岸田総理、丁度100年前に広島出身初の総理大臣になった加藤友三郎を見習って下さい
岸田総理、丁度100年前に広島出身初の総理大臣になった加藤友三郎を見習って下さい
丁度100年前の1922年6月に総理大臣になった加藤友三郎 (私にとって先生のような存在なのですが、敬称は略します) について、今年中に詳しい業績を書こうと考えていたのですが、「今」を逃して警鐘を鳴らしてもその効果は薄くなると思いますので、ポイントだけアップさせて頂きます。
「今」が大切なのは、岸田総理が長男の翔太郎氏(31)を政務担当の首相秘書官に登用したからです。家族で権力を独占するのは封建社会や独裁政治常套手段ですが、最近では、トランプ米大統領の娘、イヴァンカ・トランプ氏が大統領補佐官に起用されたり、北朝鮮の金正恩最高指導者の妹、金与正氏が国務委員会委員に就任していることなどが頭に浮かびます。どちらも、好感を持って受け入れられてはいないようです。
そこで我が国に戻りますが、タイトルに示したように、2005年に加藤友三郎についての短い一文を綴っていました。今回はそれをお読み頂きたいのですが、中でも大切なのは加藤師本人の言葉として伝えられている、「縁故者を重用しない」という方針です。これが家族にも当てはまることは言うまでもないでしょう。
また、内外の反対を押し切って、「軍縮」そして「緊縮財政」に貢献した生涯も是非、100年後の政治家が、特に広島に縁のある岸田総理には見習って貰いたい点です。ことによるとこの「警鐘」は遅過ぎましたかね。
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伊藤博文以来、わが国の総理大臣経験者は、全部で56人いますが、「広島出身」で誰でも直ぐ頭に浮かぶのは、宮澤喜一そして池田勇人の両氏でしょう。「では広島市出身の総理大臣は」と聞かれて、「加藤友三郎(以下敬称略)」と即答できる市民は余り多くないように思います。
明治維新後、薩長中心の新政府が誕生し、総理大臣は山口県と鹿児島県から交替で出していた時期が続きました。その後、他の都府県生れの総理大臣も誕生しましたが、未だに、総理大臣を一度も出していない道・県が半分くらいあります。ましてや、全国に3000ほどある市町村のほとんどは、総理大臣を生んでいないのです。
となると、数少ない総理大臣出身地の一つである広島市が、お国自慢の一つとして「加藤友三郎」ブランドをもっとPRしても良いのではないでしょうか。しかも凡庸な大臣もいる中で、加藤友三郎は名宰相の一人だったのです。
経歴としては、広島出身者として初めての海軍大将、初の海軍大臣、そして初の総理大臣です。ただし、加藤友三郎自身は、このような枠組みで評価されることを歓迎したかどうかは分りません。それは、最近出版された田辺良平氏による好著『わが国の軍備縮小に身命を捧げた 加藤友三郎』の中に友三郎自身の言葉として次のような一節があるからです。
「自分は有用の人物であれば同郷人であろうがあるまいが、推薦もしくは引き立てもするが、ただ同郷の人であるというのみで、特別に世話をすることは出来ぬ。自分は従来そういう主義で来ているのだから、同郷人の間での評判は定めし悪いであろうが致し方ない」
しかし、私たちの脳裏からこの偉大な政治家の存在が薄れてしまったのは、恐らく、比治山にあった彼の銅像まで戦時中に金属回収のため供出されたことが原因だと思います。
海軍の軍人としての加藤友三郎は、100年前の日本海海戦で東郷平八郎元帥と共にロシアのバルチック艦隊を破ったことで有名ですし、他の多くの功績も良く知られています。それ以上に評価されているのが、大臣そして総理大臣としての仕事です。
最も大切なのは、1921年(大正10年)にワシントンで開かれた軍縮会議において、米英日の主力艦比率を5対5対3にするという内容の合意を取りまとめ、その後、その線に沿って軍事費を削減し、健全財政を目指したことにあります。
官僚制度そのものとも言える現在の外交とは違った時代だったのかも知れませんが、稀有の国際感覚と、自国への誇り並びに優れた現実把握能力の持ち主が、柔軟かつ果敢な決断によって、国難を救い世界的に高い評価を受けたのです。
平和の象徴としてのヒロシマに軍縮推進の巨人、加藤友三郎のイメージが加わることで、私たちの核兵器廃絶への願いが、より説得力を増し、より多くの人に受け入れられるように思うのですが。
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より詳しい「加藤友三郎論」は、機会を改めてアップします。それでは今日一日が、皆様にとって素晴らしい24時間でありますように。
[2022/10/6 イライザ]
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