「念押しキャンペーン」の目指したのは ――鉄は熱いうちに打て――
「念押しキャンペーン」の目指したのは
――鉄は熱いうちに打て――
慰霊碑前のG8下院議長たち
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G7広島サミットが近付くにつれて、マスコミからの取材が増えてきました。旧知の、中国新聞記者岡田さんからの取材があったのは、5月9日、もうサミットまで10日しかありません。サミットで実際にどのようなことが行われるのか、特に、資料館の視察がどのような形で行われるのか、被爆者の体験は聴いて貰えるのか等、少しずつ具体的な姿が見え始めてきたときです。
私の頭の中には、2008年のG8下院議長会議のときのことが強烈に残っていました。河野洋平衆議院議長の肝煎りで開かれたG8 (ロシアも入っていたことも、今回のG7との大きな違いです) の下院議長さんたちには、約一時間、資料館を丁寧に見て貰いましたし、その最後に、元資料館館長だった高橋昭博さんの証言を聴いて頂きました。
当時、市長として下院議長会議のお手伝いをした立場から、2日間の様子をメルマガ「春風夏雨」に二度にわたって書きましたので、それを今回も二日にわたって再掲します。長くなりますが、是非お読み下さい。そして、今回のG7広島サミットとの違いを確認して下さい。
違いの一つは、資料館の視察の仕方です。議長さんたちが丁寧に、本館も含めた管内を上田館長の案内で回って最後に高橋さんの感動的な証言になったのです。その場での議長さんたちの立ち居振る舞いからは、これ以上付け加えることはない、この感動を必ずそれぞれの国に帰ってから、政治の場で生かして貰える、という確信さえ持てたのです。
しかし、念のため、その後の市主催の昼食会でのスピーチで私は、次の3点を強調しました。
- 被爆体験から生まれた最も大切なメッセージは「こんな思いを他の誰にもさせてはならない」である。
- 私たちは今、岐路に立っている。ここ数年の内に私たちは、核兵器のない世界か、あるいは開発能力のある国はすべて核兵器を持つ世界か、何れかを選択する羽目になるはずである。
- 皆さんは、2020年までに核兵器を廃絶する力を持ち、義務を負っている。
今回のG7サミットで、「被爆地広島出身の総理大臣」と言えども、これほどの発言はできないかもしれない。となると、岸田総理に何を期待したら良いのか、を考えた末に、出てきたのが、資料館の出口での念押しです。
資料館の視察にどのくらいの時間を取って貰えるのかは分りませんでしたが、オバマ大統領の時よりは長時間になるはずですし、資料館での時間が短くても大きなショックを受けるのが普通だという経験をしてきましたので、今回も同じことが起きるという前提です。
そのショック、あるいは感動といっても良いでしょうが、を首脳の皆さんが一「人間」として受け止めたとき、そして政治家の立場に戻って、核保有の正当化が当然だという枠組みに戻る前に一言、「これで核は使えなくなりましたね」と岸田総理が念押しすることで、首脳の皆さんの資料館での視察は、「人間」レベルでの一つのまとまったパケッジとして皆さんの胸に残るはずなのです。「鉄は熱いうちに打て」なのです。
ということで、Change.orgのキャンペーンをその日から始めましたが、それを後押ししてくれた中国新聞の平和メディアセンターは、動画を含めてこのことをサミット直前にアップして下さいました。リンクを貼っておきますので、御覧下さい。
https://www.hiroshimapeacemedia.jp/?p=132027
また、Change.orgのキャンペーン・サイトはこちらです。
以下、2008年9月10日アップのメルマガ、「春風夏雨」の100回の記事を貼り付けておきます。
(中に、佐村河内守氏のことが出てきますが、まだ真相が表に出ていなかった頃ですので、お許し下さい。)
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春風夏雨第100回 (2008年9月10日号)
秋葉忠利
2008年9月7日(日)執筆
大成功に終ったG8下院議長会議(1)
――「ヒロシマ」の持つ不思議な力から、新たな希望が生まれました――
このコラムも100回を迎えました。第一回は2003年の4月6日でしたから、それから5年半近く、お読み頂いた皆さんに心からお礼を申し上げます。『市民と市政』に連載している「市長日記」も今年の初めに100回になりました。
今後とも、海外出張その他、市民の皆さんの目に触れることの少ない事柄、マスコミの報道だけでは全体像や詳細が伝わらない事柄等について、「楽しくてためになる」を目標にトピックを選びたいと思います。
今回は、9月1日と2日に広島市で開催されたG8下院議長会議について報告をしたいと思います。
結果は一言で表現すれば大成功でした。ここまでは、新聞やテレビの報道で御存知の通りです。河野衆議院議長からも、会議が成功したこと、そして関係者や広島市民の皆さんに感謝の気持を伝えて欲しい旨の電話を頂きました。
私からも多くの皆さんに感謝したいと思います。そもそも、わが国で初めて開かれるG8の下院議長会議を広島でと提案して下さったのは河野議長です。各国の議長さんたちにも働き掛け、広島開催を決めて頂いた行動力そして英断に心から感謝しています。続いて、会議を成功に導くための陣頭指揮も見事でした。会議の関連行事が始まった1日、そして会議そのものが開かれた2日の両日、ホスト役としての河野議長の身近で開催地市長としての役割を果たしながら、改めて議長の広島ならびに平和に対する深い理解、そして最年長の議長としてのリーダーシップと余裕とが、会議を成功に導いた大きな理由であることを実感しました。
事務レベルでは、衆議院の事務局と広島市の担当者が中心になって今年の初めから準備をしてきました。県と経済界、出席する各国との友好協会等から構成するG8下院議長会議支援推進協議会の皆さんにもお世話になりました。県警の皆さんにも万全の警備をして頂きました。改めてお礼を申し上げます。
さて1日の夕方、広島空港から市内到着後、議長さんたちにはまず上田宗箇流の御点前で寛いで頂き、続いて歓迎コンサートを30分楽しんで頂きました。聞いて頂けたのは、コンサートの第二部、モーツァルトのバイオリン協奏曲第5番、秋山和慶氏指揮の広島交響楽団の演奏でソリストは岡崎慶輔氏でした。因みに第一部は大瀧賢一郎氏の独唱、第三部は35歳で聴力を失った被爆二世で世界的な作曲家佐村河内守氏作曲の交響曲第一番を、広響が演奏しました。
2日目は朝8時半から平和記念公園の慰霊碑前で献花、その後平和記念資料館を見て頂き、途中、元資料館長で被爆者の高橋昭博氏に御自分の体験を語って頂きました。休む暇もなく、本題である議長会議。テーマは河野議長の発案で「平和と軍縮に向けた議会の役割」でした。広島で開く会議のテーマとしては最適ですが、同時に重いテーマでもあります。しかし、議長さんたちの熱の籠った発言が続いて、終了時間は予定をかなり過ぎていました。
広島市主催の昼食会では、冒頭で皆さんへの歓迎の言葉と共に、被爆体験の意味と2020年までの核兵器廃絶を目指して頑張っている平和市長会議の活動についてのスピーチをさせて頂きました。最初に、スピーチの要点として、しっかり理解し記憶して欲しいと私が願っている3点を強調しました。それは
(1) 被爆体験から生まれた最も大切なメッセージは「こんな思いを他の誰にもさせてはならない」である。
(2) 私たちは今、岐路に立っている。ここ数年の内に私たちは、核兵器のない世界か、あるいは開発能力のある国はすべて核兵器を持つ世界か、何れかを選択する羽目になるはずである。
(3) 皆さんは、2020年までに核兵器を廃絶する力を持ち、義務を負っている。
です。スピーチの概要は、広島市のホームページで御覧頂けます。
昼食会の最後近くになって、議長会議が卵を産んでくれました。広島で「子どもサミット」を開くという提案です。その背景も、河野議長から説明されましたーー中国新聞の一部として月に2回の頻度で発行されている『ひろしま国』という10代の子どもたちが作っている新聞があるのですが、その子ども記者が河野議長をインタビューしたときに、「子どもサミット」を広島で開くことを提案したのだそうです。
河野議長は会議の間を縫って、参加した議長さんたちに「子どもサミット」の開催提案を皆でしましょうと話し合ってくれていたのです。その結果が、広島市で子どもサミットを開きましょうという正式提案になったのです。「卵から雛がかえって、その雛にどんな餌を食べさせるのかは広島市にお任せしましょう」という言葉も付けられていました。子どもたちの発想の素晴らしさ、またその提案を真剣に取り上げてくれた河野議長に感謝したいと思います。当然、市としては前向きにお受けする積りです。
夕食会でも予定にない、フランスのアコワイエ議長からのお礼の挨拶がありましたが、昼食会でもカナダのミリケン議長からお礼の挨拶がありました。他の議長さんたちの気持を代表しての感謝の言葉でしたが、どの議長さんも異口同音に感謝してくれたのは、広島の「ホスピタリティー」でした。特に米国のペローシ議長は「感謝してもし切れない」と河野議長に話していますし、私にも「広島市民の歓迎に心から感謝する」と言われました。
それは正に全市・地域一丸となっての歓迎の気持が9人の議長の皆さんに伝わったからです。
改めて、上田宗箇流の関係者の皆様、コンサートの演奏者である秋山先生と広響、独唱者と伴奏者、ソリスト、そして作曲の佐村河内氏、コンサートを支えて下さった多くの関係者やボランティア、また、恐らくは議長さんたちが一番多くの時間を過したホテルと素晴らしい食事の担当の皆様、歓迎の旗やメッセージで議長さんたちを感激させた多くの子どもたち、平和記念公園で平和の歌声で歓迎してくれた合唱団、ライトアップ・イベントや子どもたちのイベント、その他のイベントを企画してくれた青年会議所並びに参加した子どもたち、その他にもここには書ききれないくらい多くの皆さんの献身的な協力が議長さんたちに伝わったことをハッキリと感じることができました。万一、ここに漏れている方がいらっしゃったらお詫び申し上げます、と共に私まで御連絡頂けますでしょうか。
皆様に改めてお礼を申し上げます。有難う御座いました。また、このような形で世界の議長さんたちを歓迎できる広島市そして市民の力を心から誇りに思っています。
次回は、議長さんたちと交わした会話の内容や、予想外の出来事、そして私の感想等をお伝えしたいと思います。
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そして皆さんにとって、今日一日が素晴らしい24時間でありますよう祈っています!
[2023/6/4 人間イライザ]
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