「核軍縮に関するG7首脳広島ビジョン」の問題点 ――サミットは閉幕しました――
「核軍縮に関するG7首脳広島ビジョン」の問題点
――サミットは閉幕しました――
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G7広島サミットの首脳たちは、最終日の21日より一日早く、20日に「G7首脳声明」を発表しました。通常は会議が終ってから出されるものですから、異例です。
さらに、今回は19日に、「核軍縮に関するG7首脳広島ビジョン」と呼ばれる文書が公表されています。核兵器の廃絶という視点からは、こちらの特別に準備されたものの方がより具体的な内容を知る上で重要だと思われますので、まずはこちらを取り上げます。
かなり長いものですので『日本経済新聞』による要旨を掲げます。(『日本経済新聞』電子版5月20日付記事「G7首脳、核軍縮に関する共同文書「広島ビジョン」の要旨」から引用 https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA19DB40Z10C23A5000000/ 5月21日閲覧)
「歴史的な転換期の中、我々は原子爆弾投下の結果、広島や長崎の人々が経験したかつてない壊滅と極めて甚大な非人間的な苦難を長崎とともに想起させる広島に集った。
核軍縮に特に焦点を当てた初のG7首脳文書で、すべての者にとって安全が損なわれない形での核兵器のない世界の実現に向けたコミットメントを再確認する。77年間に及ぶ核兵器不使用の記録の重要性を強調する。
ロシアの無責任な核のレトリック、軍備管理体制の毀損やベラルーシに核兵器を配備するとの意図は危険で受け入れられない。核兵器使用の威嚇、ましてや使用も許されないとの立場を改めて表明する。
我々の安全保障政策は核兵器が存在する限りにおいて防衛目的のために役割を果たし、侵略を抑止し戦争や威圧を防止すべきとの理解に基づく。
世界の核兵器数の全体的な減少は継続しなければならず、逆行させてはならない。核兵器不拡散条約(NPT)は堅持されなければならない。
現実的で実践的な責任あるアプローチを通じて達成される核兵器のない世界という究極の目標に向けた我々のコミットメントを再確認する。この点で日本の「ヒロシマ・アクション・プラン」は歓迎すべき貢献である。」
いろいろ問題はあるのですが、四点だけ指摘しておきましょう。感情に流されそうですので、できるだけ事実のみを取り上げようという努力の結果です。
- 「被爆者」という言葉が使われていない。
- 「苦難を受けた」のではなく「想起させる」広島と長崎という位置付け。
- 「核兵器禁止条約」という国際法上効力を持つ条約に全く触れていない。
- 「広島」で、核抑止論の強化を主張している。
これらの問題点や、最終の首脳声明も合わせて、さらに分析をお伝えしますが、G7広島サミットは21日午後に閉幕しましたので、Change.orgでの署名キャンペーンも閉じたいと考えています。御協力下さった皆様への御礼等もきちんとしたいので、少し時間を頂いて、「お知らせ」欄に投稿します。
そして皆さんにとって、今日一日が素晴らしい24時間でありますよう祈っています!
[2023/5/22 人間イライザ]
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