総理大臣はICレコーダーでも務まる? ――機能不全に陥っている日本の政治・岸田内閣 (5)――
総理大臣はICレコーダーでも務まる?
――機能不全に陥っている日本の政治・岸田内閣 (5)――
これは、ICレコーダーですが、一つのファイルをリピート再生する機能も付いています。こちらがその取説です。
国葬 (間違えました。総理大臣は「国葬儀」についての説明をしていたのですよね) についての岸田総理大臣の「丁寧な説明」を聞いて、それなら、ICレコーダーでもできるでのはないかと感じましたので、それを視覚化してみました。
御自分では、「丁寧な説明」と言っていますが、その中身は、「同じことを繰り返す」だけで、相手、つまり私たちが納得するとか、理解するということは全く頭にないではありませんか。
そもそも、私(A)が誰か(Bさん)に何かの説明をしたときに、そのBさんが「分りません」とか「納得が行きません」と答えたとしましょう。商談でも学校の授業でも良いのですが、Aが自社の製品を買って貰おうと買い手のBさんに説明しているとか、授業でA先生が、生徒のBさんに説明をした後のBさんの言葉だと思って下さい。
そんな時に、Aが「それでは丁寧に説明します」とは言わないでしょう。「じゃあ、今までの説明は丁寧ではなかったのだ」と言われて商談は終るか、生徒たちからは、「先生の仕事はそもそも最初から分るように説明することだろう」と文句を言われてしまうからです。
あるサイトでは、「丁寧に説明する」を、「「丁寧に説明する」とは誠実にわかりやすく対応する、という意味だと思います」と定義した上で、「「ご丁寧なお便りありがとうございました」とは言うけど「丁寧にお便りしました」とは言わない」という例を挙げています。そのURLはこちらです。https://komachi.yomiuri.co.jp/topics/id/947862/
「丁寧な説明」についての理解が、「人の話を聞くのが特技」という総理大臣と、私たち庶民との間でこれほど違うのでは、そもそも話にならないのです。
何度繰り返しても、繰り返すだけで何の説明にもなっていない点はいくつもあるのですが、今回は「国葬」そして「国葬儀」の法的根拠を取り上げておきましょう。
最終的には、例えば裁判になった時、総理大臣個人ではではなく取り巻きの官僚たちの詭弁で対抗するのでしょうから、そのレベルで論理的に整理をしておきましょう。
そのために官僚たちが常習的に使う最強の柱があります。自分たちが議論しているのは「国葬儀」であって「国葬」ではない、という摩り替えです。これについては、毎日新聞の野口武則さんの鋭い指摘を御紹介しましたので、改めてお読み下さい。
岸田総理の発言では、法的根拠は内閣設置法や閣議決定で十分だということなのですが、それに法的な「お墨付き」を与えているのが内閣の法制局です。その内閣法制局は、衆議院法制局に対して、「自分たちが議論しているのは「国葬儀」であり、お前たちの議論している「国葬」とは違う。だから、お前たちの言うことを聞く必要はないし、自分たちの主張はすべて正しいことになる」という意味の態度を取り、全く聞く耳を持たないのです。
これが通用するのなら、多くの識者が反対していること、佐藤総理の際には「国葬」が行われなかったこと等についての過去の法律的解釈等も「あれは「国葬」についてのこと。我々は「国葬儀」について議論しているのだから、「国葬」についての議論を聞く必要はない」ことになります。
となると、ここで詰めなくてはならないのは、「国葬」と「国葬儀」は同じイベントを指しているという「証明」をすることです。例えば、外国からの要人たちに出す案内では、「国葬」なら「state funeral」と書くことになるのでしょうが、「国葬儀」はどう書くのか辺りから攻めるのが良いかもしれません。外交的慣例がありますので、英語その他の外国語の場合、内閣法制局のような無茶な造語で詭弁を弄することは難しくなるからです。
「国葬」イコール「国葬儀」という等式を内閣法制局に認めさせた上で持ち出すべきなのが、例えば朝日新聞が報じている、三木内閣時代の内閣法制局長官だった吉国一郎氏(故人)の言葉です。
朝日は、これに関して「佐藤元首相の国葬見送りをめぐって当時の朝日新聞は「決め手となったのは『法的根拠が明確でない』との内閣法制局見解だったといわれる」と記している。」のですが、それが吉国一郎氏の言葉だったことを、当時前尾繁三郎衆議院議長の秘書だった平野貞夫氏が、証言しています。
今の内閣法制局は、かつては「法的根拠がなかった」と判断されていた案件について、なぜ今になったら「法的根拠はある」と正反対の立場に立てるのか、法律的なレベルで納得の行く説明をしなくてはなりません。
その説明が、私たちにとって満足の行くものかどうかは次の段階での話になりますが、まず、内閣法制局としては「豹変」の説明をすることが義務なのではないでしょうか。それは、ICレコーダーのリピート機能では果せません。
コロナについてもまだまだ油断はできません。感染しないよう努力を続けましょう。
それでは今日一日が、皆さんにとって素晴らしい24時間でありますよう。
[2022/9/10 イライザ]
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