外務省を通して、あるいは外務省や関係者が働き掛けて、積極的に教育勅語を海外にPRしたことにも注目する必要があるのです。

金子堅太郎による教育勅語の政府訳作成提案がその始まりです。金子は日露戦争後の日露関係修復のために、仲裁の労をアメリカに取って貰うという大役を果たしたのですが、当時の様子を、『教育勅語』 (解説・大原康雄、ライフ社 1996年) から引用します。

教育勅語の評価については、海外におけるそれにも目を向ける必要があるだろう。

日露戦争の開戦直前に元老伊藤博文の命を受けて、あらかじめ戦争終結の幹施を工作するために米国へ派遣されていた金子堅太郎(福岡県出身の政治家。当時の米国大統領T・ルーズベルトとハーベード大学で同窓)という人物がいる。金子によれば、大方の予想に反して日本軍が連戦連勝するのを見て驚いた米国人に、「日本の勝利は国民の教育が必ず然らしめるところであろう。日本の教育はどうなっているか、伺いたいと質問された。そこで人金子は、軍人勅論を挙げるとともに、まず一般教育において教育効語がその根底をなしていることを指摘し、求めに応じて前もって翻訳しておいた教育勅語の英訳を披露したところ、多くの米国人から共感と称賛の声が寄せられたという。

日露の和平が成って帰国した金子は、政府によって正式に勅話を翻訳する必要があることを時の牧野伸顕文相に提言、まず菊地大麓(理学者。東大総長・文相などを歴任)・新渡部稲造(思想家・農学者。国際派知識人として活躍、国際連盟事務局次長をつとめる)らによって訳された英訳本が明治四十年(一九〇七)に公にされ、次いで漢訳が成り、さらに同四十二年に至って仏訳・独訳が完成し、在外公館を通して世界各国に配布された。

明治四十一年にロンドンで開催された国際道徳会議においては、その要請に応じて菊池が教育勅語について講演し、好評を博した。こうした事例はほかにもあり、欧米の識者の問での教育勅語の評価は存外に高かったのである。

海外に教育勅語を広めようとする努力のあったことは事実ですし、教育勅語を評価する人たちのいたことも事実です。同時に、その結果がどうだったのかについても冷静に判断する必要があります。

その際、同時進行的に起きていた「黄禍論」にも目を向けなくてはなりません。例えば、アメリカでは1906年のサフランシスコ地震の後に対日感情が悪化し、1907年には移民の制限が行われた後、1913年にはカリフォルニア州で日本人に対する3年以上の土地の貸与が禁止されるなど、「黄禍論」が台頭し具体化されていた事実と教育勅語の海外PRとは関係があるのでしょうか。

 

2024年も言葉を大切にして、知的にも情緒的にも誠実さが輝く年にすべく頑張りましょう。

[2024/3/21 人間イライザ]

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