採決は本当にあったのか ――6月8日の参院法務委員会採決に30年前の「採決」が重なりました――
採決は本当にあったのか
――6月8日の参院法務委員会採決に30年前の「採決」が重なりました――
30年前の拙著です
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6月8日の入管難民法改正案の参院法務委員会採決で山本太郎議員が委員長席に「ダイブ」したことが問題になりましたが、私の脳裏に浮かんだのは、1991年11月27日のPKO協力法案の採決でした。強行採決を阻止しようと私たち議員が委員長席に詰め寄ったのですが、委員長の声は全く聞こえず、「本当に採決はあったのか」は、当事者である私たちにも分らない状態だったのです。しかし、マスコミは一斉に同じことを書いています。「採決はあった」と主張しているのです。
そのときの様子を拙著『夜明けを待つ政治の季節に』(1993年、三省堂刊)の256-257ページには次のように引用しています。
「強行採決」は本当にあったのか
・・・・・(略)・・・二十七日の 「強行採決」になると、各紙とも同じ見方をしてしまう。二十八日付の日本経済新聞を引用すると、
「衆院国際平和協力特別委員会は二十七日夕、国連平和維持活動 (PKO) 協力法案の質疑を打ち切り、自民、公明両党が「自衛隊の国連平和維持軍 (PKF) 派遣後、二年が経過した時点で更新・継続に関する承認を国会に求める」と政府案を修正したうえで、採決を強行、両党の賛成により可決した」。(91・11・28「日本経済新聞」)
「朝日」、「毎日」、「読売」、いくつかの他方紙もほとんど同じ内容だった。だが、その場に委員の一人として居合わせ、委員長席に詰め寄った一人として、この報道には納得が行かない。まず、特別委員会が開かれた第一委員室は、怒号の中、混乱に陥り、仮に委員長が議事を進めたつもりであったにしろ、委員長の声は私たち委員には全く聞えなかった。事実、委員会の速記者は、この間のやり取りを次のように記録している。
『大島委員 議長。 緊急動議をお願いします。(発言する者多く、聴取不能)打ち切りをお願い します。 採決をお願いします。 (聴取不能) 以上でございます。
林委員長・・・・・・(発言するもの多く、聴取不能)(拍手)・・・・・・(聴取不能)(拍手) ・・・・・・(聴取不能)(拍手) ・・・・・・(聴取不能)
委員長退場〕 午後五時四十分」
委員会で何が起きたのか全く分らなかった私の経験と、速記録を元に考えると、私たちより、委員長席からははるかに離れた場所にいたマスコミ各社の記者の皆さんが、委員長の発言内容を詳しく、しかもほぼ同じ内容だったと判断した上で、修正の上可決された、と全く同じ結論に達した(断定したと言うべきか)ことが私にはどうしても理解できない。
今回の参議院での採決も同じ状態だったように見えるのですが、マスコミも含めて、そして当事者の議員たちも、「採決はあった」と認めているのでしょうか。そうでないことを祈っていますが、この30年間、政治は変わっていないとみるべきか退化したと考えるべきなのか迷っています。
そして皆さんにとって、今日一日が素晴らしい24時間でありますよう!
[2023/7/1 人間イライザ]
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