またまた人命軽視? ――3年以上も前に気球が日本の空を飛んでいました――
またまた人命軽視?
――3年以上も前に気球が日本の空を飛んでいました――
アメリカとカナダでそれぞれの国の上空を飛んでいた気球が撃ち落されました。中国のスパイ気球だとも言われ、安全保障の観点から警鐘が鳴らされています。そして、我が国にも気球が飛来していたことが、防衛省の発表で分っています。NHKのネット配信「どうする"気球"」では、
防衛省によりますと、気球型の飛行物体は、国内では、
▽2019年11月に鹿児島県薩摩川内市などで、
▽2020年6月に仙台市などで
▽2021年9月に青森県八戸市などで確認されているほか、
▽2022年1月には海上自衛隊の哨戒機が九州西方の公海上で所属不明の気球を確認していたということです。しかも、中国の無人偵察気球だと強く推定される、とまで言明しています。
本当に中国の物なのか、その目的は何なのか、そうだとしたら中国はけしからん、という議論も大切ですが、それは機会を改めて論じることにして、今回注目したいのはこれからの対応です。15日の報道によると、今後の対応について、次のような方向になるとのことです。
今のルールでは、自衛隊が撃墜のために武器を使うのは、領空侵犯した機体による攻撃から身を守るための正当防衛や緊急避難に該当する場合に限られているため、政府は、内容を見直す方針です。
具体的には、無人の気球については、ほかの航空機の安全な飛行を阻害する恐れがあるなど、国民の生命や財産を守るために必要と認められれば、正当防衛などの要件を満たさなくても、武器による撃墜を可能にする方向で調整に入りました。
ここで思い出す (と言うほど昔ではありませんが) のはポイントが凍って、その結果、JRの判断ミスで10時間も車内に閉じ込められていた7,000人もの人たちのことです。「人命軽視」と言うと大袈裟になってしまいますが、悪くすればそうなっていたかもしれないのですから、「abuse of language」(不正確な言葉の使い方ではあっても、コミュニケーションを円滑にするための方便として使う簡便な言葉の使い方)で、そう呼ばせて下さい。
整理すると、
① 自衛隊は、日本の上空を恐らく中国の物であろうと思われる気球が飛んでいることを3年以上前から知っていた。
② しかし、日本国民が乗っている飛行機と衝突する可能性があるとは考えなかった。あったとしても国民の命が関わることにはならないと思っていなかった。
③ 従って、撃墜することは勿論しなかったし、国民に気球飛来の事実を公表することもなかった。
④ 今回、アメリカでの撃墜が起きて初めて、国民の命に関わるかもしれない問題であることに気付いた。つまり、数年間にわたって、国民の命に関わるかもしれない事態を、その認識もなく調査もせずに放置していた。
⑤ あるいは、認識は以前のままで、国民の命に関わるとは思っていないが、世論やマスコミが煩いのでその対策としての方針を出した。
この内、④なのか、⑤なのかは分りませんが、そのどちらかしか選択肢はありません。どちらにしても、「人命軽視」の誹りを免れません。そのどちらなのか、そしてその理由は何なのかを説明するのが「説明責任」ですし、その説明も「丁寧に」してくれないと、私たちには分りません。
皆様にとって今日一日が素晴らしい24時間でありますよう!
[2022/2/16 イライザ]
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