防衛省を防災省に ――自然災害を黙殺する政治をひっくり返そう――
防衛省を防災省に
――自然災害を黙殺する政治をひっくり返そう――
津波で破壊された家--浪江町
ブログ激励のために、上のバナーをクリックして下さい
今年もまた、大雨が続き、全国各地で大きな被害が生じています。南九州そして北九州と山口、北陸や東北と、「線状降水帯」という名称とともにいつどこで大災害が起きるのかさえ予測できない状態です。ということを裏返せば、全国どこで自然災害が起きても不思議ではない自然環境の中で私たちは生活しているのです。
にもかかわらず、政治はこのような深刻な、国民的課題には気付かないかのような対応です。危機的状況にある被災地には目もくれず海外の軍事同盟の会議で意気揚々としているのが、今の政治の堕落振りを示しています。
そんな政治を本来の姿に戻すために、事実を元にした提言を続けなくてはなりません。私の小さな貢献の一つとして、この何年間かこの問題についての構想をまとめてきました。何度言っても伝わらない相手なのかもしれませんが、それでも誰かが伝え続けないと、「ダメ」が「良いこと」になってしまいます。これまでこのブログで取り上げてきた原稿に加筆訂正を加えながら、再度のアピールを連続で始めます。
今回は、昨2022年7月5日にアップした記事に少し手を加えました。取り上げた事実は変わっていませんし、提言が有効であることも間違いありません。ただ政治状況は今の方が格段に悪くなっていますので、説得力は増しているように思えます。
***********************************
2022年7月5日アップ
防衛省を防災省に
津波で破壊され、そのままになっている家屋です。東日本大震災の遺構ですが、11年経って、あの時のショックは忘れ去られているのでしょうか。
ロシアのウクライナ侵攻以来、「リアル・タイム」で私たちが体験している戦争の様子に「ウクライナ・ショック」を受け、「日本でもこんなことが起きたらどうすれば良いのか」という危機感につながっています。それはそれで分るのですが、もう一つ、忘れてはならないことを忘れてはいませんか。
2021年7月3日には熱海で土石流災害が起きて26人の方が亡くなっています。2020年は、熊本での豪雨災害で、熊本だけで64人の方が亡くなっています。
最新ではありませんが、以前まとめた数字を再掲します。自然災害の結果、どれだけの犠牲を払わなくてはならなかったのかを再度、思い起すためです。
2018年に起きた災害だけを取り上げますが、
(i) 1月23日の草津白根山の噴火
(ii) 死者の出た2月の北陸豪雪をはじめとする各地での豪雪
(iii) 3月と5月の霧島山新燃岳と桜島の噴火
(iv) 6月18日、死者4名、損壊家屋は3万戸近くになった大阪北部地震
(v) そして死者は200名を超えるであろう、7月の西日本豪雨と、半年ちょっとで大きな災害が目白押しです。
こうした数字を前に、「日本がウクライナと同じように攻撃された時に備えて、軍備を強化し、核武装までも必要なのではないか」、「敵基地攻撃能力が日本を守る」、「軍事費を倍にしないと日本の安全は覚束ない」という種類の主張に大きな違和感を持っています。
それは、自然災害の死者は毎年確実に私たちの目の前に現れているのに対して、日本が外国から攻められた、あるいは戦争で死者が出たという数字は「0」だからなのです。
比較のための数字を掲げておきましょう。
- 2000年から2019年までの自然災害死者数は23,991人です。
- そして推計ですが、1945年から2019年までの自然災害死者数は約90万人です。
- 対して、1945年から2019年までの戦後75年間、外国からの侵略・外国との戦争で死んだ日本人の数は0人です。
「ウクライナ・ショック」を端的に示すために、死者数によって考えることにしますが、ウクライナ戦争で命を落した日本人は「ゼロ」です。そして、戦後、自然災害によって亡くなった日本人の数は、100万人近くになるという事実から、そして恐らく今年も自然災害によって必ず犠牲者が発生することを考えると、今、私たちが懸念し、政府がお金を投じなくてはならないのは、自然災害対策なのではないでしょうか。
それはこのグラフから明らかです。災害があると予算は増えますが、「喉元過ぎれば熱さ忘れる」で、「予防」のための予算はないのです。
予算が出てこない理由の一つは、「防災」を専門にする固定したお役所がないからです。それは、「防衛省」を「防災省」に変えることで解消されます。防災省を創設するメリットを、防衛省との比較でみてみましょう。
「予算」のカッコ内で言及してるグラフは、その前の棒グラフのことです。この比較からの結論は、防衛省を防災省に変えても、多くのメリットはあってもデメリットはまず考えられないということです。
ここで「誤解」を避けるための説明ですが、自然災害そのものは「予防」できません。でもその結果犠牲になる命や財産は減らすことができるのです。例えば、急傾斜地にある住宅を安全なところに移設するとか、洪水の起きやすい河川の流れを変える、危険な盛土を移動する、避難訓練を徹底する等、予算を付ければ実行できるそして効果のある施策は山とあるのです。
つまり、今の時点で「倍増」すべきなのは、「軍事費」ではなく、「防災費」なのです。それは、国民の命を確実に守る「現実的」な選択です。
「憲法を改正して自衛隊を憲法内に明記する」などという、「改憲先にありき」という論法ではなく、日本国民の命を救うのが国家の最優先義務だという憲法の規定からの結論は、「防衛省」を「防災省」に変えることで全て「解決」という簡単・明解な素晴らしいシナリオです。
これからも暑さが続き、やがて台風も来襲します。皆様、くれぐれも御自愛下さい。
[2022/7/5 イライザ]
**************************************************
そして皆さんにとって、今日一日が素晴らしい24時間でありますよう!
[2023/7/17 人間イライザ]
[お願い]
文章の下の《広島ブログ》というバナーを一日一度クリックして下さい。
« 洗濯機の買い替え ――12年間、故障もなかったのですが―― | トップページ | 被災地に人を送り込むな ――5年前の教訓は生きているのでしょうか?―― »
「経済・政治・国際」カテゴリの記事
- #政府の #愚民化政策が大問題 ――#同級生の投票行動から考える・第13回―― (2024.08.28)
- #災害を #ネタにする? ――#今更ですが シリーズ 2―― (2024.06.28)
- #企業・団体献金禁止 に #反対する #小沢一郎議員 ――文字通り #語るに落ちた―― (2024.05.23)
- #アメリカ の #臨界前核実験 に #抗議の座り込み ―― #これが #G7広島サミットの意味ですよ!―― (2024.05.21)
- #なぜ今 #公費負担 なのか ―― #公私混同 を #止めさせるため―― (2024.05.18)
「平和」カテゴリの記事
- #ハワイ大学での講義 ―― #反戦・反核がテーマです ―― (2025.01.27)
- #内灘闘争の歴史を学ぶ ――#JR総連中国地方協議会第38回定期委員会2部―― (2024.10.06)
- #式典から排除 の #基準は何ですか? ――#誰の基準か #何が目的か―― (2024.09.01)
- #駐日大使 の #式典招待は ――#知って貰うため #友達になって貰うため―― (2024.08.31)
- #原水禁 #国際シンポジウム ――#2045ビジョン と #NoFirstUse #提案しました―― (2024.08.09)
「歴史」カテゴリの記事
- #原水禁 #国際シンポジウム ――#2045ビジョン と #NoFirstUse #提案しました―― (2024.08.09)
- #コロンブス問題 (その3) ――#江崎玲於奈学長 #式辞の問題点―― (2024.06.18)
- #コロンブス問題 #30年前にも取り上げました ――#なぜ #大切な点が #伝わらないのでしょうか―― (2024.06.16)
- #石棺で覆い #100年以上かける覚悟 ――#東電 も #このことは分っているはず―― (2024.06.15)
- #できないことを #できると言うのは #詐欺 ――#廃炉はできません―― (2024.06.14)
「日本政府」カテゴリの記事
- #先制不使用 #実現のチャレンジ ―― #国連総会までは成功例があります ―― (2025.02.04)
- #日本政府抜きの核廃絶 #全ての自治体が #先頭を走る積りで (2024.12.15)
- #「原爆投下は合法である」と #日本政府は主張 #変えられるのか #変えられないのか (2024.12.14)
- #報道1930を視た方からの #質問に答える ――#「原爆投下は合法である」が #日本政府の一貫した主張―― (2024.12.13)
- #中間目標として採用するための条件 ――#締約国会議へのオブザーバー参加では?―― (2024.12.04)
「憲法」カテゴリの記事
- #袴田巌さん #再審無罪 ――#60年近くの闘い―― (2024.09.26)
- #ヒロシマの使命を #再確認しておこう ――#その時々の流れに押し潰されないように―― (2024.08.29)
- #政府の #愚民化政策が大問題 ――#同級生の投票行動から考える・第13回―― (2024.08.28)
- #原水禁 #国際シンポジウム ――#2045ビジョン と #NoFirstUse #提案しました―― (2024.08.09)
- #伊藤塾の伊藤真塾長にお会いしてきました ――#伊藤塾 #法学館 ともに #未来の司法を担う #若者の育成をしています―― (2024.07.21)
「ウクライナ」カテゴリの記事
- #「核の先制不使用」は両端を結ぶ ―― #橋渡しと言っても良いでしょう―― (2025.02.07)
- #危機感の違い #世代を超えて共有できるか ――#キューバ危機に比肩する危機的状況―― (2024.10.30)
- #被団協に #ノーベル平和賞 ――#核廃絶運動に弾み #歴史的にも大きな意味―― (2024.10.11)
- #今夜午後7時 #Zoomミーティングで話をします ―― #安保法制違憲訴訟の会主催です ―― (2024.04.29)
- #チェルノブイリ・デー #座り込み ―― #参加は38名 ―― (2024.04.26)
「自然災害」カテゴリの記事
- #期限の付いていない目標は #夢にしか過ぎない --#石破総理の政策には期限付きのものが一つあります―― (2024.10.02)
- #石破新総裁 #防災省を #一日も早く ――#大宰相への道の出発点ですよ―― (2024.09.28)
- #首相の最優先すべきことは ――#イタリアの #メローニ首相は即刻帰国―― (2024.09.24)
- #石川県への #災害支援 #政府も #私たちも #全力で ――#防災省設置も #最優先課題―― (2024.09.22)
- #9月1日に考えたこと ――#防災省を創る #関東大震災朝鮮人犠牲者に思いを馳せる―― (2024.09.03)
「自然」カテゴリの記事
- #自生の #山百合 ――#こちらのビックリは #大歓迎―― (2024.09.17)
- #災害対策は #チームワーク ――#1999年6月29日の記憶―― (2024.06.30)
- ウォーキングの途中で見る花 ――平地よりは寒い地域です―― (2023.10.04)
- 被災地に人を送り込むな ――5年前の教訓は生きているのでしょうか?―― (2023.07.18)
- 防衛省を防災省に ――自然災害を黙殺する政治をひっくり返そう―― (2023.07.17)
「岸田総理」カテゴリの記事
- #「原爆投下は合法である」と #日本政府は主張 #変えられるのか #変えられないのか (2024.12.14)
- #報道1930を視た方からの #質問に答える ――#「原爆投下は合法である」が #日本政府の一貫した主張―― (2024.12.13)
- #排除ではなく #説得を ――#式典まで待つのではなく #行動を―― (2024.09.02)
- #式典から排除 の #基準は何ですか? ――#誰の基準か #何が目的か―― (2024.09.01)
- #原水禁 #国際シンポジウム ――#2045ビジョン と #NoFirstUse #提案しました―― (2024.08.09)
« 洗濯機の買い替え ――12年間、故障もなかったのですが―― | トップページ | 被災地に人を送り込むな ――5年前の教訓は生きているのでしょうか?―― »
コメント