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2023年5月27日 (土)

広島で被爆者を裏切ってはいけない (5) ――G7首脳が広島まで来てくれたことは、当然評価に値します――

広島で被爆者を裏切ってはいけない (5)

――G7首脳が広島まで来てくれたことは、当然評価に値します――

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平和記念資料館

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昨年3月1日から始めた「宣言キャンペーン」から、今年の5月9日に開始した「念押しキャンペーン」までの経緯を記録した上で、G7広島サミットの総括をすることが一連のブログ記事の目的です。でも、いつもの癖で長くなっていること、また内容を説明する上で必要な背景等の記述にもスペースを割いていますので、全体のバランスに欠けている気がしてきました。

今回は、G7広島サミットのもたらした、プラス面をできれば短くまとめておきたいと思います。その大前提は、これまで広島を訪れた私自身の外国人の友人の中で、資料館の展示や被爆者の証言から、人生観の変るほどのショックや感動を受けなかった人は皆無だという事実です。日本人でも同じことなのですが、その点については改めて考えて見る必要を感じています。

そしてオバマ大統領の広島訪問についても、私の考え方は、「謝罪がなければ広島に来るな」という考え方ではなく、「謝罪があってもなくても、とにかく広島に来る気持があるのなら歓迎すべきだ」でした。

でも、オバマ大統領は資料館には扉を開けてすぐ出て来る数分いただけ、そして被爆者との「遭遇」も瞬時だったことには問題が残りました。それでも、アメリカの大統領が広島にやってきたことの意味は大きかったのです。この点については当時の、テレビでの解説、ブログや記者会見等々で詳しく説明していますので、機会があれば、リンクを張ることにします。

今回のG7首脳の広島訪問については、資料館滞在時間は40分、その中で被爆者の小倉桂子さんとの対話が10分あったそうですので、オバマ大統領訪問時の問題点は解消された、と考えることができます。ただし、20日のブログで述べたように疑問は残ります。

外務省の意図は、物理的・客観的に計測可能な範囲では視察もし、被爆者の話も聞いたという実績を作ること、でも実質的には外務省の思惑以外のメッセージは伝わらないような「演出」だったのかなとしか考えられません。

しかし、私たち市民的な立場からは、事実を持って語らしめることも重要です。

一つには、イギリスのスナク首相の記者会見での言葉があります。毎日新聞の記事「英首相「広島で何が起きたのか忘れない」 原爆資料館訪問に言及」 には、スナク首相の素直な言葉が読み取れます。

「主要7カ国首脳会議(G7サミット)に出席した英国のスナク首相は21日、広島市で記者会見し、19日の原爆資料館訪問について「深く心を動かされた」と振り返った。

スナク氏は「爆発でねじ曲がった子供の三輪車や破れた血まみれの制服などの展示品を見た」と明かし、「これらの記憶を胸に刻み、我々は(広島で)何が起きたのか決して忘れないと決意し、歴史的なG7サミットで平和と自由、民主主義の道を歩むことを誓った」と強調した。」

また、被爆者の小倉桂子さんは、19日の広島テレビのインタビューに笑顔で答えて、首脳たちに向かって思わず、「夢が叶った」と言ったことを報告してくれました。被爆者がバイデン大統領やアメリカという国を憎んではいない、敵意を持っていないことまで伝わるのですから、これだけでも多くのアメリカ人の心を開かせるための一言になります。

そして他の国々の人々にも、これからの世界平和を築く上での出発点としてこれ以上相応しい言葉はなかったのではないかと考えられます。加えて小倉さんは、首脳の皆さんに「Thank you for coming.」と「Welcome to Hiroshima!」とおっしゃったとのことです。「首脳広島ビジョン」にこうした点を付け加えるべきではなかったのでしょうか。

こうした事実を元にまとめるとすると、広島訪問、特に資料館の視察と被爆者との対話で、首脳は「深く心を動かされた」と感じ、被爆者は「夢が叶った」とまでの満足感があったのですから、G7首脳、そしてEU首脳と招待国首脳の広島訪問は、評価に値すると言うべきなのだと思います。

加えて、世界のマスコミを通して広島のメッセージが伝わった事実も大切です。さらに一言付け加えれば、このような訪問が、仮に全員同時ではなくても、G7サミットという形でなければ実現しなかったのであれば、G7サミットも、その限りにおいては評価すべきことになります。

しかし、これは全てが非公開だった資料館での40分間について、ほんの少し漏れてきた情報を元にした結論です。ブログにも書いた通り、「外務省の思惑以外のメッセージは伝わらないような「演出」」が上手く行った結果だったと考えても矛盾はありません。その可能性も検証しながら「真実」に近付く努力も、どこかの時点で試みなくてはなりません。

こんな疑問が払拭し切れないだけではなく、もっと積極的に、今回のサミットが「被爆者を裏切った」、「「ヒロシマ」を弄んだ」「「ヒロシマ」を虚仮にした」等々と総括されていることも重要です。それは、「ヒロシマの心」が人類の滅亡か存続かの問題と直結しているからですし、核兵器についてのG7広島サミットの結果として公表された「首脳広島ビジョン」は、「ヒロシマ」という視点からも今回の最重要文書であり、その内容が自ずから評価を定めているからです。

その総括に至るまでの私たちの努力や、それが実際に為政者たちに届いたのかという検証も必要ですので、このシリーズを続けています。

 

そして皆さんにとって、今日一日が素晴らしい24時間でありますよう祈っています!

 [2023/5/27 人間イライザ]

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