原爆の責任議論を「棚上げ」したのは何故か ――一つは、外務省が広島の平和行政を仕切っているから――
原爆の責任議論を「棚上げ」したのは何故か
――一つは、外務省が広島の平和行政を仕切っているから――
資料館も平和文化センターの所管です
ブログ激励のために、上のバナーをクリックして下さい
昨日の問題提起を再録します。
「政府・外務省が原爆投下は合法だと考えていることはお分り頂けたとして、「被爆地には米国の投下責任を問う声が根強くあり」と言われる、その広島の声を代弁すべき「広島市」がなぜ、「米国の責任の議論を現時点で棚上げにし」たのでしょうか。」
答は、広島市の平和行政が外務省に乗っ取られているからです。
それは、人事を見ることで納得して頂けるはずです。広島市の平和行政を中心になって回しているのは、公益財団法人の広島平和文センターです。広島平和記念資料館もこの広島平和文化センターの所管です。その理事長の仕事が2013年から今まで、全て外務省の天下りポストになってしまっているのです。
このセンターは1976年の発足以来、理事長職には、広島で原爆記者と呼ばれるような活動をしてきたジャーナリスト出身者や、広島の平和運動についての理解者が選ばれました。私が市長の時には広島の世界的な発信力を強めるために、アメリカ人の平和活動家に理事長をお願いしました。
この人たち全て、「棚上げ」を許容することなど考えられない人たちばかりです。
そして、天下り人事の決定としか思われないことの一つは、2017年と2018年の広島の平和宣言です。2017年に国連総会で、核兵器禁止条約が採択されましたが、その直後に外務省は、「日本政府は署名も批准もしない」と明確に意思表示をしました。
それを尊重したせいでしょうか、広島の平和宣言は2017年と2018年の平和宣言では、日本政府に対して「署名すべきだ」とも「批准すべきだ」とも主張していないのです。2019年になってようやく「核兵器禁止条約への署名・批准を求める被爆者の思いをしっかりと受け止めていただきたい。」という形ですが、署名と批准を求める立場を取りました。
しかし、それは2年掛けて私たち市民が広島市に強力に働き掛けた結果です。それでも2年も掛かったのですから、相手の手強さは尋常ではありません。
誰の差し金も受けないで、広島市がこのような姿勢を取ること考えられない、と思ったのは私だけでしょうか。
さらに、今年になってからは、『はだしのゲン』や第五福竜丸についての記述を平和読本から削除し、それまでは「核廃絶」を提唱していたにもかかわらず、それを「核軍縮」に弱めてしまいました。また、広島の平和公園と、ホノルルのパールハーバー国立公園との姉妹公園協定を結んだのも、一連の流れに沿っています。
では改めて、平和公園とパールハーバー国立公園の姉妹公園協定がなぜ浮上したのかを考えると、必然的に今年5月のG7広島サミットと関連しているのだろうと思わざるを得ないのですが、同時にアメリカで何が起きているのかも参考になりそうです。
次回はその視点から考えて見たいと思います。
最後に皆さんにとって、今日一日が素晴らしい24時間でありますよう!
[2023/9/24 人間イライザ]
[お願い]
文章の下の《広島ブログ》というバナーを一日一度クリックして下さい。
« 今、広島で起きていること (2) ――大阪講演報告5・「原爆の責任議論は棚上げ」した広島市―― | トップページ | アメリカを見ずに広島は語れない ――「パール・ハーバー」⇒原爆という「岩盤的」信念を守りたい人々―― »
「経済・政治・国際」カテゴリの記事
- #政府の #愚民化政策が大問題 ――#同級生の投票行動から考える・第13回―― (2024.08.28)
- #災害を #ネタにする? ――#今更ですが シリーズ 2―― (2024.06.28)
- #企業・団体献金禁止 に #反対する #小沢一郎議員 ――文字通り #語るに落ちた―― (2024.05.23)
- #アメリカ の #臨界前核実験 に #抗議の座り込み ―― #これが #G7広島サミットの意味ですよ!―― (2024.05.21)
- #なぜ今 #公費負担 なのか ―― #公私混同 を #止めさせるため―― (2024.05.18)
「平和」カテゴリの記事
- #内灘闘争の歴史を学ぶ ――#JR総連中国地方協議会第38回定期委員会2部―― (2024.10.06)
- #式典から排除 の #基準は何ですか? ――#誰の基準か #何が目的か―― (2024.09.01)
- #駐日大使 の #式典招待は ――#知って貰うため #友達になって貰うため―― (2024.08.31)
- #原水禁 #国際シンポジウム ――#2045ビジョン と #NoFirstUse #提案しました―― (2024.08.09)
- #慰霊の夕べコンサート ――#8月9日18時から #廿日市市のさくらぴあ小ホールで―― (2024.07.30)
「歴史」カテゴリの記事
- #原水禁 #国際シンポジウム ――#2045ビジョン と #NoFirstUse #提案しました―― (2024.08.09)
- #コロンブス問題 (その3) ――#江崎玲於奈学長 #式辞の問題点―― (2024.06.18)
- #コロンブス問題 #30年前にも取り上げました ――#なぜ #大切な点が #伝わらないのでしょうか―― (2024.06.16)
- #石棺で覆い #100年以上かける覚悟 ――#東電 も #このことは分っているはず―― (2024.06.15)
- #できないことを #できると言うのは #詐欺 ――#廃炉はできません―― (2024.06.14)
「アメリカ」カテゴリの記事
- #トランプ #返り咲き ――#8年前との比較から #何が見えるのか―― (2024.11.07)
- #危機感の違い #世代を超えて共有できるか ――#キューバ危機に比肩する危機的状況―― (2024.10.30)
- #ヒロシマの使命を #再確認しておこう ――#その時々の流れに押し潰されないように―― (2024.08.29)
- #コロンブス問題 (その3) ――#江崎玲於奈学長 #式辞の問題点―― (2024.06.18)
- #アメリカ の #臨界前核実験 に #抗議の座り込み ―― #これが #G7広島サミットの意味ですよ!―― (2024.05.21)
「日本政府」カテゴリの記事
- #中間目標として採用するための条件 ――#締約国会議へのオブザーバー参加では?―― (2024.12.04)
- #排除ではなく #説得を ――#式典まで待つのではなく #行動を―― (2024.09.02)
- #政府の #愚民化政策が大問題 ――#同級生の投票行動から考える・第13回―― (2024.08.28)
- #ユニオンショップ は #建前 ――#同級生の投票行動から考える・第10回―― (2024.08.23)
- #大本営発表 が #狼少年 に ――#建物の中に避難・地下に避難 と #絶叫―― (2024.05.31)
「核兵器」カテゴリの記事
- #報道1930の視聴有り難う御座いました ―-#被爆者の皆さんにはもう少し頑張って頂きたい―― (2024.12.12)
- #中間目標として採用するための条件 ――#締約国会議へのオブザーバー参加では?―― (2024.12.04)
- #2045ヒバクシャ・ビジョン #公表は来年 ――#目標年・2045年を合言葉にしよう―― (2024.11.24)
- #危機感の違い #世代を超えて共有できるか ――#キューバ危機に比肩する危機的状況―― (2024.10.30)
- #被団協に #ノーベル平和賞 ――#核廃絶運動に弾み #歴史的にも大きな意味―― (2024.10.11)
「被爆者」カテゴリの記事
- #報道1930の視聴有り難う御座いました ―-#被爆者の皆さんにはもう少し頑張って頂きたい―― (2024.12.12)
- #今日12月11日(水) #報道1930に出ます ――単なる #お祝い騒ぎに終らせないために―― (2024.12.11)
- #何故2045年なのか #補強説明 ――#抑止力を持つのは #被爆者―― (2024.12.03)
- #数学人の集い #話題提供 ――#生きることを選んだ #被爆者―― (2024.12.02)
- #報復ではなく和解を ――#中国新聞 #11月28日付け ―― (2024.11.29)
「G7サミット」カテゴリの記事
- #アメリカ の #臨界前核実験 に #抗議の座り込み ―― #これが #G7広島サミットの意味ですよ!―― (2024.05.21)
- #被爆地広島出身の総理大臣 #メッキが剥げた ――#G7広島サミット では #利用するだけ利用 したのに―― (2024.01.12)
- #明けましておめでとうございます ――旧年中はお世話になりました。本年も宜しくお願い申し上げます。―― (2024.01.01)
- #広島のメディア が #一面トップで報道 すべき ―― #リーパーさん の #谷本清平和賞受賞―― (2023.12.19)
- 投下責任の「棚上げ」と米政府、広島市・市長そして外務省 ――「本音が出ると大問題」を回避―― (2023.10.01)
« 今、広島で起きていること (2) ――大阪講演報告5・「原爆の責任議論は棚上げ」した広島市―― | トップページ | アメリカを見ずに広島は語れない ――「パール・ハーバー」⇒原爆という「岩盤的」信念を守りたい人々―― »
コメント