軍縮とは単なる数合わせではない ――友三郎の眼は要塞化や、中国ソ連にも向けられていた――
軍縮とは単なる数合わせではない
――友三郎の眼は要塞化や、中国ソ連にも向けられていた――
左から幣原喜重郎、加藤友三郎、徳川家達全権(Public Domain)
https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/1/1a/Kij%C5%ABr%C5%8D_Shidehara%2C_Tomosabur%C5%8D_Kat%C5%8D_and_Iesato_Tokugawa.jpg
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1921年から1922年のワシントン会議の焦点が、英米と日本との主力艦保有比率だったこと、それが、10:10:7ではなく、10:10:6という合意の結果、条約が成立したことは、歴史の教科書にも出て来るのですが、軍縮は数だけではできないことにも触れておきましょう。これは、今の日本の岸田軍拡政策にも参考になる点です。
今回は、軍縮において重要な二つの側面を取り上げておきますが、最初のものは日本の提案で実現し、その結果として、10:10:6という比率であっても、日本に対する軍事的脅威を抑える効果があったのです。「東経110度より東に海軍基地、または要塞の建設の禁止とすることで決着を見た」のですが、それは「要塞化禁止条項」と呼ばれています。Wikiwandから引用します。(読み易くするため、下線やイタリックなど、一部手を加えました)
要塞化禁止条項
対英米比6割と陸奥保有に併せて日本の提案により、太平洋における各国の本土並びに本土にごく近接した島嶼(とうしょ)以外の領土について、現在ある以上の軍事施設の要塞化が禁止された。
日本
・千島列島、小笠原諸島、奄美大島、琉球諸島、台湾、澎湖諸島、そして将来取得す
る新たな領土(内南洋のこと)の要塞化禁止
・奄美大島以外の奄美群島は対象外
・対馬は太平洋に面していないので条項の対象外
アメリカ
・フィリピン、グアム、サモア、アリューシャン列島の要塞化禁止
・アラスカ、パナマ運河、ハワイ諸島は対象外
イギリス
・香港並びに東経110度以東に存在する、あるいは新たに取得する島嶼の要塞化禁
止
・カナダ、オーストラリア、ニュージーランドは対象外
・東経110度以東なので、シンガポール(東経103度)は条項の対象外
現実問題としては、既存の基地はそのまま認めている訳ですので、お互い現状維持をしようという取り決めです。同時にそれは、今は戦争をしていないのですから、それを維持するということは「戦争をしない」状態の維持も意味します。これも「軍縮」に含まれる重要な考え方です。
第二の側面は、軍縮とは多くの国々と有機的に結び付いていますし、必ず歴史の流れの中にあります。それらの点からのアプローチも視野に入れることでより説得力のある取り決めができるのです。ワシントン会議では、「対華21条要求」がその一つでした。
これもWikiwandからの引用が分り易いので、お借りしましょう。
「対華21カ条要求(たいか21かじょうようきゅう)は、第一次世界大戦中の1915年1月18日に日本が中国に対して行った満蒙における日本の権益問題や在華日本人の条約上の法益保護問題をめぐる21か条の要求と希望のこと[1]。対支21ヶ条要求、二十一か条の要求とも呼ばれる(中国語版では「二十一条」)」
その後、この要求を巡って日中は対立を続けるのですが、その一つの妥協点にワシントン会議で到達することになりました。曲がりなりにも一つの条約が結ばれることになったからです。「山東懸案解決に関する条約」と呼ばれていますが、これもWikiwandから引用しましょう。
山東懸案解決に関する条約(さんとうけんあんかいけつにかんするじょうやく)とは、1922年2月4日に日本と中華民国の間で締結され、同年6月2日に発効した条約。
第一次世界大戦の結果、日本がドイツから獲得した山東省(膠州湾・青島)のドイツ租借地および山東鉄道(青島-済南間およびその支線)の返還が定められた。
膠済鉄道は日本の借款鉄道とされ、同鉄道沿線の坊子、淄川、金嶺鎮の鉱山は日中合弁会社の経営に移されるなど、日本の権益は多少確保された。山東還付条約(さんとうかんぷじょうやく)とも。
この条約締結に至る上では、アメリカとイギリスの仲裁がきっかけになりました。また、日本のシベリア出兵問題もこの会議では取り上げられ、友三郎は撤兵の意志のあることを表明しました。
当然総理大臣になってからの活躍が注目されますが、それも次回手短に。
そして皆さんにとって、今日一日が素晴らしい24時間でありますよう!
[2023/7/10 人間イライザ]
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