「原爆にさわる」 ――映像ジャーナリスト熊谷博子さんの言葉――
「原爆にさわる」
――映像ジャーナリスト熊谷博子さんの言葉――
何度も、18日に開かれた「都市から核のない世界へ」 (杉並光友会と杉並区の共催) について書き続けていますが、戦争や大惨事等を経験した方々の言葉や行動が、人類史の意味を見事に捉えていて私たちにとって忘れられないものになることがしばしばあります。
優れたジャーナリストがそのような言葉や行動、そして経験をした人たちの姿を私たちに伝えてくれることで、普段では経験できないことに触れられるのも、今という時代ならではの出来事かも知れません。
映像ジャーナリストの熊谷博子さんから、イベントの後の茶話会で伺った言葉に私は大きな衝撃を受けました。
中沢啓治さんの名前が出てきたのは、広島市で起きている『はだしのゲン』削除問題と関連があるのかもしれません。それは、熊谷さんが中沢さんとともに、アメリカの人たちに中沢さんの被爆体験を伝えつつ、アメリカ社会の反応を記録する旅でのことでした。
バターンの死の行進を持ち出して被爆体験を聞こうとしなかった男性に、中沢さんが『はだしのゲン』の中の、被爆直後のゲンを描いた個所を示した気迫が凄かったという報告でした。それも私たちが原爆に触れる一つの形になります。
もう一つは、同じように、長崎の被爆者である谷口稜曄さんとアメリカを回って被爆体験を語り続けた旅でのことでした。熊谷さんが毎日谷口さんの背中の膏薬を張り替えていたため、彼の背中に触る機会があったのですが、その背中が「板のよう」に硬かったそうなのです。
そしてそれを「原爆にさわる」ことだった、という熊谷さんの表現で私たちの手にまで伝えてくれたのでした。被爆体験に触れる、と言ってしまうともう少し広い意味も付け加わりますので、分り易いのと同時に焦点も広がります。
「さわる」と表現することで原爆の本質を伝える意味に戦慄が走りました。G7広島サミットに参加する人たち、特に核保有国の首脳たちにこの感覚を伝えることができればとつくづく感じました。
最後に今日一日、皆さんにとって、素晴らしい24時間でありますよう!
[2022/3/23 イライザ]
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